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2話 召喚したようです?
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「ん……」
眩しい。いつの間にか朝になってる。
あれ、私何してたっけ。どこかに召喚されて、高校生にオタクであることを笑われて、恥ずかしさで逃げて、森の中で迷って空腹と熊で死にかけて、えっと……。
「目が覚めたか」
「……誰?」
「俺の名はエヴァンだ」
エヴァンってまさか、私が書いてる小説の? いやいや、そんなわけないよ。だって彼は私が考えた仮想の人物だから。
でも、髪型とか目とか服装もそっくりなんだよなぁ。黒髪に緑の目でタクティカルアーマーに迷彩服。
地面に座っているその横には長い袋。たぶん銃が入ってる、と思う。
「えっと」
「君自身のことをだいたいは理解している。そして、君を守るためにここにきた。とりあえず朝飯を食え」
どうしたらいいんだって思っていたら、焼いていた何かの肉を渡してきた。
そんななんの肉かもわからないものを抵抗もなく食べられるのはあなただけだと思う。
あ、そう設定したの私だ。自業自得だった。
一応聞いてたほうがいいかな。でも聞くのもなにか怖い気がする。
「それ、なんの」
「牛だ」
うし。そっか、牛か。なら安心かな。
「辛いが平気か」
「か、辛いってどれくらい?」
「鼻にくるくらい」
辛いのは得意ではないんだけど、鼻にくるっていうことは唐辛子とかそういう辛さではない?
エヴァンを見ると、若干涙目になってる。ということはわさび味なのかな。わさび味の牛ってなんなの。
もしかして英語を話しているだけでここは日本だったり?
そもそも牛自体に味がついてるってなに。高級牛は甘いって聞いたことあるけど、そんな感じなの?
「いろいろと葛藤しているようだが、食べなければ何も始まらんぞ」
朝からお肉はって思ったけど、せっかく捕ってきてくれたんだし、食べないと失礼だよね。
途中で手が止まったり、鼻を抑えて涙目になったりしてるけどエヴァンも食べるんだ。へーっていやいや、私何言ってんの。たとえ小説の中の人物だとはいっても、生きてる人だから普通に食べるにきまってるじゃん。
「いただきます」
手を合わせて食べ始めたら彼が不思議そうに見てくるけど、私何かしたかな。
「その『いただきます』ってなんだ」
「えっと、日本の食事前のあいさつみたいなものかな」
「あいさつ……」
そっか、エヴァンは北アイルランド出身ってしてたんだっけ。海外の人はこういう挨拶はしなかったような。
「いた、だき、ます?」
「あ、えっと、無理に言わなくても」
「俺が言いたいだけだ」
私の真似をしてまた食べ始めたけど、まさか同じことをするとは思わなかった。
あ、鼻痛い。何か飲み物が欲しい。温かいお茶がいい。
今までお寿司屋さんに行ったときお茶飲んだらわさびの辛さが薄くなってたし、効果あるよ絶対。
あ、でもどうだったかな。うろ覚えだ。
彼のほう見てたら手が止まってるうえに震えてた。それほどきつかったのかな。
「お前、たちは、よくこんなもの、食べられるな」
「全員ではないけど、好んで食べる人は多いね」
エヴァンが目を微かに開いて驚いた顔してる。
唐辛子とは違う辛味だからね、わさびって。私は好きだからいいけど。
「食いながらでいいが、状況をまとめるか」
「うん」
「まず、俺はお前が作った話の中の人物ってことで合っているか?」
「そ、うだね」
取っ付きにくい話題が最初から来るとは思わなかった。
いくら私が頭の中で想像したものだとしても、彼からしたらあの小説の中の世界が本当なんだから。
彼はあの世界で戦い、血を流し、息をしている。
「にわかに信じられん話だが、それが事実なのだな」
「……うん」
「それで、ここに俺が来た理由はお前を守るため」
私が死んでしまったらいなくなってしまうからね。
「そして、分からないのがどうやってここに来たか」
「うん」
「心当たりはあるか?」
「ない」
「そうか。まぁ、これから探せばいい」
心当たりは全然ない。クマに襲われて死にかけただけで何かをしている暇なんて全くなかったから。 思い出しちゃったから何か、震えが。
「ぁ……」
どうしよう、怖い怖い怖い。なんでさっきまで平気だったの。死にかけたんだよ。怖くないわけないじゃん。
私、これからどうすればいいの。何もわからない。頭が真っ白に。
ここがどこかもまだわからないのにまた怖い目に合わないといけないの? そんなの嫌だよ。
なんで私がこんな目に合わないといけないの。
「怖いのなら泣くといい」
涙で前が見えないけど、近くに来たエヴァンに引き寄せられて彼の胸の中で年甲斐もなく泣いちゃうなんて情けないな。もういい大人なのに、いつまでたっても泣くのを我慢できない。
眩しい。いつの間にか朝になってる。
あれ、私何してたっけ。どこかに召喚されて、高校生にオタクであることを笑われて、恥ずかしさで逃げて、森の中で迷って空腹と熊で死にかけて、えっと……。
「目が覚めたか」
「……誰?」
「俺の名はエヴァンだ」
エヴァンってまさか、私が書いてる小説の? いやいや、そんなわけないよ。だって彼は私が考えた仮想の人物だから。
でも、髪型とか目とか服装もそっくりなんだよなぁ。黒髪に緑の目でタクティカルアーマーに迷彩服。
地面に座っているその横には長い袋。たぶん銃が入ってる、と思う。
「えっと」
「君自身のことをだいたいは理解している。そして、君を守るためにここにきた。とりあえず朝飯を食え」
どうしたらいいんだって思っていたら、焼いていた何かの肉を渡してきた。
そんななんの肉かもわからないものを抵抗もなく食べられるのはあなただけだと思う。
あ、そう設定したの私だ。自業自得だった。
一応聞いてたほうがいいかな。でも聞くのもなにか怖い気がする。
「それ、なんの」
「牛だ」
うし。そっか、牛か。なら安心かな。
「辛いが平気か」
「か、辛いってどれくらい?」
「鼻にくるくらい」
辛いのは得意ではないんだけど、鼻にくるっていうことは唐辛子とかそういう辛さではない?
エヴァンを見ると、若干涙目になってる。ということはわさび味なのかな。わさび味の牛ってなんなの。
もしかして英語を話しているだけでここは日本だったり?
そもそも牛自体に味がついてるってなに。高級牛は甘いって聞いたことあるけど、そんな感じなの?
「いろいろと葛藤しているようだが、食べなければ何も始まらんぞ」
朝からお肉はって思ったけど、せっかく捕ってきてくれたんだし、食べないと失礼だよね。
途中で手が止まったり、鼻を抑えて涙目になったりしてるけどエヴァンも食べるんだ。へーっていやいや、私何言ってんの。たとえ小説の中の人物だとはいっても、生きてる人だから普通に食べるにきまってるじゃん。
「いただきます」
手を合わせて食べ始めたら彼が不思議そうに見てくるけど、私何かしたかな。
「その『いただきます』ってなんだ」
「えっと、日本の食事前のあいさつみたいなものかな」
「あいさつ……」
そっか、エヴァンは北アイルランド出身ってしてたんだっけ。海外の人はこういう挨拶はしなかったような。
「いた、だき、ます?」
「あ、えっと、無理に言わなくても」
「俺が言いたいだけだ」
私の真似をしてまた食べ始めたけど、まさか同じことをするとは思わなかった。
あ、鼻痛い。何か飲み物が欲しい。温かいお茶がいい。
今までお寿司屋さんに行ったときお茶飲んだらわさびの辛さが薄くなってたし、効果あるよ絶対。
あ、でもどうだったかな。うろ覚えだ。
彼のほう見てたら手が止まってるうえに震えてた。それほどきつかったのかな。
「お前、たちは、よくこんなもの、食べられるな」
「全員ではないけど、好んで食べる人は多いね」
エヴァンが目を微かに開いて驚いた顔してる。
唐辛子とは違う辛味だからね、わさびって。私は好きだからいいけど。
「食いながらでいいが、状況をまとめるか」
「うん」
「まず、俺はお前が作った話の中の人物ってことで合っているか?」
「そ、うだね」
取っ付きにくい話題が最初から来るとは思わなかった。
いくら私が頭の中で想像したものだとしても、彼からしたらあの小説の中の世界が本当なんだから。
彼はあの世界で戦い、血を流し、息をしている。
「にわかに信じられん話だが、それが事実なのだな」
「……うん」
「それで、ここに俺が来た理由はお前を守るため」
私が死んでしまったらいなくなってしまうからね。
「そして、分からないのがどうやってここに来たか」
「うん」
「心当たりはあるか?」
「ない」
「そうか。まぁ、これから探せばいい」
心当たりは全然ない。クマに襲われて死にかけただけで何かをしている暇なんて全くなかったから。 思い出しちゃったから何か、震えが。
「ぁ……」
どうしよう、怖い怖い怖い。なんでさっきまで平気だったの。死にかけたんだよ。怖くないわけないじゃん。
私、これからどうすればいいの。何もわからない。頭が真っ白に。
ここがどこかもまだわからないのにまた怖い目に合わないといけないの? そんなの嫌だよ。
なんで私がこんな目に合わないといけないの。
「怖いのなら泣くといい」
涙で前が見えないけど、近くに来たエヴァンに引き寄せられて彼の胸の中で年甲斐もなく泣いちゃうなんて情けないな。もういい大人なのに、いつまでたっても泣くのを我慢できない。
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