【完】私の従兄弟達は独特です 

yasaca

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五男の話 2

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莉奈姉、りなねぇ大丈夫。すべて理解しなくても翔栄が莉奈姉をまもる人だって分かってればいいから」
「う、うん……」


 なにか、はぐらかされたような気がします。


「莉奈姉はわかりやすいね。僕や兄さん達のことで聞きたいこといっぱいだし、今はぐらかされたって顔してる」


 私が不満そうにしていたのがわかった龍牙君が、目と口を三日月のように細めて笑っています。小学生とは思えない妖しい笑みを浮かべる彼に、少しだけ怖いと思ってしまいました。これもバレているのでしょうか。


「何が聞きたい?」
「全部かな」


 彼らに何があったのか全部聞きたい。


「ちょうど1か月前かな。自分の誕生日の時に高熱を出して1週間寝込んでさ」
「え、大丈夫なの?」
「もう平気」


 一週間寝込むほどの高熱だなんて。苦しかったでしょうに。
 でも何故急に病気のことを。


「あまりにも高熱すぎて意識がこんだくして、現実と夢の区別がつかないほどだったんだよ。ぼんやりとだけど、その時に僕が見ていたのは、真っ暗な空間の中に立つ人の姿だったんだ」


 目覚めた時にたまたま夜で、その時に人影を見たとかではなさそうですね。
 今は夜でも電灯の明かりがついてて明るいですから。
 真っ暗とはどれくらいの暗さなんでしょうか。


「それが誰かは今でも分からない。暗い空間の中でその人が僕を見つめてなにか話してたんだけど、その言葉はわからなかった。それから、体調を崩して一週間後、日に日に近づいてきていたその人が僕の頭を優しく撫でてくれたとたんに体が軽くなったんだ」


 急に体調が元に戻った? 話を聞いていたらさらに疑問が増えてしまったような気がします。
 龍牙君が言っていた人が誰かは、お母さまとかではないのでしょうか。もしくは竜之介お兄さんたちとか。


「それから目覚めた僕の隣に翔栄が立っていた。そして自分から言ったんだ。『私は貴方に使役されるために生まれました』って」
「じゃあ夢の中で現れたのはその子?」
「翔栄にも聞いたけど違うって」


 生まれたということもわからないですし、その謎の人物は誰なのでしょうか。撫でただけで体調が良くなるなんてありえるのでしょうか。


「それは僕だけではなく、兄さん達にも同じことが起きた。龍兄さんは水色の空間をいて、けい兄さんは茶色。弐龍じりゅう兄さんは黄色。竜之介兄さんは赤色。そしてみんな謎の人物に頭を撫でられて体の調子が良くなった。ただ、僕みたいに翔栄が生まれたということは起きなかったんだって」


 みんな? この1年でみんな熱を出して寝込んでいたということ? とてつもない感染力じゃない。


「補足しとくと、竜之介兄さんが4年前に発熱して弐龍兄さんが2年前」
「なにか共通点があるの?」
「ヒントは年齢」


 年齢がヒント。今の竜之介お兄さんは18歳で4年前は14歳。弐龍君は今16歳で2年前が同じく14歳。となると


「龍牙君は今12歳だよね」
「うん」
「龍君と慶君が今年14で、同じく誕生日の時に発熱したとなったら君の年が」
「違うね」


 何か理由とかあるのでしょうか。でも何故全員が14歳のころに。


「地域によって変わるけど、昔は元服が12歳から15歳までにしていたんだって」
「げんぷく?」


 元服って昔の人がやっていた成人の儀式だよね。


「今でいう成人式だね。みんな20歳になったらお祝いするでしょ」
「そうだね。でもそれとどういう関係があるの?」
「少し説明が難しいんだけど、僕たちの体はまだ子どもだけど、精神は大人と同じなんだ」


 身体は子供で、精神は大人で……。どうしよう何も分からない。


「大丈夫?」
「だいじょうぶじゃない……」


 頭から煙が出そうなほど今こんがらがっています。


「短く纏めると、僕以外は14歳の時に高熱出して1週間寝込んで、性格とか今までの過ごし方が変わったっていうことまでは理解できた?」
「うん、そこはわかったの。でも、精神がのところでよく分からなくなっちゃって」


 精神は体の成長につれて後から大人になっていくものじゃないのかなと思うのですが。
 誕生日から1週間ですぐ変わるものなのかな。


「あれのこと言わねぇとわかんねぇじゃねぇか?」
「言ったら更に莉奈姉が困るじゃん。すでに今混乱してるのに」


 2人の仲が昔よりも悪くなっていて、これも高熱が原因なのかなって心配になります。龍君が料理をするようになったという良いことだけではないみたいですね。

 また新たに疑問が増えたみたいです。あれとは何でしょうか。


「お茶冷めちゃうから飲んで。継ぎ足しで温かいの入れるよ」
「ありがと、龍君」


 せっかく龍君がいれてくれたお茶が冷えちゃうので飲んで頭を整理しますか。
 あ、お茶美味しい。
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