【完】私の従兄弟達は独特です 

yasaca

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次男の話 5

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 一緒に片づけていたけど、ぬいぐるみに対して、あきらかに入りきらない量が入っていることに驚いて、どうやって入れているのか気になりましたが、弐龍じりゅう君は答えてくれませんでした。

 それから周りは徐々に落ち着いてきましたけど、今日はあんなことがあったということで急遽きゅうきょ閉園となってしまいました。お昼を食べそこなってしまったけど、どこかレストランにでも行って食べたほうがいいですね。

 それにしても、まさか弐龍君が鳥を腕に止まらせられる特技を持っていただなんて、思ってもいませんでした。どこかで見たことある鷹を腕に止まらせる人みたいでかっこよかったですね。あれをするには何か資格とかが必要だったりするのでしょうか。

 お腹が空いてきたのか、私の腕を掴みながら歩いて10分のところにあるレストランの方へ。ここも人が多いですが、並んでいる人は少ないのですぐ中に入って食事が出来そうですね。

 ようやく中に呼ばれ、席に座ってメニュー表を弐龍君と一緒に見ました。私はミートソーススパゲッティとシーザーサラダ。彼は悩みに悩んでハンバーグセットを頼み、今は来るまで先程までのことを話すことにしました。


「弐龍君、さっきのって資格が必要だったりするの?」
『うん。いろいろと大変だけどね』


 さっきの吐血で喉を傷めてしまったのか、これからは携帯でやりとりするようです。


「弐龍君は赤ちゃんや動物とも話せるんだね」
『これが僕にとっては普通のことだよ。皆が普段何気ない会話をしているようにね』
「もしかして小さい頃から?」
『気づいたときには話してたから、いつからってのは分からない』
「そうなのね」


 小さい頃のことは私も覚えていないから、もしかしたら初めて会った時から話せていたのかもしれません。世の中には動物と会話出来たり、超能力を持って生まれたって人もいるから、あれが彼の性格の一部なのかも。
 
 ただ、そういう人たちはちゃんと理解できる人が近くにいないと、差別の対象になってしまう。
 悲しいものですね。

 その分、弐龍君は恵まれていると思います。彼のお父さんやお母さん、竜之介お兄さん達やおじい様。執事の迫さん。


「お待たせしました。シーザーサラダとミートソーススパゲッティです」
「私です」


 ちょうど来ましたね。先に私だけいただきます。


『おいしい?』
「おいしいよ。一口食べる?」
『大丈夫』


 忙しいからか少しだけ時間がかかったようですが、それも仕方がないことですね。それからすぐ弐龍君が頼んだハンバーグセットも来ました。肉汁がたっぷりなようで、焼けた表面から零れ出ています。いい匂い。


「うぁ」


 ナイフとフォークを小さい子のように逆手で持っていますけど、それじゃ切りづらいですよ。
案の定苦戦しています。しばらくその様子を食べながら見ていたのですが、なかなか切れなかったようで、目に涙が浮かんでいます。


「切ろうか?」
「ん」


 お皿ごと私の方にゆっくりと渡し、代わりに切ってあげました。不器用というより苦手な感じを受けました。いつも誰かにしてもらっているのでしょうか?


「これくらいで大丈夫?」


 食べやすいように小さく切って渡すと、笑顔で満足そうに頷き、逆手でフォークを持つとそのまま刺して食べ始めました。あれは、彼の癖なのでしょうか。従姉妹とは言え、注意するべき?


「ぅまぅまぅま」


 幸せそうに食べている所に注意してしまうと、不機嫌になってしまいそうで怖いですね。あとでお兄さんに相談してみましょ。

 スパゲッティーを物欲しそうに見ていた弐龍君に少し上げ、お礼としてもらったハンバーグを一切れ食べ、少し残ってしまったサラダは、彼の胃の中に消えていきました。食べ盛りだったようで、ハンバーグセットと野菜を平らげてしまいました。

 お会計は弐龍君がしてくれました。いつもお兄さんたちにおごってもらっている気がします。今度こそ私が。
帰りは同じくバスでした。そこには小学生がちらほらいて、ちょうど帰る時間帯なのかなって思いながらバスに揺られ、最後は家まで弐龍君と並びながら歩き、送ってくれました。


「いままでにない体験ばかりだったね」
『驚きでいっぱいだった?』
「そうね。まさか弐龍君が赤ちゃんや鳥と会話できるとは思わなかった」
『今度はもっと驚くことがあるかもね』


 もっと驚くこと? 何だろうって思い、聞こうとしたのですが、携帯をぬいぐるみに戻すと、急に抱きしめて頭を撫でられました。


「ばっばー」


 少し乱暴に撫でられ、髪が崩れてしまいました。いっぱい撫でて満足した弐龍君は屈託な笑みを浮かべて帰路へとついていってしまいました。
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