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最終章 変化
冒険記録45. 世界の狭間で
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ヨシュアが異世界に行く前、世界の狭間に飛ばされたとき、彼が寝ていたベッドが変わらず置いてある。最初来た時は、シーツや枕などがベッドの上で散乱していたが、今はシーツと枕が整えられていた。
「う……」
「起きましたね」
目に入ってくる光にヨシュアはまぶしそうに細め、眉間に皺を寄せながらゆっくりと目を開けた。彼の横には健康的な白い肌を持ち、その肌を包み、なおかつ際立だせる白い服に金の花の装飾が付いた服。漆黒のように黒く、光が反射し、天使の輪っかが出来るほど艶がある髪を持つ創造主アテリアが見下ろしていた。
「……久しぶりだな、女神よ」
「名で呼んでくれないのですか、海賊ヨシュア」
「そんな気分ではない」
目を瞬かせ、光に慣れてきたヨシュアは仰向けから横向きに体を変え、女神に背を向ける。
「何故背を背けるのです?」
「……話す気も起きんからだ」
ヨシュアの視界に入ろうと、アテリアは彼の正面へと移動する。回り込んで入って来た女神を一瞥し、彼は目を閉じてしまった。
「人ではないものに貴方の体が変化しているから、話す気が起きないと?」
ヨシュアは何も答えない。彼が横たわっているベッドにアテリアが座り、徐々に彼に顔を近づかせていく。目を閉じていても気配を感じ取ったのだろう。また顔をそむけ、今度はうつ伏せになった。
「貴方がこのようになるのは珍しいですね」
いままでの彼なら会話を無視することはなかったが、愛しの女神の言葉に反応しなかった。それほど彼にとってメイドたちから急に怖がられたのは堪えたのだ。
「怖ろしいのですか?」
「当たり前だ。海賊行為をしていたとはいえ、普通に食っては寝てを繰り返していただけの人だぞ。悪名を轟かせて怖がらせるのが、私たち海賊の名誉だ。だが、あれはそうではなかった。私の何かに怯えていたのだ。名誉の事以外で怖がられるのは望んじゃいない」
うつぶせのままヨシュアはシーツを握りしめた。その部分だけしわが出来ている。
「そうでしょうね。貴方は恩には恩で返すをモットーにしている方ですから」
「何故知って……。嗚呼、そういえばあんた、神様は神様でも創造主、だったな。しかも、私の人生を覗いていた」
不安からくるヨシュアの言葉はどんどん卑屈になっていく。神が相手だとしても、言わずにはいられないのだろう。もしくは、人ではない相手だからこそ、言いやすいとヨシュアは無意識に分かっているのかもしれない。
「随分と機嫌が悪いようで」
「何を当然のことを」
どこまでも続く白い空間が微かに低い音を鳴らし始め、女神の後ろにある支柱も左右に揺れている。落下してくるものはないが、突如空中に召喚紋が浮かび上がる。その紋から羽を付け、槍を持った男たちが勢いよく飛び出し、男たちは一度上空へ舞い上がって急降下で降りてくると、アテリアを護るように横一列に並んだ。
「創造主様!」
「手を出してはいけませんよ」
何か遭ったら大変だとヨシュアに槍を向けているが、アテリアは下げるよう指示している。しぶしぶ下げて、アテリアの後ろへと下がっていった。急に現れた槍を持った男たちに驚いたヨシュアがアテリアが座っている所とは反対側にベッドから転げ落ち、枕を盾に両手で持ちながら警戒している。
「あんたの部下か何かか?」
槍を下げ、後ろに下がったことでヨシュアの警戒度も少しだけ下がる。気になったことをアテリア問いかけるため、ヨシュアはベッドに乗りあがり、2つ持っていたうちの1つを置いて盾にしている。
「狭間を警備する天使たちです」
「何故急に現れた」
「この空間にすこしだけ異常が現れたからですよ」
「異常?」
何のことか分かっていないヨシュアは首を傾げた。世界の狭間を揺らすほどの力を持っているが、まだ本人はそれに気づいてすらいない。俯いていても気付いていなかったのは、力の張本人だからだろう。火の神が自ら出す火を熱がらないことと同じ。揺れを出していたヨシュアも感じ取っていなかった。
「海賊ヨシュア。貴方にお願いがあります」
「なんだ」
「今地上は大変なことになっています。貴方の知識で助けていただけませんか?」
何もない空中から袋の中身を取り出すような動作をしたアテリア。その手には水晶玉があった。ヨシュアが世界の狭間に来た時、彼女から説明を受けていたものと同じ物である。そこには地上が映し出されていた。いまだに広がる炎、崩れたままのレンガ家。救助に当たる衛兵や冒険者たち。絶句のあまり、開いた口が塞がらないとはまさにこのことだろう。ヨシュアは今そうなっていた。
「う……」
「起きましたね」
目に入ってくる光にヨシュアはまぶしそうに細め、眉間に皺を寄せながらゆっくりと目を開けた。彼の横には健康的な白い肌を持ち、その肌を包み、なおかつ際立だせる白い服に金の花の装飾が付いた服。漆黒のように黒く、光が反射し、天使の輪っかが出来るほど艶がある髪を持つ創造主アテリアが見下ろしていた。
「……久しぶりだな、女神よ」
「名で呼んでくれないのですか、海賊ヨシュア」
「そんな気分ではない」
目を瞬かせ、光に慣れてきたヨシュアは仰向けから横向きに体を変え、女神に背を向ける。
「何故背を背けるのです?」
「……話す気も起きんからだ」
ヨシュアの視界に入ろうと、アテリアは彼の正面へと移動する。回り込んで入って来た女神を一瞥し、彼は目を閉じてしまった。
「人ではないものに貴方の体が変化しているから、話す気が起きないと?」
ヨシュアは何も答えない。彼が横たわっているベッドにアテリアが座り、徐々に彼に顔を近づかせていく。目を閉じていても気配を感じ取ったのだろう。また顔をそむけ、今度はうつ伏せになった。
「貴方がこのようになるのは珍しいですね」
いままでの彼なら会話を無視することはなかったが、愛しの女神の言葉に反応しなかった。それほど彼にとってメイドたちから急に怖がられたのは堪えたのだ。
「怖ろしいのですか?」
「当たり前だ。海賊行為をしていたとはいえ、普通に食っては寝てを繰り返していただけの人だぞ。悪名を轟かせて怖がらせるのが、私たち海賊の名誉だ。だが、あれはそうではなかった。私の何かに怯えていたのだ。名誉の事以外で怖がられるのは望んじゃいない」
うつぶせのままヨシュアはシーツを握りしめた。その部分だけしわが出来ている。
「そうでしょうね。貴方は恩には恩で返すをモットーにしている方ですから」
「何故知って……。嗚呼、そういえばあんた、神様は神様でも創造主、だったな。しかも、私の人生を覗いていた」
不安からくるヨシュアの言葉はどんどん卑屈になっていく。神が相手だとしても、言わずにはいられないのだろう。もしくは、人ではない相手だからこそ、言いやすいとヨシュアは無意識に分かっているのかもしれない。
「随分と機嫌が悪いようで」
「何を当然のことを」
どこまでも続く白い空間が微かに低い音を鳴らし始め、女神の後ろにある支柱も左右に揺れている。落下してくるものはないが、突如空中に召喚紋が浮かび上がる。その紋から羽を付け、槍を持った男たちが勢いよく飛び出し、男たちは一度上空へ舞い上がって急降下で降りてくると、アテリアを護るように横一列に並んだ。
「創造主様!」
「手を出してはいけませんよ」
何か遭ったら大変だとヨシュアに槍を向けているが、アテリアは下げるよう指示している。しぶしぶ下げて、アテリアの後ろへと下がっていった。急に現れた槍を持った男たちに驚いたヨシュアがアテリアが座っている所とは反対側にベッドから転げ落ち、枕を盾に両手で持ちながら警戒している。
「あんたの部下か何かか?」
槍を下げ、後ろに下がったことでヨシュアの警戒度も少しだけ下がる。気になったことをアテリア問いかけるため、ヨシュアはベッドに乗りあがり、2つ持っていたうちの1つを置いて盾にしている。
「狭間を警備する天使たちです」
「何故急に現れた」
「この空間にすこしだけ異常が現れたからですよ」
「異常?」
何のことか分かっていないヨシュアは首を傾げた。世界の狭間を揺らすほどの力を持っているが、まだ本人はそれに気づいてすらいない。俯いていても気付いていなかったのは、力の張本人だからだろう。火の神が自ら出す火を熱がらないことと同じ。揺れを出していたヨシュアも感じ取っていなかった。
「海賊ヨシュア。貴方にお願いがあります」
「なんだ」
「今地上は大変なことになっています。貴方の知識で助けていただけませんか?」
何もない空中から袋の中身を取り出すような動作をしたアテリア。その手には水晶玉があった。ヨシュアが世界の狭間に来た時、彼女から説明を受けていたものと同じ物である。そこには地上が映し出されていた。いまだに広がる炎、崩れたままのレンガ家。救助に当たる衛兵や冒険者たち。絶句のあまり、開いた口が塞がらないとはまさにこのことだろう。ヨシュアは今そうなっていた。
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