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第2章 夢
冒険記録21ー2.懐かしい相手……?
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「なんだい! あいつは負けたのかい?」
「その声は!」
あと少しで目の前の男に引導を渡せるとなった時、酒場からしわがれた女の声が聞こえてくる。その声にヨシュアは聞き覚えがあった。
「さっきまでいなかったのに、何故いる」
「おかしなことを言うね。あたしはずっといたさ。見てたよ、あんたの動き。なかなかじゃないか」
酒場で襲われたとき、確かにそこには居なかった。男だらけの場所で、女性が目立たないのはおかしい。二階にいたのかとも考えられるが、酒場の中を思い出しても階段は見つからなかった。
「あんた、一体何者だ? 声はあの人と一緒のようだが」
ぐらついている酒場の扉を蹴り飛ばして出てきた女性は、ヨシュアの脳裏に浮かんでいる赤い髪を持つその人自身だった。ただ、先程の男達と同様に何かが違っていた。上手く言い表せない雰囲気を醸し出している。それに、顔が黒く塗りつぶされていた。目や鼻の凹凸で多少は影が出来るものだが、それを抜いてもよく見えなかった。
「あたしの名を知らないのかい?」
「知ってるが、あんたは違う」
「何が違うってんだい、ヨシュア」
酒瓶を持ちながらゆったりと近づいてくる。それに対し、ヨシュアの体が何かに捕らえられているかのように動かなくなっていく。
「よぉく見なよ。同じだろ?」
「違う」
顔を近づけてくる何かの赤い髪や話し方はヨシュアがよく知っている人物だ。それでも違和感が拭えなかった。顔が見えないからか。それとも雰囲気が違うからなのか。それが何なのか彼には分かっていなかった。
「違うだって? ちゃんと見な!」
「うっ!」
ヨシュアの太腿にピストルを突き付け問答無用に撃った。昔から気性が荒い女性ではあったが、仲間に対して発砲するなんてことは一度もなかった。足にくる強烈な痛みと熱に顔を歪めながらも、ヨシュアは真っ直ぐ女性を見る。
「これで、はっきりした。あんたは俺が知っている船長ではない!」
何年も同じ船にいたからこそ知っている。仲間に暴力を振るう船長ではないことを。
「あたしはあんたの船長だよ!」
「違う!」
動けない体でヨシュアは必死に抵抗する。
「そんなにあたしのことを違うってんなら死にな」
「ごほ……!」
懐に隠し持っていたピストルをヨシュアの心臓の位置がある所に突きつけ、容赦なく撃った。その衝撃で動けるようになったのか、這い上がってくる血を吐き出し、ゆっくりと後ろに倒れていく。
朦朧とした意識の中で、どこからか愛馬の声と騒いでいる女性の声が聞きながら、ヨシュアは意識を失った。
「その声は!」
あと少しで目の前の男に引導を渡せるとなった時、酒場からしわがれた女の声が聞こえてくる。その声にヨシュアは聞き覚えがあった。
「さっきまでいなかったのに、何故いる」
「おかしなことを言うね。あたしはずっといたさ。見てたよ、あんたの動き。なかなかじゃないか」
酒場で襲われたとき、確かにそこには居なかった。男だらけの場所で、女性が目立たないのはおかしい。二階にいたのかとも考えられるが、酒場の中を思い出しても階段は見つからなかった。
「あんた、一体何者だ? 声はあの人と一緒のようだが」
ぐらついている酒場の扉を蹴り飛ばして出てきた女性は、ヨシュアの脳裏に浮かんでいる赤い髪を持つその人自身だった。ただ、先程の男達と同様に何かが違っていた。上手く言い表せない雰囲気を醸し出している。それに、顔が黒く塗りつぶされていた。目や鼻の凹凸で多少は影が出来るものだが、それを抜いてもよく見えなかった。
「あたしの名を知らないのかい?」
「知ってるが、あんたは違う」
「何が違うってんだい、ヨシュア」
酒瓶を持ちながらゆったりと近づいてくる。それに対し、ヨシュアの体が何かに捕らえられているかのように動かなくなっていく。
「よぉく見なよ。同じだろ?」
「違う」
顔を近づけてくる何かの赤い髪や話し方はヨシュアがよく知っている人物だ。それでも違和感が拭えなかった。顔が見えないからか。それとも雰囲気が違うからなのか。それが何なのか彼には分かっていなかった。
「違うだって? ちゃんと見な!」
「うっ!」
ヨシュアの太腿にピストルを突き付け問答無用に撃った。昔から気性が荒い女性ではあったが、仲間に対して発砲するなんてことは一度もなかった。足にくる強烈な痛みと熱に顔を歪めながらも、ヨシュアは真っ直ぐ女性を見る。
「これで、はっきりした。あんたは俺が知っている船長ではない!」
何年も同じ船にいたからこそ知っている。仲間に暴力を振るう船長ではないことを。
「あたしはあんたの船長だよ!」
「違う!」
動けない体でヨシュアは必死に抵抗する。
「そんなにあたしのことを違うってんなら死にな」
「ごほ……!」
懐に隠し持っていたピストルをヨシュアの心臓の位置がある所に突きつけ、容赦なく撃った。その衝撃で動けるようになったのか、這い上がってくる血を吐き出し、ゆっくりと後ろに倒れていく。
朦朧とした意識の中で、どこからか愛馬の声と騒いでいる女性の声が聞きながら、ヨシュアは意識を失った。
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