29 / 80
2章
28話 ゴブリン戦?
しおりを挟む沢井が夏合宿の話を持ち出して3週間が経ち、その間に前期の講義のテスト期間もようやく終わりを迎えいよいよ夏休みが始まった
彰人と須田は訓練のためにサークル室ではなく朝から須田の家で2人で過ごしていた
「明日からの準備もうしたか?」
1時間の訓練が終わりいつも通り須田の膝の間でテレビを見ていると後ろから明日からのことを聞かれた
「だいたい、かな?」
「なに、まだ終わってないのあんの?」
「んー……ちょっと」
言い淀むと須田は彰人の頭上から覗き込むと聞いてきた
「海行ったことなくて、水着持ってないんですよね……」
そう言って苦笑いを見せると、そんなことかと須田は驚いた
「せっかくだし持っていくだけ持っていけば?入る入らないは行ってみてから決めればいいしさ」
須田のその言葉に悩みつつ頷くと、2人は須田の家を後にしてショッピングモールに向かった
「そっかぁ、彰人海初めてなんか」
感慨深げに横を歩く須田が呟くため、困ったように笑ってみせた
「泳ぐの苦手?」
「得意じゃないかなぁ」
「そっかそっか、まぁ海入るって言ったって足着くくらいのとこで遊ぶ程度だから怖かったら俺とビーチバレーでもしてような」
気遣うようにそう言って頭を撫でられながら歩くと、左腕をさすり喉の奥に支えるような感覚を心の奥底に押し込め明日からの夏合宿への期待で押し込めた
「これは?」
「派手すぎじゃない?!」
「目立つ方が見つけやすいなって」
「小さい子どもじゃないんだから!」
2人で彰人の水着を選んでいると、よく知った声が聞こえてきた
「相変わらず一緒にいるっすね」
「ん?お、沢井に上條じゃん。そっちも買い物?」
声に振り向くと、サークルの先輩の2人が連れ立ってその場にいた
「沢井さんが今更なって水着ないの気付いたって言い始めて」
暑い中引っ張り出され不服そうに上條がそういうと、横にいた沢井はけらけらと笑った
「いやぁ、去年遊びすぎて破けてたの忘れてて」
「事前に見るんすよ、絶対使うんすから」
「ごめんって」
パートナーとはいえDomの上條を振り回して明るく笑っている沢井の姿は、彰人にはまだまだ眩しく見えた
「山本も水着買ってるんだから俺と同じじゃん?」
「こいつはお前と違って、海行ったことないのー。一緒にすんなぁ?」
同じものを買っている彰人を仲間だと言わんばかりに沢井がそういうと、須田は一緒にするなと言い返していた
「ちぇ、まあ明日から楽しみましょう!」
拗ねた顔を一瞬作りつつ直ぐにそう明るく言って挨拶を済ませると、上條と共に会計へ歩いて行った
「あいつ、マジで嵐みたいなやつだな」
須田は2人の後ろ姿を見ながら呆れ顔でそう口にして、彰人はその言葉に小さく笑った
0
お気に入りに追加
36
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
【完結】徒花の王妃
つくも茄子
ファンタジー
その日、王妃は王都を去った。
何故か勝手についてきた宰相と共に。今は亡き、王国の最後の王女。そして今また滅びゆく国の最後の王妃となった彼女の胸の内は誰にも分からない。亡命した先で名前と身分を変えたテレジア王女。テレサとなった彼女を知る数少ない宰相。国のために生きた王妃の物語が今始まる。
「婚約者の義妹と恋に落ちたので婚約破棄した処、「妃教育の修了」を条件に結婚が許されたが結果が芳しくない。何故だ?同じ高位貴族だろう?」の王妃の物語。単体で読めます。
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
スナイパー令嬢戦記〜お母様からもらった"ボルトアクションライフル"が普通のマスケットの倍以上の射程があるんですけど〜
シャチ
ファンタジー
タリム復興期を読んでいただくと、なんでミリアのお母さんがぶっ飛んでいるのかがわかります。
アルミナ王国とディクトシス帝国の間では、たびたび戦争が起こる。
前回の戦争ではオリーブオイルの栽培地を欲した帝国がアルミナ王国へと戦争を仕掛けた。
一時はアルミナ王国の一部地域を掌握した帝国であったが、王国側のなりふり構わぬ反撃により戦線は膠着し、一部国境線未確定地域を残して停戦した。
そして20年あまりの時が過ぎた今、皇帝マーダ・マトモアの崩御による帝国の皇位継承権争いから、手柄を欲した時の第二皇子イビリ・ターオス・ディクトシスは軍勢を率いてアルミナ王国への宣戦布告を行った。
砂糖戦争と後に呼ばれるこの戦争において、両国に恐怖を植え付けた一人の令嬢がいる。
彼女の名はミリア・タリム
子爵令嬢である彼女に戦後ついた異名は「狙撃令嬢」
542人の帝国将兵を死傷させた狙撃の天才
そして戦中は、帝国からは死神と恐れられた存在。
このお話は、ミリア・タリムとそのお付きのメイド、ルーナの戦いの記録である。
他サイトに掲載したものと同じ内容となります。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
【完結】仰る通り、貴方の子ではありません
ユユ
恋愛
辛い悪阻と難産を経て産まれたのは
私に似た待望の男児だった。
なのに認められず、
不貞の濡れ衣を着せられ、
追い出されてしまった。
実家からも勘当され
息子と2人で生きていくことにした。
* 作り話です
* 暇つぶしにどうぞ
* 4万文字未満
* 完結保証付き
* 少し大人表現あり
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活
天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
人生を共にしてほしい、そう言った最愛の人は不倫をしました。
松茸
恋愛
どうか僕と人生を共にしてほしい。
そう言われてのぼせ上った私は、侯爵令息の彼との結婚に踏み切る。
しかし結婚して一年、彼は私を愛さず、別の女性と不倫をした。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる