【R18】彼等の愛は狂気を纏っている

８章

97.偽りの……

　翌日、茨田杉子と脳科学研究所に所属する柿原かきはら水都みなとの2人と思われる表皮が、脳科学研究所にある柿原の研究室で見つかった事が上層部に報告された。

　研究室内は水に濡れ、何者かが暴れまわり破壊された後と、水に滲む1枚の紙が残されていた。

【研究は成功した。　復讐の時が始まる。　私達は……お前達の直ぐ側にいる……】

　と……。

　残されていた状況から、柿原かきはら水都みなとが茨田研究所の研究を引き継ぎ、囚人を使って特殊な水に人格を移すと言う実験を繰り返していたと判断され、刑務所内で起こった行方不明事件は終わりを迎えた。

　そして、

　総合安全保障機構には下記の通りの命令が下される事となる。

【茨田研究所の生き残りによる社会的報復に備えよ】

　と……。

　茨田研究所閉鎖に関わる者達に対し、警備の強化が行われた。　そして、河川への接近禁止、微弱電流を発生させる浄水装置が各家に配布なされた。

　だが、今回の『蛟の復讐』に関して、総合安全保障機構が警備を失敗する可能性は0である事を、新見親良は確信していた……。