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8章
79.爽快とは言えない目覚め
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「起きて下さい、晃!! 一体いつまで寝ているんですか!! 一応、上司の屋敷なんですよ!! 少しは気遣いを見せて下さい!!」
そんな声と共に新見親良は、晃の布団を奪い引きはがした。
「ぁ……」
ボンヤリとした視線を晃は親良へと向けると同時に、親良はシーツに手をかけ力に任せひっぺがえし、晃をベッドから追い落とすためとどめの蹴りを入れる。
「酷いなぁ~、俺が何をしたって言うんだ」
「衝動的なものですよ」
大きな溜息を親良はつき、言葉を続けた。
「朝から元気そうですね。 頭でも冷やしてきてはどうですか?」
冷ややかに向けられる視線。
あ~~。
夢が夢だ……リアルでも股間が反応していた訳で……。
「へいへい、わかりましたよ」
落ちた床から立ち上がり、歩きながらパジャマの上着を脱げば、また親良が大きな声をだす。
「背中!!」
「ぁ?」
叫ぶように言われたところで、自分の背中を見る機会など余りない訳で見てもまぁ変化に気づく訳ないだろうと親良に聞く。
「どうかしたか?」
「刺青を入れていたんですか?」
「俺の前職から言ってあり得ないのは分かるだろう」
呆れたように言いながら、脱衣所へと向かい鏡に背を写し見れば、黒い翼をデザイン化した刺青っぽいものが背中に描かれていた。
「なら、その背中はどういう事ですか?」
「深夜に落書きしにきたのか?」
「しませんよ」
あの夢は……。
ただの夢ではなかったって事か……。
顎をさすりながら考え込み、煙草に手を伸ばそうとすれば……。
「頭を冷やせと言っているでしょう」
「冷静になろうかと、男同士気にする事でもないだろう」
「むしろ、発情した女性なら両手を広げて受け入れますよ!!」
「安心しろ、そんな趣味はない」
そんな戯れな意味の無い会話をしながら、記憶に深く刻まれた夢を思い出す。
もう少し、寝かせておいて欲しかった……!!
等と言う親良への不満を、横に追いやり考え込む。 血や肉を媒介に力を得るように……あの行為で、また、何かを奪ったのだろうか? どうすれば……。
「親良……」
「なんですか?」
ソファに腰を下ろし、煙草に手を伸ばしている親良が返事をする。
「悪いが、雫の背の黒い痣。 アレどうなっているか確認してきてくれないか?」
「流石に年ごろの女の子の服を剝くのは、気が引けるのですが?」
うわぁ~と、ドン引き表情を晃に向けながら親良が言う。
「誰が、そんな事を言った!! ここの使用人にでも頼めばいいだろう」
「ソレは出来ません。 一応、機密事項です」
「なら、カラス?」
「それならアリですが、そこまで細かくこちらの言う事を理解するか……」
『姫の翼は無事、晃殿の背に移りましたよ』
気配を消し側にいたらしいチビガラスが告げた。
無事と言う言葉に、引っかかりを覚えるが親良が気になったのは別の部分らしい。
「雫ちゃんの呪いが移動する等と言う話は聞いた事がないのですが?」
『翼は呪いではございませぬ』
「君が翼と言うくらいなら、ソレは飛べるわけですか?」
『時期がくれば、飛べるようになるかもしれませぬ』
「あいまいですねぇ~。 なら、どうしてその翼が……」
嫌な予感に晃はチビガラスを掴み浴室へと連れ込む。
『水浴びですか?』
「オマエもするか?」
『悪くありませんな』
等と言うから浴室につけられた手桶の中にチビガラスを投げいれシャワーを手桶に向かって出す。
アーー
チビカラスは手桶の中で、羽根を広げて水浴びをしはじめた。
服を脱ぎ浴室に入りシャワーを奪い、晃は髪と身体を洗いだす。
『何か、聞きたい事があったのではありませぬか?』
「あり過ぎて、何を聞いて良いか分からない……いや、そうだな……今、雫の不死性と言うものは、今、どうなっているんだろうか?」
『姫の不死性は強化されております』
「そ、うなんだ?」
『中身が留守では、身を守る事が難しゅうございますから』
「なら……俺は?」
『多少のケガであれば、即回復でしょうか?』
良く分からないらしいが、あえてケガを負おう等と言う気に等なる訳が無い。
「なら……茨田杉子は、何者だ?」
『泥棒猫?』
「随分と古い言い回しだが、俺は猫に銜えられたネズミじゃないぞ」
なら親良に聞くかと、晃は泡立った身体を湯で流した。
タオル生地のダウンを羽織り外に出れば、部屋では藤原助教授と親良が待っており、朝食用のサンドイッチと飲み物をテーブルに並べていたメイドが晃の恰好に慌てて逃げ出した。
「アレは、アレで失礼だと思わないか? 全裸な訳でもあるまい。 それで先生はこんな時間からどのような御用ですか?」
コーヒーをカップに入れ、視線でどうするかと晃に聞いてくる。
「お願いします」
「では、準備をしておきますから、とりあえず服を着ましょうか?」
流石にビシッとスーツで決められた客人に言われれば仕方がないと、晃は再び浴室へと戻って行った。
そんな声と共に新見親良は、晃の布団を奪い引きはがした。
「ぁ……」
ボンヤリとした視線を晃は親良へと向けると同時に、親良はシーツに手をかけ力に任せひっぺがえし、晃をベッドから追い落とすためとどめの蹴りを入れる。
「酷いなぁ~、俺が何をしたって言うんだ」
「衝動的なものですよ」
大きな溜息を親良はつき、言葉を続けた。
「朝から元気そうですね。 頭でも冷やしてきてはどうですか?」
冷ややかに向けられる視線。
あ~~。
夢が夢だ……リアルでも股間が反応していた訳で……。
「へいへい、わかりましたよ」
落ちた床から立ち上がり、歩きながらパジャマの上着を脱げば、また親良が大きな声をだす。
「背中!!」
「ぁ?」
叫ぶように言われたところで、自分の背中を見る機会など余りない訳で見てもまぁ変化に気づく訳ないだろうと親良に聞く。
「どうかしたか?」
「刺青を入れていたんですか?」
「俺の前職から言ってあり得ないのは分かるだろう」
呆れたように言いながら、脱衣所へと向かい鏡に背を写し見れば、黒い翼をデザイン化した刺青っぽいものが背中に描かれていた。
「なら、その背中はどういう事ですか?」
「深夜に落書きしにきたのか?」
「しませんよ」
あの夢は……。
ただの夢ではなかったって事か……。
顎をさすりながら考え込み、煙草に手を伸ばそうとすれば……。
「頭を冷やせと言っているでしょう」
「冷静になろうかと、男同士気にする事でもないだろう」
「むしろ、発情した女性なら両手を広げて受け入れますよ!!」
「安心しろ、そんな趣味はない」
そんな戯れな意味の無い会話をしながら、記憶に深く刻まれた夢を思い出す。
もう少し、寝かせておいて欲しかった……!!
等と言う親良への不満を、横に追いやり考え込む。 血や肉を媒介に力を得るように……あの行為で、また、何かを奪ったのだろうか? どうすれば……。
「親良……」
「なんですか?」
ソファに腰を下ろし、煙草に手を伸ばしている親良が返事をする。
「悪いが、雫の背の黒い痣。 アレどうなっているか確認してきてくれないか?」
「流石に年ごろの女の子の服を剝くのは、気が引けるのですが?」
うわぁ~と、ドン引き表情を晃に向けながら親良が言う。
「誰が、そんな事を言った!! ここの使用人にでも頼めばいいだろう」
「ソレは出来ません。 一応、機密事項です」
「なら、カラス?」
「それならアリですが、そこまで細かくこちらの言う事を理解するか……」
『姫の翼は無事、晃殿の背に移りましたよ』
気配を消し側にいたらしいチビガラスが告げた。
無事と言う言葉に、引っかかりを覚えるが親良が気になったのは別の部分らしい。
「雫ちゃんの呪いが移動する等と言う話は聞いた事がないのですが?」
『翼は呪いではございませぬ』
「君が翼と言うくらいなら、ソレは飛べるわけですか?」
『時期がくれば、飛べるようになるかもしれませぬ』
「あいまいですねぇ~。 なら、どうしてその翼が……」
嫌な予感に晃はチビガラスを掴み浴室へと連れ込む。
『水浴びですか?』
「オマエもするか?」
『悪くありませんな』
等と言うから浴室につけられた手桶の中にチビガラスを投げいれシャワーを手桶に向かって出す。
アーー
チビカラスは手桶の中で、羽根を広げて水浴びをしはじめた。
服を脱ぎ浴室に入りシャワーを奪い、晃は髪と身体を洗いだす。
『何か、聞きたい事があったのではありませぬか?』
「あり過ぎて、何を聞いて良いか分からない……いや、そうだな……今、雫の不死性と言うものは、今、どうなっているんだろうか?」
『姫の不死性は強化されております』
「そ、うなんだ?」
『中身が留守では、身を守る事が難しゅうございますから』
「なら……俺は?」
『多少のケガであれば、即回復でしょうか?』
良く分からないらしいが、あえてケガを負おう等と言う気に等なる訳が無い。
「なら……茨田杉子は、何者だ?」
『泥棒猫?』
「随分と古い言い回しだが、俺は猫に銜えられたネズミじゃないぞ」
なら親良に聞くかと、晃は泡立った身体を湯で流した。
タオル生地のダウンを羽織り外に出れば、部屋では藤原助教授と親良が待っており、朝食用のサンドイッチと飲み物をテーブルに並べていたメイドが晃の恰好に慌てて逃げ出した。
「アレは、アレで失礼だと思わないか? 全裸な訳でもあるまい。 それで先生はこんな時間からどのような御用ですか?」
コーヒーをカップに入れ、視線でどうするかと晃に聞いてくる。
「お願いします」
「では、準備をしておきますから、とりあえず服を着ましょうか?」
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