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3章
31.お仕置き 04
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本庄エリィには、この部屋がどのような構造で、どのような物が置かれているか熟知していた。 ここに訪れる回数だけで言えば、明らかに本庄の方が多いのだから。
「そんなに待ち遠しいのですか?」
殆ど身動きの取れない状態の本庄には、否定はできない。
関係者以外の者が見れば、やり過ぎと言う者もいるだろうが、ロープでぐるぐる巻き程度では関節を外して抜け出してしまうのだから仕方がない。
颯太は本庄の腕に何の予告も無く注射針を刺し液体を流し込む。
本庄は、かくかくと細かく痙攣していたが颯太は全く気に欠けなかった。 ソレはそういう類の注射ではなく、本庄が興奮状態により痙攣している事を知っていたから。
「本来であれば、良く話し合う必要があるのでしょうけどね……今開放したら、罵詈雑言の荒しになるのは目に見えていますから。 少し素直になってから、話をしましょう」
言葉にならない呻き声を、颯太は勝手に返事として捉えていた。
「良く、アナタの事を理解しているでしょう。 なのに、教官はあいつ等を家族として選んだ。 別に羨ましい訳ではありませんよ? 何しろ、教官はイジメから守ってあげると、餌を与えるふりをして支配していたんですから」
ふ~ふ~言っている声は、否定だろう事は想像がついた。 何しろ、本気で家族ごっこを楽しんでいる人達だったから。
颯太にとって家族と言うものは、面白い存在ではなかった。 いや、面白くはあったかもしれないが、ソレは飽くまで人形遊びの範疇であり、一般的な親子関係、兄弟関係等縁遠い物である。
だからこそ、本庄が家族ごっこをする様子を馬鹿げていると見ながらも、本庄の本質自体は自分と近しいものだと思っていたのだ。
支配的で、不可侵的で、純然たる関係。
ソレは本庄によって都合の良い関係性。
絆や愛情を語り縛り付ける行為。
颯太は注射器を机に置き、代わりに机の棚から手術用のメスを取り出し、手で弄びながら、椅子を引き寄せ、背もたれに腕を乗せるように逆向きに椅子に座り時計を見つめていた。
静かに気配を潜め。
空気の揺らめきすら起こそうとせず。
ただ、時計の音だけが規則正しくなり続ける。
颯太は時間を過ぎるのを待っていた。
薬の効果が効き始めるのを。
黙って、メスを眺め手の中で器用に弄りながら待っていた。
ふぅふぅと荒く息をする本庄は、時折叫ぶような声をだしていたが颯太は相手にする気等ない。
主導権は颯太にあるのだから。
颯太は、ご機嫌な様子で、良く鍛えられながらも豊かで柔らかな乳房を持つ女性らしい身体を眺め、時計の音に耳を傾ける。
「そんなに待ち遠しいのですか?」
殆ど身動きの取れない状態の本庄には、否定はできない。
関係者以外の者が見れば、やり過ぎと言う者もいるだろうが、ロープでぐるぐる巻き程度では関節を外して抜け出してしまうのだから仕方がない。
颯太は本庄の腕に何の予告も無く注射針を刺し液体を流し込む。
本庄は、かくかくと細かく痙攣していたが颯太は全く気に欠けなかった。 ソレはそういう類の注射ではなく、本庄が興奮状態により痙攣している事を知っていたから。
「本来であれば、良く話し合う必要があるのでしょうけどね……今開放したら、罵詈雑言の荒しになるのは目に見えていますから。 少し素直になってから、話をしましょう」
言葉にならない呻き声を、颯太は勝手に返事として捉えていた。
「良く、アナタの事を理解しているでしょう。 なのに、教官はあいつ等を家族として選んだ。 別に羨ましい訳ではありませんよ? 何しろ、教官はイジメから守ってあげると、餌を与えるふりをして支配していたんですから」
ふ~ふ~言っている声は、否定だろう事は想像がついた。 何しろ、本気で家族ごっこを楽しんでいる人達だったから。
颯太にとって家族と言うものは、面白い存在ではなかった。 いや、面白くはあったかもしれないが、ソレは飽くまで人形遊びの範疇であり、一般的な親子関係、兄弟関係等縁遠い物である。
だからこそ、本庄が家族ごっこをする様子を馬鹿げていると見ながらも、本庄の本質自体は自分と近しいものだと思っていたのだ。
支配的で、不可侵的で、純然たる関係。
ソレは本庄によって都合の良い関係性。
絆や愛情を語り縛り付ける行為。
颯太は注射器を机に置き、代わりに机の棚から手術用のメスを取り出し、手で弄びながら、椅子を引き寄せ、背もたれに腕を乗せるように逆向きに椅子に座り時計を見つめていた。
静かに気配を潜め。
空気の揺らめきすら起こそうとせず。
ただ、時計の音だけが規則正しくなり続ける。
颯太は時間を過ぎるのを待っていた。
薬の効果が効き始めるのを。
黙って、メスを眺め手の中で器用に弄りながら待っていた。
ふぅふぅと荒く息をする本庄は、時折叫ぶような声をだしていたが颯太は相手にする気等ない。
主導権は颯太にあるのだから。
颯太は、ご機嫌な様子で、良く鍛えられながらも豊かで柔らかな乳房を持つ女性らしい身体を眺め、時計の音に耳を傾ける。
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