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2章
08.不死のための死 01
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柑子市は、一つの目的を持って作られた隠れ都市であり、その研究は世界的にも最先端技術を保有していると言える。
その目的は、不老不死。
その歴史は、1000年前まで遡るとされている。
かつて伝承を元に全国各地を巡る事で求めた不老不死だが、現代では様々な方法を持って追い求められている。
再生医療技術。
クローン医療。
アンチエイジング効果の促進研究。
肉体の代替えとして稼働可能なロボット。
精神・魂の永続性。
歴史・民俗学における不死性。
身体近傍空間の強化におけるアバターと肉体の一体化。
仮想空間の開発。
研究の対象は日々増加し、細分化しながら行われていた。
少年2人の死を告げられた本庄エリィが叫んでいた。
「どうして!! どうしてよ!! ここに運ばれた時、彼等は生きていたでしょう!!」
総合病院と呼ばれる巨大な建造物の一角。 ガラス張りの治療室を眺める事が出来る廊下で本庄エリィは絶叫する。 総合病院と言うが表向きはそのような体裁を保っていると言うだけ、研究所員の大半が医師を兼任している。
本庄エリィが、事件現場に訪れた時。
雫を除けば、死者4名、貯水槽側にいた眼球を失った少女が1名、傷を負いながら建物内に逃げ延びた少年2名生存していた。
そして、雫を除く生存者3名を受け入れたのが、再生医療薬開発部であった。
対応したのは、小柄な50代くらいの白衣を着た男性。
「確かに心臓は動き生きていました。 ですが、彼等は臓器に大きな損傷を受け、大量に血を失い、腐敗も始まり、ココに連れてこられた時点で生命が維持できないほどになっていました」
今回のように治療方法が選択できない状態で患者が運ばれてきた場合、院内で治療計画案が各部署から提出され、13人の幹部によって作られた委員会の即時投票によって委託先が決定される。
再生医療薬開発部に治療が任せられたと知った時。 本庄は心の底から安堵したのだ。 近年再生医療薬開発部は、近年新たな研究論文を提出していた。
薬による再生力の強化。
それは、呪いの子の血が持つ再生力を人工的に増殖させると言うもの。
「ここなら助けるだけの力があったんじゃないの!!」
「どのような薬にも副作用と言うものが伴います。 彼等は薬の持つ効果に耐えるだけの力が無かった。 だが、今回の結果は私達に必要な問題を提示してくれた。 役立たずの子供がようやく役に立てた、最後に素晴らしい価値を生み出したのだ。 喜ぶべき事ではないかね?」
煽るように白衣の男。
声にならない叫びをあげる本庄。
本庄が泣き叫ぶほどに男の仲間達はニヤニヤとした笑みを浮かべ本庄を眺める。
そして……。
ガラス張りの治療部屋のカーテンが勢いよく開かれた。
そこには2体のミイラがあった。
肉が削ぎおち、枯れはて、枝のようになった身体。
なのに、開かれた腹から覗く内臓は、美しく、そして力強くその命を示し脈打っている。
「ぁあああ、……まだ、まだ、生きている……生きているじゃない!! なんとかしなさいよ!!」
「内臓だけはね。 だが、アレは死だ」
ボソリと白衣の男は本庄の耳元で呟いた。
「どうして!! どうしてよ!! こんなことになるなら、別の部署にお願いしたのに……出来ないなら出来ないと、なぜ、教えてくれなかったのよ!!」
激しい怒りが向けられるが、本庄には少年達が受ける治療を選択する権利はない。
その目的は、不老不死。
その歴史は、1000年前まで遡るとされている。
かつて伝承を元に全国各地を巡る事で求めた不老不死だが、現代では様々な方法を持って追い求められている。
再生医療技術。
クローン医療。
アンチエイジング効果の促進研究。
肉体の代替えとして稼働可能なロボット。
精神・魂の永続性。
歴史・民俗学における不死性。
身体近傍空間の強化におけるアバターと肉体の一体化。
仮想空間の開発。
研究の対象は日々増加し、細分化しながら行われていた。
少年2人の死を告げられた本庄エリィが叫んでいた。
「どうして!! どうしてよ!! ここに運ばれた時、彼等は生きていたでしょう!!」
総合病院と呼ばれる巨大な建造物の一角。 ガラス張りの治療室を眺める事が出来る廊下で本庄エリィは絶叫する。 総合病院と言うが表向きはそのような体裁を保っていると言うだけ、研究所員の大半が医師を兼任している。
本庄エリィが、事件現場に訪れた時。
雫を除けば、死者4名、貯水槽側にいた眼球を失った少女が1名、傷を負いながら建物内に逃げ延びた少年2名生存していた。
そして、雫を除く生存者3名を受け入れたのが、再生医療薬開発部であった。
対応したのは、小柄な50代くらいの白衣を着た男性。
「確かに心臓は動き生きていました。 ですが、彼等は臓器に大きな損傷を受け、大量に血を失い、腐敗も始まり、ココに連れてこられた時点で生命が維持できないほどになっていました」
今回のように治療方法が選択できない状態で患者が運ばれてきた場合、院内で治療計画案が各部署から提出され、13人の幹部によって作られた委員会の即時投票によって委託先が決定される。
再生医療薬開発部に治療が任せられたと知った時。 本庄は心の底から安堵したのだ。 近年再生医療薬開発部は、近年新たな研究論文を提出していた。
薬による再生力の強化。
それは、呪いの子の血が持つ再生力を人工的に増殖させると言うもの。
「ここなら助けるだけの力があったんじゃないの!!」
「どのような薬にも副作用と言うものが伴います。 彼等は薬の持つ効果に耐えるだけの力が無かった。 だが、今回の結果は私達に必要な問題を提示してくれた。 役立たずの子供がようやく役に立てた、最後に素晴らしい価値を生み出したのだ。 喜ぶべき事ではないかね?」
煽るように白衣の男。
声にならない叫びをあげる本庄。
本庄が泣き叫ぶほどに男の仲間達はニヤニヤとした笑みを浮かべ本庄を眺める。
そして……。
ガラス張りの治療部屋のカーテンが勢いよく開かれた。
そこには2体のミイラがあった。
肉が削ぎおち、枯れはて、枝のようになった身体。
なのに、開かれた腹から覗く内臓は、美しく、そして力強くその命を示し脈打っている。
「ぁあああ、……まだ、まだ、生きている……生きているじゃない!! なんとかしなさいよ!!」
「内臓だけはね。 だが、アレは死だ」
ボソリと白衣の男は本庄の耳元で呟いた。
「どうして!! どうしてよ!! こんなことになるなら、別の部署にお願いしたのに……出来ないなら出来ないと、なぜ、教えてくれなかったのよ!!」
激しい怒りが向けられるが、本庄には少年達が受ける治療を選択する権利はない。
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