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序章
壊れた日常
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平凡な日常。
だけど、彼等にとってソレは特別な日々で、6人は愛おしい物を見るかのように動画を見ていた。 もうすぐ終えるだろう高校生活に思いを馳せ、その景色を眺めていた。
彼等には、奇妙な仲間意識と言うものがある。
特別に仲が良い訳でなくても、同じ価値観を共有している。
平和に生きたい社会的不適合者。
彼等は、普通と呼ばれるものが理解できない。
欲しい物は手に入れる。
不快な物は排除する。
幼稚園の頃、
列を乱すものが許せなかった。
泣きわめき、散歩を拒絶する者が許せなかった。
自分の欲のために、奪う者が許せなかった。
小学生の頃、
授業を阻み、お喋りをする者が許せなかった。
体育の時間ふざけケガをさせる者が許せなかった。
音楽の時間の不協和音を不快と思った。
楽器を無暗に打ち鳴らす事を楽しむ者が苛立った。
勉強を阻む者が許せなかった。
人の物を奪う存在が許せなかった。
兄弟であっても同じだ。
親子であっても同じだ。
だから暴力を振るった。
理解できるように……殴った。
彼等がやってきた行為に対して正しき罰。
血を流し、涙しても。
骨折して、怯え震えても。
反省し無ければ意味が無い。
改善し無ければ意味が無い。
だから徹底的にやる。
彼等にとってソレは当たり前の行為であり、なぜ……正義を正す自分が叱られるのか理解できなかった。 当たり前の正義の行為なのに、怯えられる理由が分からなかった。
最初は頭が良くて、運動も出来て、見た目も良い彼等だから、傲慢なのだと世間はその異常を見逃していた。
だけれど、ある日突然気づくのだ。
彼等が怖いと……。
そして彼等は隔絶された。
社会には受け入れられない。
彼等は社会的不適合者だった。
誰も理解できず。
誰にも理解されず。
社会と自分とのずれを実感してからは、多くのものは自分を隠した。
表向きは……。
だが……ここに居る彼等は罪を犯しても、少年法と精神鑑定により許され。 そして、家族に捨てられた。
隔絶された山奥にヒッソリと存在している柑子市は、彼等を受け入れた。 異常者ではなく普通として……。
そこにいる誰もが、愛おしい日々を映し出すスクリーンを眺め見た。
だが、その顔は徐々に歪み始め、絶望が露わとなっていった。
だけど、彼等にとってソレは特別な日々で、6人は愛おしい物を見るかのように動画を見ていた。 もうすぐ終えるだろう高校生活に思いを馳せ、その景色を眺めていた。
彼等には、奇妙な仲間意識と言うものがある。
特別に仲が良い訳でなくても、同じ価値観を共有している。
平和に生きたい社会的不適合者。
彼等は、普通と呼ばれるものが理解できない。
欲しい物は手に入れる。
不快な物は排除する。
幼稚園の頃、
列を乱すものが許せなかった。
泣きわめき、散歩を拒絶する者が許せなかった。
自分の欲のために、奪う者が許せなかった。
小学生の頃、
授業を阻み、お喋りをする者が許せなかった。
体育の時間ふざけケガをさせる者が許せなかった。
音楽の時間の不協和音を不快と思った。
楽器を無暗に打ち鳴らす事を楽しむ者が苛立った。
勉強を阻む者が許せなかった。
人の物を奪う存在が許せなかった。
兄弟であっても同じだ。
親子であっても同じだ。
だから暴力を振るった。
理解できるように……殴った。
彼等がやってきた行為に対して正しき罰。
血を流し、涙しても。
骨折して、怯え震えても。
反省し無ければ意味が無い。
改善し無ければ意味が無い。
だから徹底的にやる。
彼等にとってソレは当たり前の行為であり、なぜ……正義を正す自分が叱られるのか理解できなかった。 当たり前の正義の行為なのに、怯えられる理由が分からなかった。
最初は頭が良くて、運動も出来て、見た目も良い彼等だから、傲慢なのだと世間はその異常を見逃していた。
だけれど、ある日突然気づくのだ。
彼等が怖いと……。
そして彼等は隔絶された。
社会には受け入れられない。
彼等は社会的不適合者だった。
誰も理解できず。
誰にも理解されず。
社会と自分とのずれを実感してからは、多くのものは自分を隠した。
表向きは……。
だが……ここに居る彼等は罪を犯しても、少年法と精神鑑定により許され。 そして、家族に捨てられた。
隔絶された山奥にヒッソリと存在している柑子市は、彼等を受け入れた。 異常者ではなく普通として……。
そこにいる誰もが、愛おしい日々を映し出すスクリーンを眺め見た。
だが、その顔は徐々に歪み始め、絶望が露わとなっていった。
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