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09.彼ありきの計画。 出会いと、私の恋心も計画の内なのでしょうか?
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打たれた頬は未だ熱を持ち熱かった。
そこにファース様の舌が這う。
熱い頬が一層熱くなる。
ヌルリとした感触は、初めてのもの。
私の頬に添えられた手は、優しいのに逃げる事ができなくて、頬を撫でる舌がゆっくりと離れれば、匂いを嗅ぐように、頬をくすぐるように鼻先が触れくすぐる。
女として扱われるその行為は慣れて無く、驚いた子猫のように背筋にザワリとしたものが走り、目を大きく見開いてしまう。
頭の中が真っ白で、何も考えられなくて、それでも……今の、私は打たれた頬だけでなく、顔の全体が赤くなっているだろう。
「ぁ……の……コレは」
触れるほどに寄せられたままのファース様の顔が、少し離れて私を見つめる。 射るかのような瞳がニヤリと笑えば、私は彼に食べられてしまうのではと言う恐怖を覚えてしまった。
だから、子供のようにケインの腕に抱きつき、背もたれに預けるケインの背の後ろに隠れようと必死になる。 だけどケインは、ひょいっと私を引っ張りだしてしまうから、私は泣きそうになっている顔を見られてしまう訳で、そんな私をケインは笑いながら頬を撫でくすぐる。
「なぜ、他の男の腕に逃げる」
低く、感情のこもらない声だけれど、内容は明らかに不愉快だと訴えている内容だから、私は言い訳を探そうとするのだけれど、こんな時に使える言葉は知らなくて、やはりケインに逃げ助けを求めてしまう。
困っていれば助けてくれるだろうという信頼。
『大丈夫ですから』と言うケインの言葉を期待したけれど、実際に私に向けられるのはカラカウような笑みと、混乱へと突き落とすかのような言葉。
「それくらいで、何をビビっているんです? ファース様はアナタの全身、至るところを、ネットリとイヤらしく舌で嘗め回していいのか? と、聞いているんですよ」
だけど、その腕はいつもと変わらず私に添えられている。
「解説するな。 一気に冷める」
不満そうなファース様の声に、笑いながらケインは返す。
「冷ましているんですよ。 まずは一度試してみようなどと言われても困りますからね」
「騎士団の馬車の中でするかよ」
「欲求不満ですか」
「可愛らしい娘が、食べて下さいと目の前にいれば、当然頂くだろう?」
可愛いと言われるのは嬉しいが……それは、身内と思った相手にしか言われたことがなくて、やはり困ってケインに助けを求めてしまう。
ファース様は溜息交じりに頭をかき視線を窓の外へと向け、ケインは笑いながら私の頭を撫でる。
「結婚っていうのは、そういうものですよ」
「ぇっと、ソレは、あの……そういうって?」
「あぁ、そういえば……人の生殖行為について教えていませんでした」
ケインの言葉に、ファースがなんとも言いようのない表情を2人に向け、複雑な表情のままでファースは考えていた。 いや、自分を納得させようとした。
閉鎖された空間で育てられ、孤児と罵られ、当たり前の人の関わりを持っていないなら、そういうこともあるのだろうか? だが、ソレはソレで悪くない。
ファースはそう考える。
「されてたまるか。 教えるなら俺が教える」
肩をすくめるケイン。
首を傾げる私。
そして、ファース様が私の頬に触れた。
「騎士団についたら治療をさせよう。 良い薬がある」
「いえ、これは、これを効果的に使う必要があるので、このままで大丈夫です」
「傷を使う?」
ファース様が説明を求めるようにケインを見れば、ケインは懐からカスペルに書かせた書類をとりだしファース様に見せる。 喉の奥で馬鹿にしたように笑うファース様の声が馬車の中に響いた。
「早く、法的な効果を得たいんですよ」
「なるほど……。 俺を利用したい訳だ」
「お手数おかけします」
暗黙の了解のように交わされるケインとファース様の会話。
隠された書類の真実を知れば、カスペルは納得できないと暴れるだろう。 そして、鬼の血が混ざっていると言われるベンニング家の特異体質者を止められるのは同類しかいない。
「安心しろ、守ってやる」
ファース様の手が私の髪を撫でてくる。 ケインよりも大きくてゴツゴツした手なのに、なぜかずっと優しいのが不思議だった。
そこにファース様の舌が這う。
熱い頬が一層熱くなる。
ヌルリとした感触は、初めてのもの。
私の頬に添えられた手は、優しいのに逃げる事ができなくて、頬を撫でる舌がゆっくりと離れれば、匂いを嗅ぐように、頬をくすぐるように鼻先が触れくすぐる。
女として扱われるその行為は慣れて無く、驚いた子猫のように背筋にザワリとしたものが走り、目を大きく見開いてしまう。
頭の中が真っ白で、何も考えられなくて、それでも……今の、私は打たれた頬だけでなく、顔の全体が赤くなっているだろう。
「ぁ……の……コレは」
触れるほどに寄せられたままのファース様の顔が、少し離れて私を見つめる。 射るかのような瞳がニヤリと笑えば、私は彼に食べられてしまうのではと言う恐怖を覚えてしまった。
だから、子供のようにケインの腕に抱きつき、背もたれに預けるケインの背の後ろに隠れようと必死になる。 だけどケインは、ひょいっと私を引っ張りだしてしまうから、私は泣きそうになっている顔を見られてしまう訳で、そんな私をケインは笑いながら頬を撫でくすぐる。
「なぜ、他の男の腕に逃げる」
低く、感情のこもらない声だけれど、内容は明らかに不愉快だと訴えている内容だから、私は言い訳を探そうとするのだけれど、こんな時に使える言葉は知らなくて、やはりケインに逃げ助けを求めてしまう。
困っていれば助けてくれるだろうという信頼。
『大丈夫ですから』と言うケインの言葉を期待したけれど、実際に私に向けられるのはカラカウような笑みと、混乱へと突き落とすかのような言葉。
「それくらいで、何をビビっているんです? ファース様はアナタの全身、至るところを、ネットリとイヤらしく舌で嘗め回していいのか? と、聞いているんですよ」
だけど、その腕はいつもと変わらず私に添えられている。
「解説するな。 一気に冷める」
不満そうなファース様の声に、笑いながらケインは返す。
「冷ましているんですよ。 まずは一度試してみようなどと言われても困りますからね」
「騎士団の馬車の中でするかよ」
「欲求不満ですか」
「可愛らしい娘が、食べて下さいと目の前にいれば、当然頂くだろう?」
可愛いと言われるのは嬉しいが……それは、身内と思った相手にしか言われたことがなくて、やはり困ってケインに助けを求めてしまう。
ファース様は溜息交じりに頭をかき視線を窓の外へと向け、ケインは笑いながら私の頭を撫でる。
「結婚っていうのは、そういうものですよ」
「ぇっと、ソレは、あの……そういうって?」
「あぁ、そういえば……人の生殖行為について教えていませんでした」
ケインの言葉に、ファースがなんとも言いようのない表情を2人に向け、複雑な表情のままでファースは考えていた。 いや、自分を納得させようとした。
閉鎖された空間で育てられ、孤児と罵られ、当たり前の人の関わりを持っていないなら、そういうこともあるのだろうか? だが、ソレはソレで悪くない。
ファースはそう考える。
「されてたまるか。 教えるなら俺が教える」
肩をすくめるケイン。
首を傾げる私。
そして、ファース様が私の頬に触れた。
「騎士団についたら治療をさせよう。 良い薬がある」
「いえ、これは、これを効果的に使う必要があるので、このままで大丈夫です」
「傷を使う?」
ファース様が説明を求めるようにケインを見れば、ケインは懐からカスペルに書かせた書類をとりだしファース様に見せる。 喉の奥で馬鹿にしたように笑うファース様の声が馬車の中に響いた。
「早く、法的な効果を得たいんですよ」
「なるほど……。 俺を利用したい訳だ」
「お手数おかけします」
暗黙の了解のように交わされるケインとファース様の会話。
隠された書類の真実を知れば、カスペルは納得できないと暴れるだろう。 そして、鬼の血が混ざっていると言われるベンニング家の特異体質者を止められるのは同類しかいない。
「安心しろ、守ってやる」
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