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51.優柔不断と後悔 01
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アルフレットはティナが去った後、ボンヤリと日々を送っている。
雨の中ティナを探し回ったが、王都から出た様子もないのに……何の痕跡も残す事無く王都から消えていた。 王都中走り回ったが匂いは無く、だけれど王都を出たと言う記録も無かった。
ティナは英雄の力だけで言えば全開のオレに負けるが……聖女として、多くの魔法を使いこなし、人脈も広い……そう考えれば、王都から気づかれず脱出するのも可能なのだろう。
5日、寝ずに探し回って……止められた。
自室に戻れば、嫌いと言いながらも表情をコロコロ変えるティナの姿、匂い、ぬくもりを思い出すから、自室に戻り眠る事は無くなった。
1日や2日寝なくても食事抜きでも平気だが、流石に5日や6日になると、ティナを思ってボンヤリしているのか? 体調が悪くて動かないのかオレ自身分からなくなる……。
今日お腹痛いから宮殿行かない!! と言って許されようとした子供の頃を思い出す。 それが自分の中で正当性を与える感じになって、少しだけ気分が楽になる。
あれ? 楽になっていいのか?
もっと自分を責めなければ……そう思ってしまうのだ……。
部屋のノックがなると同時に扉が開かれる。
ビクッとしてしまうのは……ロイが来たと思ってしまうから。 ティナは追えない……ロイの顔を見れば自分の責任も全てロイのせいにして、怒鳴り散らしそうになるから、近づくなと伝えてある。
「書類をお持ちしました」
淡々と冷ややかな視線を向けるのは、ロイの直属の部下の女性魔法騎士2名。 別に騎士団を裏切ったのは女性騎士の全てな訳ではなく、見習いを始め、恋愛目的で入団した女性騎士に限定されている。
唯一の救いと言えるだろう。
「あの人達は、騎士とは違ったんじゃないかな?」
リーンが言うのを聞けば、それもそうだなと納得できた。
もっと早くにそう思っていたなら、ティナを傷つける事は無かったのに……。 と、また人のせいにしそうになって、落ち込んだ……自業自得なのに……。
書類を持ってきた女性事務員達が、作業用デスクをながめた。 昨日顔を出した時から、書類が減っていない様子に肩を竦め合っていた。
「あ……悪い」
「団長、執務室に居るなら書類確認だけでもお願いしますね!」
キツイ口調で叱るように言われた。
アルフレットはチラリと視線を上げる。
「あぁ、分かった」
「昨日もそう言っていましたよね。 口先だけなら誰だって言えるんですよ」
冷ややかな視線が向けられる。
もう一度言おう彼女達は、ロイの部下なのだ……。
「団長!! 団長! 聞いていますか?」
女性事務員達の声が厳しい。
叱咤しているというよりも、呆れているという様子が露わだ。
「あぁ」
そう答えて、ペタンと再びソファーに身を任せた。
書類を置いて女性達は視線だけで「やれやれ」と語る。
「仕事、してくださいね」
冷ややかな視線と共に、部屋を後にする。
お茶を飲みませんか?
お菓子を一緒に食べませんか?
そんな風に言って執務室に居座り、オマエ達早く仕事に戻れといっていたのは1月も前ではないはず。
「狼姿で居続けるって情けないよね~」
「あの女の事を待っている訳? ばっかじゃない相手にされていないのに」
「我が物顔で騎士団内に入ってきて、ムカついたけど実力あったんだよね」
「一般人が団長に色目つかったって、イヤガラセしちゃったの大丈夫かな?」
「やばいって、親が英雄と聖女だったんでしょ?」
「ぇ、ソレ本当なの?! 適当にふかしているだけでしょう?」
「でも、英雄と聖女の子なら、呪いぐらい解除しても当たり前って気がしない?」
「むしろ、ハイスペックなのも当然っていうか? もっと働け的な?」
「仕事途中で放り出し逃げるなんて、やっぱり興味本位で来た奴は精神的に足りないのよ」
窓の外を眺めていれば、そんな声が聞こえた。
アルフレットの大きな耳がピクリと動く。
自分が情けないと言われるのもツラいが、ティナに対する理解不可能な誹謗中傷の原因が自分であることをしって、余計にツラかった。
「なんか泣きそう」
「どうしたんですか? なんです? 情けない。 慰めて欲しいんですか? いいこでちゅねぇ~」
雨の中ティナを探し回ったが、王都から出た様子もないのに……何の痕跡も残す事無く王都から消えていた。 王都中走り回ったが匂いは無く、だけれど王都を出たと言う記録も無かった。
ティナは英雄の力だけで言えば全開のオレに負けるが……聖女として、多くの魔法を使いこなし、人脈も広い……そう考えれば、王都から気づかれず脱出するのも可能なのだろう。
5日、寝ずに探し回って……止められた。
自室に戻れば、嫌いと言いながらも表情をコロコロ変えるティナの姿、匂い、ぬくもりを思い出すから、自室に戻り眠る事は無くなった。
1日や2日寝なくても食事抜きでも平気だが、流石に5日や6日になると、ティナを思ってボンヤリしているのか? 体調が悪くて動かないのかオレ自身分からなくなる……。
今日お腹痛いから宮殿行かない!! と言って許されようとした子供の頃を思い出す。 それが自分の中で正当性を与える感じになって、少しだけ気分が楽になる。
あれ? 楽になっていいのか?
もっと自分を責めなければ……そう思ってしまうのだ……。
部屋のノックがなると同時に扉が開かれる。
ビクッとしてしまうのは……ロイが来たと思ってしまうから。 ティナは追えない……ロイの顔を見れば自分の責任も全てロイのせいにして、怒鳴り散らしそうになるから、近づくなと伝えてある。
「書類をお持ちしました」
淡々と冷ややかな視線を向けるのは、ロイの直属の部下の女性魔法騎士2名。 別に騎士団を裏切ったのは女性騎士の全てな訳ではなく、見習いを始め、恋愛目的で入団した女性騎士に限定されている。
唯一の救いと言えるだろう。
「あの人達は、騎士とは違ったんじゃないかな?」
リーンが言うのを聞けば、それもそうだなと納得できた。
もっと早くにそう思っていたなら、ティナを傷つける事は無かったのに……。 と、また人のせいにしそうになって、落ち込んだ……自業自得なのに……。
書類を持ってきた女性事務員達が、作業用デスクをながめた。 昨日顔を出した時から、書類が減っていない様子に肩を竦め合っていた。
「あ……悪い」
「団長、執務室に居るなら書類確認だけでもお願いしますね!」
キツイ口調で叱るように言われた。
アルフレットはチラリと視線を上げる。
「あぁ、分かった」
「昨日もそう言っていましたよね。 口先だけなら誰だって言えるんですよ」
冷ややかな視線が向けられる。
もう一度言おう彼女達は、ロイの部下なのだ……。
「団長!! 団長! 聞いていますか?」
女性事務員達の声が厳しい。
叱咤しているというよりも、呆れているという様子が露わだ。
「あぁ」
そう答えて、ペタンと再びソファーに身を任せた。
書類を置いて女性達は視線だけで「やれやれ」と語る。
「仕事、してくださいね」
冷ややかな視線と共に、部屋を後にする。
お茶を飲みませんか?
お菓子を一緒に食べませんか?
そんな風に言って執務室に居座り、オマエ達早く仕事に戻れといっていたのは1月も前ではないはず。
「狼姿で居続けるって情けないよね~」
「あの女の事を待っている訳? ばっかじゃない相手にされていないのに」
「我が物顔で騎士団内に入ってきて、ムカついたけど実力あったんだよね」
「一般人が団長に色目つかったって、イヤガラセしちゃったの大丈夫かな?」
「やばいって、親が英雄と聖女だったんでしょ?」
「ぇ、ソレ本当なの?! 適当にふかしているだけでしょう?」
「でも、英雄と聖女の子なら、呪いぐらい解除しても当たり前って気がしない?」
「むしろ、ハイスペックなのも当然っていうか? もっと働け的な?」
「仕事途中で放り出し逃げるなんて、やっぱり興味本位で来た奴は精神的に足りないのよ」
窓の外を眺めていれば、そんな声が聞こえた。
アルフレットの大きな耳がピクリと動く。
自分が情けないと言われるのもツラいが、ティナに対する理解不可能な誹謗中傷の原因が自分であることをしって、余計にツラかった。
「なんか泣きそう」
「どうしたんですか? なんです? 情けない。 慰めて欲しいんですか? いいこでちゅねぇ~」
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