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13.ナイトドリーム 01
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アコ姉さんに連れてこられた場所は、王都内にあっても軽薄……いえ、華やか過ぎるのではないかと思うアイテムショップ。
店に入って行く客層を見れば、若い女性が中心だ。
「商人達の間でも、流行に乗りたいならこういうのも勉強しておかないといけないって話になっていてね。 前々から勉強してこいって言われていたんだ。 つきあってよ」
店の名前は『ナイトドリーム』
「夜の夢?」
「違う、違う!!」
ニヤリとどこか意地悪い表情でアコは笑い、ティナの背中を押しながら店へと入って行った。
店舗内は思っていたよりも広い。
1階は、アクセサリー、雑貨、版画が売られている。
2階は、カフェ、そして占いコーナーがあった。
「何、コレ……」
ティナは小さな呟きと共に、アコの腕を掴み背後に隠れながら不快を露わに顔をしかめていた。 売られているのは、色騎士達のファングッズ。 最も目立つ場所にアルフレットのファンアイテムが置かれ次々と売れて行き、残っているのはブレスレット1本だけ。
だが、ティナが顔をしかめたのは、アルフレットのファングッズを嬉しそうに購入していく少女達を見たからではなく、そのグッズ1つ1つに微弱の魔力が帯びていたから。
1つ1つが微弱でも多く集まれば、ティナにとっては自分の魔力に干渉してきて不快を感じてしまうのだ。
「見てみなよ。 すっげぇ高いの。 うける~~」
アコが面白がりながらティナに渡したのは、アルフレットの名前と術式を文様化したとおもわれるものが刻まれたシルバーのブレスレット、そして瞳の色の宝石がついていた。
「この値段で売れるなんて、ぼろい商売だなぁ……」
そうアコは言うけれど、術式が刻まれている魔道具なのだから同じサイズのシルバーブレスレットの10倍の価格であっても安いと言えるだろう。
アコ姉は、魔力適正が皆無だから仕方がないかぁ……。
ツイツイとアコの服の背を引っ張れば、
「どうした?」
「コレ、魔道具ですよ」
「へっ? こんなものに魔道具? 一体どんな効果があるって言うんだい」
馬鹿にしたようにアコが言う。
「効果は、えっと……貴方だけの騎士様と恋のチャンスを手に入れよう。 ですって……」
ティナが商品紹介のポップを指さして言えば、アコは呆れながら問うてくる。
「ソレは、魔道具でどうこうなるのかい?」
ティナはアコに声を抑えるようにと言うように、声を潜めて見解を述べた。
「魔道具が暴発すれば、騎士団が動くわ。 ただ、お望みの騎士様がくるかはわかりませんけど」
「病は気から?」
「それは違うと思う」
訳の分からない魔道具を前にしたティナの緊張が、アコの冗談で少しだけ緩んだ。
「でも、恋のおまじないを魔道具仕立てにする意味があるのかしら?」
「それっぽく作れば、高くなるからじゃないの?」
「そういう考えもできますわね……」
でも……。
ティナは、手にしていたシルバーブレスレットを掲げながら眺めた。
「何、あの人。 アルフレット様のファン?」
「アルフレット様のファンが、購入を躊躇う訳ないわ。 きっとアンチよ」
「あ~、私はお目当ての騎士様を見てくるから、お小遣いと相談して買うんだよ」
そう言ってアコは、ティナから距離を置き店舗観察を再開。
私はと言えば、視線を避けるために物影に隠れる事にした。
ティナは手に持っているアクセサリーを、改めてマジマジと観察する。
1センチ幅ほどのブレスレットには、魔法術式を、図形、数式、簡易言語に直し、文様化したものが刻まれている。 細かい細工でその手間はかなりの物だと言えるだろう。 いえ……型を取って作ればそうでもないのかしら?
それでもティナが知っている術式を考えれば、そこに描くことが出来る術式の量は決して多くはなく、初歩的な照明魔法の術式がギリギリ描けるかどうかの大きさしかない。
こんな中途半端な魔術式ではオマジナイにもなりませんよね? う~ん、気になるけど、だからと言って気軽に買える値段ではありませんよね。
「あの~、すみません」
「ぇ、あ、はい」
12歳ほどの少女に声をかけられ、私は慌てて返事をした。
「その、ご購入なさらないのでしたら、私に譲っていただけないでしょうか?」
恥じらい交じりに愛らしい少女がモジモジとして言ってきた。
「ぁ、はい、ごめんなさい。 どうぞ」
そう言ってアルフレット様のファンブレスレットを譲り渡した。
どうせなら……私みたいなのではなく、あぁ言うカワイイ子と恋すればいいのに……。
店に入って行く客層を見れば、若い女性が中心だ。
「商人達の間でも、流行に乗りたいならこういうのも勉強しておかないといけないって話になっていてね。 前々から勉強してこいって言われていたんだ。 つきあってよ」
店の名前は『ナイトドリーム』
「夜の夢?」
「違う、違う!!」
ニヤリとどこか意地悪い表情でアコは笑い、ティナの背中を押しながら店へと入って行った。
店舗内は思っていたよりも広い。
1階は、アクセサリー、雑貨、版画が売られている。
2階は、カフェ、そして占いコーナーがあった。
「何、コレ……」
ティナは小さな呟きと共に、アコの腕を掴み背後に隠れながら不快を露わに顔をしかめていた。 売られているのは、色騎士達のファングッズ。 最も目立つ場所にアルフレットのファンアイテムが置かれ次々と売れて行き、残っているのはブレスレット1本だけ。
だが、ティナが顔をしかめたのは、アルフレットのファングッズを嬉しそうに購入していく少女達を見たからではなく、そのグッズ1つ1つに微弱の魔力が帯びていたから。
1つ1つが微弱でも多く集まれば、ティナにとっては自分の魔力に干渉してきて不快を感じてしまうのだ。
「見てみなよ。 すっげぇ高いの。 うける~~」
アコが面白がりながらティナに渡したのは、アルフレットの名前と術式を文様化したとおもわれるものが刻まれたシルバーのブレスレット、そして瞳の色の宝石がついていた。
「この値段で売れるなんて、ぼろい商売だなぁ……」
そうアコは言うけれど、術式が刻まれている魔道具なのだから同じサイズのシルバーブレスレットの10倍の価格であっても安いと言えるだろう。
アコ姉は、魔力適正が皆無だから仕方がないかぁ……。
ツイツイとアコの服の背を引っ張れば、
「どうした?」
「コレ、魔道具ですよ」
「へっ? こんなものに魔道具? 一体どんな効果があるって言うんだい」
馬鹿にしたようにアコが言う。
「効果は、えっと……貴方だけの騎士様と恋のチャンスを手に入れよう。 ですって……」
ティナが商品紹介のポップを指さして言えば、アコは呆れながら問うてくる。
「ソレは、魔道具でどうこうなるのかい?」
ティナはアコに声を抑えるようにと言うように、声を潜めて見解を述べた。
「魔道具が暴発すれば、騎士団が動くわ。 ただ、お望みの騎士様がくるかはわかりませんけど」
「病は気から?」
「それは違うと思う」
訳の分からない魔道具を前にしたティナの緊張が、アコの冗談で少しだけ緩んだ。
「でも、恋のおまじないを魔道具仕立てにする意味があるのかしら?」
「それっぽく作れば、高くなるからじゃないの?」
「そういう考えもできますわね……」
でも……。
ティナは、手にしていたシルバーブレスレットを掲げながら眺めた。
「何、あの人。 アルフレット様のファン?」
「アルフレット様のファンが、購入を躊躇う訳ないわ。 きっとアンチよ」
「あ~、私はお目当ての騎士様を見てくるから、お小遣いと相談して買うんだよ」
そう言ってアコは、ティナから距離を置き店舗観察を再開。
私はと言えば、視線を避けるために物影に隠れる事にした。
ティナは手に持っているアクセサリーを、改めてマジマジと観察する。
1センチ幅ほどのブレスレットには、魔法術式を、図形、数式、簡易言語に直し、文様化したものが刻まれている。 細かい細工でその手間はかなりの物だと言えるだろう。 いえ……型を取って作ればそうでもないのかしら?
それでもティナが知っている術式を考えれば、そこに描くことが出来る術式の量は決して多くはなく、初歩的な照明魔法の術式がギリギリ描けるかどうかの大きさしかない。
こんな中途半端な魔術式ではオマジナイにもなりませんよね? う~ん、気になるけど、だからと言って気軽に買える値段ではありませんよね。
「あの~、すみません」
「ぇ、あ、はい」
12歳ほどの少女に声をかけられ、私は慌てて返事をした。
「その、ご購入なさらないのでしたら、私に譲っていただけないでしょうか?」
恥じらい交じりに愛らしい少女がモジモジとして言ってきた。
「ぁ、はい、ごめんなさい。 どうぞ」
そう言ってアルフレット様のファンブレスレットを譲り渡した。
どうせなら……私みたいなのではなく、あぁ言うカワイイ子と恋すればいいのに……。
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