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15.公爵令嬢の知識には、子守りという項目は存在しない
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責任が……重い……。
肩の荷が、重い。
「ついてくるのですね?」
私は振り返りフェンに不貞腐れたように問いかけた。
「行くでしょ。 俺、護衛だし?」
「そこは愛しているからではありませんね?」
「愛があっても、護衛じゃなければ一緒にいられないでしょうが」
それはそうですけど。
「何? お仕事終わった後なら、いくらでも言ってあげるから、変な顔しない」
髪の中に指を滑り込ませて肩を抱いてくる。
「私、実は人見知りなのよね」
フェイが驚いた顔をして見せる。 ただ、それは私が思っていた理由と違う。
「屋敷の者なら大抵は知ってるよ」
何それ、頑張っていた意味なしですか? なんて思っていれば、きっと顔に出ていたのでしょうね。
「皆、お嬢が好きだから気付くんだよ」
コメカミに口づけられた。
「ところで、何処に行くのかな? 王子からドンドン離れている気がするんだけど」
「私に子供の相手が出来る訳ないじゃない。 だから、餌で丸め込みます」
「ペットじゃないんですから」
フェイにも料理人にも言われたが、それでも手頃な焼き菓子とジャムを籠に入れて貰えた。
「考えると、こういうオヤツも食べられなくなるのですね……」
「そこ、感傷的になるところ? まぁ、各地の名産もあるし、懇意の領主の地であれば、料理人に先入りしておいてもらえばいいだろう」
「そんな面倒臭いことを」
「お嬢は面倒くさくないでしょう」
「だから、料理人の人が面倒でしょう」
「料理人はお嬢に料理を作るのが仕事です。 お嬢が食べたいと言うなら喜んでいきますよ。 それに嫌でも、お嬢が望むならそうしてもらいます」
ニッコリとフェイは言う。
こういう時の彼は、なんだか少し怖い。
肩の荷が、重い。
「ついてくるのですね?」
私は振り返りフェンに不貞腐れたように問いかけた。
「行くでしょ。 俺、護衛だし?」
「そこは愛しているからではありませんね?」
「愛があっても、護衛じゃなければ一緒にいられないでしょうが」
それはそうですけど。
「何? お仕事終わった後なら、いくらでも言ってあげるから、変な顔しない」
髪の中に指を滑り込ませて肩を抱いてくる。
「私、実は人見知りなのよね」
フェイが驚いた顔をして見せる。 ただ、それは私が思っていた理由と違う。
「屋敷の者なら大抵は知ってるよ」
何それ、頑張っていた意味なしですか? なんて思っていれば、きっと顔に出ていたのでしょうね。
「皆、お嬢が好きだから気付くんだよ」
コメカミに口づけられた。
「ところで、何処に行くのかな? 王子からドンドン離れている気がするんだけど」
「私に子供の相手が出来る訳ないじゃない。 だから、餌で丸め込みます」
「ペットじゃないんですから」
フェイにも料理人にも言われたが、それでも手頃な焼き菓子とジャムを籠に入れて貰えた。
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「そんな面倒臭いことを」
「お嬢は面倒くさくないでしょう」
「だから、料理人の人が面倒でしょう」
「料理人はお嬢に料理を作るのが仕事です。 お嬢が食べたいと言うなら喜んでいきますよ。 それに嫌でも、お嬢が望むならそうしてもらいます」
ニッコリとフェイは言う。
こういう時の彼は、なんだか少し怖い。
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