6 / 36
前編
06
しおりを挟む
私を守るように白黒2匹の獣が唸りと共に前に出る。
冷えた一陣の風が、私達の間を吹き抜けた。
それは私を宥めるように、怒りで上がった体温を奪っていく。
冷静になるのよ……私。
幾ら多くの人の治療を施した植物達だと言っても、育ての親との思い出だと言っても、それが複数の騎士と戦う、いえ、戦わせる理由になるのでしょうか?
……なりませんよね。
ラスティが当主の試練に立ち向かう予定で戻ってきたと言うなら、共にいる同僚は試練の協力者、かなりの実力の持ち主と判断できます。 ならば私の行動は完全に感情的で愚かな行動だと、認めざるを得ません。
結局のところ正気を失ったように怒りが抑えられなかったのは、美しい女性を身籠らせ連れ帰ってきたラスティに対する個人的な怒りだったのかもしれません。 夫婦の時間を積み重ねて来た訳でもないと言うのに……馬鹿馬鹿しい。
こんな取るに足らない事に、私を大切にしてくれる人達を巻き込んでしまった事に深い後悔を覚えた。
だけど、
今更引くわけにもいきません。
睨み合う私達の間を、冷たい風が吹き抜け、結ってあった髪がほどけ落ち葉と共に風に舞う。
自然の営みに視線が奪われる。
沈黙。
動かない人々。
ラスティの表情が、穏やかなものに変わり剣を納め、上着を脱ぎカミラの肩からかけた。
「カミラ、身体が冷えてしまいます。 部屋に戻って温かなものでも頂く事にしよう。 私達は無益な争いをせずとも、ドチラが正しいかを定める方法があるのだから。 今日の所は、長年この地に尽くしただろうホリーに譲ろう。 それが、強者の余裕と言うものです」
「ですが!! 王国の騎士として、たかが獣を前に引き下がると言うのは、私達の名誉に傷をつける行為ですわ!!」
それでもカミラは肩からかけられた上着に愛し気に包まれていた。
「穏やかな環境で子を育てたいと言ったのは、カミラではないか。 これ以上の争いは胎教に良くはない」
「ストレスは身体に良く無いと医師が言っておりましたわ!!」
「だからこそ、あのような薄汚く悪臭漂う獣をカミラに近づけたくはないのだ。 分かってくれるだろう?」
「あなたがそこまでおっしゃるなら……」
そう言いながらカミラが剣を納めれば、同僚騎士の3人と従者4人も剣を納めた。 ラスティは、カミラの剣と自身の剣を従者に預け、カミラを姫抱っこで抱き上げて本宅庭園から去って行った。
まるで私達等存在していないかのように……。
私は……悔しかった!! なぜか、理解も出来ないけれど、泣いて叫び出したいほどに悔しくて、屈辱を与えられた気分になった。
『主……』
『主様』
私は一体どんな顔をしていたのでしょう? 白黒の2匹が獣姿でありながら、心配そうな顔を向けて来た。
「ごめんなさい」
……苦々しい思いが胸をしめ……私は乱れた自分の心を静めるように黒虎と白狼を両手に抱きしめる。
「こんなに良い香りと、毛並ですのに……なんて失礼な方なのかしら……」
私は2匹を危険に巻き込んだだけでなく、自分のためだけに感情を乱していたのに……それがとても申し訳なく思えて、そっと2匹を両手に抱きしめる。
『主が褒めて下さるなら、あのような者達の戯言など地面をはいずる風のようなもの。 全く気に等なりません。 どうか、お気になさらないで下さい。 そして、褒めて下さい!!』
白狼が、撫でてくれ!! と、言わんばかりに上を向きモフモフな喉と胸元を見せて来るから、私は両手でわしゃわしゃとかき混ぜ撫でる。
癒されるわぁ……。
自然と笑みが浮かぶのだけど、なのに泣きたくなっていて、それを隠そうと、もふっと顔を埋め、私は溜息と共に呟いた。
「争いにならなかったのは助かったけれど、アレはなんだったのかしら?」
『どうせ、あのような筋肉馬鹿は、余り深く物事を考えていないものです。 主が気に病む事ではございません。 それよりも!! 私は主の大切な庭を掘り返した奴等が気に入りません!! どうか、噛みつく許可をお与え下さいませ!!』
白狼の声に反応するように、木々の茂みからグワッと言う鳴き声と共に脳裏に声を響かせ躍り出て来たアヒルが叫ぶ。
『えぇ、なんて酷い事をなさるのでしょう。 丹精込めて育てて来た庭を!!』
彼女は戦闘向きではないけれど、良く庭の面倒を見てくれている人(?)なのだ。
「丁度良い所に来てくださいました。 彼等が庭をちゃんと戻すかの見張りを、お二人に頼んで宜しいですか?」
『お任せ下さい。 このブラン、ローズと共に見事役目を果たして見せましょう』
ちなみに白狼がブランで、アヒルがローズだ。
「ブランは、お仕置きの加減が下手なので、お仕置きはローズにお任せしますね」
『なぜに~~!!』
『お任せくださいませ!!』
等と騒ぐ1匹と1羽を残し、私達は執務室へと歩き出し。
短い時間だったはずなのに、とても疲れてしまいましたわ……。
私の記憶にあるラスティは12歳で止まっている。 まだ幼さの残る顔立ちで身長だって今の私より少し大きい程度だったはず。 今は……騎士らしく鍛え抜かれた身体が服の上からでもわかります。 そして不機嫌で苛立ちが隠せなかった表情は、愛すべき人を診て穏やかに微笑む。
そのような相手が、神殿に残されている記録では、私の夫で……なのに甘いラスティとカミラのやり取りを見せつけられ胸が痛い、ぽっかりと穴が開いたような……恋心がひび割れたような……虚しさ……。
もう、急ぐ必要のない私は、少しばかり心を黄昏させながら執務室へと向かい歩き出せば、私よりずっと早く歩ける黒虎のルカが、私と歩調を合わせ、温かな毛並を摺り寄せてきてくる。
当たり前のようにこうしていたけれど……人の姿ではとらない距離感を当たり前のようにとってしまう。 これが問題だったのかしら……。
私に問題がある。
ラスティは責任回避をしているだけで私は悪くない。
そんな思いがせめぎあう。
『側にいる』
悩む私の心が分かっているかのように、ボソリとした呟きが脳裏に響く。
「そうね……私には、アナタ達がいるわ……」
短い時間なのに随分と疲れた気がした。
身体の疲れが、精神を削って行く。
彼は12年もの間戻らなかった。
だけど、騎士になってからの彼は領地まで噂が届くほどの功績を残し、そして王都での催事には出席していた。 それ等の行動は、公爵家の者としてでは無かったとしても、世間的には公爵家の名を知らしめる事となった事でしょう。 ラスティは戻って来る事は無かったが、何の役割も果たさなかった訳ではないのですよね……。
執務室に戻ると侍女頭のポーラがお茶の準備をして待っていた。
私の行動は責められて当然の事だったのでしょうか?
何も悪い事をしていないのに、ただ獣人だと言うだけで、主の気分次第で暴力を受け、酷い生活環の元で厳しい労働を課せられていた彼等を側に置いた事を後悔したくはなかった。
割り切ろう。
「私達が歩んできた道は間違っていたのでしょうか……」
温かな茶を口にし、うっかりと声に出ていた言葉にルカは突っ込みを入れて来る。
「いや、子を作って来るのは問題外だろう」
アッサリと告げるルカは人の姿に戻っており、書類の山から幾つかの書状を手渡してきた。 それは、私とブレンダによって作られた薬で命が助けられたと言う書状。
「主は、間違っていない」
「そうね……」
それでも……私は思うのだ……憎しみを持って離縁を告げたラスティが最終的には引いてくれた事。 その時の瞳には、憎悪や嫌悪等と言う感情が抜け落ちていた。 そこに希望が……。
いえ……アレはカミラが側にいたから。
まだ生まれる前の子が側にいたから。
私の脳裏には、大きなお腹をしながらもラスティと共に戦おうとするカミラの姿が過るのだった。
冷えた一陣の風が、私達の間を吹き抜けた。
それは私を宥めるように、怒りで上がった体温を奪っていく。
冷静になるのよ……私。
幾ら多くの人の治療を施した植物達だと言っても、育ての親との思い出だと言っても、それが複数の騎士と戦う、いえ、戦わせる理由になるのでしょうか?
……なりませんよね。
ラスティが当主の試練に立ち向かう予定で戻ってきたと言うなら、共にいる同僚は試練の協力者、かなりの実力の持ち主と判断できます。 ならば私の行動は完全に感情的で愚かな行動だと、認めざるを得ません。
結局のところ正気を失ったように怒りが抑えられなかったのは、美しい女性を身籠らせ連れ帰ってきたラスティに対する個人的な怒りだったのかもしれません。 夫婦の時間を積み重ねて来た訳でもないと言うのに……馬鹿馬鹿しい。
こんな取るに足らない事に、私を大切にしてくれる人達を巻き込んでしまった事に深い後悔を覚えた。
だけど、
今更引くわけにもいきません。
睨み合う私達の間を、冷たい風が吹き抜け、結ってあった髪がほどけ落ち葉と共に風に舞う。
自然の営みに視線が奪われる。
沈黙。
動かない人々。
ラスティの表情が、穏やかなものに変わり剣を納め、上着を脱ぎカミラの肩からかけた。
「カミラ、身体が冷えてしまいます。 部屋に戻って温かなものでも頂く事にしよう。 私達は無益な争いをせずとも、ドチラが正しいかを定める方法があるのだから。 今日の所は、長年この地に尽くしただろうホリーに譲ろう。 それが、強者の余裕と言うものです」
「ですが!! 王国の騎士として、たかが獣を前に引き下がると言うのは、私達の名誉に傷をつける行為ですわ!!」
それでもカミラは肩からかけられた上着に愛し気に包まれていた。
「穏やかな環境で子を育てたいと言ったのは、カミラではないか。 これ以上の争いは胎教に良くはない」
「ストレスは身体に良く無いと医師が言っておりましたわ!!」
「だからこそ、あのような薄汚く悪臭漂う獣をカミラに近づけたくはないのだ。 分かってくれるだろう?」
「あなたがそこまでおっしゃるなら……」
そう言いながらカミラが剣を納めれば、同僚騎士の3人と従者4人も剣を納めた。 ラスティは、カミラの剣と自身の剣を従者に預け、カミラを姫抱っこで抱き上げて本宅庭園から去って行った。
まるで私達等存在していないかのように……。
私は……悔しかった!! なぜか、理解も出来ないけれど、泣いて叫び出したいほどに悔しくて、屈辱を与えられた気分になった。
『主……』
『主様』
私は一体どんな顔をしていたのでしょう? 白黒の2匹が獣姿でありながら、心配そうな顔を向けて来た。
「ごめんなさい」
……苦々しい思いが胸をしめ……私は乱れた自分の心を静めるように黒虎と白狼を両手に抱きしめる。
「こんなに良い香りと、毛並ですのに……なんて失礼な方なのかしら……」
私は2匹を危険に巻き込んだだけでなく、自分のためだけに感情を乱していたのに……それがとても申し訳なく思えて、そっと2匹を両手に抱きしめる。
『主が褒めて下さるなら、あのような者達の戯言など地面をはいずる風のようなもの。 全く気に等なりません。 どうか、お気になさらないで下さい。 そして、褒めて下さい!!』
白狼が、撫でてくれ!! と、言わんばかりに上を向きモフモフな喉と胸元を見せて来るから、私は両手でわしゃわしゃとかき混ぜ撫でる。
癒されるわぁ……。
自然と笑みが浮かぶのだけど、なのに泣きたくなっていて、それを隠そうと、もふっと顔を埋め、私は溜息と共に呟いた。
「争いにならなかったのは助かったけれど、アレはなんだったのかしら?」
『どうせ、あのような筋肉馬鹿は、余り深く物事を考えていないものです。 主が気に病む事ではございません。 それよりも!! 私は主の大切な庭を掘り返した奴等が気に入りません!! どうか、噛みつく許可をお与え下さいませ!!』
白狼の声に反応するように、木々の茂みからグワッと言う鳴き声と共に脳裏に声を響かせ躍り出て来たアヒルが叫ぶ。
『えぇ、なんて酷い事をなさるのでしょう。 丹精込めて育てて来た庭を!!』
彼女は戦闘向きではないけれど、良く庭の面倒を見てくれている人(?)なのだ。
「丁度良い所に来てくださいました。 彼等が庭をちゃんと戻すかの見張りを、お二人に頼んで宜しいですか?」
『お任せ下さい。 このブラン、ローズと共に見事役目を果たして見せましょう』
ちなみに白狼がブランで、アヒルがローズだ。
「ブランは、お仕置きの加減が下手なので、お仕置きはローズにお任せしますね」
『なぜに~~!!』
『お任せくださいませ!!』
等と騒ぐ1匹と1羽を残し、私達は執務室へと歩き出し。
短い時間だったはずなのに、とても疲れてしまいましたわ……。
私の記憶にあるラスティは12歳で止まっている。 まだ幼さの残る顔立ちで身長だって今の私より少し大きい程度だったはず。 今は……騎士らしく鍛え抜かれた身体が服の上からでもわかります。 そして不機嫌で苛立ちが隠せなかった表情は、愛すべき人を診て穏やかに微笑む。
そのような相手が、神殿に残されている記録では、私の夫で……なのに甘いラスティとカミラのやり取りを見せつけられ胸が痛い、ぽっかりと穴が開いたような……恋心がひび割れたような……虚しさ……。
もう、急ぐ必要のない私は、少しばかり心を黄昏させながら執務室へと向かい歩き出せば、私よりずっと早く歩ける黒虎のルカが、私と歩調を合わせ、温かな毛並を摺り寄せてきてくる。
当たり前のようにこうしていたけれど……人の姿ではとらない距離感を当たり前のようにとってしまう。 これが問題だったのかしら……。
私に問題がある。
ラスティは責任回避をしているだけで私は悪くない。
そんな思いがせめぎあう。
『側にいる』
悩む私の心が分かっているかのように、ボソリとした呟きが脳裏に響く。
「そうね……私には、アナタ達がいるわ……」
短い時間なのに随分と疲れた気がした。
身体の疲れが、精神を削って行く。
彼は12年もの間戻らなかった。
だけど、騎士になってからの彼は領地まで噂が届くほどの功績を残し、そして王都での催事には出席していた。 それ等の行動は、公爵家の者としてでは無かったとしても、世間的には公爵家の名を知らしめる事となった事でしょう。 ラスティは戻って来る事は無かったが、何の役割も果たさなかった訳ではないのですよね……。
執務室に戻ると侍女頭のポーラがお茶の準備をして待っていた。
私の行動は責められて当然の事だったのでしょうか?
何も悪い事をしていないのに、ただ獣人だと言うだけで、主の気分次第で暴力を受け、酷い生活環の元で厳しい労働を課せられていた彼等を側に置いた事を後悔したくはなかった。
割り切ろう。
「私達が歩んできた道は間違っていたのでしょうか……」
温かな茶を口にし、うっかりと声に出ていた言葉にルカは突っ込みを入れて来る。
「いや、子を作って来るのは問題外だろう」
アッサリと告げるルカは人の姿に戻っており、書類の山から幾つかの書状を手渡してきた。 それは、私とブレンダによって作られた薬で命が助けられたと言う書状。
「主は、間違っていない」
「そうね……」
それでも……私は思うのだ……憎しみを持って離縁を告げたラスティが最終的には引いてくれた事。 その時の瞳には、憎悪や嫌悪等と言う感情が抜け落ちていた。 そこに希望が……。
いえ……アレはカミラが側にいたから。
まだ生まれる前の子が側にいたから。
私の脳裏には、大きなお腹をしながらもラスティと共に戦おうとするカミラの姿が過るのだった。
18
お気に入りに追加
1,731
あなたにおすすめの小説
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
王妃の仕事なんて知りません、今から逃げます!
gacchi
恋愛
側妃を迎えるって、え?聞いてないよ?
王妃の仕事が大変でも頑張ってたのは、レオルドが好きだから。
国への責任感?そんなの無いよ。もういい。私、逃げるから!
12/16加筆修正したものをカクヨムに投稿しました。
【完結】今世も裏切られるのはごめんなので、最愛のあなたはもう要らない
曽根原ツタ
恋愛
隣国との戦時中に国王が病死し、王位継承権を持つ男子がひとりもいなかったため、若い王女エトワールは女王となった。だが──
「俺は彼女を愛している。彼女は俺の子を身篭った」
戦場から帰還した愛する夫の隣には、別の女性が立っていた。さらに彼は、王座を奪うために女王暗殺を企てる。
そして。夫に剣で胸を貫かれて死んだエトワールが次に目が覚めたとき、彼と出会った日に戻っていて……?
──二度目の人生、私を裏切ったあなたを絶対に愛しません。
★小説家になろうさまでも公開中
【完結】ドアマットに気付かない系夫の謝罪は死んだ妻には届かない
堀 和三盆
恋愛
一年にわたる長期出張から戻ると、愛する妻のシェルタが帰らぬ人になっていた。流行病に罹ったらしく、感染を避けるためにと火葬をされて骨になった妻は墓の下。
信じられなかった。
母を責め使用人を責めて暴れ回って、僕は自らの身に降りかかった突然の不幸を嘆いた。まだ、結婚して3年もたっていないというのに……。
そんな中。僕は遺品の整理中に隠すようにして仕舞われていた妻の日記帳を見つけてしまう。愛する妻が最後に何を考えていたのかを知る手段になるかもしれない。そんな軽い気持ちで日記を開いて戦慄した。
日記には妻がこの家に嫁いでから病に倒れるまでの――母や使用人からの壮絶な嫌がらせの数々が綴られていたのだ。
蔑ろにされた王妃と見限られた国王
奏千歌
恋愛
※最初に公開したプロット版はカクヨムで公開しています
国王陛下には愛する女性がいた。
彼女は陛下の初恋の相手で、陛下はずっと彼女を想い続けて、そして大切にしていた。
私は、そんな陛下と結婚した。
国と王家のために、私達は結婚しなければならなかったから、結婚すれば陛下も少しは変わるのではと期待していた。
でも結果は……私の理想を打ち砕くものだった。
そしてもう一つ。
私も陛下も知らないことがあった。
彼女のことを。彼女の正体を。
【掌編集】今までお世話になりました旦那様もお元気で〜妻の残していった離婚受理証明書を握りしめイケメン公爵は涙と鼻水を垂らす
まほりろ
恋愛
新婚初夜に「君を愛してないし、これからも愛するつもりはない」と言ってしまった公爵。
彼は今まで、天才、美男子、完璧な貴公子、ポーカーフェイスが似合う氷の公爵などと言われもてはやされてきた。
しかし新婚初夜に暴言を吐いた女性が、初恋の人で、命の恩人で、伝説の聖女で、妖精の愛し子であったことを知り意気消沈している。
彼の手には元妻が置いていった「離婚受理証明書」が握られていた……。
他掌編七作品収録。
※無断転載を禁止します。
※朗読動画の無断配信も禁止します
「Copyright(C)2023-まほりろ/若松咲良」
某小説サイトに投稿した掌編八作品をこちらに転載しました。
【収録作品】
①「今までお世話になりました旦那様もお元気で〜ポーカーフェイスの似合う天才貴公子と称された公爵は、妻の残していった離婚受理証明書を握りしめ涙と鼻水を垂らす」
②「何をされてもやり返せない臆病な公爵令嬢は、王太子に竜の生贄にされ壊れる。能ある鷹と天才美少女は爪を隠す」
③「運命的な出会いからの即日プロポーズ。婚約破棄された天才錬金術師は新しい恋に生きる!」
④「4月1日10時30分喫茶店ルナ、婚約者は遅れてやってきた〜新聞は星座占いを見る為だけにある訳ではない」
⑤「『お姉様はズルい!』が口癖の双子の弟が現世の婚約者! 前世では弟を立てる事を親に強要され馬鹿の振りをしていましたが、現世では奴とは他人なので天才として実力を充分に発揮したいと思います!」
⑥「婚約破棄をしたいと彼は言った。契約書とおふだにご用心」
⑦「伯爵家に半世紀仕えた老メイドは伯爵親子の罠にハマり無一文で追放される。老メイドを助けたのはポーカーフェイスの美女でした」
⑧「お客様の中に褒め褒めの感想を書ける方はいらっしゃいませんか? 天才美文感想書きVS普通の少女がえんぴつで書いた感想!」
五歳の時から、側にいた
田尾風香
恋愛
五歳。グレースは初めて国王の長男のグリフィンと出会った。
それからというもの、お互いにいがみ合いながらもグレースはグリフィンの側にいた。十六歳に婚約し、十九歳で結婚した。
グリフィンは、初めてグレースと会ってからずっとその姿を追い続けた。十九歳で結婚し、三十二歳で亡くして初めて、グリフィンはグレースへの想いに気付く。
前編グレース視点、後編グリフィン視点です。全二話。後編は来週木曜31日に投稿します。
【完結】初めて嫁ぎ先に行ってみたら、私と同名の妻と嫡男がいました。さて、どうしましょうか?
との
恋愛
「なんかさぁ、おかしな噂聞いたんだけど」
結婚式の時から一度もあった事のない私の夫には、最近子供が産まれたらしい。
夫のストマック辺境伯から領地には来るなと言われていたアナベルだが、流石に放っておくわけにもいかず訪ねてみると、
えっ? アナベルって奥様がここに住んでる。
どう言う事? しかも私が毎月支援していたお金はどこに?
ーーーーーー
完結、予約投稿済みです。
R15は、今回も念の為
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる