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6章
61.目覚め 02
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村の最後を聞かされた。
最初こそ、自分の育った地、良くしてくれた人たちとの別れは、切なく悲しかった……だが、私が精霊使いとして生まれたその瞬間から、悪神の依り代として村に送る込まれる予定であり、子供の頃のコウへの反発で捨てられたのは、ただのキッカケに過ぎなかったのだと言う。
そう言われれば悲しむよりも、自分の存在自体が不安定なものとして感じ、血の気が下がる。
両足の間に私を座らせ背中からスッポリと抱きしめたコウは、私に着せた軍服の襟元を緩めて、首筋をキツク吸ってくる。
「っ……」
何をするのかと睨めば、どこかホッとしたように笑っていた。
「実際、当時のアンセラムは、そこまで怒ってはいなかったし、本来であればアンセラムに対して注意をし、何がいけなかったかを諭すべきだったんだよね」
そう言いながら猊下は、私の頭を撫でる。 私を両足の間に座らせ抱きしめたままのコウは、少しだけ溜息をついてはいるが、撥ね退けるような事はしなかった。 猊下の手は暖かく心が落ち着くもので、私は静かに目をとざす。
「お茶でも入れよう」
「わ、私が!!」
「うちは、男兄弟ばかりだから、妹は前から欲しかったんだよ」
「彼女でも作れよ、バカ兄貴」
「教皇は、光の女神のモノだから……」
少しだけ寂しそうに言いながら、猊下は優雅な姿で紅茶を入れる。
「あ、ありがとう……ございます……」
猊下の美しい姿に、うつむき加減で礼を言えば、コウがわざとらしくも大きな溜息をついた。 それでもコウを頼るように身を寄せれば、そっと抱き寄せてくれる。 抱き寄せてはくれるが……それは何処か複雑そうな顔で、
「オレと兄貴の差はなんだと思う?」
そう猊下本人に聞く始末。
「煌き度?」
と返す猊下に……もしかして、この人は違った意味でヤバい人なのだろうか? と、国の先行きを不安に感じてしまった。
「初対面で、兄貴が憧れの皇子様像だったしな……」
そうコウはいいながら、私がリュウにしていたように私の頬をモニモニとつまんできた。
「これからは理想のお兄ちゃんに成れるように頑張りましょう」
そう言って、ニコニコした猊下に、カットしたフルーツを差し出され、コレはどうすればいいのかと狼狽えコウを見れば、コウがフルーツを口にした。
「アンセラムに、あげた訳ではないんだがね」
「いいんだよ。コレを甘やかすのも、傷つけるのもオレの特権だ」
「確かに、諦めずにずっと探し続け見つけ出した執念深さは感心しますよ」
そう言いながらイチゴを食べる猊下は、静かに微笑み私を見た。
「弟は、ずっとアナタを探していた。 アナタがソバにいなくてもアナタだけを追っていた、ソレを忘れないでください。 さて、私はソロソロ失礼しますね」
そう言って席を立ち、出口らしき扉を開けばそこには人が大勢おり、私は少々ビビり気味にコウの腕の中に隠れようとした。
1人の青年が代表して口を開いた。
「あ~~~、殿下! 今日はコレで上がってくれていいですよ。 殿下の気分でこちらの体調が左右されるのでは、何をするにも非効率ですからね!!」
嫌味交じりの言葉だが、その声はただ喜びに溢れているようだった。 何がそんなに嬉しいのだろうか? そんな風に考えコウを見れば、私を抱きかかえて立ち上がる。
「な、なに?」
「いや、折角部下から、思う存分やってこいと言われたからな」
「そんな言葉、私は聞いてない!?」
「ソレは、変だな?」
コウは意地悪そうに笑っていた。
最初こそ、自分の育った地、良くしてくれた人たちとの別れは、切なく悲しかった……だが、私が精霊使いとして生まれたその瞬間から、悪神の依り代として村に送る込まれる予定であり、子供の頃のコウへの反発で捨てられたのは、ただのキッカケに過ぎなかったのだと言う。
そう言われれば悲しむよりも、自分の存在自体が不安定なものとして感じ、血の気が下がる。
両足の間に私を座らせ背中からスッポリと抱きしめたコウは、私に着せた軍服の襟元を緩めて、首筋をキツク吸ってくる。
「っ……」
何をするのかと睨めば、どこかホッとしたように笑っていた。
「実際、当時のアンセラムは、そこまで怒ってはいなかったし、本来であればアンセラムに対して注意をし、何がいけなかったかを諭すべきだったんだよね」
そう言いながら猊下は、私の頭を撫でる。 私を両足の間に座らせ抱きしめたままのコウは、少しだけ溜息をついてはいるが、撥ね退けるような事はしなかった。 猊下の手は暖かく心が落ち着くもので、私は静かに目をとざす。
「お茶でも入れよう」
「わ、私が!!」
「うちは、男兄弟ばかりだから、妹は前から欲しかったんだよ」
「彼女でも作れよ、バカ兄貴」
「教皇は、光の女神のモノだから……」
少しだけ寂しそうに言いながら、猊下は優雅な姿で紅茶を入れる。
「あ、ありがとう……ございます……」
猊下の美しい姿に、うつむき加減で礼を言えば、コウがわざとらしくも大きな溜息をついた。 それでもコウを頼るように身を寄せれば、そっと抱き寄せてくれる。 抱き寄せてはくれるが……それは何処か複雑そうな顔で、
「オレと兄貴の差はなんだと思う?」
そう猊下本人に聞く始末。
「煌き度?」
と返す猊下に……もしかして、この人は違った意味でヤバい人なのだろうか? と、国の先行きを不安に感じてしまった。
「初対面で、兄貴が憧れの皇子様像だったしな……」
そうコウはいいながら、私がリュウにしていたように私の頬をモニモニとつまんできた。
「これからは理想のお兄ちゃんに成れるように頑張りましょう」
そう言って、ニコニコした猊下に、カットしたフルーツを差し出され、コレはどうすればいいのかと狼狽えコウを見れば、コウがフルーツを口にした。
「アンセラムに、あげた訳ではないんだがね」
「いいんだよ。コレを甘やかすのも、傷つけるのもオレの特権だ」
「確かに、諦めずにずっと探し続け見つけ出した執念深さは感心しますよ」
そう言いながらイチゴを食べる猊下は、静かに微笑み私を見た。
「弟は、ずっとアナタを探していた。 アナタがソバにいなくてもアナタだけを追っていた、ソレを忘れないでください。 さて、私はソロソロ失礼しますね」
そう言って席を立ち、出口らしき扉を開けばそこには人が大勢おり、私は少々ビビり気味にコウの腕の中に隠れようとした。
1人の青年が代表して口を開いた。
「あ~~~、殿下! 今日はコレで上がってくれていいですよ。 殿下の気分でこちらの体調が左右されるのでは、何をするにも非効率ですからね!!」
嫌味交じりの言葉だが、その声はただ喜びに溢れているようだった。 何がそんなに嬉しいのだろうか? そんな風に考えコウを見れば、私を抱きかかえて立ち上がる。
「な、なに?」
「いや、折角部下から、思う存分やってこいと言われたからな」
「そんな言葉、私は聞いてない!?」
「ソレは、変だな?」
コウは意地悪そうに笑っていた。
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