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2章 薔薇乙女の乱
14.うっとうしい日常
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医局会議をサボった私シヴィルは、食事を終え温室へと向かった。
全て開け放たれている温室の窓を見て、シヴィルは溜息をつく。
広い温室の窓は開くだけでも大変で、力のないシヴィルにとってはそれだけでも重労働であるのだが、窓を開けてくれただろう相手を思えば気が重くなって、再び溜息がこぼれでる。
それでも、自分の温室なのだと歩みを早める。
開かれたままの扉。
そこをくぐると同時に声がかけられた。
「おはようございます!!」
声をかけてきた相手は、甲高い声の少年。 に見えるが、19歳と言う年齢を考えれば青年と言う方が正確である。
戦争を終えた騎士達の多くは王宮内での雇用を望んだ。 彼等の多くは、当主や次期当主に何らかの不都合があった場合のスペアであるため、長男ほどではないが彼等もまた十分な教育を受けている。
はず……。
だが、王宮勤めを望んだ大半は、警護を望んだという。 警備ばかりが増えても税金の無駄と、各部隊の隊長が推薦を行い各部署に配属が行われることとなった。
そして、私の元にも3名が配属されてきた。
「おはよう。 ズイブン、早い時間から頑張っていますね」
彼が手にしている紙の束は、薬草図鑑を自ら書き写したものらしく、その精密さを見れば彼の几帳面さを感じ取る事ができる。
「はい、今日は気温が高くなりそうでしたので」
キビキビとした姿勢や動き、仕事への前向きさなど誰もが好感を持つだろう。 現に今まで手つだいをしてくれていた庭師からの評価も高い。 だけど……常に側に人がいるって落ち着かない。 そのうえ、教育まで行わなければいけないのだから、仕事が減るどころか今のところ仕事が増えるばかりなのだ。
正直……面倒……。
こんなんだから、友達の1人もできないのよね……。
少しだけ切なくなりつつも、そんな思いを顔に一切出さず微笑んでいた。
「ありがとう。 助かりますわ」
青年いや弟子1号は頬を赤らめていた。 そんな1号の横をそそくさと通り過ぎ、私は作業へと入る。 気温と湿度の確認、土の具合、葉に病がないか? 虫やカビは発生していないか? それらを目で見て、手で触れる。
弟子一号が横に来て立つから、私は心の中で「面倒」と呟きながらも、植物に対する湿度、温度、株分けの際に作業が適切でない場合、どのような病が発生するか? 気を付けるべき虫にどんなものがあるかを説明する。
弟子は他に2人いるのだが、彼等は気が向いたときに顔を出しすぐに帰っていく。 ここは学校ではないし、必要があって補充した人員でもない……訳ではないが……、嫌な者に強制しても仕方がない。 ただ私は、月に1度適正な評価を下し人事に提出するだけである。
「シヴィ!!」
入口の方から、必要のない大音量で声がかけられた。
「なんですか、落ち着きのない人ですね」
不満を口にする私とは別に、1号は顔色悪く「うわぁあああ」と後ずさった勢いで、株分け中の棚にぶつかれば、棚が倒れ駆け、1号の背に重く伸し掛かることで中身がなんとか飛び出さずにすんだ。 慌てて、その場から移動しようとする1号に私は叱咤する。
「動くな!!」
口が悪いが必死だったのだから、許されるはずですよね?
シヴィルも必死に棚を抑えるが、丈夫に作っただけあってかなり重い。 ズリズリと負けそうになれば、アッサリとソレを押し戻すパーシヴァル。
「情けないぞ、この程度支えきれないで」
「閣下!! アナタが大声で驚かすからでしょう!」
「ぇ? 俺が悪かったのか?」
問われた1号は、顔色悪いままで首を横にぶんぶんと振り、座り込んでいたお尻を上げることなくズリズリ移動したかと思うと1m程離れたところで立ち上がり逃げて行った。
「知り合いですか?」
「いや、記憶にはない」
「ですよね……」
同意したのは、彼の年齢がまだ19歳と若いため。 騎士学園卒業後1.2年で、閣下の率いる隊に入る実力があるなら、アチコチでにぎわっている令嬢達の噂話の1つや2つ耳にすることがあるだろう。
「ふむ、名前は?」
「弟子1号?」
「……」
呆れた顔で見てくるから、視線を背けて私は言う。
「いずれ野に返す動物に、名をつければ情が移ります」
にっこりと微笑み正当性を押し付ける。
「……俺の名は?」
「馬鹿ですか?」
「うん、まぁ馬鹿でいいから」
プライド何処に落としてきたのでしょうか?
「パーシヴァル・フォン・ヘルムート伯爵」
「周囲には、なんて呼ばれている?」
「頭、大丈夫ですか?」
「大丈夫だ」
「ヴァル」
「もう1度」
「なんですか! 本当に面倒な人ですね。 ヴァル!」
ムッとしながら言っているのに、ヘラリと閣下の表情が緩んだ。
「でも、折角呼ばれるなら、シヴィだけの呼び方っても悪くないかもな……」
うんうんと頷き独り言を語る。
「馬鹿?」
最近では、閣下の次に多い呼び方である。
「それは、名ではないから大勢が振り向くぞ?」
「いえ、そういう問題ではないと思いますが? それよりも閣下、大工仕事ってできますか?」
「ちょっと余りできる気がしないな」
「知っているんですよ。 私がお世話になる以前、屋敷の雨漏りとかを修理していたこと」
「そうか、知っているのか~。 なら仕方がない。 シヴィだけの名で呼んでくれたら、大工仕事だろうが、畑仕事だろうが、繕い物だろうがしてやる」
便利だとか嬉しいとか、考えたのは秘密である……が、それよりも棚だ。 倒れこんだとき、どんなぶつかり方をしたのか? ぐらぐらしている。
「う~ん、パーシィ?」
「なぜ、名を呼ぶのに疑問形なんだ」
「なんとなく……」
「それに、お願いとつけて、はいもう1度」
「人をオモチャにして遊ばないでくれません?」
「俺の幸せのためだ」
私は肩を竦める。
わけわかんない。 が、そんな簡単なことで庭師を呼ぶ労力を省くことができるなら、まぁいいですけど……。
「お願いしますわ、パーシィ」
「よしよし」
満足そうにする顔に呆れながら見上げる私の頭を撫でる。
「髪が乱れるのでやめてください」
「了解した」
「だからって、何故!! 頬を撫でるんですか!!」
「あ~~~ん~~~理由か、そうか、理由があればいいのか……なら、兄だから?」
「大人は、兄妹であったとしても、そんなことをしません!!」
「ほかに兄妹もいないのに? なぜわかるんだ?」
「……そうですけど……」
「なら、見えないところで、兄と妹というものは、そうなのかもしれないじゃないか。 それより大工道具は?」
「……そこのロッカーの中ですけど……」
「よしよし、拗ねた顔も可愛いぞ」
「パーシィは、きっと兄としてかなりウザい部類に入ると思いますわ」
「ウザくて結構だ。 シヴィ、騎士達が配属される際には、資料が配布されていると思うんだが?」
「えぇ、月提出の評価表と共に頂いております」
「ソレを持ってきてくれ」
「何か?」
「用心だ」
そういいながら、棚の中身を床に並べ置き。 年若い騎士と2人で立て直すのも大変だった棚を、パーシヴァルはやすやすと片手で温室の外に運び出す。 そんな姿を眺め、私はわざとらしく溜息をつく。
「馬鹿力」
うっとうしい日常に、シヴィルは小さく笑う。
全て開け放たれている温室の窓を見て、シヴィルは溜息をつく。
広い温室の窓は開くだけでも大変で、力のないシヴィルにとってはそれだけでも重労働であるのだが、窓を開けてくれただろう相手を思えば気が重くなって、再び溜息がこぼれでる。
それでも、自分の温室なのだと歩みを早める。
開かれたままの扉。
そこをくぐると同時に声がかけられた。
「おはようございます!!」
声をかけてきた相手は、甲高い声の少年。 に見えるが、19歳と言う年齢を考えれば青年と言う方が正確である。
戦争を終えた騎士達の多くは王宮内での雇用を望んだ。 彼等の多くは、当主や次期当主に何らかの不都合があった場合のスペアであるため、長男ほどではないが彼等もまた十分な教育を受けている。
はず……。
だが、王宮勤めを望んだ大半は、警護を望んだという。 警備ばかりが増えても税金の無駄と、各部隊の隊長が推薦を行い各部署に配属が行われることとなった。
そして、私の元にも3名が配属されてきた。
「おはよう。 ズイブン、早い時間から頑張っていますね」
彼が手にしている紙の束は、薬草図鑑を自ら書き写したものらしく、その精密さを見れば彼の几帳面さを感じ取る事ができる。
「はい、今日は気温が高くなりそうでしたので」
キビキビとした姿勢や動き、仕事への前向きさなど誰もが好感を持つだろう。 現に今まで手つだいをしてくれていた庭師からの評価も高い。 だけど……常に側に人がいるって落ち着かない。 そのうえ、教育まで行わなければいけないのだから、仕事が減るどころか今のところ仕事が増えるばかりなのだ。
正直……面倒……。
こんなんだから、友達の1人もできないのよね……。
少しだけ切なくなりつつも、そんな思いを顔に一切出さず微笑んでいた。
「ありがとう。 助かりますわ」
青年いや弟子1号は頬を赤らめていた。 そんな1号の横をそそくさと通り過ぎ、私は作業へと入る。 気温と湿度の確認、土の具合、葉に病がないか? 虫やカビは発生していないか? それらを目で見て、手で触れる。
弟子一号が横に来て立つから、私は心の中で「面倒」と呟きながらも、植物に対する湿度、温度、株分けの際に作業が適切でない場合、どのような病が発生するか? 気を付けるべき虫にどんなものがあるかを説明する。
弟子は他に2人いるのだが、彼等は気が向いたときに顔を出しすぐに帰っていく。 ここは学校ではないし、必要があって補充した人員でもない……訳ではないが……、嫌な者に強制しても仕方がない。 ただ私は、月に1度適正な評価を下し人事に提出するだけである。
「シヴィ!!」
入口の方から、必要のない大音量で声がかけられた。
「なんですか、落ち着きのない人ですね」
不満を口にする私とは別に、1号は顔色悪く「うわぁあああ」と後ずさった勢いで、株分け中の棚にぶつかれば、棚が倒れ駆け、1号の背に重く伸し掛かることで中身がなんとか飛び出さずにすんだ。 慌てて、その場から移動しようとする1号に私は叱咤する。
「動くな!!」
口が悪いが必死だったのだから、許されるはずですよね?
シヴィルも必死に棚を抑えるが、丈夫に作っただけあってかなり重い。 ズリズリと負けそうになれば、アッサリとソレを押し戻すパーシヴァル。
「情けないぞ、この程度支えきれないで」
「閣下!! アナタが大声で驚かすからでしょう!」
「ぇ? 俺が悪かったのか?」
問われた1号は、顔色悪いままで首を横にぶんぶんと振り、座り込んでいたお尻を上げることなくズリズリ移動したかと思うと1m程離れたところで立ち上がり逃げて行った。
「知り合いですか?」
「いや、記憶にはない」
「ですよね……」
同意したのは、彼の年齢がまだ19歳と若いため。 騎士学園卒業後1.2年で、閣下の率いる隊に入る実力があるなら、アチコチでにぎわっている令嬢達の噂話の1つや2つ耳にすることがあるだろう。
「ふむ、名前は?」
「弟子1号?」
「……」
呆れた顔で見てくるから、視線を背けて私は言う。
「いずれ野に返す動物に、名をつければ情が移ります」
にっこりと微笑み正当性を押し付ける。
「……俺の名は?」
「馬鹿ですか?」
「うん、まぁ馬鹿でいいから」
プライド何処に落としてきたのでしょうか?
「パーシヴァル・フォン・ヘルムート伯爵」
「周囲には、なんて呼ばれている?」
「頭、大丈夫ですか?」
「大丈夫だ」
「ヴァル」
「もう1度」
「なんですか! 本当に面倒な人ですね。 ヴァル!」
ムッとしながら言っているのに、ヘラリと閣下の表情が緩んだ。
「でも、折角呼ばれるなら、シヴィだけの呼び方っても悪くないかもな……」
うんうんと頷き独り言を語る。
「馬鹿?」
最近では、閣下の次に多い呼び方である。
「それは、名ではないから大勢が振り向くぞ?」
「いえ、そういう問題ではないと思いますが? それよりも閣下、大工仕事ってできますか?」
「ちょっと余りできる気がしないな」
「知っているんですよ。 私がお世話になる以前、屋敷の雨漏りとかを修理していたこと」
「そうか、知っているのか~。 なら仕方がない。 シヴィだけの名で呼んでくれたら、大工仕事だろうが、畑仕事だろうが、繕い物だろうがしてやる」
便利だとか嬉しいとか、考えたのは秘密である……が、それよりも棚だ。 倒れこんだとき、どんなぶつかり方をしたのか? ぐらぐらしている。
「う~ん、パーシィ?」
「なぜ、名を呼ぶのに疑問形なんだ」
「なんとなく……」
「それに、お願いとつけて、はいもう1度」
「人をオモチャにして遊ばないでくれません?」
「俺の幸せのためだ」
私は肩を竦める。
わけわかんない。 が、そんな簡単なことで庭師を呼ぶ労力を省くことができるなら、まぁいいですけど……。
「お願いしますわ、パーシィ」
「よしよし」
満足そうにする顔に呆れながら見上げる私の頭を撫でる。
「髪が乱れるのでやめてください」
「了解した」
「だからって、何故!! 頬を撫でるんですか!!」
「あ~~~ん~~~理由か、そうか、理由があればいいのか……なら、兄だから?」
「大人は、兄妹であったとしても、そんなことをしません!!」
「ほかに兄妹もいないのに? なぜわかるんだ?」
「……そうですけど……」
「なら、見えないところで、兄と妹というものは、そうなのかもしれないじゃないか。 それより大工道具は?」
「……そこのロッカーの中ですけど……」
「よしよし、拗ねた顔も可愛いぞ」
「パーシィは、きっと兄としてかなりウザい部類に入ると思いますわ」
「ウザくて結構だ。 シヴィ、騎士達が配属される際には、資料が配布されていると思うんだが?」
「えぇ、月提出の評価表と共に頂いております」
「ソレを持ってきてくれ」
「何か?」
「用心だ」
そういいながら、棚の中身を床に並べ置き。 年若い騎士と2人で立て直すのも大変だった棚を、パーシヴァルはやすやすと片手で温室の外に運び出す。 そんな姿を眺め、私はわざとらしく溜息をつく。
「馬鹿力」
うっとうしい日常に、シヴィルは小さく笑う。
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