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3章 罪、罰、お仕置き、そして恩賞

74.お仕置き 07

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 快楽や、甘い雰囲気に流されたのでは? と言われれば、昨日までの私を振り返れば、あるのかな? と思ってしまう。 それでも、会いに来てくれないからとか、婚約者がいるからとか、そんな理由で好きでは無いと言っていただけ、恰好悪く嫉妬して幸福を願えない自分が醜くて嫌だっただけ。

 積み重ねてきた関係は本物だから……。

「んっ、好き、好きなの……」

 甘い喘ぎの中に、愛の言葉が混ざれば、優しい口づけが交わされる。

「私も好きです。 愛しています」

 だからと言って、身体を追い立ててくる責めが収まった訳ではなく、セシルの右手は両足の間にあてがわれ、快楽の蕾を指の腹で刺激し続けてきている。

「ぁ、っん……ふぁあ」

 溢れ出る蜜を指先ですくい取り、濡れた指で蕾が滑らかな動きで撫でられる。 指先でつままれ押さえつけられるから、お腹の奥がヒクヒクと痙攣してしまう。

「もう、ダメ、いっちゃた、もう、いっちゃったの」

「まだ、沢山イキたいのでしょう? 私の可愛い人」

 甘く耳元で囁かれ、それだけで絶頂を迎えそうになる。 胸が張りつめ、身体が快楽を求めている。

「ぁ、いや、オカシクなりそうだよ」

「いいですよ。 好きなだけオカシクおなりなさい」

 舌先で乳首を舐め、唇で摘まみ上げ、チュッと吸い上げる。 左手は愛おしそうに優しい手つきで撫でてくれるから、私はその手に縋るように身を寄せてしまう。

 触れられてもいないのに蜜が溢れ出る中は、耐えがたい熱を持ち、与えられる快楽に絶頂を迎え、中がキュッと収縮し、それがまた快楽を促していく。

「なか、ツライよぉお」

「ここですか?」

 そっと秘部を撫でられれば、それだけで水音が響く。

「ぁっ」

 期待……。

 お仕置きと言う名目で与えられた快楽を思い出し、身が震えた。

「お願い、早く、中……イジメて」

 涙を流し縋るように言えば、口づけで涙をぬぐいとり切なく甘やかす。

「仕方のない子ですねぇ」

 ぬちゅりと音を立てて、指が中に入れられた。 それだけで、腰が浮き、背筋が弓反りになり、声にならない悲鳴が上がる。 指が熱を持った蜜壺を刺激するたびに、淫らな音が鳴り響く、蜜が溢れてくる。

 熱い、熱い、熱いよぉ……。

「助けて、中の熱が収まらないの。 もっと奥まで、乱暴にして」

「いけない子です」

 セシルの熱のこもった声が、色っぽくて、好きと言って欲しくて、好き好きと必死に縋りついてしまう。

「こんなに乱れて、いやらしい、いけない子には、またお仕置きが必要なようですね」

 首をブンブン横に振る。

「お仕置き、ちがう……ご褒美、なの。 いい子は、ごほうび、もらえるの」

 不思議な笑い方だった。

「そう、ですね。 ご褒美をあげないと……いけませんね。 沢山、奥までイジメてあげますよ」

 色気を放つ声色は、ゾクゾクとする程に魅惑的だった。

「お願い、欲しいの。 ソレを私の中に……奥深くに、頂戴」

 蜜に濡れた入り口が、イチモツの先端で撫でられれば、それだけで期待でお腹の奥がキュンキュンした。

 濡れ蕩けた中に先端が押し当てられ、十分に温めほぐされた入口へと入り込んでくる。 

「ぁっ」

 白い肌は桃色に染まり、荒く熱い呼吸は短く繰り返され、甘く潤んだ瞳は縋るように、傾国をもたらす妖艶さにも、無邪気な幼子にも見える微笑みをセシルに向ければ、

「あぁ……」

 吐息のような囁きが天井を仰いだセシルの口からこぼされた。

 どうしたのだろうと不安に思った瞬間、凶悪に笑う金の瞳がサーシャを見つめ、熱を持ち蜜に潤った粘膜を擦り、中を一気に貫いてきた。 太く硬い熱の塊を奥深くまで味わうように、セシルがサーシャの腰を掴み引き寄せる。

「ぁっ、ああぁぁ」

 深く深く勢いのままに突き入れられれば、微かな痛みがあったが、それも僅かの間。 触れあう熱と熱が快楽となっていく。 最奥が乱暴に叩かれ熱が刺激される。 広げられる圧力に独占欲のようなものが満たされる。

 幸福

 そして……、

 快楽

 長く触れあえなかった期間の寂しさが埋められた安堵に、ポロポロと涙が流れた。

「辛いですか?」

 そうセシルが言うから、私は首を横に振る。

「違う、嬉しいの……」

 寂しかったと言えば、嫌味になるだろうか? そう思えば、ただ縋りつき、濡れた瞳で求めた。

「お願い、もっと……」

 きゅっと抱きしめられれば、熱を帯びた中がより強く刺激され、電流が流れたかのような快楽にセシルに縋りついた。

 セシルは、サーシャの声に浮かれ熱を持ったように甘く切なく囁く。

「サーシャ、サーシャ……可愛い子。 私の宝」

 ずっと涙を浮かべている紫色の瞳が切なげにセシルを見つめれば、セシルは苦しそうに眉間を寄せている。 そんな頬に手を触れようとすれば、手が掴まれ甘い口づけがなされた。 かと思えば、次の瞬間には欲が暴走したかのように、サーシャの中をセシルは容赦なく打ち付けてくる。

 痛み、快楽、一点に与えられたソレが、身体に波のように広がっていき、絶頂を繰り返す。

「ぁ、あんっ、あぁ、セシル、セシル、もう、ダメ」

「ダメじゃないでしょう。 こんなに締め付けて私を求めてくる癖に」

 幾度も無く擦られ、肉が打ち合い、淫らな音が鳴り響き、快楽に揺さぶられ、泣声交じりの甘い喘ぎが零れ落ちる。

「ぁ、ぁあ、あんんっ」

「なんて可愛いのでしょう。 もっと、もっと、その声を聴かせてください……」

 遠慮等欠片もなく、ただ欲望のままに、快楽を欲するままに打ち付けられる腰は、徐々に速度を増し、やがて一気に中を占める密度が増し、そしてセシルが色香溢れる呻きを漏らすと同時に、奥深くに熱い熱が注ぎ込まれた。 

 心も身体も満足そうに、うとうと微睡へと落ちようとすれば、身体を抱きしめる手が新たな刺激を与えてくる。

「ぇ?」

「まさか……一度で終わりだなんて思っていませんよね?」

「へっ?」

 身体をずらし、未だ身体を繋ぎ合わせている部分を逃げるように抜こうとすれば、抱き起こされ、抱きしめられ、膝の上に座らせられ、自重で奥深くまで咥えこむものがあった……。 ソレは硬くて大きくて、中を圧迫してくる。

「な、んで?」

「ずっと、長い間、我慢していたのですから、1回で終わる訳ありませんよ」

 ニッコリと微笑まれ、体力の限界まで快楽を与え続けられながら、夜は静かに更けて行く。
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