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04.諦めと胸の痛み 02
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私が何時どのような状況で愛妾のことを知ったのか? 想像もしないままサリオン様は、愛妾を持たれると言う話を続けます。 野生に欠ける方ではありますが、私に逃げられては不味いことぐらいは理解できるほど、愚鈍ではないと言うのが厄介と言うものです。
「そうですか……知っていたのですね。 ですが丁度いい。 アナタが気を落とすのではと、どのように伝えようかと悩んでいたのですよ。 ですが、賢いアナタなら理解できますよね? 皇家に嫁いだ以上、夫が愛妾を持つ事は覚悟なさっていないはずありませんよね?」
そう言うものだ。 そうでなければオカシイとばかりに彼は言うが、皇帝陛下ともあれば子を残すために数人の側室を持つが、現状は皇妃のみ。 そして、皇子達の多くが妻は1人としている。
だけど私は逆らわない。 逆らっても意味が無い事を知っているから。
「存じております」
「変に気を使ってしまったことで、アナタに誤解を与えてしまったようですね。 申し訳ありませんでした」
何が誤解で、何が正しいのかを語る事もなく、彼は話をまとめ終えようとしていた。
サリオン様は、悲しそうに金色の長い睫毛を伏せながら、切ない光を放つ空色の瞳を私に向けてきて、聞いてはならない話を聞いていた私は、そっと視線を伏せました。
「お気になさらないでください」
もう愛しておりませんから。 そんな言葉を心に隠しポソリと呟く。
「やはり、怒っておいでなのですね……」
サリオン様は、私の頬をスリスリと撫でながら、まるで愛おしい存在を見つめるかのように見下ろしていました。 ですが、決してそんな事が無い事は知っております。
「いえ、覚悟をしていただけですわ」
このままでは、延々と同じやり取りが繰り返されると、私は、下手くそな愛想笑いをサリオン様に向ける。
サリオン様曰く、その表情が、愛しているからこそ苦難を耐えていると悲劇ぶっていて嫌いなのらしいが、その表情をすれば何時も満足そうに引き下がるのです。
「あぁ、やはり、アナタは賢い方だ。 愛しておりますよ。 ラケシス」
サリオン様は頬に軽く口づける……ふりをする。 チュッと音だけの口づけは、決して触れてはいない。
妻となり8年、頬に触れ、髪に触れ、手に触れ……首に触れるぐらいはしますが、それ以上私に触れる時は、私が意思に沿わぬ発言や行動をしたとき。 暴力で支配できるのだと私を脅そうとするときだけ……。
離縁を申し出ないのは、現状ではソレが無理だと知っているから。
「サリオン様、陛下から命じられた仕事を終え次第、南方の療養地に向かわせて頂きますので、仕事に戻らせて頂いてよろしいですか?」
遠まわしに部屋から出て行けと言えば、素っ気ない私の口ぶりが気に入らないらしく、何かを言おうと考えている様子がうかがえました。 ですが、彼の言う悲劇ぶった笑みを浮かべて涙に瞳を潤ませれば、彼は満足そうに歪んだ笑みを浮かべ、そして思いやりのある言葉と共に去っていきました。
「余り無理をするのはいけないよ?」
「そうですか……知っていたのですね。 ですが丁度いい。 アナタが気を落とすのではと、どのように伝えようかと悩んでいたのですよ。 ですが、賢いアナタなら理解できますよね? 皇家に嫁いだ以上、夫が愛妾を持つ事は覚悟なさっていないはずありませんよね?」
そう言うものだ。 そうでなければオカシイとばかりに彼は言うが、皇帝陛下ともあれば子を残すために数人の側室を持つが、現状は皇妃のみ。 そして、皇子達の多くが妻は1人としている。
だけど私は逆らわない。 逆らっても意味が無い事を知っているから。
「存じております」
「変に気を使ってしまったことで、アナタに誤解を与えてしまったようですね。 申し訳ありませんでした」
何が誤解で、何が正しいのかを語る事もなく、彼は話をまとめ終えようとしていた。
サリオン様は、悲しそうに金色の長い睫毛を伏せながら、切ない光を放つ空色の瞳を私に向けてきて、聞いてはならない話を聞いていた私は、そっと視線を伏せました。
「お気になさらないでください」
もう愛しておりませんから。 そんな言葉を心に隠しポソリと呟く。
「やはり、怒っておいでなのですね……」
サリオン様は、私の頬をスリスリと撫でながら、まるで愛おしい存在を見つめるかのように見下ろしていました。 ですが、決してそんな事が無い事は知っております。
「いえ、覚悟をしていただけですわ」
このままでは、延々と同じやり取りが繰り返されると、私は、下手くそな愛想笑いをサリオン様に向ける。
サリオン様曰く、その表情が、愛しているからこそ苦難を耐えていると悲劇ぶっていて嫌いなのらしいが、その表情をすれば何時も満足そうに引き下がるのです。
「あぁ、やはり、アナタは賢い方だ。 愛しておりますよ。 ラケシス」
サリオン様は頬に軽く口づける……ふりをする。 チュッと音だけの口づけは、決して触れてはいない。
妻となり8年、頬に触れ、髪に触れ、手に触れ……首に触れるぐらいはしますが、それ以上私に触れる時は、私が意思に沿わぬ発言や行動をしたとき。 暴力で支配できるのだと私を脅そうとするときだけ……。
離縁を申し出ないのは、現状ではソレが無理だと知っているから。
「サリオン様、陛下から命じられた仕事を終え次第、南方の療養地に向かわせて頂きますので、仕事に戻らせて頂いてよろしいですか?」
遠まわしに部屋から出て行けと言えば、素っ気ない私の口ぶりが気に入らないらしく、何かを言おうと考えている様子がうかがえました。 ですが、彼の言う悲劇ぶった笑みを浮かべて涙に瞳を潤ませれば、彼は満足そうに歪んだ笑みを浮かべ、そして思いやりのある言葉と共に去っていきました。
「余り無理をするのはいけないよ?」
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