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30.魔物達の食事事情 02
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「……食べたい?」
『はい、食べとうございます』
「なら、いいよ」
小鳥魔物達がビスケットをチビチビと啄みだす。
『とても、美味しゅうございます』
『こう、力が沸きあがりますな』
『白姫様のスピードに追い付けた我らは得をしましたぞ』
私が首を傾げれば、
『姫様の思いがこもった菓子がまずい訳ありません』
「そっか、アナタ達って人間と食べると言う意味が違うから」
『で、ございます。 私共にはとても美味しゅうございますが、その……もしかして焦げるのは力の込めすぎなのではないでしょうか? こう……ビスケットが沸き上がる活力で燃えやすい的な?』
「……それは、もう料理なのかなぁ? 私って料理を作って良い類の人間じゃないかも」
『姫様!! 白姫様逃げてください!』
遠くから声と共に、ガサガサと森の木々の葉が揺れる音が聞こえた。
『ちゅん!!』
『ちゅぴっ』
危機的なそんな感じの声と羽音、軽い衝突音が聞こえ、声の方向へと向かおうとすれば、小さい姿で必死に私の服やら髪を引っ張り引き留める。
『我々が、気を逸らしますのでお逃げくださっ!』
全てを言い終える前に、馬ほどのサイズの白い狼が現れた。 目が爛々と赤く光り、魔物の本性を剥き出しにしている。
『姫様』
『白姫様』
ちゅぴちゅぴ鳴きながら集まる小型達。 そんな彼等を見向きもしないソレに安堵した。 相手は中型、大型まで進化手前というほどだろうか? 小型なんて丸のみされて終わりなのだから、そちらに注意が向けられれば助けることも出来ないだろう。
私は、そんな狼魔物にビスケットを投げた。
「ぁ、上手く投げれなかった……」
少し、いや、かなり右に逸れたのだが、狼はビスケットを追い動いた。
「上手く反応してくれている……」
魔物が赤い目を光らせている時の大半は、感情的になり時に正気を失っている。 自分を偽れなくなっている、偽る気がなく自らを開放している。 そんな感じ。
ビスケットを1つ食べて目の光が収まった。
ビスケットをもう1つ手にとって、右左と左右に揺らしてみれば、大きな狼の身体がビスケットを追って左右に揺れる。 距離を置いているあたり、怖がらせないよう気遣いをしているのでしょうか?
思い切り投げたら、ビスケットを追って走って行って、上を向いてゴクンと飲み込み、走り戻って来る。
「襲ってこないけど、あれって、正気?」
小鳥魔物の1羽が答える。
『いえ、白姫様よりもビスケットの方が、我々には美味しそうに見えるんです』
「そっかぁ、君たちは私を美味しそうって見ているのかぁ」
『い、いえ、そんな……』
ぴちゅぴちゅ、鳥の振りをして誤魔化しだす。
戻ってきた大きな狼は、伏せて見せ、尻尾を振り振りしていた。 私はビスケットを地面の上に置いて、
「待て」
そう言った私は、その場から走り離れた。
狼は、はぁはぁと荒い息を上げ尻尾をかわらずゆらゆらさせ、ヨダレを垂らしている。
「よし」
「わんっ」
犬の振りを続けるらしい。 いや、大きさ的に無理ですし?
手の上にビスケットを乗せて見せれば、ユックリと近寄ってくる。
『白姫様、危険です!!』
狼は、すんすんと匂いを嗅いで、上手にビスケットだけを取って食べた。
「正気になった」
『助かった』
「失敗ビスケットで良ければ、まだあるけど、食べる?」
『いただけるのは、ありがたいが……俺は礼になるようなものと言えば、俺自身しかない。 もし君が認めてくれるなら、君を守る誓いをたてたいのだが』
『ダメ!!』
『姫様、ダメ!』
『チビども、邪魔をすると食うぞ』
ガウッと小鳥たちに威嚇すれば、小鳥たちは私の後ろに隠れた。 さっきまで逃げろと言っていた癖にと私は苦笑する。
「乱暴者は嫌い」
『済まない……』
尻尾をふりふり、お座り状態の大神にビスケットを追加で与えて考え込む。
「それって、何かいいことある?」
『誓約の深さにもよるが……望むなら、嬢ちゃんの影に潜み、嬢ちゃんのために生き、望みを叶える』
「それって重っ」
『軽いのでいうと……人間の雇用契約? 次は、そうだな……恋人契約のような? 次に行くと生涯の誓いここになると、力の共有が行われる』
パタパタと尻尾を振る。
「愛がなくとも結婚しようとかいいそう」
『嬢ちゃんには、それだけの価値がある』
私が肩を竦めたその瞬間、私の中の影が動き狼を蹴り飛ばした。
『うちの子に、触んじゃない!!』
きゃいんきゃいんと犬らしい声をあげて、凄い勢いで吹っ飛んでいったのだけど……、私は自分の影から出現した人を見て首をかしげた。
「誰?」
『はい、食べとうございます』
「なら、いいよ」
小鳥魔物達がビスケットをチビチビと啄みだす。
『とても、美味しゅうございます』
『こう、力が沸きあがりますな』
『白姫様のスピードに追い付けた我らは得をしましたぞ』
私が首を傾げれば、
『姫様の思いがこもった菓子がまずい訳ありません』
「そっか、アナタ達って人間と食べると言う意味が違うから」
『で、ございます。 私共にはとても美味しゅうございますが、その……もしかして焦げるのは力の込めすぎなのではないでしょうか? こう……ビスケットが沸き上がる活力で燃えやすい的な?』
「……それは、もう料理なのかなぁ? 私って料理を作って良い類の人間じゃないかも」
『姫様!! 白姫様逃げてください!』
遠くから声と共に、ガサガサと森の木々の葉が揺れる音が聞こえた。
『ちゅん!!』
『ちゅぴっ』
危機的なそんな感じの声と羽音、軽い衝突音が聞こえ、声の方向へと向かおうとすれば、小さい姿で必死に私の服やら髪を引っ張り引き留める。
『我々が、気を逸らしますのでお逃げくださっ!』
全てを言い終える前に、馬ほどのサイズの白い狼が現れた。 目が爛々と赤く光り、魔物の本性を剥き出しにしている。
『姫様』
『白姫様』
ちゅぴちゅぴ鳴きながら集まる小型達。 そんな彼等を見向きもしないソレに安堵した。 相手は中型、大型まで進化手前というほどだろうか? 小型なんて丸のみされて終わりなのだから、そちらに注意が向けられれば助けることも出来ないだろう。
私は、そんな狼魔物にビスケットを投げた。
「ぁ、上手く投げれなかった……」
少し、いや、かなり右に逸れたのだが、狼はビスケットを追い動いた。
「上手く反応してくれている……」
魔物が赤い目を光らせている時の大半は、感情的になり時に正気を失っている。 自分を偽れなくなっている、偽る気がなく自らを開放している。 そんな感じ。
ビスケットを1つ食べて目の光が収まった。
ビスケットをもう1つ手にとって、右左と左右に揺らしてみれば、大きな狼の身体がビスケットを追って左右に揺れる。 距離を置いているあたり、怖がらせないよう気遣いをしているのでしょうか?
思い切り投げたら、ビスケットを追って走って行って、上を向いてゴクンと飲み込み、走り戻って来る。
「襲ってこないけど、あれって、正気?」
小鳥魔物の1羽が答える。
『いえ、白姫様よりもビスケットの方が、我々には美味しそうに見えるんです』
「そっかぁ、君たちは私を美味しそうって見ているのかぁ」
『い、いえ、そんな……』
ぴちゅぴちゅ、鳥の振りをして誤魔化しだす。
戻ってきた大きな狼は、伏せて見せ、尻尾を振り振りしていた。 私はビスケットを地面の上に置いて、
「待て」
そう言った私は、その場から走り離れた。
狼は、はぁはぁと荒い息を上げ尻尾をかわらずゆらゆらさせ、ヨダレを垂らしている。
「よし」
「わんっ」
犬の振りを続けるらしい。 いや、大きさ的に無理ですし?
手の上にビスケットを乗せて見せれば、ユックリと近寄ってくる。
『白姫様、危険です!!』
狼は、すんすんと匂いを嗅いで、上手にビスケットだけを取って食べた。
「正気になった」
『助かった』
「失敗ビスケットで良ければ、まだあるけど、食べる?」
『いただけるのは、ありがたいが……俺は礼になるようなものと言えば、俺自身しかない。 もし君が認めてくれるなら、君を守る誓いをたてたいのだが』
『ダメ!!』
『姫様、ダメ!』
『チビども、邪魔をすると食うぞ』
ガウッと小鳥たちに威嚇すれば、小鳥たちは私の後ろに隠れた。 さっきまで逃げろと言っていた癖にと私は苦笑する。
「乱暴者は嫌い」
『済まない……』
尻尾をふりふり、お座り状態の大神にビスケットを追加で与えて考え込む。
「それって、何かいいことある?」
『誓約の深さにもよるが……望むなら、嬢ちゃんの影に潜み、嬢ちゃんのために生き、望みを叶える』
「それって重っ」
『軽いのでいうと……人間の雇用契約? 次は、そうだな……恋人契約のような? 次に行くと生涯の誓いここになると、力の共有が行われる』
パタパタと尻尾を振る。
「愛がなくとも結婚しようとかいいそう」
『嬢ちゃんには、それだけの価値がある』
私が肩を竦めたその瞬間、私の中の影が動き狼を蹴り飛ばした。
『うちの子に、触んじゃない!!』
きゃいんきゃいんと犬らしい声をあげて、凄い勢いで吹っ飛んでいったのだけど……、私は自分の影から出現した人を見て首をかしげた。
「誰?」
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