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17.寛容だと告げる魔王だが、誰が魔王の発言にNoと言えようか?
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「このような恰好で申し訳ございません」
そう言って現れたザレアの恰好と言えば、暴行の跡とばかりに衣服が破れ、血に濡れ乾いている。
そして服の間、ズボンの間から見える鱗。 暴行から身を守るため、獣性が強く表面化したのだろう。 それでも屋敷の使用人は、獣性を見て見ないふりをし、ザレアを自分達の長として認めていた。 認めるしかなかった。
『かまわん。 俺は魔物の中でも寛容な方だからな』
もし、転がっている首に突っ込みする余力があるなら、明らかに不満を述べただろうが、残念ながら完全に落命しているのだから、突っ込み不在のまま話は続く。
「では、寛容な魔王様に不躾ながら1つお願いがございます」
『なんだ?』
「私は、どのような目に会おうと構いません。 妹の生命の確保……痛みを与えず、恐怖を与えず……穏やかな日常を」
『そのものが、我らの機嫌を損ねた際に、対価はオマエが払うと言うのか?』
「はい」
ザレアが聞いた報告では、魔王の一行が訪れた都市はいずれも壊滅状態だと言う。
どうせ殺されてしまうなら。
ならば、記憶にくらい残ってやろう。
それが例え、深い傷として残ろうと。
そうザレアは考えた。
どこまでも身勝手で醜悪に、善人を取り繕いザレアは優しい微笑みを浮かべていた。
『分かった。 妹をここに、魔物達にその匂いを覚えさせよう』
「御慈悲感謝いたします」
そうして、肩を押しだした相手はラフィ。
「利用して、すまなかったね」
そんな言葉にラフィは混乱するばかりで、そして……魔王の言葉に2人は硬直した。
『その娘が、そなたの妹だと言うなら、そなたの願いは約束できない』
「な、ぜ……でしょうか……」
ザレアは、声を荒げそうになるのを抑えた。
『そのものの命を摘み取る事は出来ない。 摘み取ってはいけない。 我々の計画には必要なことだから。 だが、痛みや苦しみは別である。 それは、本人次第と言うしかない』
少しばかり仰々しくはあるが、救いがない訳ではない。
『まずは、この都市を統治者であるソナタと、対等な立場で話し合いを求めたい』
等と魔王は言うが、それはあくまで話し合いを始めるまでの体裁にすぎないだろうと、ザレアは体の内側が冷えるのを感じた。
対等など存在しない。
実際話し合いを始め、意見が食い違えば、状況は変わ事は容易に想像できた。 絶対的な力を前にザレアはNoを告げる事は出来る訳などないのだから。
……そして、話し合いが行われた。
そう言って現れたザレアの恰好と言えば、暴行の跡とばかりに衣服が破れ、血に濡れ乾いている。
そして服の間、ズボンの間から見える鱗。 暴行から身を守るため、獣性が強く表面化したのだろう。 それでも屋敷の使用人は、獣性を見て見ないふりをし、ザレアを自分達の長として認めていた。 認めるしかなかった。
『かまわん。 俺は魔物の中でも寛容な方だからな』
もし、転がっている首に突っ込みする余力があるなら、明らかに不満を述べただろうが、残念ながら完全に落命しているのだから、突っ込み不在のまま話は続く。
「では、寛容な魔王様に不躾ながら1つお願いがございます」
『なんだ?』
「私は、どのような目に会おうと構いません。 妹の生命の確保……痛みを与えず、恐怖を与えず……穏やかな日常を」
『そのものが、我らの機嫌を損ねた際に、対価はオマエが払うと言うのか?』
「はい」
ザレアが聞いた報告では、魔王の一行が訪れた都市はいずれも壊滅状態だと言う。
どうせ殺されてしまうなら。
ならば、記憶にくらい残ってやろう。
それが例え、深い傷として残ろうと。
そうザレアは考えた。
どこまでも身勝手で醜悪に、善人を取り繕いザレアは優しい微笑みを浮かべていた。
『分かった。 妹をここに、魔物達にその匂いを覚えさせよう』
「御慈悲感謝いたします」
そうして、肩を押しだした相手はラフィ。
「利用して、すまなかったね」
そんな言葉にラフィは混乱するばかりで、そして……魔王の言葉に2人は硬直した。
『その娘が、そなたの妹だと言うなら、そなたの願いは約束できない』
「な、ぜ……でしょうか……」
ザレアは、声を荒げそうになるのを抑えた。
『そのものの命を摘み取る事は出来ない。 摘み取ってはいけない。 我々の計画には必要なことだから。 だが、痛みや苦しみは別である。 それは、本人次第と言うしかない』
少しばかり仰々しくはあるが、救いがない訳ではない。
『まずは、この都市を統治者であるソナタと、対等な立場で話し合いを求めたい』
等と魔王は言うが、それはあくまで話し合いを始めるまでの体裁にすぎないだろうと、ザレアは体の内側が冷えるのを感じた。
対等など存在しない。
実際話し合いを始め、意見が食い違えば、状況は変わ事は容易に想像できた。 絶対的な力を前にザレアはNoを告げる事は出来る訳などないのだから。
……そして、話し合いが行われた。
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しおりを挟んでくださっている皆様へ。
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