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53.無力だった
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生理現象を促す状態異常『睡眠』に使う魔力は決して多い訳ではない。 それでも数と範囲をこなせば負担は大きくなる。
本当は直ぐにでもドーラに会いに行きたいのに……。
シアはそう考えていたけれど動けなかった。
だって……ドロテアは怖い。
気持ち悪い……。
勝てないとか、負けそうとか、死とか痛みが怖いとかじゃない。 本当にただ生物として気持ちが悪い……それは生理的な拒絶で、受け入れがたいもの。
だから怖い。
元々……何処か気色悪さを感じていた。
ランディの向こうから、
私を見る目。
笑う口元。
得意げにランディに触れる手。
ランディを所有物だと見せつける様子。
当時は、初恋の相手だと思っていたし、シアはランディを自分の夫だと思っていた……時期もあった。 ただ、その名目が与えられ、嫌な物を見せつけられる状況に耐えられてたのは、ドーラが居たから……。
ドーラが、お姉さんでお母さんで……家族ごっこが繰り広げられていたから。 だから、ドロテアが不快だったけどドーラの妹だと思えば、我慢が出来たし、見ないふりだって出来た。
そのドーラが犠牲になったのだから……限界だ……。
早く、ドーラを助けないと……。
大切な、家族を……。
王様の部屋でシアは眠っていた。
アズに頭を撫でられ、優しい歌声で囁かれながら。
心と身体を少しでも回復するために。
***************
シアが眠っている間、ランディは王とジルと共に行動していた。
獣の姿なのに、視界が開けて見える。
ランディはそう思った。
人が見える。
人の声が聞こえる。
人の匂いが分かる。
世界に対して強い好奇心を抱いた。
『世界は怖くないよ』
幼い頃に、自分を置き去りに人として生き始めたラースは幾度となく、そうランディに囁いたがその声は、届く事は無かった。 世界は何時だって怖くて怖くて……だからドロテアを通してしか世界を見ていなかった。
今ならわかる。
世界は本当は、怖く等無かった。
むしろ世界はもろくて弱くて……守らなければいけない存在だったんだ。
ランディはそう思いながら、忙しそうに人々に指示を出す王と叔父の姿を見て歩いた。 歩きながら、今の状況を聞いて、自分の目で見て、自分の耳で聞いて、自分で判断しようとした。
開けた視界。
ラースとジルの旅の記憶。
ソレを知ったランディは思うのだ。
「ドロテアは俺をどうしたかったんだ?」
常に一緒にいたけれど、ドロテアを理解しようとしたことはない。 ただ、ドロテアだけが世界だったから……ソレに従った。 捨てられれば自分は生きていけないのだと。 戦わない自分に意味がないのだと……。
「さぁな」
ジルがいい。
「私には……分かりません」
ランディの父はそう答え、そして付け加えて問いかけた。
「ドロテアはランディと共に居た時は、満足していたと思いますか?」
原因等、今となってはどうでも良かった。
既にドロテアは処分する事が決まっていたから。
ただ……今の状態では、ドロテアはどうする事も出来ない。 それでも、王は父親としてランディの気持ちを知りたかった。
「……何時も、怒っていた」
「ランディは、今もドロテアと共に生きる事を望みますか?」
もし、ソレがドロテアとランディの共有する望みだと言うなら、2人を遠く目の届かぬ場所に逃がす事も考えていた。 そんな事を考えるほどに、ランディはドロテアに絶対的に服従していたし、ドロテアのためなら王であるジオにも噛みついて来ていたから。
「嫌だ……」
怯えたようにランディは言う。
ラースが獣の姿で9年もの間ジルと旅をしていた。 その記憶の一部がランディにもたらされている。 人としての意識がない、獣の本能に支配されたラースの日常。
それは双子のラースにとって屈辱の日々だと思っていた。
だけど違った。
風の匂い。
草の匂い。
ジルの歌う歌。
語る物語。
行く先々で食べる食べ物の味。
初恋の相手であるシアは、手に入れる事はできなくても……ラースの日常は充実していた。 空しくはあったけれど、世界は広く、ラースを受け入れていた。 何時だって狭いテントの中にいる事を命じられていた自分と違って。
獣性の半分をラースに押し付け、自分が得たものを考えれば、過ごしてきた日々を考えれば……ドロテアと共に居たい等とは思えなかった。
ジルに叱られ、力づくで制圧された記憶。
ドロテアに怒られ、力づくで抑圧されていた記憶。
同じようで……何かが違っていた。
違っていたんだ……。
何がと言われても良く分からないけれど。 全然違うんだ。
「俺は、もう……イヤだ。 あの生活には戻りたくない」
怯えた子供のように言えば、王は……ランディの父親はランディを抱きしめ、謝罪した……。
「すまなかった。 もっと早くに救い出してやる事だって……出来たかもしれなかったのに」
そう言葉にしてみたが、当時のランディはドロテアが全てで、他の誰の言葉も聞かなかった。 どうすれば、ドロテアを退け言葉を届ける事が出来たか? 想像もつかない。 きっと……お互い傷つけあい、ドロテアを殺し憎み合ってまでランディを取り戻す意味を見出す事は出来なかっただろう。
それでもランディの父は、王である男ジオは謝り、そして……息子を抱きしめた。
まだ、ランディは……あの時の自分がどうにもならない状況だったなどとは理解できていない。 それでも、幼いやんちゃな子猫だった頃を思い出していた。 自分が愛されている事実を思い出していた。
だから、ドロテアとの過去いらない、俺は今からこの世界を知るんだ。
***************
シアが目を覚ませばアズに抱き締められていた。
「あら、起きましたの?」
「うん……。 何か変わった?」
そう問えば、アズは複雑そうな顔をした。
セグが言う共感の仕組み。
それは、人々の持つ感情の中で共感できる部分に働きかけ、その感情を高め、先導する事。 元々、心に存在しないものではなく、本人の意志により持っていた感情。 だから……一度高められた感情は取り去る事は出来ない。
「変わって……そのまま戻っていないわ」
横になったままアズは言い、シアの髪を撫でた。
シアとアズと……ドーラの3人で旅をしていた時の思い出のままに、幸福な家族のように過ごした時間と変わらない時を繰り返すように、アズはシアの髪を撫でる。
「良い子ね」
甘い香りに、シアは甘えた。
だけど……。
「ドーラを助けたいの」
「そうね……助けないといけないわ。 でも、まずは自分を助けるの。 一緒に溺れる訳にはいかないでしょう」
結局
シアが……ランディと共にドーラ……ドロテアと会う事が許されたのは翌日の事だった。 早かったと言えるだろう。
「本当はもっとユックリと休ませてやりたかった。 だが……こんな状態でも、ドロテアは人の不安を煽り、そして人を変えていく……。 助けてくれ……天使殿」
情けない……何も出来ない自分が、情けないのだと……王様は、声に出さずとも、その表情で声色で呼吸で……その身の全てで語っていた。
本当は直ぐにでもドーラに会いに行きたいのに……。
シアはそう考えていたけれど動けなかった。
だって……ドロテアは怖い。
気持ち悪い……。
勝てないとか、負けそうとか、死とか痛みが怖いとかじゃない。 本当にただ生物として気持ちが悪い……それは生理的な拒絶で、受け入れがたいもの。
だから怖い。
元々……何処か気色悪さを感じていた。
ランディの向こうから、
私を見る目。
笑う口元。
得意げにランディに触れる手。
ランディを所有物だと見せつける様子。
当時は、初恋の相手だと思っていたし、シアはランディを自分の夫だと思っていた……時期もあった。 ただ、その名目が与えられ、嫌な物を見せつけられる状況に耐えられてたのは、ドーラが居たから……。
ドーラが、お姉さんでお母さんで……家族ごっこが繰り広げられていたから。 だから、ドロテアが不快だったけどドーラの妹だと思えば、我慢が出来たし、見ないふりだって出来た。
そのドーラが犠牲になったのだから……限界だ……。
早く、ドーラを助けないと……。
大切な、家族を……。
王様の部屋でシアは眠っていた。
アズに頭を撫でられ、優しい歌声で囁かれながら。
心と身体を少しでも回復するために。
***************
シアが眠っている間、ランディは王とジルと共に行動していた。
獣の姿なのに、視界が開けて見える。
ランディはそう思った。
人が見える。
人の声が聞こえる。
人の匂いが分かる。
世界に対して強い好奇心を抱いた。
『世界は怖くないよ』
幼い頃に、自分を置き去りに人として生き始めたラースは幾度となく、そうランディに囁いたがその声は、届く事は無かった。 世界は何時だって怖くて怖くて……だからドロテアを通してしか世界を見ていなかった。
今ならわかる。
世界は本当は、怖く等無かった。
むしろ世界はもろくて弱くて……守らなければいけない存在だったんだ。
ランディはそう思いながら、忙しそうに人々に指示を出す王と叔父の姿を見て歩いた。 歩きながら、今の状況を聞いて、自分の目で見て、自分の耳で聞いて、自分で判断しようとした。
開けた視界。
ラースとジルの旅の記憶。
ソレを知ったランディは思うのだ。
「ドロテアは俺をどうしたかったんだ?」
常に一緒にいたけれど、ドロテアを理解しようとしたことはない。 ただ、ドロテアだけが世界だったから……ソレに従った。 捨てられれば自分は生きていけないのだと。 戦わない自分に意味がないのだと……。
「さぁな」
ジルがいい。
「私には……分かりません」
ランディの父はそう答え、そして付け加えて問いかけた。
「ドロテアはランディと共に居た時は、満足していたと思いますか?」
原因等、今となってはどうでも良かった。
既にドロテアは処分する事が決まっていたから。
ただ……今の状態では、ドロテアはどうする事も出来ない。 それでも、王は父親としてランディの気持ちを知りたかった。
「……何時も、怒っていた」
「ランディは、今もドロテアと共に生きる事を望みますか?」
もし、ソレがドロテアとランディの共有する望みだと言うなら、2人を遠く目の届かぬ場所に逃がす事も考えていた。 そんな事を考えるほどに、ランディはドロテアに絶対的に服従していたし、ドロテアのためなら王であるジオにも噛みついて来ていたから。
「嫌だ……」
怯えたようにランディは言う。
ラースが獣の姿で9年もの間ジルと旅をしていた。 その記憶の一部がランディにもたらされている。 人としての意識がない、獣の本能に支配されたラースの日常。
それは双子のラースにとって屈辱の日々だと思っていた。
だけど違った。
風の匂い。
草の匂い。
ジルの歌う歌。
語る物語。
行く先々で食べる食べ物の味。
初恋の相手であるシアは、手に入れる事はできなくても……ラースの日常は充実していた。 空しくはあったけれど、世界は広く、ラースを受け入れていた。 何時だって狭いテントの中にいる事を命じられていた自分と違って。
獣性の半分をラースに押し付け、自分が得たものを考えれば、過ごしてきた日々を考えれば……ドロテアと共に居たい等とは思えなかった。
ジルに叱られ、力づくで制圧された記憶。
ドロテアに怒られ、力づくで抑圧されていた記憶。
同じようで……何かが違っていた。
違っていたんだ……。
何がと言われても良く分からないけれど。 全然違うんだ。
「俺は、もう……イヤだ。 あの生活には戻りたくない」
怯えた子供のように言えば、王は……ランディの父親はランディを抱きしめ、謝罪した……。
「すまなかった。 もっと早くに救い出してやる事だって……出来たかもしれなかったのに」
そう言葉にしてみたが、当時のランディはドロテアが全てで、他の誰の言葉も聞かなかった。 どうすれば、ドロテアを退け言葉を届ける事が出来たか? 想像もつかない。 きっと……お互い傷つけあい、ドロテアを殺し憎み合ってまでランディを取り戻す意味を見出す事は出来なかっただろう。
それでもランディの父は、王である男ジオは謝り、そして……息子を抱きしめた。
まだ、ランディは……あの時の自分がどうにもならない状況だったなどとは理解できていない。 それでも、幼いやんちゃな子猫だった頃を思い出していた。 自分が愛されている事実を思い出していた。
だから、ドロテアとの過去いらない、俺は今からこの世界を知るんだ。
***************
シアが目を覚ませばアズに抱き締められていた。
「あら、起きましたの?」
「うん……。 何か変わった?」
そう問えば、アズは複雑そうな顔をした。
セグが言う共感の仕組み。
それは、人々の持つ感情の中で共感できる部分に働きかけ、その感情を高め、先導する事。 元々、心に存在しないものではなく、本人の意志により持っていた感情。 だから……一度高められた感情は取り去る事は出来ない。
「変わって……そのまま戻っていないわ」
横になったままアズは言い、シアの髪を撫でた。
シアとアズと……ドーラの3人で旅をしていた時の思い出のままに、幸福な家族のように過ごした時間と変わらない時を繰り返すように、アズはシアの髪を撫でる。
「良い子ね」
甘い香りに、シアは甘えた。
だけど……。
「ドーラを助けたいの」
「そうね……助けないといけないわ。 でも、まずは自分を助けるの。 一緒に溺れる訳にはいかないでしょう」
結局
シアが……ランディと共にドーラ……ドロテアと会う事が許されたのは翌日の事だった。 早かったと言えるだろう。
「本当はもっとユックリと休ませてやりたかった。 だが……こんな状態でも、ドロテアは人の不安を煽り、そして人を変えていく……。 助けてくれ……天使殿」
情けない……何も出来ない自分が、情けないのだと……王様は、声に出さずとも、その表情で声色で呼吸で……その身の全てで語っていた。
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