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42.腐敗の呪い? いえ、自業自得です
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戦いを終えた戦士達は……私の心配を他所に笑いあって強さを称え合い。 倒れた者には手を差し出し、肩を組みながら喜びあっていた。
「本当、強くなったなぁ~」
「父にはまだまだかないませんよ」
「これなら、シア殿の安全も安泰だ」
「本当に良い男になったもんだ」
呆然とするシアを他所に、元戦士達は明るく笑いあい、爽やかな様子で語りだす。
そして遠くから、手を振りながら話しかけてくるラースと言えば。
「なぁ、シア!! 次の予定は食事だったよなぁ!!」
シアは呆れ、腰に両手を置き憮然とした様子で言うのだ。
「そうよ!! アナタ方を持て成すためにとっておきの準備をしていたのよ!! なのに、なんて酷い恰好を……!!」
シアは片手で大げさに顔を覆って見せた。
女性達に彼等の着替えを準備するように告げた。 彼等のために準備した服は、英知の塔で仕入れた浴衣と言うもの。 サイズ的に汎用性が高いと言うメリットがある。
「彼等を温泉に案内して差し上げて」
「シア!!」
笑顔で走り寄ってくるラースが余りに無邪気に見えて、心配した分だけムカつき。 ドロテアを思いモヤモヤしていたのが私ばかりなのかと思えばムカついた。
「何よ」
仁王立ちで応じて見れば、ラースはおや?と言う顔をしてシアを抱き上げクルクルとまわって見せた。
「誤魔化さないで!!」
「誤魔化してない。 愛しているんだ」
あれだけ暴れた癖にラースは汚れ一つなく、汗もかいていない。
「そう、それで、どうしたのかしら?」
「何人かケガをさせてしまったのだが、治療をお願いできないだろうか?」
「いいけど、じゃれ合いなら加減してはどう?」
「したからコレで済んでいるの」
流石に怪我人を放置できないと私は治療を引き受ける事にした。 血は一滴もながれておらず、大抵が打撲と骨折。 そして彼等はそんな怪我をおいながらも自分達の主達の1人の強さに納得し、安堵し、喜んでいた。
単純。
順番にケガを治していく。
「いやぁ~助かったよ」
「すげぇな。 もう痛くない」
「これは病気も治るのか?」
「本人の生命力が強いほど、ケガも病気も良く治るわ。 それより、アナタ方って、こんなに酷いけがでも平気なのね」
「年はとっても、それなりに丈夫だからな」
「なら、是非、農園に尽力して欲しいわ」
返事をしようとする男を割って入る別の怪我人。
「それよりも、家族を見てもらってもいいか?」
呆れ、諦め、私は言う。
「構わないわ。 殺意ではなく敬意をもってくれればね」
「あぁ、そりゃぁ、当然だ……このサトウキビ畑も、果樹園も、サトウキビ、果樹園の廃棄物を使った肥料作り、畜産。 実に効率的で無駄がないと言うのが分かる」
「砂糖や加工果物、酒が良い商売となる事は俺達でも理解できる。 ソレ等が他国で売れると言う事も、高く取引されていると言う事も、色んな国を回っていたからな。 ただのチビだと思っていたが、尊敬するよ。 チビは俺達の宝さぁ!! なぁ!!」
骨にひびが入り、折れ、それでも笑い歓声を上げだすから、やっぱり私は呆れるのだ。
「本当、人獣の人って丈夫ね」
護衛だと言って背後に立っているジルが言う。
「それでもダメージはダメージだ。 ただ、人間と比べれば死ぬまで時間がかかるだけだ」
ケガを回復した人から、露天温泉へと客人を送り込む。 ギルモアは南方の火山地帯にあり、地熱と水脈が豊富に抱えており、彼方此方に温泉施設を作ったのだ。
風呂から上がってきた元戦士で元当主の爺様達は、何故か分からないがシアの元に戻ってきた。
「なかなか良い場所だ……」
しみじみとした声色で一人の人獣が言った。
「私もそう思います」
「凄い技だな……その治癒と言うのは」
「生命力の多い人獣の方とは相性が良いのだと思います」
最初向けられていた殺意と、今の好意は180度逆転等では語り切れないほどだった。
正気を取り戻しさえすれば、偉業を成し終え、国に変革をもたらしたシアに対する思いは、尊敬等で収まる事無く、それは崇拝にも近かった。
それだけドロテアの力が強いのだと思えば、複雑だ……。
「偉いなぁ~~」
「頑張っているなぁ~~」
「可愛らしい子だ」
「俺と比べ、こんなに小さいのに良く頑張ってる」
目尻が落ち、口元が自然と笑みとなり、シアが可愛くて仕方がないと言わんばかりの表情で元戦士達が全力で訴えていた。
な、なんの、手のひら返しかな?
なんて混乱するしかない。
「そうだ、シア様」
「ぇ、何? セグ」
セグが元戦士達を押しのけシアの耳元に話しかける。
シアはソレがなんだかイヤだったし、する意味が分からなくて戸惑っていた。 きっとそんな風にしても周囲の濃い獣性持ちには聞こえているだろうから。
「こういう治療って、病気にも効く?」
「さっきも言いましたが、本人の体力次第で……」
「うん、ソレはさっき聞いたのだけど、最初は、皮膚や筋肉に少しの違和感が出来るんだ。 まぁ、良く鍛えた戦士達は余り気にしないらしいんだけど、だけど、その硬化した部分が赤くなり欠損し始める」
「潰瘍って事なのかな?」
「流石にそこまでくると、皮膚の下が剥き出しになるからね。 気づくんだけど、シバラクすると消えてしまうらしくて誰も気にしない。 やがて腫れ、むくみが出始める。 これも戦士達は運動で解消しちゃう」
「んんん? 意味が分からないのだけど。 治ったなら良いのでは?」
「いや潜伏しているだけ。 その後、発熱、頭痛、筋肉の痛み倦怠、喉の痛み、食欲不振、体重減少が起きて気づきだす。 目、骨、関節にも影響が置き、脳にも以上が発生する。 一応人間の医師にも見て貰た事があるんだけど。 解決方法はなし。 身体も、脳も、長い時間かけて腐って行くんだ」
「呪いかな?」
「病気らしいよ。 治せる?」
「初期なら、体力を回復力に回せばいいような気がするのだけど、もし、それで完全治癒するなら、そもそも人獣の人達はその病気の悪化はありませんよね? と言う事は、一時的な回復は、見えなくなっているだけで、汚染は広がって行くと……となると、浄化系の亜種魔法かなぁ……。 原因は分かっているのですか?」
セグが耳に唇を触れんばかりに囁いた。
「不特定多数との性的接触が原因だよ。 さっきラース兄様が、ドロテア相手に腐敗臭を嗅ぎ取ったらしいんだ。 彼女はかなり悪化しているんだけど、強くないとは言え、獣の強さがあるせいか、気づかない程度に元気だけど。 多分、急に来るだろうね……」
ボソボソと言うセグの声に、元戦士達は聞こえるようで聞こえないふりをしていた。 だが、状況を理解していない賢者様は遠慮がなく、声を大にいうのだ。
「えっと、ソレは不特定多数の性的行為が原因になると? 自業自得でしょうか?」
「とは言え、うちの部下は同調が行われた結果だし、1回流されただけだから、早いうちに治して欲しいなぁ~って。 有能な奴なんだ。 頭に毒が回って馬鹿にさせるのはもったいないぐらいでね」
「いいわ、今度会わせて」
「ありがとう!!」
セグの声はひそひそはしているが、シアの声はそうではなく……、元戦士達は微妙な顔をし、心配を露わにする者もいた。 あえて彼等の名誉で言うなら、元戦士達として健在である爺様達は、妻一筋で不貞は行っていないとフォローしておこう。
※今回、感想欄にて多くの知識不足をフォローしていただいていります。
いつもお力添えありがとうございます!!
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シアは片手で大げさに顔を覆って見せた。
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「彼等を温泉に案内して差し上げて」
「シア!!」
笑顔で走り寄ってくるラースが余りに無邪気に見えて、心配した分だけムカつき。 ドロテアを思いモヤモヤしていたのが私ばかりなのかと思えばムカついた。
「何よ」
仁王立ちで応じて見れば、ラースはおや?と言う顔をしてシアを抱き上げクルクルとまわって見せた。
「誤魔化さないで!!」
「誤魔化してない。 愛しているんだ」
あれだけ暴れた癖にラースは汚れ一つなく、汗もかいていない。
「そう、それで、どうしたのかしら?」
「何人かケガをさせてしまったのだが、治療をお願いできないだろうか?」
「いいけど、じゃれ合いなら加減してはどう?」
「したからコレで済んでいるの」
流石に怪我人を放置できないと私は治療を引き受ける事にした。 血は一滴もながれておらず、大抵が打撲と骨折。 そして彼等はそんな怪我をおいながらも自分達の主達の1人の強さに納得し、安堵し、喜んでいた。
単純。
順番にケガを治していく。
「いやぁ~助かったよ」
「すげぇな。 もう痛くない」
「これは病気も治るのか?」
「本人の生命力が強いほど、ケガも病気も良く治るわ。 それより、アナタ方って、こんなに酷いけがでも平気なのね」
「年はとっても、それなりに丈夫だからな」
「なら、是非、農園に尽力して欲しいわ」
返事をしようとする男を割って入る別の怪我人。
「それよりも、家族を見てもらってもいいか?」
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「あぁ、そりゃぁ、当然だ……このサトウキビ畑も、果樹園も、サトウキビ、果樹園の廃棄物を使った肥料作り、畜産。 実に効率的で無駄がないと言うのが分かる」
「砂糖や加工果物、酒が良い商売となる事は俺達でも理解できる。 ソレ等が他国で売れると言う事も、高く取引されていると言う事も、色んな国を回っていたからな。 ただのチビだと思っていたが、尊敬するよ。 チビは俺達の宝さぁ!! なぁ!!」
骨にひびが入り、折れ、それでも笑い歓声を上げだすから、やっぱり私は呆れるのだ。
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護衛だと言って背後に立っているジルが言う。
「それでもダメージはダメージだ。 ただ、人間と比べれば死ぬまで時間がかかるだけだ」
ケガを回復した人から、露天温泉へと客人を送り込む。 ギルモアは南方の火山地帯にあり、地熱と水脈が豊富に抱えており、彼方此方に温泉施設を作ったのだ。
風呂から上がってきた元戦士で元当主の爺様達は、何故か分からないがシアの元に戻ってきた。
「なかなか良い場所だ……」
しみじみとした声色で一人の人獣が言った。
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「生命力の多い人獣の方とは相性が良いのだと思います」
最初向けられていた殺意と、今の好意は180度逆転等では語り切れないほどだった。
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「頑張っているなぁ~~」
「可愛らしい子だ」
「俺と比べ、こんなに小さいのに良く頑張ってる」
目尻が落ち、口元が自然と笑みとなり、シアが可愛くて仕方がないと言わんばかりの表情で元戦士達が全力で訴えていた。
な、なんの、手のひら返しかな?
なんて混乱するしかない。
「そうだ、シア様」
「ぇ、何? セグ」
セグが元戦士達を押しのけシアの耳元に話しかける。
シアはソレがなんだかイヤだったし、する意味が分からなくて戸惑っていた。 きっとそんな風にしても周囲の濃い獣性持ちには聞こえているだろうから。
「こういう治療って、病気にも効く?」
「さっきも言いましたが、本人の体力次第で……」
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「潰瘍って事なのかな?」
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「んんん? 意味が分からないのだけど。 治ったなら良いのでは?」
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「病気らしいよ。 治せる?」
「初期なら、体力を回復力に回せばいいような気がするのだけど、もし、それで完全治癒するなら、そもそも人獣の人達はその病気の悪化はありませんよね? と言う事は、一時的な回復は、見えなくなっているだけで、汚染は広がって行くと……となると、浄化系の亜種魔法かなぁ……。 原因は分かっているのですか?」
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ボソボソと言うセグの声に、元戦士達は聞こえるようで聞こえないふりをしていた。 だが、状況を理解していない賢者様は遠慮がなく、声を大にいうのだ。
「えっと、ソレは不特定多数の性的行為が原因になると? 自業自得でしょうか?」
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「いいわ、今度会わせて」
「ありがとう!!」
セグの声はひそひそはしているが、シアの声はそうではなく……、元戦士達は微妙な顔をし、心配を露わにする者もいた。 あえて彼等の名誉で言うなら、元戦士達として健在である爺様達は、妻一筋で不貞は行っていないとフォローしておこう。
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AIイラストを、裏設定付きで『作品のオマケ』へと移動しました。キャラ紹介として、絵も増えています。お暇な方、AIイラストが苦手で無い方は、お立ち寄りくださるとうれしいです。
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