42 / 60
42.腐敗の呪い? いえ、自業自得です
しおりを挟む
戦いを終えた戦士達は……私の心配を他所に笑いあって強さを称え合い。 倒れた者には手を差し出し、肩を組みながら喜びあっていた。
「本当、強くなったなぁ~」
「父にはまだまだかないませんよ」
「これなら、シア殿の安全も安泰だ」
「本当に良い男になったもんだ」
呆然とするシアを他所に、元戦士達は明るく笑いあい、爽やかな様子で語りだす。
そして遠くから、手を振りながら話しかけてくるラースと言えば。
「なぁ、シア!! 次の予定は食事だったよなぁ!!」
シアは呆れ、腰に両手を置き憮然とした様子で言うのだ。
「そうよ!! アナタ方を持て成すためにとっておきの準備をしていたのよ!! なのに、なんて酷い恰好を……!!」
シアは片手で大げさに顔を覆って見せた。
女性達に彼等の着替えを準備するように告げた。 彼等のために準備した服は、英知の塔で仕入れた浴衣と言うもの。 サイズ的に汎用性が高いと言うメリットがある。
「彼等を温泉に案内して差し上げて」
「シア!!」
笑顔で走り寄ってくるラースが余りに無邪気に見えて、心配した分だけムカつき。 ドロテアを思いモヤモヤしていたのが私ばかりなのかと思えばムカついた。
「何よ」
仁王立ちで応じて見れば、ラースはおや?と言う顔をしてシアを抱き上げクルクルとまわって見せた。
「誤魔化さないで!!」
「誤魔化してない。 愛しているんだ」
あれだけ暴れた癖にラースは汚れ一つなく、汗もかいていない。
「そう、それで、どうしたのかしら?」
「何人かケガをさせてしまったのだが、治療をお願いできないだろうか?」
「いいけど、じゃれ合いなら加減してはどう?」
「したからコレで済んでいるの」
流石に怪我人を放置できないと私は治療を引き受ける事にした。 血は一滴もながれておらず、大抵が打撲と骨折。 そして彼等はそんな怪我をおいながらも自分達の主達の1人の強さに納得し、安堵し、喜んでいた。
単純。
順番にケガを治していく。
「いやぁ~助かったよ」
「すげぇな。 もう痛くない」
「これは病気も治るのか?」
「本人の生命力が強いほど、ケガも病気も良く治るわ。 それより、アナタ方って、こんなに酷いけがでも平気なのね」
「年はとっても、それなりに丈夫だからな」
「なら、是非、農園に尽力して欲しいわ」
返事をしようとする男を割って入る別の怪我人。
「それよりも、家族を見てもらってもいいか?」
呆れ、諦め、私は言う。
「構わないわ。 殺意ではなく敬意をもってくれればね」
「あぁ、そりゃぁ、当然だ……このサトウキビ畑も、果樹園も、サトウキビ、果樹園の廃棄物を使った肥料作り、畜産。 実に効率的で無駄がないと言うのが分かる」
「砂糖や加工果物、酒が良い商売となる事は俺達でも理解できる。 ソレ等が他国で売れると言う事も、高く取引されていると言う事も、色んな国を回っていたからな。 ただのチビだと思っていたが、尊敬するよ。 チビは俺達の宝さぁ!! なぁ!!」
骨にひびが入り、折れ、それでも笑い歓声を上げだすから、やっぱり私は呆れるのだ。
「本当、人獣の人って丈夫ね」
護衛だと言って背後に立っているジルが言う。
「それでもダメージはダメージだ。 ただ、人間と比べれば死ぬまで時間がかかるだけだ」
ケガを回復した人から、露天温泉へと客人を送り込む。 ギルモアは南方の火山地帯にあり、地熱と水脈が豊富に抱えており、彼方此方に温泉施設を作ったのだ。
風呂から上がってきた元戦士で元当主の爺様達は、何故か分からないがシアの元に戻ってきた。
「なかなか良い場所だ……」
しみじみとした声色で一人の人獣が言った。
「私もそう思います」
「凄い技だな……その治癒と言うのは」
「生命力の多い人獣の方とは相性が良いのだと思います」
最初向けられていた殺意と、今の好意は180度逆転等では語り切れないほどだった。
正気を取り戻しさえすれば、偉業を成し終え、国に変革をもたらしたシアに対する思いは、尊敬等で収まる事無く、それは崇拝にも近かった。
それだけドロテアの力が強いのだと思えば、複雑だ……。
「偉いなぁ~~」
「頑張っているなぁ~~」
「可愛らしい子だ」
「俺と比べ、こんなに小さいのに良く頑張ってる」
目尻が落ち、口元が自然と笑みとなり、シアが可愛くて仕方がないと言わんばかりの表情で元戦士達が全力で訴えていた。
な、なんの、手のひら返しかな?
なんて混乱するしかない。
「そうだ、シア様」
「ぇ、何? セグ」
セグが元戦士達を押しのけシアの耳元に話しかける。
シアはソレがなんだかイヤだったし、する意味が分からなくて戸惑っていた。 きっとそんな風にしても周囲の濃い獣性持ちには聞こえているだろうから。
「こういう治療って、病気にも効く?」
「さっきも言いましたが、本人の体力次第で……」
「うん、ソレはさっき聞いたのだけど、最初は、皮膚や筋肉に少しの違和感が出来るんだ。 まぁ、良く鍛えた戦士達は余り気にしないらしいんだけど、だけど、その硬化した部分が赤くなり欠損し始める」
「潰瘍って事なのかな?」
「流石にそこまでくると、皮膚の下が剥き出しになるからね。 気づくんだけど、シバラクすると消えてしまうらしくて誰も気にしない。 やがて腫れ、むくみが出始める。 これも戦士達は運動で解消しちゃう」
「んんん? 意味が分からないのだけど。 治ったなら良いのでは?」
「いや潜伏しているだけ。 その後、発熱、頭痛、筋肉の痛み倦怠、喉の痛み、食欲不振、体重減少が起きて気づきだす。 目、骨、関節にも影響が置き、脳にも以上が発生する。 一応人間の医師にも見て貰た事があるんだけど。 解決方法はなし。 身体も、脳も、長い時間かけて腐って行くんだ」
「呪いかな?」
「病気らしいよ。 治せる?」
「初期なら、体力を回復力に回せばいいような気がするのだけど、もし、それで完全治癒するなら、そもそも人獣の人達はその病気の悪化はありませんよね? と言う事は、一時的な回復は、見えなくなっているだけで、汚染は広がって行くと……となると、浄化系の亜種魔法かなぁ……。 原因は分かっているのですか?」
セグが耳に唇を触れんばかりに囁いた。
「不特定多数との性的接触が原因だよ。 さっきラース兄様が、ドロテア相手に腐敗臭を嗅ぎ取ったらしいんだ。 彼女はかなり悪化しているんだけど、強くないとは言え、獣の強さがあるせいか、気づかない程度に元気だけど。 多分、急に来るだろうね……」
ボソボソと言うセグの声に、元戦士達は聞こえるようで聞こえないふりをしていた。 だが、状況を理解していない賢者様は遠慮がなく、声を大にいうのだ。
「えっと、ソレは不特定多数の性的行為が原因になると? 自業自得でしょうか?」
「とは言え、うちの部下は同調が行われた結果だし、1回流されただけだから、早いうちに治して欲しいなぁ~って。 有能な奴なんだ。 頭に毒が回って馬鹿にさせるのはもったいないぐらいでね」
「いいわ、今度会わせて」
「ありがとう!!」
セグの声はひそひそはしているが、シアの声はそうではなく……、元戦士達は微妙な顔をし、心配を露わにする者もいた。 あえて彼等の名誉で言うなら、元戦士達として健在である爺様達は、妻一筋で不貞は行っていないとフォローしておこう。
※今回、感想欄にて多くの知識不足をフォローしていただいていります。
いつもお力添えありがとうございます!!
「本当、強くなったなぁ~」
「父にはまだまだかないませんよ」
「これなら、シア殿の安全も安泰だ」
「本当に良い男になったもんだ」
呆然とするシアを他所に、元戦士達は明るく笑いあい、爽やかな様子で語りだす。
そして遠くから、手を振りながら話しかけてくるラースと言えば。
「なぁ、シア!! 次の予定は食事だったよなぁ!!」
シアは呆れ、腰に両手を置き憮然とした様子で言うのだ。
「そうよ!! アナタ方を持て成すためにとっておきの準備をしていたのよ!! なのに、なんて酷い恰好を……!!」
シアは片手で大げさに顔を覆って見せた。
女性達に彼等の着替えを準備するように告げた。 彼等のために準備した服は、英知の塔で仕入れた浴衣と言うもの。 サイズ的に汎用性が高いと言うメリットがある。
「彼等を温泉に案内して差し上げて」
「シア!!」
笑顔で走り寄ってくるラースが余りに無邪気に見えて、心配した分だけムカつき。 ドロテアを思いモヤモヤしていたのが私ばかりなのかと思えばムカついた。
「何よ」
仁王立ちで応じて見れば、ラースはおや?と言う顔をしてシアを抱き上げクルクルとまわって見せた。
「誤魔化さないで!!」
「誤魔化してない。 愛しているんだ」
あれだけ暴れた癖にラースは汚れ一つなく、汗もかいていない。
「そう、それで、どうしたのかしら?」
「何人かケガをさせてしまったのだが、治療をお願いできないだろうか?」
「いいけど、じゃれ合いなら加減してはどう?」
「したからコレで済んでいるの」
流石に怪我人を放置できないと私は治療を引き受ける事にした。 血は一滴もながれておらず、大抵が打撲と骨折。 そして彼等はそんな怪我をおいながらも自分達の主達の1人の強さに納得し、安堵し、喜んでいた。
単純。
順番にケガを治していく。
「いやぁ~助かったよ」
「すげぇな。 もう痛くない」
「これは病気も治るのか?」
「本人の生命力が強いほど、ケガも病気も良く治るわ。 それより、アナタ方って、こんなに酷いけがでも平気なのね」
「年はとっても、それなりに丈夫だからな」
「なら、是非、農園に尽力して欲しいわ」
返事をしようとする男を割って入る別の怪我人。
「それよりも、家族を見てもらってもいいか?」
呆れ、諦め、私は言う。
「構わないわ。 殺意ではなく敬意をもってくれればね」
「あぁ、そりゃぁ、当然だ……このサトウキビ畑も、果樹園も、サトウキビ、果樹園の廃棄物を使った肥料作り、畜産。 実に効率的で無駄がないと言うのが分かる」
「砂糖や加工果物、酒が良い商売となる事は俺達でも理解できる。 ソレ等が他国で売れると言う事も、高く取引されていると言う事も、色んな国を回っていたからな。 ただのチビだと思っていたが、尊敬するよ。 チビは俺達の宝さぁ!! なぁ!!」
骨にひびが入り、折れ、それでも笑い歓声を上げだすから、やっぱり私は呆れるのだ。
「本当、人獣の人って丈夫ね」
護衛だと言って背後に立っているジルが言う。
「それでもダメージはダメージだ。 ただ、人間と比べれば死ぬまで時間がかかるだけだ」
ケガを回復した人から、露天温泉へと客人を送り込む。 ギルモアは南方の火山地帯にあり、地熱と水脈が豊富に抱えており、彼方此方に温泉施設を作ったのだ。
風呂から上がってきた元戦士で元当主の爺様達は、何故か分からないがシアの元に戻ってきた。
「なかなか良い場所だ……」
しみじみとした声色で一人の人獣が言った。
「私もそう思います」
「凄い技だな……その治癒と言うのは」
「生命力の多い人獣の方とは相性が良いのだと思います」
最初向けられていた殺意と、今の好意は180度逆転等では語り切れないほどだった。
正気を取り戻しさえすれば、偉業を成し終え、国に変革をもたらしたシアに対する思いは、尊敬等で収まる事無く、それは崇拝にも近かった。
それだけドロテアの力が強いのだと思えば、複雑だ……。
「偉いなぁ~~」
「頑張っているなぁ~~」
「可愛らしい子だ」
「俺と比べ、こんなに小さいのに良く頑張ってる」
目尻が落ち、口元が自然と笑みとなり、シアが可愛くて仕方がないと言わんばかりの表情で元戦士達が全力で訴えていた。
な、なんの、手のひら返しかな?
なんて混乱するしかない。
「そうだ、シア様」
「ぇ、何? セグ」
セグが元戦士達を押しのけシアの耳元に話しかける。
シアはソレがなんだかイヤだったし、する意味が分からなくて戸惑っていた。 きっとそんな風にしても周囲の濃い獣性持ちには聞こえているだろうから。
「こういう治療って、病気にも効く?」
「さっきも言いましたが、本人の体力次第で……」
「うん、ソレはさっき聞いたのだけど、最初は、皮膚や筋肉に少しの違和感が出来るんだ。 まぁ、良く鍛えた戦士達は余り気にしないらしいんだけど、だけど、その硬化した部分が赤くなり欠損し始める」
「潰瘍って事なのかな?」
「流石にそこまでくると、皮膚の下が剥き出しになるからね。 気づくんだけど、シバラクすると消えてしまうらしくて誰も気にしない。 やがて腫れ、むくみが出始める。 これも戦士達は運動で解消しちゃう」
「んんん? 意味が分からないのだけど。 治ったなら良いのでは?」
「いや潜伏しているだけ。 その後、発熱、頭痛、筋肉の痛み倦怠、喉の痛み、食欲不振、体重減少が起きて気づきだす。 目、骨、関節にも影響が置き、脳にも以上が発生する。 一応人間の医師にも見て貰た事があるんだけど。 解決方法はなし。 身体も、脳も、長い時間かけて腐って行くんだ」
「呪いかな?」
「病気らしいよ。 治せる?」
「初期なら、体力を回復力に回せばいいような気がするのだけど、もし、それで完全治癒するなら、そもそも人獣の人達はその病気の悪化はありませんよね? と言う事は、一時的な回復は、見えなくなっているだけで、汚染は広がって行くと……となると、浄化系の亜種魔法かなぁ……。 原因は分かっているのですか?」
セグが耳に唇を触れんばかりに囁いた。
「不特定多数との性的接触が原因だよ。 さっきラース兄様が、ドロテア相手に腐敗臭を嗅ぎ取ったらしいんだ。 彼女はかなり悪化しているんだけど、強くないとは言え、獣の強さがあるせいか、気づかない程度に元気だけど。 多分、急に来るだろうね……」
ボソボソと言うセグの声に、元戦士達は聞こえるようで聞こえないふりをしていた。 だが、状況を理解していない賢者様は遠慮がなく、声を大にいうのだ。
「えっと、ソレは不特定多数の性的行為が原因になると? 自業自得でしょうか?」
「とは言え、うちの部下は同調が行われた結果だし、1回流されただけだから、早いうちに治して欲しいなぁ~って。 有能な奴なんだ。 頭に毒が回って馬鹿にさせるのはもったいないぐらいでね」
「いいわ、今度会わせて」
「ありがとう!!」
セグの声はひそひそはしているが、シアの声はそうではなく……、元戦士達は微妙な顔をし、心配を露わにする者もいた。 あえて彼等の名誉で言うなら、元戦士達として健在である爺様達は、妻一筋で不貞は行っていないとフォローしておこう。
※今回、感想欄にて多くの知識不足をフォローしていただいていります。
いつもお力添えありがとうございます!!
14
お気に入りに追加
2,351
あなたにおすすめの小説
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
とまどいの花嫁は、夫から逃げられない
椎名さえら
恋愛
エラは、親が決めた婚約者からずっと冷淡に扱われ
初夜、夫は愛人の家へと行った。
戦争が起こり、夫は戦地へと赴いた。
「無事に戻ってきたら、お前とは離婚する」
と言い置いて。
やっと戦争が終わった後、エラのもとへ戻ってきた夫に
彼女は強い違和感を感じる。
夫はすっかり改心し、エラとは離婚しないと言い張り
突然彼女を溺愛し始めたからだ
______________________
✴︎舞台のイメージはイギリス近代(ゆるゆる設定)
✴︎誤字脱字は優しくスルーしていただけると幸いです
✴︎なろうさんにも投稿しています
私の勝手なBGMは、懐かしすぎるけど鬼束ちひろ『月光』←名曲すぎ
廃妃の再婚
束原ミヤコ
恋愛
伯爵家の令嬢としてうまれたフィアナは、母を亡くしてからというもの
父にも第二夫人にも、そして腹違いの妹にも邪険に扱われていた。
ある日フィアナは、川で倒れている青年を助ける。
それから四年後、フィアナの元に国王から結婚の申し込みがくる。
身分差を気にしながらも断ることができず、フィアナは王妃となった。
あの時助けた青年は、国王になっていたのである。
「君を永遠に愛する」と約束をした国王カトル・エスタニアは
結婚してすぐに辺境にて部族の反乱が起こり、平定戦に向かう。
帰還したカトルは、族長の娘であり『精霊の愛し子』と呼ばれている美しい女性イルサナを連れていた。
カトルはイルサナを寵愛しはじめる。
王城にて居場所を失ったフィアナは、聖騎士ユリシアスに下賜されることになる。
ユリシアスは先の戦いで怪我を負い、顔の半分を包帯で覆っている寡黙な男だった。
引け目を感じながらフィアナはユリシアスと過ごすことになる。
ユリシアスと過ごすうち、フィアナは彼と惹かれ合っていく。
だがユリシアスは何かを隠しているようだ。
それはカトルの抱える、真実だった──。

【コミカライズ決定】地味令嬢は冤罪で処刑されて逆行転生したので、華麗な悪女を目指します!~目隠れ美形の天才王子に溺愛されまして~
胡蝶乃夢
恋愛
婚約者である王太子の望む通り『理想の淑女』として尽くしてきたにも関わらず、婚約破棄された挙句に冤罪で処刑されてしまった公爵令嬢ガーネット。
時間が遡り目覚めたガーネットは、二度と自分を犠牲にして尽くしたりしないと怒り、今度は自分勝手に生きる『華麗な悪女』になると決意する。
王太子の弟であるルベリウス王子にガーネットは留学をやめて傍にいて欲しいと願う。
処刑された時、留学中でいなかった彼がガーネットの傍にいることで運命は大きく変わっていく。
これは、不憫な地味令嬢が華麗な悪女へと変貌して周囲を魅了し、幼馴染の天才王子にも溺愛され、ざまぁして幸せになる物語です。
私のドレスを奪った異母妹に、もう大事なものは奪わせない
文野多咲
恋愛
優月(ゆづき)が自宅屋敷に帰ると、異母妹が優月のウェディングドレスを試着していた。その日縫い上がったばかりで、優月もまだ袖を通していなかった。
使用人たちが「まるで、異母妹のためにあつらえたドレスのよう」と褒め称えており、優月の婚約者まで「異母妹の方が似合う」と褒めている。
優月が異母妹に「どうして勝手に着たの?」と訊けば「ちょっと着てみただけよ」と言う。
婚約者は「異母妹なんだから、ちょっとくらいいじゃないか」と言う。
「ちょっとじゃないわ。私はドレスを盗られたも同じよ!」と言えば、父の後妻は「悪気があったわけじゃないのに、心が狭い」と優月の頬をぶった。
優月は父親に婚約解消を願い出た。婚約者は父親が決めた相手で、優月にはもう彼を信頼できない。
父親に事情を説明すると、「大げさだなあ」と取り合わず、「優月は異母妹に嫉妬しているだけだ、婚約者には異母妹を褒めないように言っておく」と言われる。
嫉妬じゃないのに、どうしてわかってくれないの?
優月は父親をも信頼できなくなる。
婚約者は優月を手に入れるために、優月を襲おうとした。絶体絶命の優月の前に現れたのは、叔父だった。

この度、皆さんの予想通り婚約者候補から外れることになりました。ですが、すぐに結婚することになりました。
鶯埜 餡
恋愛
ある事件のせいでいろいろ言われながらも国王夫妻の働きかけで王太子の婚約者候補となったシャルロッテ。
しかし当の王太子ルドウィックはアリアナという男爵令嬢にべったり。噂好きな貴族たちはシャルロッテに婚約者候補から外れるのではないかと言っていたが
愛すべきマリア
志波 連
恋愛
幼い頃に婚約し、定期的な交流は続けていたものの、互いにこの結婚の意味をよく理解していたため、つかず離れずの穏やかな関係を築いていた。
学園を卒業し、第一王子妃教育も終えたマリアが留学から戻った兄と一緒に参加した夜会で、令嬢たちに囲まれた。
家柄も美貌も優秀さも全て揃っているマリアに嫉妬したレイラに指示された女たちは、彼女に嫌味の礫を投げつける。
早めに帰ろうという兄が呼んでいると知らせを受けたマリアが発見されたのは、王族の居住区に近い階段の下だった。
頭から血を流し、意識を失っている状態のマリアはすぐさま医務室に運ばれるが、意識が戻ることは無かった。
その日から十日、やっと目を覚ましたマリアは精神年齢が大幅に退行し、言葉遣いも仕草も全て三歳児と同レベルになっていたのだ。
体は16歳で心は3歳となってしまったマリアのためにと、兄が婚約の辞退を申し出た。
しかし、初めから結婚に重きを置いていなかった皇太子が「面倒だからこのまま結婚する」と言いだし、予定通りマリアは婚姻式に臨むことになった。
他サイトでも掲載しています。
表紙は写真ACより転載しました。

皇太子夫妻の歪んだ結婚
夕鈴
恋愛
皇太子妃リーンは夫の秘密に気付いてしまった。
その秘密はリーンにとって許せないものだった。結婚1日目にして離縁を決意したリーンの夫婦生活の始まりだった。
本編完結してます。
番外編を更新中です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる