28 / 60
28.第二王子の入れ替わり 03
しおりを挟む
全ては今の王様ギルが誕生した時にさかのぼるそうだ。
王様も生まれた時は獣の部分を多く持ち、獣性に支配された癇癪を兼ね揃えていたと言う。 双子と言う相方が居なかった分、いっそう扱いは難しかったと言う話だった。
恐怖に生きるための世話だけをする大人達。
そして友人としての世話役はなかなか決まらなかった。 大人ですら恐れる者の面倒を子供が相手できる訳もなければ、我が子を犠牲にしようと言う親もいなかったのだ。
そして候補となったのは従姉弟であった女性。
『あの子は乱暴者過ぎて、世話役に向きません!!』
「逃げるための言いわけ?」
「いや、本当に乱暴者だったらしい」
『ソレがちょうど良いのだ』
獣性に支配される王様を、殴り合い、蹴りあい、つかみ合い、喧嘩し触れ合いながら、人としての教育がなされたのだと言う事だった。
「それで、恋に落ちるの?」
「両親と兄弟以外は、自分を獣だと恐れているからね。 人として見てくれたと言うだけで、それだけで好意に変わる。 シア、君も俺を人として見てくれただろう?」
「だって、ラースは出会った時には、恩人だったし……人だったわ」
ラースは静かに微笑んだ。
「それだけで……単純な俺達は恋に落ちてしまうんだ」
「大変ね」
「そうだね。 俺は運が良かった」
そう言ってラースは私の額にキスをしてきた。
王様と王妃様の結婚は、双方の獣の血の濃さから王様の叔父にあたる男性に激しく反対された。 だけど……当時の猛々しい2人に他の誰かが現れるはずもなく……結局彼等は、周囲の反対を押し切ってツガイとなった。
長男を得た。
2人の血統を考えれば、残念だと皆が言う。
双子が生まれ……双子の母は出産の際に亡くなった。
『だから、ダメだと言っていたのに!!』
そう言って生まれたラースとランディは殺されかけ、王は2人を奪い返し……。
『殺すなら俺を殺すといい。 この子達は俺と妻の子だ。 アンタの孫なんだ!! もし、この子達に何かしてみろ、オマエを殺す』
こう言ったらしい。
「オヤジは、結局、半分殺されたらしい」
軽く言うラースに私は苦々しく笑って返した。
「でも、今、その話をするって言う事は、済んでいなかったんでしょう?」
「あぁ……俺は5歳には人の姿を取る事が出来るようになり、戦場に出るようになった。 一人残されたランディは、かなり荒れていたらしい……。 世話役だった者を何人も殺し……そしてドーラが選ばれた。 彼女はとても頑丈だからね」
私は苦笑いをし、そして首を傾げた。
「ドロテアではないの?」
「最初はドーラだったんだ。 その強靭さゆえに世話役を担わされたドーラだったが、毎日のようにもう嫌だと嘆いていた。 ある日、ドロテアがこっそりドーラに変わって出向いたのだそうだ」
「ドロテアは弱いのに、なぜ生きていたの?」
「気が合った。 とでもいうのかなぁ? 獣としての意識の中、ドロテアだけがしっかりと見えていたんだ」
「見えていた?」
「そう、ランディから獣性を受け取った時に見たものは……最初こそ、俺の知るものだったのだけど」
物心ついた時。
彼等二人は自分達以外を雑音として認識していたらしい。
闇の中で認識できたのは双子であるお互いだけ。
だけれどラースは、日々のご飯を美味しいと思ったし、やってくる世話役の匂いが1人1人違う事に気づいた。 雑音だと思っていた音は、自分に話しかけていたのだと知ったのだそうだ。
「そしたら、世界が一気に広がったんだ。 だけど、ランディにはソレが出来なかった。 自分達以外が怖いのだと泣いていた。 大丈夫だと、俺も一緒にいるからと声をかけていたけど、全然聞いてもらえずに……俺達は何時の間にか違うものになっていったんだ」
「そっか……ランディは私と一緒だったんだね」
だから、ラースは私の特別になってくれた。 特別になるだろう選択を選んでくれたのか……そう思えば、少し、ほんの少し切なくて……ほんの少しだけランディに同情してしまった。
「ドロテアは……ランディを恐れてはいなかった。 それが、大きかったのかもしれない。 獣性がほぼない中で、家族からは弱者として扱われドーラのように期待を向けられる事がない生活をおくっていた」
「でも、あの家族は……差別をするようには見えないわ」
「与える側と受け取る側の認識が、何時だって一緒な訳ではないだろう? 家族は弱いドロテアに色々と手をかけて、強いドーラに期待をかけた。 そこに認識のズレがあったのかもしれない」
「そういうものなのね……」
「そういうものだよ……。ドロテアはドーラの嫌がり逃げ出したがっている事を成し得たかったのかもしれない」
ランディは怯えないドロテアの強い希望や情熱を、とても暖かい熱として感知し懐いた。 だからと言って、亡くなった母のように全力でランディと向かい合う事が出来る訳でもない。 ただ、話しかけるだけ。
ドロテア相手には暴れないと言うだけで、ランディは3年4年と月日が経っても獣のままだった。
「地道にやっていれば、時間はかかっても何時かは人になれただろうと、俺は思っていたんだが……ドロテアはそうは思わなかったらしい。 獣のままのランディに、獣として扱いながら人であることを要求し続けたんだ。 ランディは、なぜドロテアは急に怒り出したのだろう? と、タダ悲しみ……。 誰かがイジメたのかと彼女の身近な人を襲おうとしたんだ」
「襲うのは結局、耐える事はできたの?」
「ドロテアが慌てて止めた。 暴れ出した事に焦ったのか……ドロテアは、俺の母方の祖父にそそのかされたんだ」
「ランディを人にしてやるって?」
「そう、母方の祖父は先々代の王の弟だ。 儀式の広場の存在も使い方も知っている人物だったからな。 そして、叔父とドロテアはランディを人に、俺を獣に変えた」
人の姿をした獣。
獣の器に囚われ精神も獣に堕とされた人。
状況の理解も追いつかず、暴れる双子をその身体を使って抑える王様。
「オマエも子供を失う苦しみを味わうといい。 そう言って嘲笑ったそうだ。 オヤジに噛みつき、ひっかき、暴れる俺達を必死に抑えるオヤジにだ!!」
「……それで、その人は?」
「殺されたよ。 慌てて駆け付けたジルに……」
王様も生まれた時は獣の部分を多く持ち、獣性に支配された癇癪を兼ね揃えていたと言う。 双子と言う相方が居なかった分、いっそう扱いは難しかったと言う話だった。
恐怖に生きるための世話だけをする大人達。
そして友人としての世話役はなかなか決まらなかった。 大人ですら恐れる者の面倒を子供が相手できる訳もなければ、我が子を犠牲にしようと言う親もいなかったのだ。
そして候補となったのは従姉弟であった女性。
『あの子は乱暴者過ぎて、世話役に向きません!!』
「逃げるための言いわけ?」
「いや、本当に乱暴者だったらしい」
『ソレがちょうど良いのだ』
獣性に支配される王様を、殴り合い、蹴りあい、つかみ合い、喧嘩し触れ合いながら、人としての教育がなされたのだと言う事だった。
「それで、恋に落ちるの?」
「両親と兄弟以外は、自分を獣だと恐れているからね。 人として見てくれたと言うだけで、それだけで好意に変わる。 シア、君も俺を人として見てくれただろう?」
「だって、ラースは出会った時には、恩人だったし……人だったわ」
ラースは静かに微笑んだ。
「それだけで……単純な俺達は恋に落ちてしまうんだ」
「大変ね」
「そうだね。 俺は運が良かった」
そう言ってラースは私の額にキスをしてきた。
王様と王妃様の結婚は、双方の獣の血の濃さから王様の叔父にあたる男性に激しく反対された。 だけど……当時の猛々しい2人に他の誰かが現れるはずもなく……結局彼等は、周囲の反対を押し切ってツガイとなった。
長男を得た。
2人の血統を考えれば、残念だと皆が言う。
双子が生まれ……双子の母は出産の際に亡くなった。
『だから、ダメだと言っていたのに!!』
そう言って生まれたラースとランディは殺されかけ、王は2人を奪い返し……。
『殺すなら俺を殺すといい。 この子達は俺と妻の子だ。 アンタの孫なんだ!! もし、この子達に何かしてみろ、オマエを殺す』
こう言ったらしい。
「オヤジは、結局、半分殺されたらしい」
軽く言うラースに私は苦々しく笑って返した。
「でも、今、その話をするって言う事は、済んでいなかったんでしょう?」
「あぁ……俺は5歳には人の姿を取る事が出来るようになり、戦場に出るようになった。 一人残されたランディは、かなり荒れていたらしい……。 世話役だった者を何人も殺し……そしてドーラが選ばれた。 彼女はとても頑丈だからね」
私は苦笑いをし、そして首を傾げた。
「ドロテアではないの?」
「最初はドーラだったんだ。 その強靭さゆえに世話役を担わされたドーラだったが、毎日のようにもう嫌だと嘆いていた。 ある日、ドロテアがこっそりドーラに変わって出向いたのだそうだ」
「ドロテアは弱いのに、なぜ生きていたの?」
「気が合った。 とでもいうのかなぁ? 獣としての意識の中、ドロテアだけがしっかりと見えていたんだ」
「見えていた?」
「そう、ランディから獣性を受け取った時に見たものは……最初こそ、俺の知るものだったのだけど」
物心ついた時。
彼等二人は自分達以外を雑音として認識していたらしい。
闇の中で認識できたのは双子であるお互いだけ。
だけれどラースは、日々のご飯を美味しいと思ったし、やってくる世話役の匂いが1人1人違う事に気づいた。 雑音だと思っていた音は、自分に話しかけていたのだと知ったのだそうだ。
「そしたら、世界が一気に広がったんだ。 だけど、ランディにはソレが出来なかった。 自分達以外が怖いのだと泣いていた。 大丈夫だと、俺も一緒にいるからと声をかけていたけど、全然聞いてもらえずに……俺達は何時の間にか違うものになっていったんだ」
「そっか……ランディは私と一緒だったんだね」
だから、ラースは私の特別になってくれた。 特別になるだろう選択を選んでくれたのか……そう思えば、少し、ほんの少し切なくて……ほんの少しだけランディに同情してしまった。
「ドロテアは……ランディを恐れてはいなかった。 それが、大きかったのかもしれない。 獣性がほぼない中で、家族からは弱者として扱われドーラのように期待を向けられる事がない生活をおくっていた」
「でも、あの家族は……差別をするようには見えないわ」
「与える側と受け取る側の認識が、何時だって一緒な訳ではないだろう? 家族は弱いドロテアに色々と手をかけて、強いドーラに期待をかけた。 そこに認識のズレがあったのかもしれない」
「そういうものなのね……」
「そういうものだよ……。ドロテアはドーラの嫌がり逃げ出したがっている事を成し得たかったのかもしれない」
ランディは怯えないドロテアの強い希望や情熱を、とても暖かい熱として感知し懐いた。 だからと言って、亡くなった母のように全力でランディと向かい合う事が出来る訳でもない。 ただ、話しかけるだけ。
ドロテア相手には暴れないと言うだけで、ランディは3年4年と月日が経っても獣のままだった。
「地道にやっていれば、時間はかかっても何時かは人になれただろうと、俺は思っていたんだが……ドロテアはそうは思わなかったらしい。 獣のままのランディに、獣として扱いながら人であることを要求し続けたんだ。 ランディは、なぜドロテアは急に怒り出したのだろう? と、タダ悲しみ……。 誰かがイジメたのかと彼女の身近な人を襲おうとしたんだ」
「襲うのは結局、耐える事はできたの?」
「ドロテアが慌てて止めた。 暴れ出した事に焦ったのか……ドロテアは、俺の母方の祖父にそそのかされたんだ」
「ランディを人にしてやるって?」
「そう、母方の祖父は先々代の王の弟だ。 儀式の広場の存在も使い方も知っている人物だったからな。 そして、叔父とドロテアはランディを人に、俺を獣に変えた」
人の姿をした獣。
獣の器に囚われ精神も獣に堕とされた人。
状況の理解も追いつかず、暴れる双子をその身体を使って抑える王様。
「オマエも子供を失う苦しみを味わうといい。 そう言って嘲笑ったそうだ。 オヤジに噛みつき、ひっかき、暴れる俺達を必死に抑えるオヤジにだ!!」
「……それで、その人は?」
「殺されたよ。 慌てて駆け付けたジルに……」
15
お気に入りに追加
2,351
あなたにおすすめの小説
[完結]想ってもいいでしょうか?
仲 奈華 (nakanaka)
恋愛
貴方に逢いたくて逢いたくて逢いたくて胸が張り裂けそう。
失ってしまった貴方は、どこへ行ってしまったのだろう。
暗闇の中、涙を流して、ただただ貴方の事を考え続ける。
後悔しているの。
何度も考えるの。
でもどうすればよかったのか、どうしても分からない。
桜が舞い散り、灼熱の太陽に耐え、紅葉が終わっても貴方は帰ってこない。
本当は分かっている。
もう二度と私の元へ貴方は帰ってこない事を。
雪の結晶がキラキラ輝きながら落ちてくる。
頬についた結晶はすぐに溶けて流れ落ちる。
私の涙と一緒に。
まだ、あと少し。
ううん、一生でも、私が朽ち果てるまで。
貴方の事を想ってもいいでしょうか?
王太子殿下から婚約破棄されたのは冷たい私のせいですか?
ねーさん
恋愛
公爵令嬢であるアリシアは王太子殿下と婚約してから十年、王太子妃教育に勤しんで来た。
なのに王太子殿下は男爵令嬢とイチャイチャ…諫めるアリシアを悪者扱い。「アリシア様は殿下に冷たい」なんて男爵令嬢に言われ、結果、婚約は破棄。
王太子妃になるため自由な時間もなく頑張って来たのに、私は駒じゃありません!
釣り合わないと言われても、婚約者と別れる予定はありません
しろねこ。
恋愛
幼馴染と婚約を結んでいるラズリーは、学園に入学してから他の令嬢達によく絡まれていた。
曰く、婚約者と釣り合っていない、身分不相応だと。
ラズリーの婚約者であるファルク=トワレ伯爵令息は、第二王子の側近で、将来護衛騎士予定の有望株だ。背も高く、見目も良いと言う事で注目を浴びている。
対してラズリー=コランダム子爵令嬢は薬草学を専攻していて、外に出る事も少なく地味な見た目で華々しさもない。
そんな二人を周囲は好奇の目で見ており、時にはラズリーから婚約者を奪おうとするものも出てくる。
おっとり令嬢ラズリーはそんな周囲の圧力に屈することはない。
「釣り合わない? そうですか。でも彼は私が良いって言ってますし」
時に優しく、時に豪胆なラズリー、平穏な日々はいつ来るやら。
ハッピーエンド、両思い、ご都合主義なストーリーです。
ゆっくり更新予定です(*´ω`*)
小説家になろうさん、カクヨムさんでも投稿中。
寵愛のいる旦那様との結婚生活が終わる。もし、次があるのなら緩やかに、優しい人と恋がしたい。
にのまえ
恋愛
リルガルド国。公爵令嬢リイーヤ・ロイアルは令嬢ながら、剣に明け暮れていた。
父に頼まれて参加をした王女のデビュタントの舞踏会で、伯爵家コール・デトロイトと知り合い恋に落ちる。
恋に浮かれて、剣を捨た。
コールと結婚をして初夜を迎えた。
リイーヤはナイトドレスを身に付け、鼓動を高鳴らせて旦那様を待っていた。しかし寝室に訪れた旦那から出た言葉は「私は君を抱くことはない」「私には心から愛する人がいる」だった。
ショックを受けて、旦那には愛してもられないと知る。しかし離縁したくてもリルガルド国では離縁は許されない。しかしリイーヤは二年待ち子供がいなければ離縁できると知る。
結婚二周年の食事の席で、旦那は義理両親にリイーヤに子供ができたと言い出した。それに反論して自分は生娘だと医師の診断書を見せる。
混乱した食堂を後にして、リイーヤは馬に乗り伯爵家から出て行き国境を越え違う国へと向かう。
もし、次があるのなら優しい人と恋がしたいと……
お読みいただき、ありがとうございます。
エブリスタで四月に『完結』した話に差し替えいたいと思っております。内容はさほど、変わっておりません。
それにあたり、栞を挟んでいただいている方、すみません。

【完結】あなたを忘れたい
やまぐちこはる
恋愛
子爵令嬢ナミリアは愛し合う婚約者ディルーストと結婚する日を待ち侘びていた。
そんな時、不幸が訪れる。
■□■
【毎日更新】毎日8時と18時更新です。
【完結保証】最終話まで書き終えています。
最後までお付き合い頂けたらうれしいです(_ _)
許婚と親友は両片思いだったので2人の仲を取り持つことにしました
結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
<2人の仲を応援するので、どうか私を嫌わないでください>
私には子供のころから決められた許嫁がいた。ある日、久しぶりに再会した親友を紹介した私は次第に2人がお互いを好きになっていく様子に気が付いた。どちらも私にとっては大切な存在。2人から邪魔者と思われ、嫌われたくはないので、私は全力で許嫁と親友の仲を取り持つ事を心に決めた。すると彼の評判が悪くなっていき、それまで冷たかった彼の態度が軟化してきて話は意外な展開に・・・?
※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています
【完結】365日後の花言葉
Ringo
恋愛
許せなかった。
幼い頃からの婚約者でもあり、誰よりも大好きで愛していたあなただからこそ。
あなたの裏切りを知った翌朝、私の元に届いたのはゼラニウムの花束。
“ごめんなさい”
言い訳もせず、拒絶し続ける私の元に通い続けるあなたの愛情を、私はもう一度信じてもいいの?
※勢いよく本編完結しまして、番外編ではイチャイチャするふたりのその後をお届けします。

つかぬことをお伺いいたしますが、私はお飾りの妻ですよね?
蓮
恋愛
少しネガティブな天然鈍感辺境伯令嬢と目つきが悪く恋愛に関してはポンコツコミュ障公爵令息のコミュニケーションエラー必至の爆笑(?)すれ違いラブコメ!
ランツベルク辺境伯令嬢ローザリンデは優秀な兄弟姉妹に囲まれて少し自信を持てずにいた。そんなローザリンデを夜会でエスコートしたいと申し出たのはオルデンブルク公爵令息ルートヴィヒ。そして複数回のエスコートを経て、ルートヴィヒとの結婚が決まるローザリンデ。しかし、ルートヴィヒには身分違いだが恋仲の女性がいる噂をローザリンデは知っていた。
エーベルシュタイン女男爵であるハイデマリー。彼女こそ、ルートヴィヒの恋人である。しかし上級貴族と下級貴族の結婚は許されていない上、ハイデマリーは既婚者である。
ローザリンデは自分がお飾りの妻だと理解した。その上でルートヴィヒとの結婚を受け入れる。ランツベルク家としても、筆頭公爵家であるオルデンブルク家と繋がりを持てることは有益なのだ。
しかし結婚後、ルートヴィヒの様子が明らかにおかしい。ローザリンデはルートヴィヒからお菓子、花、アクセサリー、更にはドレスまでことあるごとにプレゼントされる。プレゼントの量はどんどん増える。流石にこれはおかしいと思ったローザリンデはある日の夜会で聞いてみる。
「つかぬことをお伺いいたしますが、私はお飾りの妻ですよね?」
するとルートヴィヒからは予想外の返事があった。
小説家になろう、カクヨムにも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる