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14.新しい護衛が仲間になった(時は少し遡る)
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時は、シアが王様の元を去った頃に戻る。
王様は優しいし好意しかない。
だけど、少し疲れる。
王様はこの国トップで、そして頂点に立つ獣。
その無意識の威圧感に疲れを感じずにはいられない。
ふぅっと溜息をつき、花が咲き乱れる美しい庭を眺める。
渡り廊下の手摺に行儀悪く足をかけ、中庭に降り立とうとすれば、私が来るのを待っていたドーラが背後から私を抱きあげた。
「お帰りなさいませ、姫様」
「ここは家ではないわ」
「だけど、お帰りなさいませ」
ドーラは微笑み、私の腕の下に手を差し入れ持ち上げたままクルリとまわって見せる。 山から吹き下ろす風に浮いたかのようにフワリと私の身体が浮くのが楽しく、私は笑いながらドーラに微笑んだ。
「ただいま」
そして、私を抱きしめメッと小さな声で優しく叱る。
「高い所に昇るのは危ないですよ」
「高くないわ。 それにドーラがいるもの平気よ」
私は甘えドーラに抱き、その温かな頬に頬を摺り寄せる。 ドーラは私の身体を向かい合うように掲げ、額同士をくっつけながら聞いて来た。
「王は、なんと申されておりました?」
「離縁をしても、ドーラと一緒に居ても良いって言ってもらえました。 後は、新しく護衛をつけるので……」
一瞬、私は言葉を止めた。
「姫様?」
「……えっと……屋敷で待つようにって」
私は思い出した憂鬱を俯き髪で顔を隠す。
隠したはずなのに……意地悪な風が髪をなびかせ、私の落ち込んだ顔をドーラに見せてしまう。
「私が一緒に居ます」
理由も分からないままドーラの声だけは自信満々で、私は笑ってしまうのだけど……。 ドーラの瞳の奥では……心配なのだと伝えていて、だから、私は何でもないふりをするのだ。
「うん。 そうだね。 ねぇ、降ろして、自分で歩きたいの」
私は微笑む。
私達が歩く森の小道は、多くの木々が生い茂っているけれど、それでも適度に木々は間引かれ、美しい月を空に覗き見る事が出来た。 私はドーラと手を繋ぎながらギルモアの小さな子供達に受け継がれる童歌を歌いながら、月を眺めて目的の場所へと向かう。
それだけで……心が優しく甘くなる。
「ドーラ♪」
甘え、名を呼び、走り出そうとドーラを見た時……私は、月明りの中に小さな人影を十数人分確認した。
「」
ドーラの名を叫ぶ間をなく、人影は重力を操っているかのようなスピードで落下してきて……私の魔法も、ドーラに危険を伝える声も間に合いそうにない。 私は勢いをつけドーラにぶつかり、影が手に持っている刃物から庇おうと動いていた。
「ひ、ひめ様?!!」
私の行動にドーラは慌て、状況を理解した瞬間ドーラは戦う事を放棄し、私を抱きしめて身体の上下を入れ替えて、私を大地に抑え込むようにしながら、私を身体全体で隠し守ろうとする。
叫びそうになる思いを……必死に抑え、敵……であろう存在を風で吹き飛ばそうと魔法を……使おうとした。
ところ……に、白い髪をした人影と、黒い獣が1匹現れ、月の光から現れたかのような敵を2人残して惨殺した。
一瞬の出来事だった。
「……ぁ……っ」
震えながら命と引き換えに私を守ろうとしたドーラは、わずかの間を持ってハッと気づいたように、自分の身体の下に隠した私を抱きあげ、私の顔を見て涙を溢れさせた。
「よ、よかった……」
感動? 安堵? そんな感情を溢れさせるドーラの頭に拳骨が落とされる。
「ぉう」
「未熟者が。 もし助けが来なかったらどうするつもりだ」
そう告げた男は、長い白髪に獣の耳をした年配の男性で、彼は意地悪く笑いながらドーラの頭を乱暴に撫でていた。
「お師匠様!! と、王」
そう叫ぶドーラを獣耳の男が片腕で軽々と抱き上げ立たせる。
そして私はと言えば、王様に抱き上げられ腕に乗せられた。
「屋敷まで送って行きましょう」
「王様、そこで眠っている人はいいの?」
「すぐに片付けの者が訪れます。 ご心配いりません」
王様に抱っこされる私を見上げるドーラは、苦々しい顔を隠すでもなく王様を見ていた。
「悔しいなら、強くなりなさい」
「分かっております。 その、師匠はどうしてコチラに? 放浪の旅に出ていたと伺っておりましたが」
「行く先々で、ギルモアが国となり面白い事をしていると聞いてな。 面白いものを見に来た」
そう言いながら、私の顔を覗き込むように獣耳の男はニヤリと笑う。
「耳?」
「あぁ、血が濃くなり過ぎると、こういう事もある」
ぴくぴくと年配の男の耳が動き、可愛らしいその耳がとても不似合いに見えて笑ってしまった。
「よ~し偉いぞ、泣いてないな。 ドーラ、チビッ子に負けてどうする」
そう言って男はドーラに向かって大口で笑いながら、私には幼い子にするように頭を撫でてきた。
あれ?
「どうかしましたか? 天使殿」
問うのは王様。
「手が王様に、とても似て居るの。 2人は知り合い?」
そう問えば、王様は少し俯き小さく笑い、獣耳の男は大声で笑っていた。 説明をしてくれたのは王様の方。
「えぇ、世間では知られていませんが、弟のジルです。 どうせ旅をするなら、私の天使殿を守って欲しいと頼んでみました」
「まぁ、そういう訳だ。 よろしくなチビちゃん」
ジルは目を細めて優しく笑う。
そこも、王様と似ていると思った。
私は微笑みを向け手を差し出した。
「握手をしましょう」
ジルは豪快な笑い方とは想像つかないほどに優しく私の手に触れ、そしてユックリと大きな手で私の手をそっと握る。 それは、優しく繊細。 触れていた手が離れ、王様に抱っこされた私と同じ高さの視線でジルは語る。
「そっちの大きな黒猫も、オレの弟子の1人で今回の護衛に同行する。 仲良くしてくれ」
「えっと、ね、ねこ? 豹……虎? そういうものでは? 危険はないの?」
「流石、兄上の天使殿だな。 物知りだ。 物知りなら分かるだろうが不用意に触るなよ? 触れる時は本人に確認するように、そうすれば、多分問題ない……はずだ。 よな?」
ジルが振り向き黒豹に問えば、ピシャリと尻尾でジルの足を叩いて返事の代わりにしていた。 私にはソレがYesなのかNoなのか分からないけれど……怒っていない事は分かる。
「よろしくね、えっと……名前は?」
「あぁ、ラースと言う」
「よろしく、ラース」
名を読めば、大きくくりくりとした森色の瞳が、細く笑みの形となりぐるぐると喉をならす。
「彼、彼女? の目……王様やジルと似ているような気がする」
「そうですか?」
王様が言う。
「そうかもしれないな」
ジルが言った。
そして2人と1匹は同じように目を細めて笑うのだ。 そうしている間、ドーラはと言えば何時の間にかジルに荷物のように小脇に抱えられ、はぁ……と溜息をつき黙り込んでいた。
私は、彼等なら……上手くやっていけるような、そんな予感に心がワクワクするのだった。
王様は優しいし好意しかない。
だけど、少し疲れる。
王様はこの国トップで、そして頂点に立つ獣。
その無意識の威圧感に疲れを感じずにはいられない。
ふぅっと溜息をつき、花が咲き乱れる美しい庭を眺める。
渡り廊下の手摺に行儀悪く足をかけ、中庭に降り立とうとすれば、私が来るのを待っていたドーラが背後から私を抱きあげた。
「お帰りなさいませ、姫様」
「ここは家ではないわ」
「だけど、お帰りなさいませ」
ドーラは微笑み、私の腕の下に手を差し入れ持ち上げたままクルリとまわって見せる。 山から吹き下ろす風に浮いたかのようにフワリと私の身体が浮くのが楽しく、私は笑いながらドーラに微笑んだ。
「ただいま」
そして、私を抱きしめメッと小さな声で優しく叱る。
「高い所に昇るのは危ないですよ」
「高くないわ。 それにドーラがいるもの平気よ」
私は甘えドーラに抱き、その温かな頬に頬を摺り寄せる。 ドーラは私の身体を向かい合うように掲げ、額同士をくっつけながら聞いて来た。
「王は、なんと申されておりました?」
「離縁をしても、ドーラと一緒に居ても良いって言ってもらえました。 後は、新しく護衛をつけるので……」
一瞬、私は言葉を止めた。
「姫様?」
「……えっと……屋敷で待つようにって」
私は思い出した憂鬱を俯き髪で顔を隠す。
隠したはずなのに……意地悪な風が髪をなびかせ、私の落ち込んだ顔をドーラに見せてしまう。
「私が一緒に居ます」
理由も分からないままドーラの声だけは自信満々で、私は笑ってしまうのだけど……。 ドーラの瞳の奥では……心配なのだと伝えていて、だから、私は何でもないふりをするのだ。
「うん。 そうだね。 ねぇ、降ろして、自分で歩きたいの」
私は微笑む。
私達が歩く森の小道は、多くの木々が生い茂っているけれど、それでも適度に木々は間引かれ、美しい月を空に覗き見る事が出来た。 私はドーラと手を繋ぎながらギルモアの小さな子供達に受け継がれる童歌を歌いながら、月を眺めて目的の場所へと向かう。
それだけで……心が優しく甘くなる。
「ドーラ♪」
甘え、名を呼び、走り出そうとドーラを見た時……私は、月明りの中に小さな人影を十数人分確認した。
「」
ドーラの名を叫ぶ間をなく、人影は重力を操っているかのようなスピードで落下してきて……私の魔法も、ドーラに危険を伝える声も間に合いそうにない。 私は勢いをつけドーラにぶつかり、影が手に持っている刃物から庇おうと動いていた。
「ひ、ひめ様?!!」
私の行動にドーラは慌て、状況を理解した瞬間ドーラは戦う事を放棄し、私を抱きしめて身体の上下を入れ替えて、私を大地に抑え込むようにしながら、私を身体全体で隠し守ろうとする。
叫びそうになる思いを……必死に抑え、敵……であろう存在を風で吹き飛ばそうと魔法を……使おうとした。
ところ……に、白い髪をした人影と、黒い獣が1匹現れ、月の光から現れたかのような敵を2人残して惨殺した。
一瞬の出来事だった。
「……ぁ……っ」
震えながら命と引き換えに私を守ろうとしたドーラは、わずかの間を持ってハッと気づいたように、自分の身体の下に隠した私を抱きあげ、私の顔を見て涙を溢れさせた。
「よ、よかった……」
感動? 安堵? そんな感情を溢れさせるドーラの頭に拳骨が落とされる。
「ぉう」
「未熟者が。 もし助けが来なかったらどうするつもりだ」
そう告げた男は、長い白髪に獣の耳をした年配の男性で、彼は意地悪く笑いながらドーラの頭を乱暴に撫でていた。
「お師匠様!! と、王」
そう叫ぶドーラを獣耳の男が片腕で軽々と抱き上げ立たせる。
そして私はと言えば、王様に抱き上げられ腕に乗せられた。
「屋敷まで送って行きましょう」
「王様、そこで眠っている人はいいの?」
「すぐに片付けの者が訪れます。 ご心配いりません」
王様に抱っこされる私を見上げるドーラは、苦々しい顔を隠すでもなく王様を見ていた。
「悔しいなら、強くなりなさい」
「分かっております。 その、師匠はどうしてコチラに? 放浪の旅に出ていたと伺っておりましたが」
「行く先々で、ギルモアが国となり面白い事をしていると聞いてな。 面白いものを見に来た」
そう言いながら、私の顔を覗き込むように獣耳の男はニヤリと笑う。
「耳?」
「あぁ、血が濃くなり過ぎると、こういう事もある」
ぴくぴくと年配の男の耳が動き、可愛らしいその耳がとても不似合いに見えて笑ってしまった。
「よ~し偉いぞ、泣いてないな。 ドーラ、チビッ子に負けてどうする」
そう言って男はドーラに向かって大口で笑いながら、私には幼い子にするように頭を撫でてきた。
あれ?
「どうかしましたか? 天使殿」
問うのは王様。
「手が王様に、とても似て居るの。 2人は知り合い?」
そう問えば、王様は少し俯き小さく笑い、獣耳の男は大声で笑っていた。 説明をしてくれたのは王様の方。
「えぇ、世間では知られていませんが、弟のジルです。 どうせ旅をするなら、私の天使殿を守って欲しいと頼んでみました」
「まぁ、そういう訳だ。 よろしくなチビちゃん」
ジルは目を細めて優しく笑う。
そこも、王様と似ていると思った。
私は微笑みを向け手を差し出した。
「握手をしましょう」
ジルは豪快な笑い方とは想像つかないほどに優しく私の手に触れ、そしてユックリと大きな手で私の手をそっと握る。 それは、優しく繊細。 触れていた手が離れ、王様に抱っこされた私と同じ高さの視線でジルは語る。
「そっちの大きな黒猫も、オレの弟子の1人で今回の護衛に同行する。 仲良くしてくれ」
「えっと、ね、ねこ? 豹……虎? そういうものでは? 危険はないの?」
「流石、兄上の天使殿だな。 物知りだ。 物知りなら分かるだろうが不用意に触るなよ? 触れる時は本人に確認するように、そうすれば、多分問題ない……はずだ。 よな?」
ジルが振り向き黒豹に問えば、ピシャリと尻尾でジルの足を叩いて返事の代わりにしていた。 私にはソレがYesなのかNoなのか分からないけれど……怒っていない事は分かる。
「よろしくね、えっと……名前は?」
「あぁ、ラースと言う」
「よろしく、ラース」
名を読めば、大きくくりくりとした森色の瞳が、細く笑みの形となりぐるぐると喉をならす。
「彼、彼女? の目……王様やジルと似ているような気がする」
「そうですか?」
王様が言う。
「そうかもしれないな」
ジルが言った。
そして2人と1匹は同じように目を細めて笑うのだ。 そうしている間、ドーラはと言えば何時の間にかジルに荷物のように小脇に抱えられ、はぁ……と溜息をつき黙り込んでいた。
私は、彼等なら……上手くやっていけるような、そんな予感に心がワクワクするのだった。
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AIイラストを、裏設定付きで『作品のオマケ』へと移動しました。キャラ紹介として、絵も増えています。お暇な方、AIイラストが苦手で無い方は、お立ち寄りくださるとうれしいです。
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