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恋心

33.よくじょう 03

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「随分と、可愛らしいですね」

 血の気が引くように冷静になり、唖然としながらピッピッと動く長い耳に手を伸ばせば、私が長い耳に触りやすいように、情けない顔をしながらもディック様はベッドに腰を落とし私を抱きしめ顔を隠した。

 溜息をつき、悲しそうにディック様が言うから、笑いそうになるのを耐えるのが大変だった。

「見られたくなかった……」

 左手で抱き着いてくるディック様の頭を抱えるように抱きしめ、右手で本来耳がる場所に触れてみれば、人の持つ耳は無い。

 そのまま頭を撫でるように手を滑らせウサギの耳に触れる。 ピクッと震えた。 さわさわと優しく毛並みに触れれば、辛そうな息が漏れていた。

「痛い?」

「いや……」

 ディック様の興奮……熱い吐息が薄い布地で作られた寝巻の上からでもわかり、擽ったい。

 優しく優しく、ウサギの耳を形成する魔力を食らうように口づけ、薄い耳を甘噛みし魔力を舐めて相殺する。

「くっ……ぁっ……」

 ディック様の吐息に声が漏れていた。

 王妃様は余程暇だったのか? うさ耳ごときに妙に魔力が練り込まれていた。 流石にコレで人前に行くのは出来ないだろう。 私としては、可愛くてなかなか楽しいのですけどね。

「ディック様、いつものように縛っちゃいます?」

「いや……。 せっかくだ。 このまま、子供の作り方を教えよう」

 呪いの影響か、見つめてくる瞳は黒ではなく赤く変色し潤んでいる。 黒兎なのに赤い目なんだと不思議に思った。

「ぇ? 呪いは?」

「うん」

 返事にならない返事と共に、抱き寄せられローブが脱がせられた。 薄衣の寝巻の中に手を滑り込ま背を撫で、頭を撫でてくる。 ゴツゴツとした手なのに妙に優しく、誘うようにベッドの上に座るディック様の膝の上に乗せられた。

 子供の作り方を教えると言っているのに、曾祖母がまだ生きていた頃、はにかむように私を撫でていた時とよく似ていて、とても懐かしくて、気持ちよくて落ち着く……。 そんな子供のような自分が少し恥ずかしく私は反抗してしまう。

「もう、子供じゃないんだけど?」

「あぁ、そうだな」

 チュッと唇同士が軽く触れ合った。

「目を閉じて、口を開けて」

「く(ち?)」

 問いかける前に唇が舐められ、開かれた唇の隙間から食らうように深く触れ合い舌先が口内に入れられた。 ぬるりとした熱い感触。

「んっ……」

 ぬるぬると舌が触れ合い、チュッと音を立てて舌先が吸われ、歯列が舌で撫でられる。  なんだか……生き物が口内を蠢くようで怖い……。

 逃げるように身体がよじれば、ディックの左手は私の手首を掴かみ、その右手は頬を撫で、耳に触れられた。

「ぁ、んっ……ふぅ」

 くすぐったい……。

 唇が離され、乱れる息を整えようとすれば、グラスに薄めた果実水が注がれ手渡され、私はそれを一気に半分まで飲み干し、残りをどうしようかと考えていれば、ディック様はグラスを奪いサイドテーブルの上に置く。

「こっちにおいで」

 ベッドの上に誘ってくる。

 呪いと偽り欲情を煽る薬を盛っていた時、当たり前のようにベッドの上に上がっていたが、背もたれに背を預けたディック様が手を差し出してくるのは初めて……私が、その手に手を重ねれば、立膝を立てた両ひざの間に座らせられる。

 幼い頃、少し遠い場所に出かけた時、彼は何時も守るように私を両足の間に座らせた。 その場所はとても懐かしくて、照れながらも私は背を預ける。

「嬉しそうだな」

「うん、懐かしい。 子供の頃のように何かお話をして」

「話をするのか? 子供の作り方を知りたいんじゃないのか?」

 笑うように言いながら、背後から首筋を撫でるように口づけられ、耳を甘く噛みつかれた。

「ぁっ……」

 ビクッと身体が震えれば、ディック様は静かに……だけど熱のこもった声で言う。

「仕返しだ」

 チュッと耳に口づけたかと思えば舌が耳の形にそって舐め、耳の穴がぴちゃぴちゃと音を立て舐められ、ゾクゾクと背中が泡立った。

「ぁ、いや……なんだか変」

 身を捩り逃げようとするが、抱きしめられ、その手は服の上から身体に触れ撫でられる。 優しく触れる手は、お腹を撫で、太腿を撫でて来た。

「くすぐったいよぉ。 こんな事で赤ちゃんが出来るの?」

「準備が必要なんだ。 服を脱ごうか?」

「ぇ? 誰が?」

 問い返せば、笑われた。

「俺も脱ぐが、リーリヤも脱ごう。 でないと続きが出来ない」

「は、恥ずかしいからやだ……」

「……まぁ、着たままでもできるが……。 嫌がる事はしたくないし、仕方がない」

 寝巻の上から胸が優しく触れられ、その先端が舐められる。 薄い布地がディック様の唾液を吸い、うっすらと服が透け始める。 舌先で舐められ、唇で挟み先端がディック様の口内で弄られ、いやらしい滑りを帯びた水音が響いた。

「ぁ、んっ、はっ……」

 甘えるような声が意識に反して漏れ出て、口元を塞ぎ逃げれば。 執拗に舐められていた胸の先端、乳首が甘く噛みつかれた。

「ぁっぐっぅ」

 ふるっと身体が痙攣する。
 頭の中が、痺れたようになる。

「上手く、イク事ができたようだな。 だが、こちら側だけでは可哀そうだ。 反対側もちゃんと可愛がってあげないとな」

 唾液に濡れた乳首は指先で弄ぶように、優しく撫で擦りながら、反対の乳首に舌を這わせねっとりと舐め、唇で挟み意地悪く引っ張って見せる。

「んっ」

 変な声が出てしまう……。
 恥ずかしい……。

 なのに……。

「ディック様、私に何をしたの?」

「何をって? リーリヤが見て、感じたまま、特別な事はしていないぞ」

 ちゅっ~と音を立て乳首が吸われ、擽るように脇腹から滑るように脇まで撫でられた。

「ぁ、やっ、擽ったい」

「なれるまでは、仕方がない」

 そう言いながらも、面白がるように脇腹を繰り返し撫で、どさくさにまぎれスルリと寝巻の内側に手を入れて来た。 固い手の平が撫でるように肌に触れた。

 キャミの下にはいていた薄地のパンツが脱がせられた。

「ぁ、ダメ……。 どうして、そういう事をするの! 返してよ!!」

 熱く気だるい身体は動かしにくく、それでも手を伸ばせばベッドの外に捨てられ、ショーツの上から秘部が触れられる。

「あぁ、良く、濡れている。 ショーツの上からでもよくわかる。 ちゃんと気持ち良くなれているようだな。 いい子だ」

 指を上下させるように撫でられれば、痛みに近い快楽に身体がゾクゾクと震えた。

「ふぁっ、んっ、ダメ、そこダメ」

「んっ、ここか?」

 特別敏感な部分を執拗に触られれば、お腹の中がじりじりと変な感じがし、押しつぶすように強く触れられれば電気が流れたように身体が弓なりに反れた。

「ひゃぁっ! ぁ、な、なに……今の……」

「ぁあ、悪い、少し刺激的過ぎたか?」

「よく、分からない……なぜ、こんなことを……」

「んっ、赤ちゃんの種を、ここに注ぎこむからだ」

 ショーツの上から、割れ目を撫でた。

「俺の子を産んでくれるんだろう?」

 赤い赤い目が見降ろしてきた。 恐怖は無かった……と、言うより……、不似合いなウサギの耳がヒクヒクと動く様子が、私を恐怖から救ってくれていた。
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