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09.逃亡につき見せつけ作戦失敗?
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チュッと軽いキス。 陛下は照れたように笑い言う。
「目、閉じていてくれると嬉しいんだけど」
顔が、息が近い……。
「本当に、私相手でいいのでしょうか?」
「俺はヨミがいいと言っているんだ。 目を閉ざして。 力まなくても、別に取って食う訳じゃないんだし」
唇がもう一度塞がれ、濡れた舌先が唇を撫でてくる。 こんなことなら、蜂蜜の味とか、もっと香の良いクリームで唇を潤しておくべきだった。 そんなことを考えて居れば、唇が離され、終わったのかと……奇妙な気持ちを味わっていれば、耳もとで囁かれた。
「舌を出して」
べーと陛下自身が舌を出して見せる。
「舌でございますか?」
舌を出せば、それが舐められ驚き離れようとしたが、身体はしっかりと抱きかかえられていた。 いつの間にこんなに肩幅も背丈も自分より大きく育っていたのでしょうか……ずっと、守らなければいけない小さな子だと思っていましたのに……。
「ぁ、んっ」
舌先のくすぐったさに声が漏れれば、僅かに空いた唇の隙間から、陛下の舌先が滑り込んできた。
「んっふぅっ」
ヌルリと入ってきた舌先を押し出そうと、身体を押しのけようと出来る訳などない。 自分が仕える相手、幼い頃から何よりも大切にしてきた相手だ。 ご両親であった国王夫婦を失くした後の落ち込み、彼の孤独感を知っているからこそ、拒絶と言う形を取れるはずがなかった。
感情だけで言うなら取る必要もなかった。 それでも理性は、これは良くないと思っていた。
くすぐるように歯列が撫でられる。 舌先が突かれ舐められ絡められる。 子供が手遊びをするかのような戯れのような感じだと思う反面、今までに感じた事のない奇妙な気持ちと感覚に狼狽えてしまう。
向きを変え角度を変え、口づけは続けられた。
「んっふぅ」
縋るようにその剥き出しの肌に触れれば、口内で遊んでいた舌先が奥深くまで入り込んでくる。 息苦しさと共に、ソレを与えるのが陛下であると言う幸福感のようなものを感じてしまう。
舌の付け根近くまで撫でられ、口内の上辺を撫でられ、いつのまにか唾液があふれだし、くちゅくちゅと口内を水音がたてはじめる。 それはとても淫靡に思えて、首筋がゾワリとする。
私は、今、何をしているの?
ようやく自分がしている行為が性的なものなのだと気づけば狼狽えた。
「いい加減にしろ。 ココを何処だと思ってんだ」
止めたのはエルオーネだった。
気づけば遠巻きに人が見ていると言う状況で、羞恥で熱を帯びた私はあり得ない事に陛下を置き去りに全力でその場から逃げ去ってしまったのだった。
「目、閉じていてくれると嬉しいんだけど」
顔が、息が近い……。
「本当に、私相手でいいのでしょうか?」
「俺はヨミがいいと言っているんだ。 目を閉ざして。 力まなくても、別に取って食う訳じゃないんだし」
唇がもう一度塞がれ、濡れた舌先が唇を撫でてくる。 こんなことなら、蜂蜜の味とか、もっと香の良いクリームで唇を潤しておくべきだった。 そんなことを考えて居れば、唇が離され、終わったのかと……奇妙な気持ちを味わっていれば、耳もとで囁かれた。
「舌を出して」
べーと陛下自身が舌を出して見せる。
「舌でございますか?」
舌を出せば、それが舐められ驚き離れようとしたが、身体はしっかりと抱きかかえられていた。 いつの間にこんなに肩幅も背丈も自分より大きく育っていたのでしょうか……ずっと、守らなければいけない小さな子だと思っていましたのに……。
「ぁ、んっ」
舌先のくすぐったさに声が漏れれば、僅かに空いた唇の隙間から、陛下の舌先が滑り込んできた。
「んっふぅっ」
ヌルリと入ってきた舌先を押し出そうと、身体を押しのけようと出来る訳などない。 自分が仕える相手、幼い頃から何よりも大切にしてきた相手だ。 ご両親であった国王夫婦を失くした後の落ち込み、彼の孤独感を知っているからこそ、拒絶と言う形を取れるはずがなかった。
感情だけで言うなら取る必要もなかった。 それでも理性は、これは良くないと思っていた。
くすぐるように歯列が撫でられる。 舌先が突かれ舐められ絡められる。 子供が手遊びをするかのような戯れのような感じだと思う反面、今までに感じた事のない奇妙な気持ちと感覚に狼狽えてしまう。
向きを変え角度を変え、口づけは続けられた。
「んっふぅ」
縋るようにその剥き出しの肌に触れれば、口内で遊んでいた舌先が奥深くまで入り込んでくる。 息苦しさと共に、ソレを与えるのが陛下であると言う幸福感のようなものを感じてしまう。
舌の付け根近くまで撫でられ、口内の上辺を撫でられ、いつのまにか唾液があふれだし、くちゅくちゅと口内を水音がたてはじめる。 それはとても淫靡に思えて、首筋がゾワリとする。
私は、今、何をしているの?
ようやく自分がしている行為が性的なものなのだと気づけば狼狽えた。
「いい加減にしろ。 ココを何処だと思ってんだ」
止めたのはエルオーネだった。
気づけば遠巻きに人が見ていると言う状況で、羞恥で熱を帯びた私はあり得ない事に陛下を置き去りに全力でその場から逃げ去ってしまったのだった。
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