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66.血濡れ 01
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『クロード、風呂と着るものをヴェルに準備してくれ』
部屋に戻ると、クロードはいない。
「なんだか凄い騒ぎになっているようですが……まさか?」
扉が開き続き部屋から現れたクロードは、眉間を寄せて息を飲んでいた。
それも仕方ないだろう。 黒い毛並みはそれほど血の色をあからさまにしないが、ヴェルが纏っている白いシーツは血をしみこみ今も赤色を広げていたし、白い髪は、白い肌も、素足の足元も血に濡れているのだ。
「とうとうやらかしたか……」
ボソリと言った次の瞬間には、すたすたと歩み寄って来て妙に早口になる。
「何時かやるとは思っていたが、もう少し事前連絡と言うか、計画性を持って行動したらどうなんだ」
力の入っていない風に思えるヴェルディの身体をソファに座らせた。
「血が……」
「気になさらなくても結構ですよ」
ヴェルディに向ける声も表情も優しくて、クロードにむかついた。 なぜ、オマエが優しくするんだ!!
『どうした、顔色が悪いぞ』
「そうですね……。 大丈夫ですか? お嬢さん」
息を荒く見出し、グラリと力なく倒れそうになるヴェルディの身体を支えながら、クロードはヴェルディをソファに横に寝かせる。
『だい、丈夫か?』
「は、はい……ちょっと……えっと、多分、お腹がすいたんだと思います」
そう笑うヴェルディに、違うだろう!! と言いたくなるが……あわただしくするのは違うような気がして耐えた。
『まともに飯も食ってないからな。 何かヴェルに食べるものを頼む』
食べられるか分からないが……。
本音を言えばそう思っていた。
「直ぐにお持ち出来るとなると、野菜のスープとパンになりますが、よろしいですか? 風呂に入っていただいている間の時間を頂けるなら、もう少し何か容易をさせますが」
「なんだか、気持ち悪いから胃の中に入れておきたい」
「……それは」
血まみれになるような状況に身を置いていたなら気持ち悪くなるのは普通で、そこで空腹なのだと考える方がオカシイのでは? と、シグルドもクロードは思ったが、余計な言葉は2人とも控えたらしい。
シグルドは、全身を覆う血が悪影響を与えているのでは? とヴェルディから距離をとる。 とはいっても、様子が気になるから余り離れる事も出来ないが……。
ウロウロとすれば、随分前にもこんなことをしていたような気がした。
「シグルド様、酷い恰好ですわ」
『申し訳ない』
「こちらに、来ていただきますか?」
そう告げるヴェルディの鼓動が早く、浅い呼吸が繰り返される様子は心配だった。 だから一歩だけ近寄った。
『どうした?』
「こっち……」
言われて、渋々……な様子で、だけどこんな状況なのに嬉しくて、一歩、二歩、三歩とユックリとシグルドは近寄って行く。 ユックリと慎重に、自分が拒絶される可能性を考えて。 それほどまでに凄惨な場を生み出してしまった自覚はある。
好きな子。
好きになれるかもしれない子。
そんな子を血の海に沈めた。
……後悔が胸をしめる。
部屋に戻ると、クロードはいない。
「なんだか凄い騒ぎになっているようですが……まさか?」
扉が開き続き部屋から現れたクロードは、眉間を寄せて息を飲んでいた。
それも仕方ないだろう。 黒い毛並みはそれほど血の色をあからさまにしないが、ヴェルが纏っている白いシーツは血をしみこみ今も赤色を広げていたし、白い髪は、白い肌も、素足の足元も血に濡れているのだ。
「とうとうやらかしたか……」
ボソリと言った次の瞬間には、すたすたと歩み寄って来て妙に早口になる。
「何時かやるとは思っていたが、もう少し事前連絡と言うか、計画性を持って行動したらどうなんだ」
力の入っていない風に思えるヴェルディの身体をソファに座らせた。
「血が……」
「気になさらなくても結構ですよ」
ヴェルディに向ける声も表情も優しくて、クロードにむかついた。 なぜ、オマエが優しくするんだ!!
『どうした、顔色が悪いぞ』
「そうですね……。 大丈夫ですか? お嬢さん」
息を荒く見出し、グラリと力なく倒れそうになるヴェルディの身体を支えながら、クロードはヴェルディをソファに横に寝かせる。
『だい、丈夫か?』
「は、はい……ちょっと……えっと、多分、お腹がすいたんだと思います」
そう笑うヴェルディに、違うだろう!! と言いたくなるが……あわただしくするのは違うような気がして耐えた。
『まともに飯も食ってないからな。 何かヴェルに食べるものを頼む』
食べられるか分からないが……。
本音を言えばそう思っていた。
「直ぐにお持ち出来るとなると、野菜のスープとパンになりますが、よろしいですか? 風呂に入っていただいている間の時間を頂けるなら、もう少し何か容易をさせますが」
「なんだか、気持ち悪いから胃の中に入れておきたい」
「……それは」
血まみれになるような状況に身を置いていたなら気持ち悪くなるのは普通で、そこで空腹なのだと考える方がオカシイのでは? と、シグルドもクロードは思ったが、余計な言葉は2人とも控えたらしい。
シグルドは、全身を覆う血が悪影響を与えているのでは? とヴェルディから距離をとる。 とはいっても、様子が気になるから余り離れる事も出来ないが……。
ウロウロとすれば、随分前にもこんなことをしていたような気がした。
「シグルド様、酷い恰好ですわ」
『申し訳ない』
「こちらに、来ていただきますか?」
そう告げるヴェルディの鼓動が早く、浅い呼吸が繰り返される様子は心配だった。 だから一歩だけ近寄った。
『どうした?』
「こっち……」
言われて、渋々……な様子で、だけどこんな状況なのに嬉しくて、一歩、二歩、三歩とユックリとシグルドは近寄って行く。 ユックリと慎重に、自分が拒絶される可能性を考えて。 それほどまでに凄惨な場を生み出してしまった自覚はある。
好きな子。
好きになれるかもしれない子。
そんな子を血の海に沈めた。
……後悔が胸をしめる。
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