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29.【求】教師 02
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「お嬢様は何時までたっても、私の小さなお嬢様なんですね」
「あんたが、恥をかかせるからでしょう」
「場を和ませてくれるのはありがたいのですが、コチラの令嬢の話を伺って良いですかな?」
「ぁ、どうぞ、お好きなだけ話をなさってください」
「去るのなら名前ぐらい告げて下さい。 で、なければ……指名手配を行いますよ? 今、主の寵愛を得たいとする方々は、騎士の中でも大勢いるのですから」
私は心の中で舌打ちをし、席に座りなおした。
「お待たせしました。 それでお美しいお嬢さん方、いかがされたのですか?」
「あの……シグルド殿下が、教師をお求めになられていると伺ったもので、私共でよければお力になれないかとお声かけさせていただきましたの」
「教師ですか? 確かにあの方は教師となる方を探しておいでですが、お嬢さん方に殿下の教師が務まるようには思えませんが?」
「これでも体力には自信がありますの。 それに、技の方も……。 テストが必要でしたら、クロード様がお試しになって下さっても構いませんわ」
妙に色気をむんむんさせながらアピールしている令嬢2人。 何の教師なのだと、私はランバールへと視線を送れば、
「あ~、お嬢様にはまだお早い知識ですね」
「あら、ソレは殿方の理想の押し付けではないかしら? 私共は恋をした瞬間から女ですのよ?」
うふふふふと笑う様子を見れば、何となく想像がついた。
ぴきっとしたわけだ。
「ゼーマン公爵家のご令嬢が、教師役に付くと噂を聞いておりますが、その……公爵家のご令嬢が相手では、色々と不都合もございますでしょう? なので、私共が殿下のお力になりたいと思っておりますの」
「あ~~、そっちの方ですか……。 必要なら風(俗に行って金で済まさせますよ。 お気遣いありがとうございます)」
耳が塞がれた。
「申し訳ありませんが、うちのお嬢様は皇子様に皇子様を求める、夢見る乙女です。 その夢をハンマーでぶち壊すような事は止めていただけませんか?」
「あら、ですが……。 女性としてはリードしてくれる逞しい殿方に憧れるものですわ。 初心な乙女を好むなんて、貴方……身勝手な自分を受け入れさせたいと言う欲望をお持ちなのかしら?」
私は耳を塞ぐランバールの手にじたばたする訳なのだけど……。 視線が集まっている事に気づき慌てて大人しくした。
「ラン、手を離しなさい。 私だっていずれ大人になりますのよ!! それに……その……なんとなく想像はつくものですわ」
「お、お嬢様……まさか」
「何がまさかよ!! 使用人がイチャイチャしているのを私だって見る事があるって言っているの」
「あ~~、うん……お嬢様はカワイイなぁ~」
「あらあら、お可愛らしい事。 私達が話しているのはもっと大人な話ですわ」
そういって、女性達が抱き合い、足を絡めるように長いスカートをお互いの足に絡めあい、色香を纏いながら、戯れのように軽く口づけを交わす。
「うふ、よかったら。 お嬢さんにも教えてあげましてよ」
「止めて下さい。 貴方のような方々に頼むくらいなら必要な時が来たら、私がお教えしますよ」
「なんあなななな、んで、あの人達は、抱き合っているの??」
「……いえ、まぁ……なんでしょうね? 私も説明がつきません」
「なんでって……、殿下に女の良さを教える教師になろうとアピールしておりますの」
「……」
私が無言で考えこめば、
「お嬢様、そこで張り合うのは止めて下さい」
「そ、そんな事考えて無いわよ!! なんか、なんか、頭の中がごちゃごちゃするから帰る!! ラン、抱っこ」
「はいはい」
「まぁ、お可愛らしい、うふふふふ」
そんな感じで、なんか、どさくさな感じで逃げ去ってしまう。
だが、ふと思うのだ。
「ぁ、指名手配だされたらどうしよう?」
「あんたが、恥をかかせるからでしょう」
「場を和ませてくれるのはありがたいのですが、コチラの令嬢の話を伺って良いですかな?」
「ぁ、どうぞ、お好きなだけ話をなさってください」
「去るのなら名前ぐらい告げて下さい。 で、なければ……指名手配を行いますよ? 今、主の寵愛を得たいとする方々は、騎士の中でも大勢いるのですから」
私は心の中で舌打ちをし、席に座りなおした。
「お待たせしました。 それでお美しいお嬢さん方、いかがされたのですか?」
「あの……シグルド殿下が、教師をお求めになられていると伺ったもので、私共でよければお力になれないかとお声かけさせていただきましたの」
「教師ですか? 確かにあの方は教師となる方を探しておいでですが、お嬢さん方に殿下の教師が務まるようには思えませんが?」
「これでも体力には自信がありますの。 それに、技の方も……。 テストが必要でしたら、クロード様がお試しになって下さっても構いませんわ」
妙に色気をむんむんさせながらアピールしている令嬢2人。 何の教師なのだと、私はランバールへと視線を送れば、
「あ~、お嬢様にはまだお早い知識ですね」
「あら、ソレは殿方の理想の押し付けではないかしら? 私共は恋をした瞬間から女ですのよ?」
うふふふふと笑う様子を見れば、何となく想像がついた。
ぴきっとしたわけだ。
「ゼーマン公爵家のご令嬢が、教師役に付くと噂を聞いておりますが、その……公爵家のご令嬢が相手では、色々と不都合もございますでしょう? なので、私共が殿下のお力になりたいと思っておりますの」
「あ~~、そっちの方ですか……。 必要なら風(俗に行って金で済まさせますよ。 お気遣いありがとうございます)」
耳が塞がれた。
「申し訳ありませんが、うちのお嬢様は皇子様に皇子様を求める、夢見る乙女です。 その夢をハンマーでぶち壊すような事は止めていただけませんか?」
「あら、ですが……。 女性としてはリードしてくれる逞しい殿方に憧れるものですわ。 初心な乙女を好むなんて、貴方……身勝手な自分を受け入れさせたいと言う欲望をお持ちなのかしら?」
私は耳を塞ぐランバールの手にじたばたする訳なのだけど……。 視線が集まっている事に気づき慌てて大人しくした。
「ラン、手を離しなさい。 私だっていずれ大人になりますのよ!! それに……その……なんとなく想像はつくものですわ」
「お、お嬢様……まさか」
「何がまさかよ!! 使用人がイチャイチャしているのを私だって見る事があるって言っているの」
「あ~~、うん……お嬢様はカワイイなぁ~」
「あらあら、お可愛らしい事。 私達が話しているのはもっと大人な話ですわ」
そういって、女性達が抱き合い、足を絡めるように長いスカートをお互いの足に絡めあい、色香を纏いながら、戯れのように軽く口づけを交わす。
「うふ、よかったら。 お嬢さんにも教えてあげましてよ」
「止めて下さい。 貴方のような方々に頼むくらいなら必要な時が来たら、私がお教えしますよ」
「なんあなななな、んで、あの人達は、抱き合っているの??」
「……いえ、まぁ……なんでしょうね? 私も説明がつきません」
「なんでって……、殿下に女の良さを教える教師になろうとアピールしておりますの」
「……」
私が無言で考えこめば、
「お嬢様、そこで張り合うのは止めて下さい」
「そ、そんな事考えて無いわよ!! なんか、なんか、頭の中がごちゃごちゃするから帰る!! ラン、抱っこ」
「はいはい」
「まぁ、お可愛らしい、うふふふふ」
そんな感じで、なんか、どさくさな感じで逃げ去ってしまう。
だが、ふと思うのだ。
「ぁ、指名手配だされたらどうしよう?」
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