25 / 75
03
24.記憶 02
しおりを挟む
ホルト帝国宰相の息子クロード・バラデュールは、最近、命の危機に怯えている。
クロードは、10日にも及ぶ長い期間、ただひたすらに自らの不幸を嘆いていた。 なぜなら学友兼、将来の主君であるシグルド・カール・テン・ホルトの機嫌が凶悪なほどに悪くなっているから。
いや、1年ほど異常なほど機嫌が良かっただけ……もともと彼はこうだった……だったか? 成長した分、悪化しているよな?
平和な日々よ戻って来い。
特に3か月ほどの間の機嫌のよさは死を前にオカシクなったのでは? と思うほどだった。 何しろ無意識で歌を歌っているのだ。 それもかなりご機嫌な曲を!! 挙句、ウッカリ視線が合っても、殴り飛ばそうともしなかったのだから、そっちの方が異常なのだ。
あぁ神よ。 もう一度奇跡を……。 人を切り刻んでやるぞ、とでもいう表情で日々を過ごす学友に平穏を。
元々のシグルドと言えば、図書館で勉強をするか、勉強部屋で勉強をするか2つに1つ。 皇帝位につかせる気が無いからこそ、人との接触を最低限にすると言う偏った教育が行われていた。
それが、貴族との面会を望み始めたのだ。
拒む貴族を脅しながら!!
だが、最終的には感謝された。
彼に一体何が起こったのか?
年が近いと言うだけの理由で、学友として共に一生引きこもってろと、生贄のウサギのように彼の側に放置された私としては……その変化にどれほど救われたものか!!
改革と言う奇跡は今も続いているが、彼の機嫌の悪さは……なんとか折り合いをつけさせなければいけない。 そのためには、彼に何が起こったのかを追求しなければいけない。
元に戻っただけで済ませてなるものか。
何しろ彼と私は一蓮托生なのだから。
クロードは、10日にも及ぶ長い期間、ただひたすらに自らの不幸を嘆いていた。 なぜなら学友兼、将来の主君であるシグルド・カール・テン・ホルトの機嫌が凶悪なほどに悪くなっているから。
いや、1年ほど異常なほど機嫌が良かっただけ……もともと彼はこうだった……だったか? 成長した分、悪化しているよな?
平和な日々よ戻って来い。
特に3か月ほどの間の機嫌のよさは死を前にオカシクなったのでは? と思うほどだった。 何しろ無意識で歌を歌っているのだ。 それもかなりご機嫌な曲を!! 挙句、ウッカリ視線が合っても、殴り飛ばそうともしなかったのだから、そっちの方が異常なのだ。
あぁ神よ。 もう一度奇跡を……。 人を切り刻んでやるぞ、とでもいう表情で日々を過ごす学友に平穏を。
元々のシグルドと言えば、図書館で勉強をするか、勉強部屋で勉強をするか2つに1つ。 皇帝位につかせる気が無いからこそ、人との接触を最低限にすると言う偏った教育が行われていた。
それが、貴族との面会を望み始めたのだ。
拒む貴族を脅しながら!!
だが、最終的には感謝された。
彼に一体何が起こったのか?
年が近いと言うだけの理由で、学友として共に一生引きこもってろと、生贄のウサギのように彼の側に放置された私としては……その変化にどれほど救われたものか!!
改革と言う奇跡は今も続いているが、彼の機嫌の悪さは……なんとか折り合いをつけさせなければいけない。 そのためには、彼に何が起こったのかを追求しなければいけない。
元に戻っただけで済ませてなるものか。
何しろ彼と私は一蓮托生なのだから。
0
お気に入りに追加
457
あなたにおすすめの小説

【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。
だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。
その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」

【完結】新皇帝の後宮に献上された姫は、皇帝の寵愛を望まない
ユユ
恋愛
周辺諸国19国を統べるエテルネル帝国の皇帝が崩御し、若い皇子が即位した2年前から従属国が次々と姫や公女、もしくは美女を献上している。
既に帝国の令嬢数人と従属国から18人が後宮で住んでいる。
未だ献上していなかったプロプル王国では、王女である私が仕方なく献上されることになった。
後宮の余った人気のない部屋に押し込まれ、選択を迫られた。
欲の無い王女と、女達の醜い争いに辟易した新皇帝の噛み合わない新生活が始まった。
* 作り話です
* そんなに長くしない予定です
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
とまどいの花嫁は、夫から逃げられない
椎名さえら
恋愛
エラは、親が決めた婚約者からずっと冷淡に扱われ
初夜、夫は愛人の家へと行った。
戦争が起こり、夫は戦地へと赴いた。
「無事に戻ってきたら、お前とは離婚する」
と言い置いて。
やっと戦争が終わった後、エラのもとへ戻ってきた夫に
彼女は強い違和感を感じる。
夫はすっかり改心し、エラとは離婚しないと言い張り
突然彼女を溺愛し始めたからだ
______________________
✴︎舞台のイメージはイギリス近代(ゆるゆる設定)
✴︎誤字脱字は優しくスルーしていただけると幸いです
✴︎なろうさんにも投稿しています
私の勝手なBGMは、懐かしすぎるけど鬼束ちひろ『月光』←名曲すぎ
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。

今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。
そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。
だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。
そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。
拝啓、愛しの侯爵様~行き遅れ令嬢ですが、運命の人は案外近くにいたようです~
藤原ライラ
ファンタジー
心を奪われた手紙の先には、運命の人が待っていた――
子爵令嬢のキャロラインは、両親を早くに亡くし、年の離れた弟の面倒を見ているうちにすっかり婚期を逃しつつあった。夜会でも誰からも相手にされない彼女は、新しい出会いを求めて文通を始めることに。届いた美しい字で洗練された内容の手紙に、相手はきっとうんと年上の素敵なおじ様のはずだとキャロラインは予想する。
彼とのやり取りにときめく毎日だがそれに難癖をつける者がいた。幼馴染で侯爵家の嫡男、クリストファーである。
「理想の相手なんかに巡り合えるわけないだろう。現実を見た方がいい」
四つ年下の彼はいつも辛辣で彼女には冷たい。
そんな時キャロラインは、夜会で想像した文通相手とそっくりな人物に出会ってしまう……。
文通相手の正体は一体誰なのか。そしてキャロラインの恋の行方は!?
じれじれ両片思いです。
※他サイトでも掲載しています。
イラスト:ひろ様(https://xfolio.jp/portfolio/hiro_foxtail)
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる