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4章 化け物聖女
22.化け物と呼ばれた令嬢、人を超えた力を使い、人として認められる? 02
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聖女としての知名度を上げようなどと躍起にならずとも、エリアルは聖女として認知されつつあった。 長年身体を蝕んだ国民病のような病が治るのだ、奇跡のような出来事が広がらない訳がない。 多くの者が公爵を通して問いかけてきた。 が!! あの日、謁見の日、王子と一緒になって化け物と私を馬鹿にしたものを、公爵は許すことはなく手紙は開くことも無く灰となった。
私が屋敷に戻ると同時にと言うか、私に懇願され屋敷に共に戻ったミカゲ先生に、私はお茶を入れながら聞いて見た。 少し離れたところで控えている侍女が流石ご令嬢、お茶を入れる立ち居振る舞いも美しいと褒めてくる。 まったく甘い、甘すぎる!! と、思いながらも少し頬が緩んでしまい、へへっへへと笑いそうになるのを必死にこらえた。
「楽しそうですね」
ギクッ。
「こ、ここには色々ありますから。 ロノスは、人間は欲しいものがあれば金品と交換する者だから贅沢したいなら稼ぎなさいって精霊でしたから」
「小さなお嬢様になんて酷な」
「ロノスは人の年齢など理解しきれていないのだと思いますよ」
「精霊とは厄介なものですね。 あぁ、お茶が美味しい。 お嬢様がいれると何倍も美味しくなります」
「そりゃぁユリアの娘だからな。 それより、私のお茶は?」
「はい!!」
そう言って私は、2日前に買ってもらった麦を洗ってゴミを除いて乾燥しておいたものを、今朝方フライパンで炒ったものを沸かし冷ましておいたお茶を出す。 精霊の迷宮図書館にあった胃に負担の少ない茶だ。
「これは?」
「飲むならソレ、公爵はコーヒー、紅茶、酒、なんでも過度に飲みすぎるからダメダメ」
「酒は控えましたよ。 娘の成長を見ずして死ぬわけにはいきませんから。 貴方の幸せぐほっ。 なぜ、そういう事をするのですか」
そういいながら公爵は笑うのは、私がガラスコップを頬に押し当て、あっち行けと押し付けたから。 そして私は公爵を無視して話出す。
「先生は、患者さんを治してくれとは言わないの?」
「言いませんよ。 そんな面倒な事の窓口になりたくなどありません。 それに私が動かずとも、すぐに神殿が動きますよ」
なるほどと私はうなずき、隙を見せれば、人の頭を撫で、抱き上げようとする公爵にあっちに行けと振り払うのだった。
その日の午後、日替わりの順番であるところの精霊ギルドに向かえば、そこには神官長と魔導師長が来ていて、私の来訪と共に人がざざざ~と道を作り頭を下げた。
「何事?」
眉間を寄せ私が聞けば。
「聖女様、聖女様、私の家族にも奇跡を」
「お願いします。 どうか、母を救って下さい」
まぁ、そんな感じの話のために、長達が集まっていたらしく、丁寧に料理をしていてはきりがないといい。
「水をいただけるかしら?」
言えばすぐにコップに水が持ち込まれた。
「少ない」
「申し訳ございません」
次にタライで持ってこられた。 まぁいいかと、私は私の腕にはびこらせている赤黒い岩のようになった部分を爪先で耳かきの半分量を削り落とし水に混ぜ込んだ。 さぁ~とソレは水に溶ける。
「それを飲みなさい。 飲んで私に忠誠を誓う者のみに救いを与えましょう」
彼等もまた、最初私を見た時には化け物と、王子が言ったのと同じように精霊と人が混ざり魔物となった魔人だと冷ややかに見ていたのだから、これぐらいの嫌がらせは許されるだろう。
結果としては、彼等の身体は今よりも調子が良くなるのは分かっているのだから……。
私が屋敷に戻ると同時にと言うか、私に懇願され屋敷に共に戻ったミカゲ先生に、私はお茶を入れながら聞いて見た。 少し離れたところで控えている侍女が流石ご令嬢、お茶を入れる立ち居振る舞いも美しいと褒めてくる。 まったく甘い、甘すぎる!! と、思いながらも少し頬が緩んでしまい、へへっへへと笑いそうになるのを必死にこらえた。
「楽しそうですね」
ギクッ。
「こ、ここには色々ありますから。 ロノスは、人間は欲しいものがあれば金品と交換する者だから贅沢したいなら稼ぎなさいって精霊でしたから」
「小さなお嬢様になんて酷な」
「ロノスは人の年齢など理解しきれていないのだと思いますよ」
「精霊とは厄介なものですね。 あぁ、お茶が美味しい。 お嬢様がいれると何倍も美味しくなります」
「そりゃぁユリアの娘だからな。 それより、私のお茶は?」
「はい!!」
そう言って私は、2日前に買ってもらった麦を洗ってゴミを除いて乾燥しておいたものを、今朝方フライパンで炒ったものを沸かし冷ましておいたお茶を出す。 精霊の迷宮図書館にあった胃に負担の少ない茶だ。
「これは?」
「飲むならソレ、公爵はコーヒー、紅茶、酒、なんでも過度に飲みすぎるからダメダメ」
「酒は控えましたよ。 娘の成長を見ずして死ぬわけにはいきませんから。 貴方の幸せぐほっ。 なぜ、そういう事をするのですか」
そういいながら公爵は笑うのは、私がガラスコップを頬に押し当て、あっち行けと押し付けたから。 そして私は公爵を無視して話出す。
「先生は、患者さんを治してくれとは言わないの?」
「言いませんよ。 そんな面倒な事の窓口になりたくなどありません。 それに私が動かずとも、すぐに神殿が動きますよ」
なるほどと私はうなずき、隙を見せれば、人の頭を撫で、抱き上げようとする公爵にあっちに行けと振り払うのだった。
その日の午後、日替わりの順番であるところの精霊ギルドに向かえば、そこには神官長と魔導師長が来ていて、私の来訪と共に人がざざざ~と道を作り頭を下げた。
「何事?」
眉間を寄せ私が聞けば。
「聖女様、聖女様、私の家族にも奇跡を」
「お願いします。 どうか、母を救って下さい」
まぁ、そんな感じの話のために、長達が集まっていたらしく、丁寧に料理をしていてはきりがないといい。
「水をいただけるかしら?」
言えばすぐにコップに水が持ち込まれた。
「少ない」
「申し訳ございません」
次にタライで持ってこられた。 まぁいいかと、私は私の腕にはびこらせている赤黒い岩のようになった部分を爪先で耳かきの半分量を削り落とし水に混ぜ込んだ。 さぁ~とソレは水に溶ける。
「それを飲みなさい。 飲んで私に忠誠を誓う者のみに救いを与えましょう」
彼等もまた、最初私を見た時には化け物と、王子が言ったのと同じように精霊と人が混ざり魔物となった魔人だと冷ややかに見ていたのだから、これぐらいの嫌がらせは許されるだろう。
結果としては、彼等の身体は今よりも調子が良くなるのは分かっているのだから……。
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