19 / 42
19.悪魔公は期待に笑う
しおりを挟む
「どういう!!」
男が……クルト・クヴァンツが慌て娘に声をかけたが、既に意識は遠ざかった後だった。
倒れこんだ娘の身体は、疲労でグッタリとしていた。 どういう……ことだ? 混乱した。 いや、自分は誰と契りを交わしたんだ? 婚姻よりも強い、運命を共有する解除不可能な契約を。
今更ながら拘束を解いた。
疲れ切った身体を、汗と愛液と精液に濡れた身体を拭う。
何処の誰か知らなくとも、誰かに任せる気などなれなかった。
皮膚を覆う黒曜石のような鱗、それは幼い頃からあったが、年と共に広がりを見せ、今となっては、
公爵は悪魔だ。
夜な夜な人を食っている。
やがてドラゴンに変化する。
彼を知らない人間は恐怖と共に語り、彼を知る人間は小馬鹿にしながら見掛け倒しの化け物がと語る。
人と顔を合わせるのも億劫に思う反面の孤独。
『その孤独は永遠のものだろう』
クルト・クヴァンツは思っていた。 友人であるレイバ辺境伯も、兄である現国王も、彼を良く知る者達は、クルトは孤独に1人で生きていくのだと決めつけていた。 だからこその押し付けであり、だからこその了承だった。
想像した以上に情が沸いていた。
行為に伴う愛おしさなど虚構だと言われれば反論できない。
それでも、愛おしくて、愛おしくて、過去の男を思えば嫉妬した。
フレイではない。
ソレを聞いて、意識を失った娘が気の毒に思えた。
ソレを聞いて、申し訳ないと思った。
ソレを聞いて、歓喜した……。
俺だけの……存在。
意識のない名も知らぬ娘に口づける。
「私の全てを持って償い、甘やかそう……」
手離す気等欠片もない。
そんな簡単な術ではない。
解除できない術であることを心から喜んでいた。
その日、クルトは心から喜び、そして笑い、使用人達を恐怖させた。
男が……クルト・クヴァンツが慌て娘に声をかけたが、既に意識は遠ざかった後だった。
倒れこんだ娘の身体は、疲労でグッタリとしていた。 どういう……ことだ? 混乱した。 いや、自分は誰と契りを交わしたんだ? 婚姻よりも強い、運命を共有する解除不可能な契約を。
今更ながら拘束を解いた。
疲れ切った身体を、汗と愛液と精液に濡れた身体を拭う。
何処の誰か知らなくとも、誰かに任せる気などなれなかった。
皮膚を覆う黒曜石のような鱗、それは幼い頃からあったが、年と共に広がりを見せ、今となっては、
公爵は悪魔だ。
夜な夜な人を食っている。
やがてドラゴンに変化する。
彼を知らない人間は恐怖と共に語り、彼を知る人間は小馬鹿にしながら見掛け倒しの化け物がと語る。
人と顔を合わせるのも億劫に思う反面の孤独。
『その孤独は永遠のものだろう』
クルト・クヴァンツは思っていた。 友人であるレイバ辺境伯も、兄である現国王も、彼を良く知る者達は、クルトは孤独に1人で生きていくのだと決めつけていた。 だからこその押し付けであり、だからこその了承だった。
想像した以上に情が沸いていた。
行為に伴う愛おしさなど虚構だと言われれば反論できない。
それでも、愛おしくて、愛おしくて、過去の男を思えば嫉妬した。
フレイではない。
ソレを聞いて、意識を失った娘が気の毒に思えた。
ソレを聞いて、申し訳ないと思った。
ソレを聞いて、歓喜した……。
俺だけの……存在。
意識のない名も知らぬ娘に口づける。
「私の全てを持って償い、甘やかそう……」
手離す気等欠片もない。
そんな簡単な術ではない。
解除できない術であることを心から喜んでいた。
その日、クルトは心から喜び、そして笑い、使用人達を恐怖させた。
0
お気に入りに追加
1,298
あなたにおすすめの小説
初めての相手が陛下で良かった
ウサギテイマーTK
恋愛
第二王子から婚約破棄された侯爵令嬢アリミアは、王子の新しい婚約者付の女官として出仕することを命令される。新しい婚約者はアリミアの義妹。それどころか、第二王子と義妹の初夜を見届けるお役をも仰せつかる。それはアリミアをはめる罠でもあった。媚薬を盛られたアリミアは、熱くなった体を持て余す。そんなアリミアを助けたのは、彼女の初恋の相手、現国王であった。アリミアは陛下に懇願する。自分を抱いて欲しいと。
※ダラダラエッチシーンが続きます。苦手な方は無理なさらずに。
精霊の愛し子が濡れ衣を着せられ、婚約破棄された結果
あーもんど
恋愛
「アリス!私は真実の愛に目覚めたんだ!君との婚約を白紙に戻して欲しい!」
ある日の朝、突然家に押し掛けてきた婚約者───ノア・アレクサンダー公爵令息に婚約解消を申し込まれたアリス・ベネット伯爵令嬢。
婚約解消に同意したアリスだったが、ノアに『解消理由をそちらに非があるように偽装して欲しい』と頼まれる。
当然ながら、アリスはそれを拒否。
他に女を作って、婚約解消を申し込まれただけでも屈辱なのに、そのうえ解消理由を偽装するなど有り得ない。
『そこをなんとか······』と食い下がるノアをアリスは叱咤し、屋敷から追い出した。
その数日後、アカデミーの卒業パーティーへ出席したアリスはノアと再会する。
彼の隣には想い人と思われる女性の姿が·····。
『まだ正式に婚約解消した訳でもないのに、他の女とパーティーに出席するだなんて·····』と呆れ返るアリスに、ノアは大声で叫んだ。
「アリス・ベネット伯爵令嬢!君との婚約を破棄させてもらう!婚約者が居ながら、他の男と寝た君とは結婚出来ない!」
濡れ衣を着せられたアリスはノアを冷めた目で見つめる。
······もう我慢の限界です。この男にはほとほと愛想が尽きました。
復讐を誓ったアリスは────精霊王の名を呼んだ。
※本作を読んでご気分を害される可能性がありますので、閲覧注意です(詳しくは感想欄の方をご参照してください)
※息抜き作品です。クオリティはそこまで高くありません。
※本作のざまぁは物理です。社会的制裁などは特にありません。
※hotランキング一位ありがとうございます(2020/12/01)
蜜夜、令嬢は騎士に奪われる
二階堂まや
恋愛
令嬢ディアーヌは政治家の令息であるマリウスと婚約するものの、それは愛の無いものであった。今宵の夜会でも、彼はディアーヌを放って歓談に熱中する始末である。
そんな矢先、元王立騎士団長のヴァロンがディアーヌに声をかけ、二人は夜会を抜け出すこととなる。
愚かな父にサヨナラと《完結》
アーエル
ファンタジー
「フラン。お前の方が年上なのだから、妹のために我慢しなさい」
父の言葉は最後の一線を越えてしまった。
その言葉が、続く悲劇を招く結果となったけど・・・
悲劇の本当の始まりはもっと昔から。
言えることはただひとつ
私の幸せに貴方はいりません
✈他社にも同時公開
好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】
皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」
「っ――――!!」
「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」
クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。
******
・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる