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2章 新しい生活の始まり
14.旅立ち 02
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王都からルシッカ領までの旅は結構時間がかかるらしい。
馬に多少無理をさせ急げば8日で到着するらしいけれど、余り急ぎたくないようだ。 特にケセルさんは、ルシッカ領にルシッカ伯爵と私を置いた後には、他国に交渉人としての仕事が入っているそうで、その間の食事レベルが下がるとブチブチ文句を言っていた。
まぁ、その不満を解消するために、ルシッカ伯爵は新しい異空間棚の魔法石を作らせられ、ケセルさんは古い映画とかで見た事のある金属製の出前箱のようなものを作っていた。 ケセルさんは交渉人はあくまで副業で、本業は金属系錬金術師なのだそうだ。
各領地で食材の買い出しをし。
休憩を多めに挟み、保存用の料理を私がするらしい。
優雅な旅が?! 忙しくなってしまった!
「マイ、旅先で欲しいものがあれば、遠慮なく言うのですよ」
ルシッカ伯爵は言うが、正直、この人達の買い物に憑かれています。 何故って? 牛も豚も1頭単位で買うんですよ?! 思わず、焼き肉、すき焼きをしちゃいましたよ!!
途中、植物魔法を使って食材を作りだす私……非常識2人に汚染されてる?!
「そういえば、ルシッカ伯爵って、実は大食い? 食べ物足りてます?」
「今までの量で充分満足していますが、多いと思いますか?」
「普通の人よりは多いと思いますが、その体を維持するには少ないような気がします」
「魔法石の原理はですね……」
突然に語りだす伯爵、難しい話は嫌だなとすき焼きの灰汁を打ち取ります! なんてしていましたが、聞いた話では、魔法石は、術式と魔力を組み込んだ人口魔石で、魔力を使い切らないように周囲から魔力を集める効果もつけているそうだ。 で、ルシッカ伯爵も魔法石と同じで、巨体を維持するために、常に自分の身体に魔力を集めているのだと言う。
心地よく、良く眠れそうな授業に割って入ったケセルさんは言う。
「ところで、次の村は養鶏の盛んなところなんだが、マヨネーズは作れるもんだろうか?」
食欲の権化か?!
「そりゃぁ、まぁ……酢、油、塩、衛生面的に問題のない卵があれば……」
「あ~~~、サルモネラ菌か……まぁ、除菌系の魔法でいけるだろう」
「除菌魔法があるんですか?」
「あるぞ、主に手術用の感染対策として使われている。 医療用魔法だな」
「そんなのをマヨネーズのために?」
「そそ、まぁ、ヴァイスがなんとかしてくれる。 なっ?」
伯爵を守るようにと指示して、役立たず的な事を言っておいて、アレもコレもルシッカ伯爵にお願いすることになるのは何故だろう? と首をかしげていれば、ケセルさんの発言を全く気にすることなくルシッカ伯爵は言う。
「継続的に必要な魔法なら、籠や箱にそういう魔法を付与させてしまうと言うのはどうかな? 私も卵1つ1つ除菌して欲しいと言われるのは、少々手間ですからねぇ」
「そうですね、面倒をかけてしまいますよね」
だけど、生卵がいけるとなると、卵料理のおいしさがレベルアップするんですよね……これは……なんて甘い誘惑!!
「ぇ、あ、いや、その……マイに言ったのではなくてね。 ヴァルツに言ったんだよ。 君の願いなら喜んで聞きますとも」
虎な顔が愛想笑いをする。
「あ~~~らら、小さな子を傷つけて悪い大人だなぁ~」
ニヤニヤ笑うケセルさんを、尻尾で前足でバシバシ叩きながら怒るルシッカ伯爵は、可愛かった……。 思わず背後からもっふんと飛びつけば、尻尾がビー――ンってなる。
「マイさん? ビックリするので一声貰えますか?」
「2人ばかり仲良くて、羨ましい?」
「仲良く……余り嬉しくはありませんね。 私はマイさんと仲良くする方が嬉しいですよ?」
そういいながら、首部分を摺り寄せ、後ろ足で器用に立ち上がり、私に体重をかけないように前足で抱きしめてくれる。 コレはちょっと嬉しくて、恥ずかしくって、それでもその毛並みに私は懐き、至福の時間を堪能する。
そして、そんな至福を邪魔する刺客は、
「で、除菌用のは籠にするか? 箱にするか?」
我が道を進むのに容赦がなかった。
馬に多少無理をさせ急げば8日で到着するらしいけれど、余り急ぎたくないようだ。 特にケセルさんは、ルシッカ領にルシッカ伯爵と私を置いた後には、他国に交渉人としての仕事が入っているそうで、その間の食事レベルが下がるとブチブチ文句を言っていた。
まぁ、その不満を解消するために、ルシッカ伯爵は新しい異空間棚の魔法石を作らせられ、ケセルさんは古い映画とかで見た事のある金属製の出前箱のようなものを作っていた。 ケセルさんは交渉人はあくまで副業で、本業は金属系錬金術師なのだそうだ。
各領地で食材の買い出しをし。
休憩を多めに挟み、保存用の料理を私がするらしい。
優雅な旅が?! 忙しくなってしまった!
「マイ、旅先で欲しいものがあれば、遠慮なく言うのですよ」
ルシッカ伯爵は言うが、正直、この人達の買い物に憑かれています。 何故って? 牛も豚も1頭単位で買うんですよ?! 思わず、焼き肉、すき焼きをしちゃいましたよ!!
途中、植物魔法を使って食材を作りだす私……非常識2人に汚染されてる?!
「そういえば、ルシッカ伯爵って、実は大食い? 食べ物足りてます?」
「今までの量で充分満足していますが、多いと思いますか?」
「普通の人よりは多いと思いますが、その体を維持するには少ないような気がします」
「魔法石の原理はですね……」
突然に語りだす伯爵、難しい話は嫌だなとすき焼きの灰汁を打ち取ります! なんてしていましたが、聞いた話では、魔法石は、術式と魔力を組み込んだ人口魔石で、魔力を使い切らないように周囲から魔力を集める効果もつけているそうだ。 で、ルシッカ伯爵も魔法石と同じで、巨体を維持するために、常に自分の身体に魔力を集めているのだと言う。
心地よく、良く眠れそうな授業に割って入ったケセルさんは言う。
「ところで、次の村は養鶏の盛んなところなんだが、マヨネーズは作れるもんだろうか?」
食欲の権化か?!
「そりゃぁ、まぁ……酢、油、塩、衛生面的に問題のない卵があれば……」
「あ~~~、サルモネラ菌か……まぁ、除菌系の魔法でいけるだろう」
「除菌魔法があるんですか?」
「あるぞ、主に手術用の感染対策として使われている。 医療用魔法だな」
「そんなのをマヨネーズのために?」
「そそ、まぁ、ヴァイスがなんとかしてくれる。 なっ?」
伯爵を守るようにと指示して、役立たず的な事を言っておいて、アレもコレもルシッカ伯爵にお願いすることになるのは何故だろう? と首をかしげていれば、ケセルさんの発言を全く気にすることなくルシッカ伯爵は言う。
「継続的に必要な魔法なら、籠や箱にそういう魔法を付与させてしまうと言うのはどうかな? 私も卵1つ1つ除菌して欲しいと言われるのは、少々手間ですからねぇ」
「そうですね、面倒をかけてしまいますよね」
だけど、生卵がいけるとなると、卵料理のおいしさがレベルアップするんですよね……これは……なんて甘い誘惑!!
「ぇ、あ、いや、その……マイに言ったのではなくてね。 ヴァルツに言ったんだよ。 君の願いなら喜んで聞きますとも」
虎な顔が愛想笑いをする。
「あ~~~らら、小さな子を傷つけて悪い大人だなぁ~」
ニヤニヤ笑うケセルさんを、尻尾で前足でバシバシ叩きながら怒るルシッカ伯爵は、可愛かった……。 思わず背後からもっふんと飛びつけば、尻尾がビー――ンってなる。
「マイさん? ビックリするので一声貰えますか?」
「2人ばかり仲良くて、羨ましい?」
「仲良く……余り嬉しくはありませんね。 私はマイさんと仲良くする方が嬉しいですよ?」
そういいながら、首部分を摺り寄せ、後ろ足で器用に立ち上がり、私に体重をかけないように前足で抱きしめてくれる。 コレはちょっと嬉しくて、恥ずかしくって、それでもその毛並みに私は懐き、至福の時間を堪能する。
そして、そんな至福を邪魔する刺客は、
「で、除菌用のは籠にするか? 箱にするか?」
我が道を進むのに容赦がなかった。
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