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37.望まぬ再会 01
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何時の間にか親良と晃が上田達也捜索の旅(?)に付き合う事になっていた。
「私がついて行く意味は、余り無いと思うのですが?」
むしろ体力的な事を考えれば足手まといでしかない。
『なんだか、嫌な予感がするからな……』
神妙な様子の妖カラスは、他の人がいるからとカラスぶって脳内に直接話しかけてくる。 なんかお風呂の中の声みたいで慣れないけれど……便利ではあるのですよね。
晃の言葉は無いものとして親良は私に向かって言う。
「雫ちゃんが居ないと、俺がカラスと話をする寂しい人になってしまうでしょう? アイスを買ってあげるんで付き合って下さい」
そして私が親良と近しい存在である事を周囲に印象付けるかのように、頭を撫でてくる。
『それは、晃が人型になれば良いだけでは??』
そして私の意見は無視されたのか、中継されなかったのか……?
『とにかく、行くぞ。 で、何処から回る?』
「居酒屋は、まだ早いですからアパートいえ……そうですね……夕刻まで私用にお付き合いください。 引っ越し手続き等が必要ですし。 あぁ、お二人ともコチラの資料はお借りしてもよろしいですか?」
優雅と気品とを見せつける親良に、外面と突っ込み入れたいのを我慢していれば、妖カラスがクックククと鳴いていて、にっこり親良が私達を振り返る。
『二人とも、お話はあとで聞きましょう』
中継イラナイヨ?!
そう思い妖カラスを見れば、大きな嘴で毛繕いしていた。
私は、昼食用に焼いたパンのいくつかをパパ教授と克己のために残して、お出かけの準備を済ませる。 そうしている間に、親良は沙織さんとミケからコピー資料を譲り受ける話をつけていた。
「では、行きましょうか?」
親良が私と肩の妖カラスを振り返る……ニッコリと微笑みながら。
私は、ぎこちなく微笑み返した。
田舎の大学は無駄に広い敷地があって、庭先を散策しながら歩きながら親良は振り返り話しかけてくる。
「それで……」
「私は、悪くないですよ!! 親良の外面の良さに呆れただけです!!」
慌てながら、怒るように拗ねたように言ったのだけど、親良は笑っていた。
「その通りですよ。 人の好意を使えるなら、使わずにどうしますか? 話が早く進むでしょう」
「ソレはなんだか不誠実な気がします。 それに、ここは地元ではないのですから……。 紹介して欲しいと言われたら面倒ですし……」
「地元で結婚を控えた女性がいるとでも言っておいてください」
初めて普通の友達……になるかもしれないのに……。
「ソレが障害になるかと言えば、怪しいがな。 むしろ、短期決戦をかけてくるんじゃないのか?」
晃が意地悪く笑えば、親良がギョッとした様子で妖カラスを見る。
「実に現実的な言葉ですが、雫に余計な事を教えないで下さいよ。 小さなころから守ってきた大切な子なんですから」
「俺が守るから安心しておけ。 で、余計な事とは? 何を差して言っているのかな?」
「色々ですよ。 色々……」
「二人で私の分からない話をしないで!!」
声を荒げれば晃も親良も笑っていた。
「顔が赤いぞ、雫? 親良が言っているのは人間付き合いの仕方だ」
真っ黒のカラスに言われ、私はカラスをむんずっと掴んで親良に渡し走り出す。
「晃と親良の、ば~ぁ、かぁあああああ」
「転びますよ」
笑いながら親良が言えば、カラスも笑いながら大きな翼を広げ私を追いかけてくる。
「雫!! 止まりなさい!!」
「いやぁですよ~~!!」
振り返り言えば、そのまま転びそうになっていて
「ぶつかるから言っているんです!!」
親良の停止は無意味に終わり、私は見事にかなり年配の教授にぶつかりそうになっていて、腕を伸ばされ抱きしめられるようにぶつかるのを回避され受け止められた。
「ごめんなさい!!」
「元気なのは結構ですが、走るときは周囲にも注意を向けないといけませんよ」
そう告げる声は、耳に聞きなれた声だった。
「私がついて行く意味は、余り無いと思うのですが?」
むしろ体力的な事を考えれば足手まといでしかない。
『なんだか、嫌な予感がするからな……』
神妙な様子の妖カラスは、他の人がいるからとカラスぶって脳内に直接話しかけてくる。 なんかお風呂の中の声みたいで慣れないけれど……便利ではあるのですよね。
晃の言葉は無いものとして親良は私に向かって言う。
「雫ちゃんが居ないと、俺がカラスと話をする寂しい人になってしまうでしょう? アイスを買ってあげるんで付き合って下さい」
そして私が親良と近しい存在である事を周囲に印象付けるかのように、頭を撫でてくる。
『それは、晃が人型になれば良いだけでは??』
そして私の意見は無視されたのか、中継されなかったのか……?
『とにかく、行くぞ。 で、何処から回る?』
「居酒屋は、まだ早いですからアパートいえ……そうですね……夕刻まで私用にお付き合いください。 引っ越し手続き等が必要ですし。 あぁ、お二人ともコチラの資料はお借りしてもよろしいですか?」
優雅と気品とを見せつける親良に、外面と突っ込み入れたいのを我慢していれば、妖カラスがクックククと鳴いていて、にっこり親良が私達を振り返る。
『二人とも、お話はあとで聞きましょう』
中継イラナイヨ?!
そう思い妖カラスを見れば、大きな嘴で毛繕いしていた。
私は、昼食用に焼いたパンのいくつかをパパ教授と克己のために残して、お出かけの準備を済ませる。 そうしている間に、親良は沙織さんとミケからコピー資料を譲り受ける話をつけていた。
「では、行きましょうか?」
親良が私と肩の妖カラスを振り返る……ニッコリと微笑みながら。
私は、ぎこちなく微笑み返した。
田舎の大学は無駄に広い敷地があって、庭先を散策しながら歩きながら親良は振り返り話しかけてくる。
「それで……」
「私は、悪くないですよ!! 親良の外面の良さに呆れただけです!!」
慌てながら、怒るように拗ねたように言ったのだけど、親良は笑っていた。
「その通りですよ。 人の好意を使えるなら、使わずにどうしますか? 話が早く進むでしょう」
「ソレはなんだか不誠実な気がします。 それに、ここは地元ではないのですから……。 紹介して欲しいと言われたら面倒ですし……」
「地元で結婚を控えた女性がいるとでも言っておいてください」
初めて普通の友達……になるかもしれないのに……。
「ソレが障害になるかと言えば、怪しいがな。 むしろ、短期決戦をかけてくるんじゃないのか?」
晃が意地悪く笑えば、親良がギョッとした様子で妖カラスを見る。
「実に現実的な言葉ですが、雫に余計な事を教えないで下さいよ。 小さなころから守ってきた大切な子なんですから」
「俺が守るから安心しておけ。 で、余計な事とは? 何を差して言っているのかな?」
「色々ですよ。 色々……」
「二人で私の分からない話をしないで!!」
声を荒げれば晃も親良も笑っていた。
「顔が赤いぞ、雫? 親良が言っているのは人間付き合いの仕方だ」
真っ黒のカラスに言われ、私はカラスをむんずっと掴んで親良に渡し走り出す。
「晃と親良の、ば~ぁ、かぁあああああ」
「転びますよ」
笑いながら親良が言えば、カラスも笑いながら大きな翼を広げ私を追いかけてくる。
「雫!! 止まりなさい!!」
「いやぁですよ~~!!」
振り返り言えば、そのまま転びそうになっていて
「ぶつかるから言っているんです!!」
親良の停止は無意味に終わり、私は見事にかなり年配の教授にぶつかりそうになっていて、腕を伸ばされ抱きしめられるようにぶつかるのを回避され受け止められた。
「ごめんなさい!!」
「元気なのは結構ですが、走るときは周囲にも注意を向けないといけませんよ」
そう告げる声は、耳に聞きなれた声だった。
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