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教授室では、沙織さんとミケが昨日の夜から上田達也と連絡が取れなくなったと、誰か連絡とれていないかと他のゼミ生に聞いていれば大きな騒ぎになっていた。
大勢の人間が混乱に陥っていて、どう対応すればよいかわからず、妖カラスを抱きしめる手に力が入る。
「まぁ、落ち着きなさい。 彼はなかなかしっかりした男だ。 頭も悪くない。 そこでですが、彼は頻繁に連絡を返す子でしたか?」
パパ教授の言葉に、ソレはぁ……と、周囲が静かにざわついた。
「バイト忙しいって言っていたよな?」
「移動は自転車だし」
「講義だって割と遅刻ギリギリだし」
「ははぁ~。 分かった。 応援するよ!!」
沙織に向かって誤解が生じた瞬間で、違う、そうじゃなくて!! と言う言い訳は通用する事なく、朝から集められたゼミ生たちは講義に出るために自主的に解散していった。
パパ教授が、小さな声でヤレヤレと呟いている。
腰の重そうなパパ教授から、沙織さんはターゲット(?)を親良に変えすがっていた。
「返事は、割と早い方なんです。 確かにバイト中は返事は返せないだろうけど。 それでも、昨日の私達は図書館に行って近隣の行方不明者の記事を調べていて……返事返しますよね?!」
親良が何かを言おうと口を開けば、それを遮ってミケが話しだす。
「聞いて下さい、それでぇ!! 調査結果なんですけどぉ~。 ここ近隣の行方不明者には2パターンがあったの!! 放置子が消えるパターンと、女性が消えるパターン」
Vマークを見せつけるミケ。
不謹慎よと沙織がミケを肘で突き言葉が続けられる。
「消えた子供達が住んでいた近くのスーパーとか薬局で話を聞いたんですが、元々居場所のない子達って言うか、問題ばかり起こしていて近所でも嫌われ者で、姿を見なくなっても気づかないって言うか、むしろ住民的には安堵したそうです。 それで、問題が多くて引っ越したのかなぁ? とか思っていたら、行方不明から3か月から3年後ぐらいに発見されるんです。 成長した姿で」
少しばかりホラーっぽい口調で語られ、私は固唾を飲んだ。
彼女の言いようでは、攫われたばかりの女の子は今も生きている可能性があると思えて安堵してしまう。 でも……わざわざ誘拐した子を育てた結果殺して捨てたと言う行為の気まぐれが怖くも感じた。
「で、女性が消えるパターンの方はね。 先輩達が調べた神隠しの調査で見かけた名前が幾つかあったから、先輩の資料を見直そうって約束してたの。 なのに、返事が!! 来ないの!!」
ミケが怒り地団駄を踏み、親良が一度パパ教授へと視線を送り、パパ教授が頷く様子を確認してこういった。
「よろしければ、俺が上田君の住まいを確認してきましょうか?」
愛想の良さそうな笑みを向ける親良。
沙織とミケが静かになる。
親良、軽薄そうに見えるけど顔立ちは整っているんですよ?
「ぇ、あ、よろしくお願いします」
照れたように沙織さんが言い、親良はその感情の動きを無視して質問する。
「それで、彼は何処にお住まいなんですか?」
「知らない!! けど、自転車で行き来できる範囲のはずだよ。 あと、バイト先は居酒屋」
「居酒屋の方に確認は?」
「バイト中に連絡が取れないからって、バイト先に連絡を取るのはちょっと……」
苦笑気味に答える沙織。
「それも、そうですね……。 事件性は無いと良いのですが。 どのような自転車を利用していたか覚えていますか?」
「それは……」
自転車の説明、バイト先の場所、そういう物を説明している横で克己が1枚のメモ用紙を親良の前にツツツっと差し出してきた。 そこには上田達也の住所が書かれていた。
大勢の人間が混乱に陥っていて、どう対応すればよいかわからず、妖カラスを抱きしめる手に力が入る。
「まぁ、落ち着きなさい。 彼はなかなかしっかりした男だ。 頭も悪くない。 そこでですが、彼は頻繁に連絡を返す子でしたか?」
パパ教授の言葉に、ソレはぁ……と、周囲が静かにざわついた。
「バイト忙しいって言っていたよな?」
「移動は自転車だし」
「講義だって割と遅刻ギリギリだし」
「ははぁ~。 分かった。 応援するよ!!」
沙織に向かって誤解が生じた瞬間で、違う、そうじゃなくて!! と言う言い訳は通用する事なく、朝から集められたゼミ生たちは講義に出るために自主的に解散していった。
パパ教授が、小さな声でヤレヤレと呟いている。
腰の重そうなパパ教授から、沙織さんはターゲット(?)を親良に変えすがっていた。
「返事は、割と早い方なんです。 確かにバイト中は返事は返せないだろうけど。 それでも、昨日の私達は図書館に行って近隣の行方不明者の記事を調べていて……返事返しますよね?!」
親良が何かを言おうと口を開けば、それを遮ってミケが話しだす。
「聞いて下さい、それでぇ!! 調査結果なんですけどぉ~。 ここ近隣の行方不明者には2パターンがあったの!! 放置子が消えるパターンと、女性が消えるパターン」
Vマークを見せつけるミケ。
不謹慎よと沙織がミケを肘で突き言葉が続けられる。
「消えた子供達が住んでいた近くのスーパーとか薬局で話を聞いたんですが、元々居場所のない子達って言うか、問題ばかり起こしていて近所でも嫌われ者で、姿を見なくなっても気づかないって言うか、むしろ住民的には安堵したそうです。 それで、問題が多くて引っ越したのかなぁ? とか思っていたら、行方不明から3か月から3年後ぐらいに発見されるんです。 成長した姿で」
少しばかりホラーっぽい口調で語られ、私は固唾を飲んだ。
彼女の言いようでは、攫われたばかりの女の子は今も生きている可能性があると思えて安堵してしまう。 でも……わざわざ誘拐した子を育てた結果殺して捨てたと言う行為の気まぐれが怖くも感じた。
「で、女性が消えるパターンの方はね。 先輩達が調べた神隠しの調査で見かけた名前が幾つかあったから、先輩の資料を見直そうって約束してたの。 なのに、返事が!! 来ないの!!」
ミケが怒り地団駄を踏み、親良が一度パパ教授へと視線を送り、パパ教授が頷く様子を確認してこういった。
「よろしければ、俺が上田君の住まいを確認してきましょうか?」
愛想の良さそうな笑みを向ける親良。
沙織とミケが静かになる。
親良、軽薄そうに見えるけど顔立ちは整っているんですよ?
「ぇ、あ、よろしくお願いします」
照れたように沙織さんが言い、親良はその感情の動きを無視して質問する。
「それで、彼は何処にお住まいなんですか?」
「知らない!! けど、自転車で行き来できる範囲のはずだよ。 あと、バイト先は居酒屋」
「居酒屋の方に確認は?」
「バイト中に連絡が取れないからって、バイト先に連絡を取るのはちょっと……」
苦笑気味に答える沙織。
「それも、そうですね……。 事件性は無いと良いのですが。 どのような自転車を利用していたか覚えていますか?」
「それは……」
自転車の説明、バイト先の場所、そういう物を説明している横で克己が1枚のメモ用紙を親良の前にツツツっと差し出してきた。 そこには上田達也の住所が書かれていた。
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