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32.それは、獣がじゃれ合うかのように 02
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視界が塞がれた中で、他の感覚が鋭敏になっていた。
唇を潤すように何度も舐められ、甘く噛まれ、舌先で唇を開くようにと押し入ってくる。 わずかに顔を反らして私は……逃げた。
「そういうの、早いと思います。 知り合ったばかりですし」
拗ねたように言えば、耳元でカラカウように……喉の奥で笑うように囁かれる。 私の中では知り合ったばかりでも、彼はそうでない事は知っている。
知っているけど、心が追い付いていなかった。
心が静かになった。
クラスメイト達は割とみんなが早熟で早くから男女の関係を楽しみ、友達に対してもそういう会話がオープンにされていた。 そういう事を嫌い怒り出すような幼馴染が唯一の友達だった私にとってエッチな話は、年相応の好奇心や興奮を覚えるよりも、自分の人間関係の浅さを意味するもので……。
冷めた私の耳元に晃が囁く。
「早いとか、遅いとか……何をされようとしているのか、わかっているんだ」
低い声と、呼吸と、唇が耳にあたって……背筋がゾワリと……そして、なぜか一気に恥ずかしくなり、熱、感情が戻ってきた。
な、何を言えばいいのか思い浮かばない。
「分かった、嫌がる事はしない。 抱きしめて、撫でるのは構わないんだよな?」
パニックを起こしている私に、色香半額で聞いてくる。
「うん……」
小さく頷く。
その羽毛が心地よくて、力強く滑らかな身体に頼りたくて、小鳥の雛のようにその腕の中で甘えたかったと言ったところで……相手がカラスだと油断した私の責任だ。
「あ、やかしは、人に欲情するものなの?」
「知らん。 誰が何と言おうと、俺は人間以外の自分を知らないから」
「でも……」
身体を包むように触れてくる羽根や、影から出てきたニョロリとした影で出来た手は、ベッドと身体の隙間に潜り込み、私の身体、背中や腕や脇、腕、太腿、ふくらはぎ……余すことなくとでもいうように触れてきていた。 優しく撫で、ムニムニと身体をほぐすように、時に力を入れて触れてくる。 その様子は、エッチな感じと言うよりも、どちらかと言えばマッサージをされているようだったから、特に拒絶していなかった。
胸もアソコも触れてきてないし……。
「明らかに、人間以外が持つ部分で触れてきていますよね?」
「あ~~、勝手に動く!!」
睨みつけようとしても、触れる手や体の感触は分かっても、晃の顔は暗闇で何処にあるか分からない。 そんな中で私は怒っているんだぞと声を大にした。
「嘘です!!」
クスクスと楽しそうに笑う声と、息遣いが耳に触れてくる。
拗ねてやると思えば、私の喉を擽るように指先で触れられた。
「ここは触れて良いか?」
わざわざ聞いてくるけれど、こうしている間も彼が自分の自由になっていないと言っている部分は私に触れているのだから、質問の意味はあるのでしょうか?
ここで拒絶しない事を、私の幼馴染であれば、
意志が弱い!!
と、物凄い勢いで怒り出しただろうけれど、それでも……マッサージ屋さんに言って、マッサージをするなって言うのですか!! そう私は反論したでしょう。
つまり……気持ちいいのだから仕方がありません。
「で?」
自分に言い訳をしていれば、改めて喉を擽りながら聞いてくる。
「構いませんよ……ちょっとくすぐったいですけど……」
「そりゃぁ、くすぐっているからな。 なら、ココに口付けするのは?」
深く甘い声で問われてドキッとして息を飲んだ。
「それは……少しエッチだと思います」
「なら、コッチなら?」
つんつんと頬が触れられた。
「そこは、良いですよ」
「そこなら……別に……」
「舐めるのは?」
少し長めに考え込んでいれば、
「人をひっくり返して、胸を吸ってきた癖に?」
「その言い方いやぁあああああ!!」
だって、だって、鳥だもの。
「お尻の毛がもさもさしているとか言って、触っておいて……雫のエッチ」
やだ、恥ずかしいわ。 とでも言うようなノリで言われ、私の頭の中が悲鳴を上げてしまう。
「尻尾を摘まんでめくりあげるし」
「ソレはあんまりエッチじゃないですよね!!」
「いやエッチだろう。 ようするにだ……ズボンとパンツを引き下ろされたような感じだな」
「ご、ごごおごごごごおごごご」
「何の効果音だ?」
「ごめんなさい!!」
「あんなことをしておいて、今更拒否はないよな?」
「ち、違うと思う。 何かが違うと思う。 そ、そうだ!! そういうのは……親に挨拶を済ませてからって事で」
「教授が俺にダメだって言うと思うか?」
「……」
むしろ、なぜ、そういう事をしたいと思うのか? 人の身体に欲望を持つのか? そういうことを数時間にわたって問いただした結果。 子供は卵で生まれるのでしょうか? とか聞きそう。
皎一さんなら……。
皎一さんだったなら……。
今まで皮膚を裂き、肉を切り、抉られ、内臓を奪われ……人体実験と比べれば、大した事が無いだろう。 とか、言いそうです。
「えっと……。 とりあえず触るならエッチな場所は避けて」
「エッチな場所って言うと?」
ニヤニヤした声で言われるから、ふぅううううと私は頭が沸騰しそうになる。
耳に唇が微かにふれていた。
「触って確かめるか?」
「えっ、えっと……胸とか? アソコとか?」
「アソコって?」
カラカウ声に、甘く切なく……、耳の表面が舐められ、舌先が耳の穴へ入り込み舐めてくる。 くちゅくちゅと音をさせ、水音が直接頭の中に響いて来て……私は焦りながら答えた。
「……体の内側はダメ!!」
「流石に、危険な事をするつもりはないが」
必死に笑うのを堪えるように言われ、私は私は……顔が真っ赤になっているのが自分で分かって、
「ダメって言ったらダメなの」
「わかった。 胸と、身体の内側が駄目なんだな?」
「そ、そうよ!!」
「分かった……今日はソレで我慢しよう」
身体を撫でながら、マッサージをしていた……人ならざる部分が、ゾワリと身体を這ってきて……シマッタ……と、私は後悔した。
唇を潤すように何度も舐められ、甘く噛まれ、舌先で唇を開くようにと押し入ってくる。 わずかに顔を反らして私は……逃げた。
「そういうの、早いと思います。 知り合ったばかりですし」
拗ねたように言えば、耳元でカラカウように……喉の奥で笑うように囁かれる。 私の中では知り合ったばかりでも、彼はそうでない事は知っている。
知っているけど、心が追い付いていなかった。
心が静かになった。
クラスメイト達は割とみんなが早熟で早くから男女の関係を楽しみ、友達に対してもそういう会話がオープンにされていた。 そういう事を嫌い怒り出すような幼馴染が唯一の友達だった私にとってエッチな話は、年相応の好奇心や興奮を覚えるよりも、自分の人間関係の浅さを意味するもので……。
冷めた私の耳元に晃が囁く。
「早いとか、遅いとか……何をされようとしているのか、わかっているんだ」
低い声と、呼吸と、唇が耳にあたって……背筋がゾワリと……そして、なぜか一気に恥ずかしくなり、熱、感情が戻ってきた。
な、何を言えばいいのか思い浮かばない。
「分かった、嫌がる事はしない。 抱きしめて、撫でるのは構わないんだよな?」
パニックを起こしている私に、色香半額で聞いてくる。
「うん……」
小さく頷く。
その羽毛が心地よくて、力強く滑らかな身体に頼りたくて、小鳥の雛のようにその腕の中で甘えたかったと言ったところで……相手がカラスだと油断した私の責任だ。
「あ、やかしは、人に欲情するものなの?」
「知らん。 誰が何と言おうと、俺は人間以外の自分を知らないから」
「でも……」
身体を包むように触れてくる羽根や、影から出てきたニョロリとした影で出来た手は、ベッドと身体の隙間に潜り込み、私の身体、背中や腕や脇、腕、太腿、ふくらはぎ……余すことなくとでもいうように触れてきていた。 優しく撫で、ムニムニと身体をほぐすように、時に力を入れて触れてくる。 その様子は、エッチな感じと言うよりも、どちらかと言えばマッサージをされているようだったから、特に拒絶していなかった。
胸もアソコも触れてきてないし……。
「明らかに、人間以外が持つ部分で触れてきていますよね?」
「あ~~、勝手に動く!!」
睨みつけようとしても、触れる手や体の感触は分かっても、晃の顔は暗闇で何処にあるか分からない。 そんな中で私は怒っているんだぞと声を大にした。
「嘘です!!」
クスクスと楽しそうに笑う声と、息遣いが耳に触れてくる。
拗ねてやると思えば、私の喉を擽るように指先で触れられた。
「ここは触れて良いか?」
わざわざ聞いてくるけれど、こうしている間も彼が自分の自由になっていないと言っている部分は私に触れているのだから、質問の意味はあるのでしょうか?
ここで拒絶しない事を、私の幼馴染であれば、
意志が弱い!!
と、物凄い勢いで怒り出しただろうけれど、それでも……マッサージ屋さんに言って、マッサージをするなって言うのですか!! そう私は反論したでしょう。
つまり……気持ちいいのだから仕方がありません。
「で?」
自分に言い訳をしていれば、改めて喉を擽りながら聞いてくる。
「構いませんよ……ちょっとくすぐったいですけど……」
「そりゃぁ、くすぐっているからな。 なら、ココに口付けするのは?」
深く甘い声で問われてドキッとして息を飲んだ。
「それは……少しエッチだと思います」
「なら、コッチなら?」
つんつんと頬が触れられた。
「そこは、良いですよ」
「そこなら……別に……」
「舐めるのは?」
少し長めに考え込んでいれば、
「人をひっくり返して、胸を吸ってきた癖に?」
「その言い方いやぁあああああ!!」
だって、だって、鳥だもの。
「お尻の毛がもさもさしているとか言って、触っておいて……雫のエッチ」
やだ、恥ずかしいわ。 とでも言うようなノリで言われ、私の頭の中が悲鳴を上げてしまう。
「尻尾を摘まんでめくりあげるし」
「ソレはあんまりエッチじゃないですよね!!」
「いやエッチだろう。 ようするにだ……ズボンとパンツを引き下ろされたような感じだな」
「ご、ごごおごごごごおごごご」
「何の効果音だ?」
「ごめんなさい!!」
「あんなことをしておいて、今更拒否はないよな?」
「ち、違うと思う。 何かが違うと思う。 そ、そうだ!! そういうのは……親に挨拶を済ませてからって事で」
「教授が俺にダメだって言うと思うか?」
「……」
むしろ、なぜ、そういう事をしたいと思うのか? 人の身体に欲望を持つのか? そういうことを数時間にわたって問いただした結果。 子供は卵で生まれるのでしょうか? とか聞きそう。
皎一さんなら……。
皎一さんだったなら……。
今まで皮膚を裂き、肉を切り、抉られ、内臓を奪われ……人体実験と比べれば、大した事が無いだろう。 とか、言いそうです。
「えっと……。 とりあえず触るならエッチな場所は避けて」
「エッチな場所って言うと?」
ニヤニヤした声で言われるから、ふぅううううと私は頭が沸騰しそうになる。
耳に唇が微かにふれていた。
「触って確かめるか?」
「えっ、えっと……胸とか? アソコとか?」
「アソコって?」
カラカウ声に、甘く切なく……、耳の表面が舐められ、舌先が耳の穴へ入り込み舐めてくる。 くちゅくちゅと音をさせ、水音が直接頭の中に響いて来て……私は焦りながら答えた。
「……体の内側はダメ!!」
「流石に、危険な事をするつもりはないが」
必死に笑うのを堪えるように言われ、私は私は……顔が真っ赤になっているのが自分で分かって、
「ダメって言ったらダメなの」
「わかった。 胸と、身体の内側が駄目なんだな?」
「そ、そうよ!!」
「分かった……今日はソレで我慢しよう」
身体を撫でながら、マッサージをしていた……人ならざる部分が、ゾワリと身体を這ってきて……シマッタ……と、私は後悔した。
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