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17.雨に憂う
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温かな雨の日が続く。
雨の日であれば、大学内を歩いても人に声をかけられる事は無いでしょう。 と言うか、過保護過ぎなんですよね……パパ教授も克己も……。
『実際何かあってからだと遅いでしょう』
そう言われれば、黙るしかなかった。
呪いの派生……。 不死でありながらも、カラスは私を守ろうとする。 結果として他者を傷つける事だってある訳で、私を守ると言うよりも周囲を守っているのかもしれない。
「ネガティブは良くないですよね!! 草だって、こんなに元気なのに!!」
草むしりが出来ない日が続き、そして……雑草が生き生きと伸びている様子に私は笑ってしまう。 なんて、他愛無い事に悩む日々なのだろうかと……。
そして、私は雨で暗くなった空を眺めて考え込む。
パパ教授は家の仕事だけでなく資料整理や学生のフォローをしている私に、申し訳なさそうにこう言ってくれたのです。
『色々と手伝ってもらって助かっているけれど、雫ちゃんはあの子達と同じ年なんだね。 来年、大学を受験するなら勉強する時間を作らないといけませんね』
大学は研究対象としての自分から逃げたい。 彼等の目の届かない先に行きたい。 そう思うからこそ可能性を広げようとしての選択だった。
『生きていける手段があるなら……学校は要らないかな』
雑務を生きる手段と言って良いのかは分からないけれど、今の自分に満足しているから……。 でも、就職したほうが良いのかしら?
その途端に家は荒れ果てるだろう事を考えると、少しだけ複雑な気分になる。
『でも、友達を見つけ、やりたい事を見つければ、もっと充実した日々を送れるのではありませんか? 少し考えておいてください。 それとも、皎一君に相談してみますか?』
そう言ってパパ教授は静かに笑いながら私の頭を撫でてくれた。
「私は幸せなのだけど生きていくってなると、先を考えないといけないのですよねぇ……」
ポツリとそんな独り言を漏らしながら教授室の扉を開く。 テスト期間中は家の片付けや作り置き、冷凍総菜を充実させ、パパ教授と克己の衣替え等をしていた。 分からない事は家に憑いている蛇の妖に聞いて処理するあたり……そう思いだせば笑えた。
「って!! ほんの2週間ほど留守にしただけですよね!!」
私は少しばかり大げさに叫びながら、段ボールを片手に教授室の後片付けを始め、片付け終わる頃には昼食の時間を迎えていた。
「ふぅ……」
手を洗い、お茶を沸かし、弁当を広げ立てる。
雨の日の弁当は結構悩む。
オニギリは、良く干されたシラス、大葉、梅、いりごま。 これだけで、結構満足感は高い。 オカズは、ショウガ風味を利かせた唐揚げ、ナスのショウガ照り焼き、ホウレンソウの胡麻和え、冷蔵庫の残り野菜で作る天ぷら、これに彩りの卵焼き。
抗菌作用を考えると味が濃くなるのが、パパ教授の身体に心配だと言えば、そこまで心配される年齢ではありませんと苦笑気味に言われたのを思い出す。
お茶の準備をしていれば、廊下からざわざわとした人の声が聞こえる。
声のトーン、速さから考えると残念ながら生徒のようだと思えば、少し心が浮足立っていた。 作り過ぎるほどに沢山作った弁当……友達が欲しくて……これも媚びているのかな……。
いいなぁ~1つ頂戴。
交換しよう。
ずっと、そう言うのに憧れていたのだ。
久々の弁当で張り切り過ぎたこれはちょっと恥ずかしいかな。
どうしよう……。
真剣に悩んでいるうちに、扉が開かれた。
「おっ、お~す、元気しってたぁ~?!」
雨の日であれば、大学内を歩いても人に声をかけられる事は無いでしょう。 と言うか、過保護過ぎなんですよね……パパ教授も克己も……。
『実際何かあってからだと遅いでしょう』
そう言われれば、黙るしかなかった。
呪いの派生……。 不死でありながらも、カラスは私を守ろうとする。 結果として他者を傷つける事だってある訳で、私を守ると言うよりも周囲を守っているのかもしれない。
「ネガティブは良くないですよね!! 草だって、こんなに元気なのに!!」
草むしりが出来ない日が続き、そして……雑草が生き生きと伸びている様子に私は笑ってしまう。 なんて、他愛無い事に悩む日々なのだろうかと……。
そして、私は雨で暗くなった空を眺めて考え込む。
パパ教授は家の仕事だけでなく資料整理や学生のフォローをしている私に、申し訳なさそうにこう言ってくれたのです。
『色々と手伝ってもらって助かっているけれど、雫ちゃんはあの子達と同じ年なんだね。 来年、大学を受験するなら勉強する時間を作らないといけませんね』
大学は研究対象としての自分から逃げたい。 彼等の目の届かない先に行きたい。 そう思うからこそ可能性を広げようとしての選択だった。
『生きていける手段があるなら……学校は要らないかな』
雑務を生きる手段と言って良いのかは分からないけれど、今の自分に満足しているから……。 でも、就職したほうが良いのかしら?
その途端に家は荒れ果てるだろう事を考えると、少しだけ複雑な気分になる。
『でも、友達を見つけ、やりたい事を見つければ、もっと充実した日々を送れるのではありませんか? 少し考えておいてください。 それとも、皎一君に相談してみますか?』
そう言ってパパ教授は静かに笑いながら私の頭を撫でてくれた。
「私は幸せなのだけど生きていくってなると、先を考えないといけないのですよねぇ……」
ポツリとそんな独り言を漏らしながら教授室の扉を開く。 テスト期間中は家の片付けや作り置き、冷凍総菜を充実させ、パパ教授と克己の衣替え等をしていた。 分からない事は家に憑いている蛇の妖に聞いて処理するあたり……そう思いだせば笑えた。
「って!! ほんの2週間ほど留守にしただけですよね!!」
私は少しばかり大げさに叫びながら、段ボールを片手に教授室の後片付けを始め、片付け終わる頃には昼食の時間を迎えていた。
「ふぅ……」
手を洗い、お茶を沸かし、弁当を広げ立てる。
雨の日の弁当は結構悩む。
オニギリは、良く干されたシラス、大葉、梅、いりごま。 これだけで、結構満足感は高い。 オカズは、ショウガ風味を利かせた唐揚げ、ナスのショウガ照り焼き、ホウレンソウの胡麻和え、冷蔵庫の残り野菜で作る天ぷら、これに彩りの卵焼き。
抗菌作用を考えると味が濃くなるのが、パパ教授の身体に心配だと言えば、そこまで心配される年齢ではありませんと苦笑気味に言われたのを思い出す。
お茶の準備をしていれば、廊下からざわざわとした人の声が聞こえる。
声のトーン、速さから考えると残念ながら生徒のようだと思えば、少し心が浮足立っていた。 作り過ぎるほどに沢山作った弁当……友達が欲しくて……これも媚びているのかな……。
いいなぁ~1つ頂戴。
交換しよう。
ずっと、そう言うのに憧れていたのだ。
久々の弁当で張り切り過ぎたこれはちょっと恥ずかしいかな。
どうしよう……。
真剣に悩んでいるうちに、扉が開かれた。
「おっ、お~す、元気しってたぁ~?!」
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