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05.0.3%の万引き少女と青年 01
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冗談。
悪気は無い。
そう言う言葉を逃避の材料にする人は性質が悪い……。
少女は何時だって隙を与えていた。
悪気は無い……。
私はそういう人間なのよ。
彼女はそういうだろう。
「万引き……」
青年は少女の罪に気付き、そして呟いてしまった。
見て見ぬふり、関わりないふりをする事は罪だ……。
そういう間を持って少女は、万引きを繰り返す。
「社会は、助け合って子供を育てるものでしょう? お兄さん、お金持ちなら私にご馳走してよ」
小汚い恰好はしているけれど、愛嬌のある笑みをしていた。
薄汚れ、よれよれの服は春になったとは言え、風邪を引きかねない。
「名前は?」
「お兄さんの名前を教えて。 そうしたら教えてあげる」
そう語る少女は、目の前の男を舐め切った表情で見ていた。 綺麗な顔立ちをした少女の生意気な口調は、苛立ちをもたらすと共に性的衝動を煽って来ることを理解し、そして衝動に身を任せた人間の行きつく先も少女は理解している。
赤く可愛らしい舌を見せつけた。
上目遣いな視線。
相手の身体をイヤらしく眺め見る。
そうすると相手は、蛇に睨まれたカエルのように動かなくなる。
自分の身に感じた衝動を、理解しきれないからだ。
少女は倫理的な人間を匂いで嗅ぎ分ける。 そうでなければ自分の身が危険であることを知っているから。
「間違っている。 こんな事をしてはいけない。 け、警察を呼んでくれ」
コンビニの店員に言えば、店員は怯えたように視線をそらした。
「それぐらい、いいじゃないか……彼は、その、とても可哀そうな子だから……。 僕が、代金を払うよ。 だから許してやって欲しい」
コンビニ店員は汗をかきながら、視線をそらしていた。
「良いって」
少女はクスクスと小馬鹿にするように笑う。
「でも、お兄さんは許せないって思っているんだね。 いいの……私を罰すればいいわ。 児童相談所? 学校? それとも両親? 行きましょう。 お兄さんの好きなようにするといいわ。 私はついていくから」
そう言って青年と手を繋ぐように少女の指先が触れた。
「もう、いい」
無視しようとしても少女は、青年にまとわりつき……そして、車のキーを開けた瞬間、少年は後部座席に勝手に乗り込んだ。
「直ぐに外に出るんだ」
「いや!! 止めて!!」
悲痛な声を少女はあげながら、よれよれの服を脱ぎだした。
「止めて……」
ニヤリと笑う少女を運転席に座る青年は振り向く事無く車を発進させていた。
悪気は無い。
そう言う言葉を逃避の材料にする人は性質が悪い……。
少女は何時だって隙を与えていた。
悪気は無い……。
私はそういう人間なのよ。
彼女はそういうだろう。
「万引き……」
青年は少女の罪に気付き、そして呟いてしまった。
見て見ぬふり、関わりないふりをする事は罪だ……。
そういう間を持って少女は、万引きを繰り返す。
「社会は、助け合って子供を育てるものでしょう? お兄さん、お金持ちなら私にご馳走してよ」
小汚い恰好はしているけれど、愛嬌のある笑みをしていた。
薄汚れ、よれよれの服は春になったとは言え、風邪を引きかねない。
「名前は?」
「お兄さんの名前を教えて。 そうしたら教えてあげる」
そう語る少女は、目の前の男を舐め切った表情で見ていた。 綺麗な顔立ちをした少女の生意気な口調は、苛立ちをもたらすと共に性的衝動を煽って来ることを理解し、そして衝動に身を任せた人間の行きつく先も少女は理解している。
赤く可愛らしい舌を見せつけた。
上目遣いな視線。
相手の身体をイヤらしく眺め見る。
そうすると相手は、蛇に睨まれたカエルのように動かなくなる。
自分の身に感じた衝動を、理解しきれないからだ。
少女は倫理的な人間を匂いで嗅ぎ分ける。 そうでなければ自分の身が危険であることを知っているから。
「間違っている。 こんな事をしてはいけない。 け、警察を呼んでくれ」
コンビニの店員に言えば、店員は怯えたように視線をそらした。
「それぐらい、いいじゃないか……彼は、その、とても可哀そうな子だから……。 僕が、代金を払うよ。 だから許してやって欲しい」
コンビニ店員は汗をかきながら、視線をそらしていた。
「良いって」
少女はクスクスと小馬鹿にするように笑う。
「でも、お兄さんは許せないって思っているんだね。 いいの……私を罰すればいいわ。 児童相談所? 学校? それとも両親? 行きましょう。 お兄さんの好きなようにするといいわ。 私はついていくから」
そう言って青年と手を繋ぐように少女の指先が触れた。
「もう、いい」
無視しようとしても少女は、青年にまとわりつき……そして、車のキーを開けた瞬間、少年は後部座席に勝手に乗り込んだ。
「直ぐに外に出るんだ」
「いや!! 止めて!!」
悲痛な声を少女はあげながら、よれよれの服を脱ぎだした。
「止めて……」
ニヤリと笑う少女を運転席に座る青年は振り向く事無く車を発進させていた。
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