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番外 元さや【R-18】
01.再会
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なぜ、こんな事になっているのでしょう?
衣食住、不自由させるようなことは絶対にしませんのに……。
今、私は孤児として神殿が保護している子供達を見ることなく、柵付き施錠可能な部屋で、司祭様3名に囲まれ、尋問めいたものを受けております。
理由は、人心売買、奴隷用としての子供が不足しているとかどうとか……なんか、庶民となった私の預かり知らぬところで、日々事件は起きている者ですのね。
そう言う事があり、個人で金をちらつかせ子供を寄越せと言う私は、かなり怪しく思われてしまったらしいのです。 バルテルス帝国レイフ皇太子殿下の側室として望まれた件から、神殿関係にも出生を隠している状態……仕方がありませんが……正直言って、司祭様達の圧がしんどいですわ。
1人で生きる虚しさを切に語って見せ、一般的な拒否方法へと変化したのは来訪から3時間、日も沈みだした頃でした。
「子供を引き取られると言う方には、仕事を所持し、子供を育てるだけの収入があることの証明が必要となります。 加えて、健全な養育のためご夫婦で来訪頂き、その人柄を確認させていただく事が原則となっております」
「ぇ?」
落ち着け私。
仕事は……、加護縫いの特許関係で無理が効きますし、子供を引き取るまで続けさせてもらうと言う事も可能。 在宅で加護縫いをやっていると言うのも仕事として通るでしょう。
「夫婦でなければならないものなのですか? むしろ、独り身だからこそ子供を育てたいと言う思い、御理解いただくのは無理なのでしょうか?」
「アナタはまだお若い。 困った子を助けたいとおっしゃるなら、寄付を。 そうではなく、子供を手元で育てたいとおっしゃるなら、子供ではなく夫となる方をご紹介いたしましょう」
「確かに、そのような考え方もできるかもしれませんが。 私は、その、男性が苦手で……」
「では、シスターの元でしばらくの間、悩みを聞いてもらってはどうでしょう。 アナタがもし男性に傷つけられた経験があったとしても、全ての男性がそうではありません。 アナタを労わり、思いやり、共に生きようと手を取り合うことが出来る方もいらっしゃるはずです」
「ですが!!」
「ここにいる子供達は、大人からの暴力や、過剰な強制労働により生死をさまよった子供ばかり、男性が苦手だから、そのような片寄った考え方をお持ちでは、男女どちらの子も育てるのは無理なのでは? と、問わずにはいられません。 子供を育てると言うことは、正しきを説き、余裕をもって子を受け止める度量が必要となります」
「申し訳ありませんが、私共は子供達の幸福を考えるからこそ、子供の引き取りたいと言う方を疑ってかからなければなりません。 人身売買に活用しないか? 奴隷のように扱わないか? 子供に暴力を振るうのではないか?」
黙り込む私に司祭様は代わる代わる私に問いかけ、説得するかのような口調で訴えてきます。 私自身を見るのではなく、あくまで子供中心とした価値で注意を促すのは、当然必要とは思いますが、数時間単位でそれが行われていては、こちらも精神的に消耗すると言うものです。
「わ(かりました。 今日は失礼させていただきます)」
「彼女はそのように悪い人ではないと思うのですが、男性が苦手とおっしゃりながらも、こうやって必死にお話を聞く姿勢は、配慮すべきではないでしょうか? 今日はお疲れでしょうし、その、一旦お帰り頂き、よく考え、家族の方とも相談してきていただくと言うのは如何でしょうか? 外も暗くなってきましたし……」
大きな身体に似合わず何処かオドオドとした様子の男性が、小さく挙手しながら告げた。
「それも、そうですね……もう、こんな時間ですか。 子供達のためとはいえうら若き女性をこのような場所で尋問するのは、私達とて心苦しいと言うもの。 ワズ司祭、彼女を送り届けるついでに何故、若い男女が単独で孤児を引き取る事が禁じられているかを、よくご説明してさしあげてください」
「「ぇ?」」
自分も言っておきながら、相手に言われるのはなんとなく傷ついた気分になった私は……この時点で拒絶できなくなってしまいました……。
「お嬢さん、彼の心根は子ウサギのような小心者。 ただ、見た目はライオンですので良い護衛にはなってくれるはずですよ」
ワズ司祭と呼ばれた男は、5年前まで『ワイズ・クルール』と呼ばれていた。 別れた当時、2人ともまだ成長期で、アレから身体つきも顔つきも変わり、ワイズに至っては騎士職を辞め、身分を捨て、ワズと名を変え、次期公爵として祖父に厳しく育てられた頃の妄執から逃れ、今は司祭として穏やかな日々を送っていた。
彼が離縁に気付いた時、既にシアの存在は王都にはなく、彼女の元で働いていた使用人達は、金融をまとめる貴族達の元に預けられており、彼女自身の行方を知っている者などいなかった。
ワズは困惑していた。
気付かれない事にショックを受け。
気付かれなかったことに安堵した。
気付かれればと思うと怖かった。
シアの安全を考える事に異論はない。
だけど、2人きりでまともに会話した記憶など無かった。 自分の中で、マトモだと思っていた会話は決して、お互いを知り関係性を深めるためのものではなく、むしろ嫌悪を煽るものだと司祭様から学んだ……。
司祭となって3年。
子供達を相手に、良く頑張っていると言われている私だ。 彼女を送り届ける間の会話ぐらい、やり遂げて見せる!!
「と、言う理由から、子供達の安全性を配慮し、引き取り先を厳選させて頂いているのです」
説明ばかり……、国を離れた先でせっかく会えたと言うのに私と言う奴は!!
「でも、それほどまで用心していては、貴族だって里親先としてふさわしくないと判断されてしまうのではありませんか?」
「はい、良心ある方は寄付をしていただけます。 それに……このようにいうのは子供達のためとはいえないのですが……その、教育を受けていない子達ばかりですので、貴族の家どころか、一般的な家庭であっても馴染めないと言う者が少なくありません。 言葉で思いを上手く伝えられず、そのイライラから乱暴な行為を行う者も極稀ではありますが、存在しておりまして……小さな子であっても手加減を知らない分、女性だけでは手に負えない事が多いのです」
「そうですの……。 もっと、こう簡単に考えておりましたわ。 本気で引き取りたいと考えるなら、色々と配慮が必要と言うことですわね。 夫はいませんが、子供を預かるとなれば使用人を雇うことも配慮しますわ。 その際の募集時に注意を払えば……条件を満たせるかもしれませんわよね?」
嬉々とした瞳で言われれば、反射的にYesと言いそうになるのを必死にこらえた。
「その生きがいとして、生き物を育てたいとおっしゃるなら、動物を育てるのはいかがでしょうか?」
「それは……確かに、楽しそうではありますが……」
言葉を濁したシアが、ジッと見つめてきて、そして笑った。
「アナタは、結婚をして子を作れとはおっしゃらないのですね」
心の中で血の涙を流しながら、ワズは人のいい笑みを頑張って作った。
「いくら、若く美しい女性であっても、男性が苦手だと言う方に無理強いをするのは、間違っていると思いますので」
自分が手出しできないのは我慢できるが、自分も触れる事が出来ない思い人に他の男が触れるなど許せる訳ない!!
「そう、言って頂けると助かりますわ。 そうだ、もう少し、お話を聞かせて頂けませんか? 動物に逃げる前に出来ることはきっとあるはずですもの」
「構いませんが、もう遅いので日を改めた方がよろしくはありませんか?」
「そうね、司祭様は朝が早いですものね」
「それは構いませんが、その、このような時間に男性と二人きりでは不安になられるのではないかと……」
「では、私の行きつけのお店に行きませんか?」
騒々しい酒場にある個室へと連れていかれた。
「えっと、私はその、私と言う男と二人、アナタが不安になるのでは?と言ったはずですが?」
「えぇ、ですから、問題があったらお互いこの部屋から叫びながら逃げればよいだけのことですわ」
「……そのシアさんは、もう少し警戒心を持たれた方がよろしいのではありませんか?」
「あら、平気よ。 お店の方も気遣ってくださりますもの」
そう言った後、続けてシアがぽつりと小さく呟けば、ワズは顔を少しだけしかめる事となる。
「その分の、金銭は支払っておりますもの」
部屋に入る前、料理と酒を適当にと言ったせいか、次々と運ばれてくる。
「酒は、その日頃から飲まれるのですか?」
「司祭様は禁止されておりますの?」
「いえ、そう言う訳ではございませんが、自制のため遠慮させていただきます」
「では、私だけ失礼しますわ。 その……酒を飲まなければ離せない懺悔もございますの。 聞いていただけますか?」
そして、ジョッキに注がれたエールを、シアは水を飲むように3分の1まで飲むのだった。
衣食住、不自由させるようなことは絶対にしませんのに……。
今、私は孤児として神殿が保護している子供達を見ることなく、柵付き施錠可能な部屋で、司祭様3名に囲まれ、尋問めいたものを受けております。
理由は、人心売買、奴隷用としての子供が不足しているとかどうとか……なんか、庶民となった私の預かり知らぬところで、日々事件は起きている者ですのね。
そう言う事があり、個人で金をちらつかせ子供を寄越せと言う私は、かなり怪しく思われてしまったらしいのです。 バルテルス帝国レイフ皇太子殿下の側室として望まれた件から、神殿関係にも出生を隠している状態……仕方がありませんが……正直言って、司祭様達の圧がしんどいですわ。
1人で生きる虚しさを切に語って見せ、一般的な拒否方法へと変化したのは来訪から3時間、日も沈みだした頃でした。
「子供を引き取られると言う方には、仕事を所持し、子供を育てるだけの収入があることの証明が必要となります。 加えて、健全な養育のためご夫婦で来訪頂き、その人柄を確認させていただく事が原則となっております」
「ぇ?」
落ち着け私。
仕事は……、加護縫いの特許関係で無理が効きますし、子供を引き取るまで続けさせてもらうと言う事も可能。 在宅で加護縫いをやっていると言うのも仕事として通るでしょう。
「夫婦でなければならないものなのですか? むしろ、独り身だからこそ子供を育てたいと言う思い、御理解いただくのは無理なのでしょうか?」
「アナタはまだお若い。 困った子を助けたいとおっしゃるなら、寄付を。 そうではなく、子供を手元で育てたいとおっしゃるなら、子供ではなく夫となる方をご紹介いたしましょう」
「確かに、そのような考え方もできるかもしれませんが。 私は、その、男性が苦手で……」
「では、シスターの元でしばらくの間、悩みを聞いてもらってはどうでしょう。 アナタがもし男性に傷つけられた経験があったとしても、全ての男性がそうではありません。 アナタを労わり、思いやり、共に生きようと手を取り合うことが出来る方もいらっしゃるはずです」
「ですが!!」
「ここにいる子供達は、大人からの暴力や、過剰な強制労働により生死をさまよった子供ばかり、男性が苦手だから、そのような片寄った考え方をお持ちでは、男女どちらの子も育てるのは無理なのでは? と、問わずにはいられません。 子供を育てると言うことは、正しきを説き、余裕をもって子を受け止める度量が必要となります」
「申し訳ありませんが、私共は子供達の幸福を考えるからこそ、子供の引き取りたいと言う方を疑ってかからなければなりません。 人身売買に活用しないか? 奴隷のように扱わないか? 子供に暴力を振るうのではないか?」
黙り込む私に司祭様は代わる代わる私に問いかけ、説得するかのような口調で訴えてきます。 私自身を見るのではなく、あくまで子供中心とした価値で注意を促すのは、当然必要とは思いますが、数時間単位でそれが行われていては、こちらも精神的に消耗すると言うものです。
「わ(かりました。 今日は失礼させていただきます)」
「彼女はそのように悪い人ではないと思うのですが、男性が苦手とおっしゃりながらも、こうやって必死にお話を聞く姿勢は、配慮すべきではないでしょうか? 今日はお疲れでしょうし、その、一旦お帰り頂き、よく考え、家族の方とも相談してきていただくと言うのは如何でしょうか? 外も暗くなってきましたし……」
大きな身体に似合わず何処かオドオドとした様子の男性が、小さく挙手しながら告げた。
「それも、そうですね……もう、こんな時間ですか。 子供達のためとはいえうら若き女性をこのような場所で尋問するのは、私達とて心苦しいと言うもの。 ワズ司祭、彼女を送り届けるついでに何故、若い男女が単独で孤児を引き取る事が禁じられているかを、よくご説明してさしあげてください」
「「ぇ?」」
自分も言っておきながら、相手に言われるのはなんとなく傷ついた気分になった私は……この時点で拒絶できなくなってしまいました……。
「お嬢さん、彼の心根は子ウサギのような小心者。 ただ、見た目はライオンですので良い護衛にはなってくれるはずですよ」
ワズ司祭と呼ばれた男は、5年前まで『ワイズ・クルール』と呼ばれていた。 別れた当時、2人ともまだ成長期で、アレから身体つきも顔つきも変わり、ワイズに至っては騎士職を辞め、身分を捨て、ワズと名を変え、次期公爵として祖父に厳しく育てられた頃の妄執から逃れ、今は司祭として穏やかな日々を送っていた。
彼が離縁に気付いた時、既にシアの存在は王都にはなく、彼女の元で働いていた使用人達は、金融をまとめる貴族達の元に預けられており、彼女自身の行方を知っている者などいなかった。
ワズは困惑していた。
気付かれない事にショックを受け。
気付かれなかったことに安堵した。
気付かれればと思うと怖かった。
シアの安全を考える事に異論はない。
だけど、2人きりでまともに会話した記憶など無かった。 自分の中で、マトモだと思っていた会話は決して、お互いを知り関係性を深めるためのものではなく、むしろ嫌悪を煽るものだと司祭様から学んだ……。
司祭となって3年。
子供達を相手に、良く頑張っていると言われている私だ。 彼女を送り届ける間の会話ぐらい、やり遂げて見せる!!
「と、言う理由から、子供達の安全性を配慮し、引き取り先を厳選させて頂いているのです」
説明ばかり……、国を離れた先でせっかく会えたと言うのに私と言う奴は!!
「でも、それほどまで用心していては、貴族だって里親先としてふさわしくないと判断されてしまうのではありませんか?」
「はい、良心ある方は寄付をしていただけます。 それに……このようにいうのは子供達のためとはいえないのですが……その、教育を受けていない子達ばかりですので、貴族の家どころか、一般的な家庭であっても馴染めないと言う者が少なくありません。 言葉で思いを上手く伝えられず、そのイライラから乱暴な行為を行う者も極稀ではありますが、存在しておりまして……小さな子であっても手加減を知らない分、女性だけでは手に負えない事が多いのです」
「そうですの……。 もっと、こう簡単に考えておりましたわ。 本気で引き取りたいと考えるなら、色々と配慮が必要と言うことですわね。 夫はいませんが、子供を預かるとなれば使用人を雇うことも配慮しますわ。 その際の募集時に注意を払えば……条件を満たせるかもしれませんわよね?」
嬉々とした瞳で言われれば、反射的にYesと言いそうになるのを必死にこらえた。
「その生きがいとして、生き物を育てたいとおっしゃるなら、動物を育てるのはいかがでしょうか?」
「それは……確かに、楽しそうではありますが……」
言葉を濁したシアが、ジッと見つめてきて、そして笑った。
「アナタは、結婚をして子を作れとはおっしゃらないのですね」
心の中で血の涙を流しながら、ワズは人のいい笑みを頑張って作った。
「いくら、若く美しい女性であっても、男性が苦手だと言う方に無理強いをするのは、間違っていると思いますので」
自分が手出しできないのは我慢できるが、自分も触れる事が出来ない思い人に他の男が触れるなど許せる訳ない!!
「そう、言って頂けると助かりますわ。 そうだ、もう少し、お話を聞かせて頂けませんか? 動物に逃げる前に出来ることはきっとあるはずですもの」
「構いませんが、もう遅いので日を改めた方がよろしくはありませんか?」
「そうね、司祭様は朝が早いですものね」
「それは構いませんが、その、このような時間に男性と二人きりでは不安になられるのではないかと……」
「では、私の行きつけのお店に行きませんか?」
騒々しい酒場にある個室へと連れていかれた。
「えっと、私はその、私と言う男と二人、アナタが不安になるのでは?と言ったはずですが?」
「えぇ、ですから、問題があったらお互いこの部屋から叫びながら逃げればよいだけのことですわ」
「……そのシアさんは、もう少し警戒心を持たれた方がよろしいのではありませんか?」
「あら、平気よ。 お店の方も気遣ってくださりますもの」
そう言った後、続けてシアがぽつりと小さく呟けば、ワズは顔を少しだけしかめる事となる。
「その分の、金銭は支払っておりますもの」
部屋に入る前、料理と酒を適当にと言ったせいか、次々と運ばれてくる。
「酒は、その日頃から飲まれるのですか?」
「司祭様は禁止されておりますの?」
「いえ、そう言う訳ではございませんが、自制のため遠慮させていただきます」
「では、私だけ失礼しますわ。 その……酒を飲まなければ離せない懺悔もございますの。 聞いていただけますか?」
そして、ジョッキに注がれたエールを、シアは水を飲むように3分の1まで飲むのだった。
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