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第1章 ヒロイン視点

5.勘違いも甚だしいですですわ

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やっと…やぁっと終わりました!
社交シーズン!!!
だからといって休める訳ではありませんけどね。
地獄のように精神的に疲れる仕事が書類仕事に変わった感じです。
お父様のお手伝いで忙しいんです。
しかも以前より仕事増えていませんか?
私が手伝えないと言われたものも。
そういったのはものは国家機密レベルなので怖くてみたくありませんけど。


***


忙しくしていたら殿下が身体を壊されたそうです。
え?知りませんよ。

と言って逃げようとしたらそれは叶いませんでした。
婚約者が寝込んでいようと私には関係ないですわ。
という感じの令嬢を演じようと思いましたのに…
確かに多少は心配ですけど…
お城行きたくないんですよぉ!

場違い感が凄すぎて…


***


なんでなんの躊躇いもなく私を殿下が寝込んでいらっしゃる部屋に入れるんです?
しかもなんで侍女やメイドは出ていくんです?
2人にするんですか??
もし私が…

既成事実をつくって王妃よ!

って人だとしたら殿下が危ないんですよ!
絶対しませんけどね。

「殿下。お見舞いに参りました。」
「…ん?…なんで……来たの?」

寝不足でやつれたのでしょうか?
美しい顔にうっすらと隈がでています。
まぁお父様も私も忙しいくらいですから殿下はもっと忙しいのかもしれませんね。

「お父様に行くよう仰せつかったので。こんな時に私の顔なんか見たくもないかと思いますけどね。」

ぐっ倒れている人には強く出られない…
どう嫌味を混ぜるか考えていると殿下の手が伸びて私の頬をつつみます。

「何をされているんですか?」
「しゃる…なんかいつもと…夢か…」

頬にあった手が腰の辺りに伸びぐっと引き寄せられ殿下の隣に横になります。
は?
驚くと声が出なくなるといいますがほんとですね。
思考も…
必死に考えようとしてもその前に殿下が動き、目元と鼻にキスを落とします。

なっ!
驚いても声が出ないです。
私をまさか意中の方と勘違いして…
さすがにそれはやめてください!
意中の方がいらっしゃるのは結構ですが私と勘違いはしないでください!
しゃる…私の愛称もシャルですが殿下は呼んだことがありませんので私と同じ愛称の方なのでしょうけど!

腰にあった手はスルスルと動きそっとドレスの上から触れていきます。
ドレスといってもお見舞いということでシンプルで簡単なものなためかゆったりとした布のみです。
そのせいでか殿下の指の動きがしっかりと伝わります。
その指は胸元の辺りまでいくと手で私にとって左の方の胸を触ります。
私は口をパクパクとさせるだけで未だにフリーズしたままです。

「柔らかい………え?柔ら…」

驚いたせいか殿下は手をぎゅっと握るようにして揉みます。

「ひゃ!」

やっと声が…
という問題ではないです。
驚きのとはいえ…なんてはしたない声を…
涙が出そうです。

「わっ!えっ!うそっ!ごめん。あなたにこんなことするつもりじゃ…」

真っ青な顔をしながら訴えてきますがこればかりは…
殿下と婚約破棄したあと婚約する方に申し訳ないじゃないですか!
すーはーと息を整えてから口を開きます。

「殿下。女性の体にそのようなことをするなんて最低です。それに加え私を“シャル”という方と間違えるというのは更に…変な方に夜這いされて襲うなんていうことがございませんようお気をつけください。そんなことになっては責任をとるよう言われてしまうかもしれませんので。ではご機嫌麗しゅう。」

それだけ言うと立ち上がり乱れた髪とドレスを直して部屋を出ます。
さっさと帰らせて頂きます。


***


家に戻り1人にしてもらいベッドに倒れます。
止めていたはずの思考が一気に流れ込み…
うぅ…恥ずかしすぎます…
あの手の動きと感触が肌に残ったようで顔が熱くなります。
それに…
意中の方がいらっしゃるのなら早く婚約を破棄して下さればいいのに…
考えるのを放棄して机上に置かれる書類に目を向けます。

「私も頑張りますか!」

そう言って立ち上がり書類を片付けていきます。
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