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15.出ていってくださいまし!

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鏡に映るのはハーフアップでくるりと簪で纏められた私の姿。

1本の棒に桜の花が付き細やかなチェーンの様なものが垂れ下がり動く度に揺れ、先にある小ぶりな緑色の宝石がキラキラと輝きます。

なんと言いますか…外人が和装したみたいななんとも言えない…

ん?

そもそもこの簪は外国のものなのですから私が付ければ外人が付けた違和感というのは分かりますがそれを私が抱くのは何か変な…

“和装”とはなんでしょう…

分かりそうで分かりませんわ。

なにか思い出せそうで思い出せない…

鏡を見ても映るのは私…


わたくし?

こんな美人だったかしら?それに金髪?青い目?おかしいです。

私は焦げ茶の髪に目だったはずですわ。

あぁこれは…転生……


そのまま私は倒れました。


倒れた中でも聞こえる周りの焦った声に運ばれているのが分かる振動。

でも私は記憶の海にぽたりと入ったようで様々なことが一気に頭に押し寄せてきます。

その中で思ったのが…

転生しても変わんないなぁ…

ってことでしたわ。

恋愛経験皆無で人に甘えるのが下手で意地っ張りで…

興味あるもの以外はどうでもいいみたいな感じも…

そしてここが創作的な世界なのではという勝手な思い込みをしたいと思いましたわ。

貴族の家名にギリシャ文字の読みが多いです。

しかも私の…というよりもあのアリス様の周りにです。

となると彼女がヒロインで私は悪役令嬢というポジションなのかしら?

うーん…分かりませんわ…

そういったものにあまり興味がありませんでしたので…

でも…もし…そうだとすればエド様は…

アリス様はエド様の事をすいているように感じました…

アリス様とエド様が仲睦まじくしている風景を考えただけで心臓が握りつぶされるかのような息苦しさと酷い嫉妬にかられ飛び起きます。

「ティア!良かった…本当に…」

「え、えど、さま…?」

どういった状況でしょう?

なぜ私は抱き締められているのでしょう?

でも私の中の嫉妬は溶けたようにすっと消え去り満たされたような感覚に陥ります。

でも…

「く、苦しいですわ…」

「あっ!ごめんね。少しでもティアを感じたくて…」

こ、この王子様はーー!!

そんな甘ったるいセリフを易々と…!

私の恋愛的耐性は前世は本当にゼロで無いのでこっちの経験により構成されているのですが…

前世の影響で前よりも…低くなっている気がしますわ。

あくまでも記憶…といっても多少の影響はありますけど人格が変わったり口調や常識に違和感を覚えるものではありませんでしたけど…!!

こういった面はしっかり影響を受けています。

あの少女漫画のような世界が私に降り掛かってきているのです。

それだけでもうキャパオーバーですわ。

「直ぐに!出ていってくださいまし!!」

あぁもう絶対顔が赤くなってますわ。

せっかく今まで取り繕ってきましたのに!
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