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第Ⅰ期 Lip Magic Generations 結成
8 ダンジョン①
しおりを挟む(1) 洞窟の探索①
今日は、洞窟の探索だ。違う入口から入る。メンバーは前と同じ。
だが構成は、前衛は蓮月と瑠璃、中衛は美夜、後衛は私とクロでこの前と逆である。
寺子屋の稽古場ではスキルを使った練習は、昇段試験以外ではできない。魔窟では遠慮なく使っていいということであった。
前回は、美夜が「あまりスキルを使用しないで様子を見たい」ということだったので、皆使用しなかった。
そこまでスライムが強くなかったということもある。
今回は、スキルを使わないと我々のレベルでは倒せない相手も出てくる可能性があるという。遠慮なく使ってみようと思う。
バタバタッ
洞窟に入ってまもなく前回と同じく、蝙蝠が出てきた。みな落ち着いている。
10分くらい歩くと、蓮月が最初に気づく。何かが歩く音がすると……
魔物と遭遇した。魔物カニグラタンだ。なんとも美味しそうな名前だ。
カニグラタンの大きさは、体長が約1m、大きなハサミを2つ持っており、背中にグラタン用の鍋をかかえている。
器用なことに、前に突進してきた!
横に歩くものだと思っていたから、少し油断してしまった。
前衛にいた瑠璃と蓮月がサッと刀を抜き応戦する。しかしカニグラタンの甲羅は固く、並みの刀では切ることができなかった。
クロがスキルを発動する。
「 漆黒! 」
カニグラタンは黒い闇に覆われ、視界がなくなったようで右往左往している。
私もスキル梅村先生の「反射」を刀に発動する。紅の炎が刀を包む。
瑠璃は、スキルは開眼したようだが、まだ使い方が分からないようだ。
私も刀で斬りかかる。……が切れない。カニグラタンはジタバタしているが、こちらも決め手に欠ける。
「刀は、振り落とすだけでなく、突くということもできます。その方が一点に力が集中するのです」
美夜が突きの構えをとりながら教えてくれる。
確かに。そのとおりカニグラタンを突いてみた。
カニグラタンの甲羅が壊れていく。みな挙《こぞ》って、カニグラタンを突く。
カニグラタンは、動きを止め倒れた。
皆、美味しいものには目がないようで、我先にと、美夜も混じってカニグラタンの関節に刀をいれ、足やハサミをもぎ取っていく。
私はかばんから密閉できる入れ物を取り出し、カニ味噌もしっかりゲットした。
(密閉できる入れ物……スライムの粘液質を回収しようともってきたものだ)
今日は美味しい食材も手に入れたし、カバンに入りきらないので早々に洞窟を出ることにした。
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