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短編
#04*
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少し前から真はほとんど声もなくシーツを握りしめている。
「シンさん、起きてる?」
「……きてる」
掠れた声で返事がきてカイは笑みを浮かべた。
「良かった。静かだから気絶しちゃったかと思った」
「だ、ったら……もう少し、加減しろ……」
「好きにしていいって言ったのシンさんじゃん。思ったより気持ち良くてびびっちゃった?」
入れた事のないくらい深い所にはめ込んだものを動かすと、真の性器から精液以外の液体が漏れる。
「はは、潮ふいてますよ」
苛立った様子で睨んでくるのは一瞬で、強過ぎる快感に怒りが持続しないのか、奥を突く度に粘膜が吸い付いてくる。
「あーやば……気持ち良すぎて頭バグりそー。セックスし過ぎるとバカになるってほんとですかね?」
「っ、はなし、かけんな……」
「普通にしゃべれてるじゃないですか。まだ余裕?」
肩を掴んで振り向かせると真の顔は見た事がないくらいぐしゃぐしゃに濡れていて、涙目の瞳がカイを睨もうとし、それでも強い快感に耐えられず下がる眉尻に愛おしさが込み上げてくる。
「んっ、ん……」
「シンさん……やばい、好き」
濡れた頬を舐めると嫌そうに顔を逸らされる。
「可愛い。泣きすぎて目腫れちゃってる。ごめんね」
「お前、言ってることめちゃくちゃ……」
確かに口では謝りつつも美しく有能で強い上司の、普段からは想像もつかない姿に恐ろしく興奮していた。
「シンさんこっち向いて。キスしながらしたい」
仰向けにさせて唇を重ね、再び腰を打ちつける。
「ぅ、ん、んっ!」
「あー気持ちいい、シンさん、シンさん……っ」
真の中に射精しながら背中に回した腕に力を込める。抱きしめているのはカイの方なのに、縋りついているような感覚に陥る。切ない心地をキスで誤魔化しながら、真の虚ろな瞳を覗き込む。
「シンさん平気?」
呼びかけに返答はなく、真は静かに目を閉じた。
「シンさん?」
気を失うように眠ってしまった真はしばらく起きないだろう。せめてもの償いに後片付けと真の体をきれいにしようお、カイはタオルを取りに向かった。
コーヒーの匂いで目が覚めた。微睡は一瞬で慌ててベッドを抜け出すと真がキッチンでコーヒーを淹れていた。
「お、おはようございます」
「おはよう。なんだよその顔」
「早いっすね……」
朝に弱い真が先に起きている事に驚きを隠せない。毎朝カイがなんとか起こしてやっとベッドを抜け出してもしばらく不機嫌そうに煙草を吸っているのに今日はすっきりした顔でコーヒーを淹れている。
「俺だって早く起きる日くらいある」
「一年に一回くらいすか?」
「コーヒー淹れてやろうと思ったけど気が変わった」
「嘘うそ、ごめんなさい、コーヒー飲みたい!」
「なら早く顔洗ってこい。腹減った」
「はい!」
朝食を作れと暗に指示され急いで洗面所に向かう。洗顔や歯磨きを終えて戻ると真はカウンター席に座りコーヒーを飲んでいた。
「今日は休みですか?」
「まぁ、気が向いたら仕事する」
「シンさんの口からそんな言葉が出るなんて……」
驚きながら朝食の支度をする。トースターにパンを入れ、冷蔵庫から卵を取り出しフライパンを熱する。
「シンさん卵片面でいいですか?」
「ああ」
あくびを漏らしながら真はスマートフォンでニュースを確認する。そんな仕草も新鮮で、朝日の差し込むリビングでいつもよりゆったり過ごす時間がとても幸せに感じられた。
真がぼんやり眺めているスマートフォンには、きっとそのうち仕事の連絡が届き始めていつものように忙殺されるだろう。
割り入れた卵の焼ける音を聞きながら、この時間を大事に過ごしたいと思った。
「シンさん、起きてる?」
「……きてる」
掠れた声で返事がきてカイは笑みを浮かべた。
「良かった。静かだから気絶しちゃったかと思った」
「だ、ったら……もう少し、加減しろ……」
「好きにしていいって言ったのシンさんじゃん。思ったより気持ち良くてびびっちゃった?」
入れた事のないくらい深い所にはめ込んだものを動かすと、真の性器から精液以外の液体が漏れる。
「はは、潮ふいてますよ」
苛立った様子で睨んでくるのは一瞬で、強過ぎる快感に怒りが持続しないのか、奥を突く度に粘膜が吸い付いてくる。
「あーやば……気持ち良すぎて頭バグりそー。セックスし過ぎるとバカになるってほんとですかね?」
「っ、はなし、かけんな……」
「普通にしゃべれてるじゃないですか。まだ余裕?」
肩を掴んで振り向かせると真の顔は見た事がないくらいぐしゃぐしゃに濡れていて、涙目の瞳がカイを睨もうとし、それでも強い快感に耐えられず下がる眉尻に愛おしさが込み上げてくる。
「んっ、ん……」
「シンさん……やばい、好き」
濡れた頬を舐めると嫌そうに顔を逸らされる。
「可愛い。泣きすぎて目腫れちゃってる。ごめんね」
「お前、言ってることめちゃくちゃ……」
確かに口では謝りつつも美しく有能で強い上司の、普段からは想像もつかない姿に恐ろしく興奮していた。
「シンさんこっち向いて。キスしながらしたい」
仰向けにさせて唇を重ね、再び腰を打ちつける。
「ぅ、ん、んっ!」
「あー気持ちいい、シンさん、シンさん……っ」
真の中に射精しながら背中に回した腕に力を込める。抱きしめているのはカイの方なのに、縋りついているような感覚に陥る。切ない心地をキスで誤魔化しながら、真の虚ろな瞳を覗き込む。
「シンさん平気?」
呼びかけに返答はなく、真は静かに目を閉じた。
「シンさん?」
気を失うように眠ってしまった真はしばらく起きないだろう。せめてもの償いに後片付けと真の体をきれいにしようお、カイはタオルを取りに向かった。
コーヒーの匂いで目が覚めた。微睡は一瞬で慌ててベッドを抜け出すと真がキッチンでコーヒーを淹れていた。
「お、おはようございます」
「おはよう。なんだよその顔」
「早いっすね……」
朝に弱い真が先に起きている事に驚きを隠せない。毎朝カイがなんとか起こしてやっとベッドを抜け出してもしばらく不機嫌そうに煙草を吸っているのに今日はすっきりした顔でコーヒーを淹れている。
「俺だって早く起きる日くらいある」
「一年に一回くらいすか?」
「コーヒー淹れてやろうと思ったけど気が変わった」
「嘘うそ、ごめんなさい、コーヒー飲みたい!」
「なら早く顔洗ってこい。腹減った」
「はい!」
朝食を作れと暗に指示され急いで洗面所に向かう。洗顔や歯磨きを終えて戻ると真はカウンター席に座りコーヒーを飲んでいた。
「今日は休みですか?」
「まぁ、気が向いたら仕事する」
「シンさんの口からそんな言葉が出るなんて……」
驚きながら朝食の支度をする。トースターにパンを入れ、冷蔵庫から卵を取り出しフライパンを熱する。
「シンさん卵片面でいいですか?」
「ああ」
あくびを漏らしながら真はスマートフォンでニュースを確認する。そんな仕草も新鮮で、朝日の差し込むリビングでいつもよりゆったり過ごす時間がとても幸せに感じられた。
真がぼんやり眺めているスマートフォンには、きっとそのうち仕事の連絡が届き始めていつものように忙殺されるだろう。
割り入れた卵の焼ける音を聞きながら、この時間を大事に過ごしたいと思った。
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