ねむれない蛇

佐々

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短編

#03*

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「シンさん……」
「なに?」
 間近にある端正な顔に微笑まれると、胸の奥がずくりと疼く。
「キスしてもいいですか?」
「いちいちきくなよ」
 許しを得た犬のような気持ちで唇を重ね、柔らかいそこを食んで舌を入れる。熱い粘膜を擦り合わせ、上顎をなめる。くすぐったそうに反らされた首の下をなぞる。
「ん……」
 顎下や耳に優しく触れると真がわずかに声を漏らす。
 触れ合った箇所が溶けそうに熱い。寄せられた眉も、カイの腰に回された腕も、全てが愛おしくてたまらない。
 心地良いキスに酩酊していると真は脚を絡めて体を押し付けてきた。密着した体が揺れている。
「気持ち良くなっちゃった?」
 熱をはらんだ息を吐きながら、真が頷く。誘われるように伸ばした手は彼に触れる前に掴まれた。
「触るな」
「なんで?」
「いいから、お前は黙って見てろよ」
「見てろって……」
 何をだろう。熱ののぼった頭でそう思ったのも束の間、目の前でスウェットに手を入れた真にカイの視線は釘付けになった。
「シンさん……?」
 ベッドに横たわり、向き合った体勢で少し目線を下げると真の手がスウェットの中で蠢いているのがわかる。
「うそ……」
 思わず顔を覗き込むと目が合った。今更羞恥が押し寄せたのか逃れるように視線を逸らす真の顎を掴む。
「なんだよ……」
「見てて欲しいんでしょ?」
 体の向きを変えようとする真に覆い被さり、首筋に唇を落とす。
「あっ」
「続けて。シンさんが自分でしてるとこ見たい」
 脚を開き、スウェットの上から真の手をなでる。ゆっくり再開された動きを眺める。カイの手を乗せたままそうするものだから、真の手がどんな風にそこを刺激しているのか感じてしまって鼓動が一層速くなる。
「んっ……」
 かすかに声を漏らした真の手の動きが大きくなる。先ほどまでは軽くなでる程度の刺激だったのが、今はしっかり握って扱いているのがわかる。
「中、見てもいい?」
 真のスウェットに手をかけると断られなかったので、そのまま下着と共に下ろす。再度脚を開き、真のオナニーを観察する。上下に扱いて、時々先端をいじめて、裏側の段差のところが気持ち良いのかしつこいくらいに触っている。
 手を出したくて、なんなら舐め回したくてたまらなかったが触るなと言われているので我慢する。だんだん先端が濡れてきた。心地良さそうな声が漏れている。美しい指が勃起したところを握り、逆の手で玉まで揉んでいる。
「マジか……」
 目の前の光景を改めて認識して眩暈がした。普段の特に仕事中の彼とのギャップがひどい。いつも素早く冷静に状況を見極める瞳も、的確に指示を出す唇も今は見る影もない。
「あっ……」
 尻を広げて穴の周りをなぞると真の体が小さく跳ねた。手の中の性器が更に濡れたような音を立てる。
「ここは触らないの?」
「触る……」
「やって見せて? 早くしないとシンさんいっちゃうでしょ」
 ローションを準備し真の指が入るのを手伝う。軽く抜き差しして馴染ませてからぬるついた指が心地良い場所を探して動く。
「ぁ、あっ……」
 指が当たったのか真の性器から先走りが漏れる。反射的に脚を閉じようとするのを防いで、外側から同じ場所に触れる。
「やめっ……」
 咄嗟に抜こうとした指を掴んで固定し、内外から性感帯を刺激する。膨らんだ感触のはっきりしてきたそこを真の指に押し付けるように揺するとだらだらと精子があふれる。カイはたまらず唇を寄せて真の性器を咥え込んだ。
「なっ」
 ぬるつく先端を舐め回し、根本まで飲み込んで喉の奥で扱く。苦しさがない訳じゃないが、眉を寄せて耐えていた真の表情から険しさが取れ、切なそうに喘ぐ様子を見るとたまらない気持ちになった。
 喉の奥がねばつく感覚に耐え、射精を促すように頭を振る。会陰を押す指にも力を込めて、一層強く彼の指をそこに食い込ませる。
「ぅあっ、ん、んぅ……っ」
 とうとう自分で口を塞いだ真の性器から飛び出した精液を喉で受け止める。扱きながら全部出してやって、少しずつ飲み下していく。
「はっ、はぁっ……はー……」
 唇を離すと真は一気に脱力した。
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