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短編
#02*
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「朝早いから三十分だけな」
無茶苦茶な制限を設けられ、カイはやや性急に事に及んだ。中に入れた指はやたらとすんなり飲み込まれ、少し馴染ませただけでもう二本目を入れられそうだった。
「ここ、もしかして自分で弄りました?」
ローションを追加して抜き差ししながら尋ねると、内側が少し締まる。
「そろそろお前とするかと思って」
「え、ほんとに?」
「うん……ちょっと触ったら我慢できなくて、最近こっちでオナニーしてた」
「なっ……」
あまりの告白に顔が火照る。その反応を楽しむような真の余裕さに腹が立つ。
「今度やってもらいますよ」
「今度でいいのか?」
「……からかってるでしょ」
「嘘だよ。早く入れて」
「もーどうしたんすか? 今日めっちゃエロいじゃん……」
増やした指で性急に粘膜を広げる。大したことはしてないのに、内側を擦るだけで真は気持ちよさそうな声を漏らす。
「んっ、そこっ……」
「ここ気持ちいい? 擦ってあげようか」
頷く真の欲しがる通りにしてやると、立ち上がった性器から精子が漏れる。
「ちょっといっちゃった?」
「あ、あ……」
「そんなに締めないでよ。あーもう、入れていい? 我慢できない」
「だから、早くって……」
最後まで言わせない内に中に押し入り、真の唇を塞ぐ。入れた瞬間に射精してしまった性器を擦りながら腰を打ち付ける。
「ぁっ、まっ、いま、さわっ、な……」
過敏に反応する彼の体を蹂躙しながら、手中に収まった性器を嬲る。
「ぅあっ、あ、あ」
「やらし、もう一回いっちゃう?」
頷く真の喉に唇を寄せ、腰を打ち付ける。ネクタイをしたら隠れるくらいの位置に噛み付くと、内側がぎゅうぎゅうと締め付けてくる。
「カイっ、跡つけんなっ……」
「そう言うわりに気持ちよさそうだけど? 見えないとこなら良いでしょ?」
「駄目、見られ……っ」
「見られる事があるわけ? 見えるとこにも付けとこうかな」
逸された首筋をややきつく吸い上げる。抵抗する彼を押さえつけて、その反応と裏腹に媚びてくる穴を深くまで犯す。
「はー……っ、なんか今日、すごい奥まで入りますね」
「気っ、のせいだろ……」
「そんな事ないですよ?」
薄い腹を押さえるようにすると真が体を強張らせる。
「そ、んなっ……でかくなっ……」
「うわ、そういうこと言っちゃうんだ」
カイは真の片脚を抱え上げ、より深い所に押し入りながら、真の気持ちの良い場所を責めた。
「あ、ぁー……っ」
泣きそうに顔を歪めた真が瞳を閉じる。どちらかと言うと普段はきつめの目元が緩み、眉も下がっている。
「ほら、気持ちいいでしょ? 俺のちんぽ」
「ぁっ、あ、あ」
「喘いでないで答えてよ。気持ちいい?」
「いっ、いいからっ……」
「どこがいいの?」
腰の動きは止めずにシャツをめくって胸に触れる。片方は指で、もう片方は舌で刺激すると纏わりつく粘膜が一層密着するのがわかる。
「もしかしておっぱい? ここ触ると中がぎゅっとなるね」
「あ、ぁっ……だめ、気持ち……」
「どっちだよ」
硬くなった乳首を摘んで擦りながら真が射精するのを見届ける。張り詰めた性器の先端から精子を溢れさせる様は男の射精にしてはいやらしく、カイは喉を鳴らしながら思い切り腰を叩きつけた。
「あっ」
目を見開いた真に顔を寄せて、上気した唇を貪りつつ彼の深い所に射精する。中に出したことを怒られるかとも思ったが、その瞬間も身震いして感じてい様子から杞憂だと知る。そればかりか、彼の穴はカイの性器をしゃぶり尽くすように蠢き、抜こうとしても吸い付いてきて離れない。
「エロすぎでしょあんた……」
しばしゆっくりと余韻を楽しんで、体を離すと真の穴から精子が溢れてくる。ベッドを汚す前にとカイはティッシュに手を伸ばした。
「動いちゃ駄目ですよ」
真の脚の間を拭うとくすぐったいのか時折身を震わせる反応が可愛くて、ついつい悪のりして指を突っ込んだら嫌がられなかったので、カイは更に調子にのって柔らかくなった彼の粘膜を女の性器にするように愛撫した。
「な、んでまたっ……」
「気持ちよさそうにしてるから。良くない? これ」
「ぁっ、あ」
「ひくひくしてる……もっかいしていい?」
きいておきながら返事は待たず、文句を言われないよう唇はキスで塞ぎながらカイは再び彼の体を貪った。
「平気ですか? 何かいります?」
「水……」
ベッドでぐったりしている真の要求に応えるべく、カイは寝室を出てキッチンに向かった。買い置きの水を持って戻ると、ベッドに身を起こした真が煙草に火をつけていた。
「窓開けますよ」
後で煙草臭いと文句を言われないようベッドの側の小窓を開く。咥え煙草でペットボトルを受け取った真は、手に力が入らないのか、なかなか蓋を開けられない手のひら不思議そうな顔で見つめていた。
「貸してください」
カイは真の代わりに蓋を開け、それを彼の手に戻した。
「ありがと」
英語で短く礼を言った真がボトルに口をつける。
それからなんとなく会話もなく、ぼんやりと真の煙草が短くなるのを待つ。やがて彼が煙草を消したのを見計らって、カイは開けていた窓を閉めた。
並んでベッドに横になり、部屋の明かりを消す。
「シンさん服着なくていいの? 風邪ひくよ?」
「いらない。今暑いし。あとシーツ冷たいし」
確かにシーツは濡れている。その理由を反芻してカイは一人赤面し、部屋の暗さに安堵した。
「あ、明日何時に出ますか?」
「六時」
「はや! シャワー含めて五時半起きで間に合いますか?」
「うん」
その返事は信用できないので、最低でも三十分はだらだらすることを想定し、カイは五時にアラームをセットした。
「そういえば」
ベッドサイドにスマートフォンを置くと思い出したように真が言った。
「お前今日、なんで急に部屋に戻る気になったんだ?」
確かに今日、カイは女とホテルに行き、シャワーの途中で部屋に戻った。それがあったからカイは女の不審な行動に気づき、大事に至る前に対処することができた。
「それは……部屋に貴重品を置きっぱなしだったので」
「貴重品って?」
真は鋭く尋ねてくる。こちらに背を向けているため表情は見えないが、唐突に再開された尋問にカイは鼓動が速くなるのを感じた。
「さ、財布とか……」
「大して入ってねーだろ」
「それはそうなんですけど……」
沈黙の重さと自分の小さな意地を天秤にかけ、カイの気持ちは簡単に前者に傾いた。
「シンさんに……貰った物だったから」
数年前、真が気まぐれに買ってくれた財布は今でもカイの大切な物の一つだ。これまで仕事も住む場所も国さえも転々としていたから、持ち物への執着はほぼないが、唯一、真から貰ったものだけは、その時の記憶と共にいつまでも大事にしたいと思った。
暗闇の中で小さく、真がため息をつく音が聞こえた。
「馬鹿だな、お前」
今まで何度も言われてきた言葉だ。呆れたような口調で、突き放される瞬間、彼との間にあるわずかな距離が、カイはたまらなく怖い。
しかし、少しの沈黙の後、振り向いた真は微笑んでいた。
「そんなの、またいつでも買ってやるから、お前はもっと他に大事なものを見つけろよ」
そっと頭をなでられ、カイはたまらず彼を抱きしめた。
「なんだよ!」
嫌そうに身を捩られても、カイは腕に込めた力を緩めなかった。
「シンさん、俺、シンさんのこと大事だよ。他の何よりも」
「だから、そういうとこが馬鹿だって……」
「いいんです。好きだから」
呆れたように微笑む彼に愛おしさが込み上げてきて、カイはたまらず唇を重ねた。こんな日が、この瞬間がずっと続けばいいのに。それが叶わないことを知っているから、今だけは、都合の良い夢を見ていたい。
「おやすみ、シンさん」
額にキスをして、カイは瞳を閉じた。
無茶苦茶な制限を設けられ、カイはやや性急に事に及んだ。中に入れた指はやたらとすんなり飲み込まれ、少し馴染ませただけでもう二本目を入れられそうだった。
「ここ、もしかして自分で弄りました?」
ローションを追加して抜き差ししながら尋ねると、内側が少し締まる。
「そろそろお前とするかと思って」
「え、ほんとに?」
「うん……ちょっと触ったら我慢できなくて、最近こっちでオナニーしてた」
「なっ……」
あまりの告白に顔が火照る。その反応を楽しむような真の余裕さに腹が立つ。
「今度やってもらいますよ」
「今度でいいのか?」
「……からかってるでしょ」
「嘘だよ。早く入れて」
「もーどうしたんすか? 今日めっちゃエロいじゃん……」
増やした指で性急に粘膜を広げる。大したことはしてないのに、内側を擦るだけで真は気持ちよさそうな声を漏らす。
「んっ、そこっ……」
「ここ気持ちいい? 擦ってあげようか」
頷く真の欲しがる通りにしてやると、立ち上がった性器から精子が漏れる。
「ちょっといっちゃった?」
「あ、あ……」
「そんなに締めないでよ。あーもう、入れていい? 我慢できない」
「だから、早くって……」
最後まで言わせない内に中に押し入り、真の唇を塞ぐ。入れた瞬間に射精してしまった性器を擦りながら腰を打ち付ける。
「ぁっ、まっ、いま、さわっ、な……」
過敏に反応する彼の体を蹂躙しながら、手中に収まった性器を嬲る。
「ぅあっ、あ、あ」
「やらし、もう一回いっちゃう?」
頷く真の喉に唇を寄せ、腰を打ち付ける。ネクタイをしたら隠れるくらいの位置に噛み付くと、内側がぎゅうぎゅうと締め付けてくる。
「カイっ、跡つけんなっ……」
「そう言うわりに気持ちよさそうだけど? 見えないとこなら良いでしょ?」
「駄目、見られ……っ」
「見られる事があるわけ? 見えるとこにも付けとこうかな」
逸された首筋をややきつく吸い上げる。抵抗する彼を押さえつけて、その反応と裏腹に媚びてくる穴を深くまで犯す。
「はー……っ、なんか今日、すごい奥まで入りますね」
「気っ、のせいだろ……」
「そんな事ないですよ?」
薄い腹を押さえるようにすると真が体を強張らせる。
「そ、んなっ……でかくなっ……」
「うわ、そういうこと言っちゃうんだ」
カイは真の片脚を抱え上げ、より深い所に押し入りながら、真の気持ちの良い場所を責めた。
「あ、ぁー……っ」
泣きそうに顔を歪めた真が瞳を閉じる。どちらかと言うと普段はきつめの目元が緩み、眉も下がっている。
「ほら、気持ちいいでしょ? 俺のちんぽ」
「ぁっ、あ、あ」
「喘いでないで答えてよ。気持ちいい?」
「いっ、いいからっ……」
「どこがいいの?」
腰の動きは止めずにシャツをめくって胸に触れる。片方は指で、もう片方は舌で刺激すると纏わりつく粘膜が一層密着するのがわかる。
「もしかしておっぱい? ここ触ると中がぎゅっとなるね」
「あ、ぁっ……だめ、気持ち……」
「どっちだよ」
硬くなった乳首を摘んで擦りながら真が射精するのを見届ける。張り詰めた性器の先端から精子を溢れさせる様は男の射精にしてはいやらしく、カイは喉を鳴らしながら思い切り腰を叩きつけた。
「あっ」
目を見開いた真に顔を寄せて、上気した唇を貪りつつ彼の深い所に射精する。中に出したことを怒られるかとも思ったが、その瞬間も身震いして感じてい様子から杞憂だと知る。そればかりか、彼の穴はカイの性器をしゃぶり尽くすように蠢き、抜こうとしても吸い付いてきて離れない。
「エロすぎでしょあんた……」
しばしゆっくりと余韻を楽しんで、体を離すと真の穴から精子が溢れてくる。ベッドを汚す前にとカイはティッシュに手を伸ばした。
「動いちゃ駄目ですよ」
真の脚の間を拭うとくすぐったいのか時折身を震わせる反応が可愛くて、ついつい悪のりして指を突っ込んだら嫌がられなかったので、カイは更に調子にのって柔らかくなった彼の粘膜を女の性器にするように愛撫した。
「な、んでまたっ……」
「気持ちよさそうにしてるから。良くない? これ」
「ぁっ、あ」
「ひくひくしてる……もっかいしていい?」
きいておきながら返事は待たず、文句を言われないよう唇はキスで塞ぎながらカイは再び彼の体を貪った。
「平気ですか? 何かいります?」
「水……」
ベッドでぐったりしている真の要求に応えるべく、カイは寝室を出てキッチンに向かった。買い置きの水を持って戻ると、ベッドに身を起こした真が煙草に火をつけていた。
「窓開けますよ」
後で煙草臭いと文句を言われないようベッドの側の小窓を開く。咥え煙草でペットボトルを受け取った真は、手に力が入らないのか、なかなか蓋を開けられない手のひら不思議そうな顔で見つめていた。
「貸してください」
カイは真の代わりに蓋を開け、それを彼の手に戻した。
「ありがと」
英語で短く礼を言った真がボトルに口をつける。
それからなんとなく会話もなく、ぼんやりと真の煙草が短くなるのを待つ。やがて彼が煙草を消したのを見計らって、カイは開けていた窓を閉めた。
並んでベッドに横になり、部屋の明かりを消す。
「シンさん服着なくていいの? 風邪ひくよ?」
「いらない。今暑いし。あとシーツ冷たいし」
確かにシーツは濡れている。その理由を反芻してカイは一人赤面し、部屋の暗さに安堵した。
「あ、明日何時に出ますか?」
「六時」
「はや! シャワー含めて五時半起きで間に合いますか?」
「うん」
その返事は信用できないので、最低でも三十分はだらだらすることを想定し、カイは五時にアラームをセットした。
「そういえば」
ベッドサイドにスマートフォンを置くと思い出したように真が言った。
「お前今日、なんで急に部屋に戻る気になったんだ?」
確かに今日、カイは女とホテルに行き、シャワーの途中で部屋に戻った。それがあったからカイは女の不審な行動に気づき、大事に至る前に対処することができた。
「それは……部屋に貴重品を置きっぱなしだったので」
「貴重品って?」
真は鋭く尋ねてくる。こちらに背を向けているため表情は見えないが、唐突に再開された尋問にカイは鼓動が速くなるのを感じた。
「さ、財布とか……」
「大して入ってねーだろ」
「それはそうなんですけど……」
沈黙の重さと自分の小さな意地を天秤にかけ、カイの気持ちは簡単に前者に傾いた。
「シンさんに……貰った物だったから」
数年前、真が気まぐれに買ってくれた財布は今でもカイの大切な物の一つだ。これまで仕事も住む場所も国さえも転々としていたから、持ち物への執着はほぼないが、唯一、真から貰ったものだけは、その時の記憶と共にいつまでも大事にしたいと思った。
暗闇の中で小さく、真がため息をつく音が聞こえた。
「馬鹿だな、お前」
今まで何度も言われてきた言葉だ。呆れたような口調で、突き放される瞬間、彼との間にあるわずかな距離が、カイはたまらなく怖い。
しかし、少しの沈黙の後、振り向いた真は微笑んでいた。
「そんなの、またいつでも買ってやるから、お前はもっと他に大事なものを見つけろよ」
そっと頭をなでられ、カイはたまらず彼を抱きしめた。
「なんだよ!」
嫌そうに身を捩られても、カイは腕に込めた力を緩めなかった。
「シンさん、俺、シンさんのこと大事だよ。他の何よりも」
「だから、そういうとこが馬鹿だって……」
「いいんです。好きだから」
呆れたように微笑む彼に愛おしさが込み上げてきて、カイはたまらず唇を重ねた。こんな日が、この瞬間がずっと続けばいいのに。それが叶わないことを知っているから、今だけは、都合の良い夢を見ていたい。
「おやすみ、シンさん」
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