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短編
カイと真*
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カイがシャワーを終えて部屋に戻ると真がソファの上でうたた寝をしていた。
「シンさーん、こんなとこで寝ると風邪ひきますよー」
タオルで頭を拭きながら近づくと真の薄い瞼がわずかに持ち上がる。
「起きました?」
「うん……」
小さく頷いた真は再び目を閉じる。先にシャワーを浴びた彼の肩にはタオルがかかっていて、髪の先から雫が滴っていた。
「あーもう、髪も乾かさないで……」
半袖に短パンという軽装で、真はソファに座ったまま頭を揺らしている。
「シンさん」
呼びかけても肩に触れても反応しない。いつもは警戒心が強くて容易に人を近づけさせないのに、彼はときどき驚くほど無防備だ。安心されているのか、なめられているのか、はたまた試されているのか。色々な可能性を考えて、やめた。
別の部屋からドライヤーを持ってきて、真の髪を乾かす。細い髪に差し入れた指が地肌に触れるたび、胸のあたりが疼くのを感じた。
「シンさん分け目どこですか?」
無駄だとわかっていてもとりあえず尋ねてみる。彼はわりと頻繁に髪型を変えるため、翌日のそれに合わせて分け目を調整しているようだった。それもここ数日、彼の部屋に居候させてもらって知り得た情報だ。
「真ん中でいいかな……」
これで明日、彼が前髪をセンターで分ける気分でなければ怒られるだろうなと思いながら、ついつい自分の一番好きな髪型に寄せてしまう。
「よし、終わり!」
最後に冷風をあてて美しい髪の艶に満足し、カイはドライヤーを切った。我ながら丁寧な仕事だった。
彼の髪を乾かすのにかけた三分の一ほどの時間で自分の髪も乾かし、ドライヤーを戻すついで保湿用のアイテムをいくつか見繕って戻る。
小さな丸い容器に入ったバームタイプの物は唇に、オイルは髪の毛先になじませる。艶の乗った薄い唇は甘い香りがして、カイは引き寄せられるように顔を寄せた。直前で思いとどまって、それでも我慢できずに唇を重ねる。
「シンさん……」
柔らかな感触に心臓を鷲掴みにされたような気がした。はやる胸を押さえて優しく、何度も口づける。
やがて重心の安定しない真の体がソファに倒れた。カイは静かに寝息を立てる彼に覆いかぶさり、先ほどせっかく保湿した唇の潤いがなくなるのも構わず、夢中でそこを貪った。
真はまだ起きる気配がない。そればかりか濡れた唇は薄く開かれて、カイは誘われているのかな? と都合のよい思考を展開した。
以前彼に手を出して酷い目にあった記憶はまだ新しい。それでも目の前で無防備に晒された体に待てが出来るほど、カイは躾けられてはいなかった。
唇の隙間から舌を入れてみる。当然ながら反応はないので、狭い口内を勝手に舐めたり、舌を触れ合わせたりする。息苦しさでか、真の眉が少しだけ寄った。慌てて唇を離して様子を伺うも、瞼が開くことはなかった。
長い脚を持ち上げてソファに乗せ、その間に座り込む。
胸に手を置くと薄いシャツ越しの体温と規則正しい鼓動が伝わってきた。恐る恐る手を動かして引き締まった体をなでる。
彼に触れるのは初めてじゃないのに、胸がどきどきして落ち着かない。
乳首のあたりに触れると柔らかいそこが少しずつ芯を持つのがわかる。感触の変わった小さな突起をなでて、爪で優しく刺激する。
「ん……」
真が小さく声を漏らした。見ると彼のそこはわずかにシャツを押し上げていて、カイはごくりと唾を飲み込んだ。シャツをめくりあげ、白い肌に色づく乳首に手を伸ばす。
色素の薄いそこは少し赤くなっている。むしゃぶりつきたくなるのをどうにかこらえて突起の周りをなぞり、じらすように側面を優しくなでる。
ますます硬くなったところを指の腹で上下に刺激し、そっと摘んで指先に力を込めてみる。中の芯を感じるように指先を擦り合わせると真の体が小さく揺れた。立てた膝が震え、カイの体を挟むように太ももが擦り付けられる。
「えろすぎだろ……」
形がはっきりしてしまった乳首にたまらず舌を這わせる。片方は強めにつまんで先端をなで、反対側は何度もなめて、吸い上げる。強い刺激で赤くなった突起を優しく舌先で慰めたり、軽く引っ掻いたりする。
「ん、んっ……」
だんだん真の声がはっきりしてきた。さすがに起きるだろうか。でもやめる気は全然なくて、というか今更やめられない。舌先に伝わる乳首の弾力や、指先のほんの少しの摩擦でたまらなさげに身を捩る真の様子にカイの股間はすっかり熱を持っていた。
下着を押し上げるそこを、大きく開かせた真の脚の間に擦り付ける。真のハーフパンツの裾から手を入れて、薄い尻の肉を左右に広げるように動かす。服を着ていても、真の穴が充血し、ひくついているのがわかるような気がする。
自分の妄想で鼻血を出しかけたカイは真の尻の感触を楽しみながら、腰を押し付けて自慰に耽った。すべすべの太ももや尻をなで、揉んで、開かせたアナル目掛けて性器を擦り付ける。
「はぁっ、シンさん……っ」
出来るだけ声は抑えて、それでも腰を動かすのをやめられない。
真のハーフパンツの前もだいぶ苦しそうで、裾から突っ込んだ手で触れてみると下着が濡れていた。手触りのいい下着が纏わりつくペニスを、硬さを確かめるようにさすってみる。
「やらし……バキバキじゃん……」
勃起したそこをなでて、先端の滑りを広げるように扱く。肝心なところは見えないのに、なんだかそれが却ってエロい。
新しい性癖に目覚めそうだと思いながら、カイは真に覆い被さった。眠ったままの真は顔を横に向け、時折唇を震わせて小さく声を漏らしている。先ほどまで血の気を失ったように白かった肌はうっすらと赤みを帯び、乳首も充血している。
張り詰めた乳首を口に含みながら腰を動かす。真に体重をかけすぎないよう慎重に、でも彼も気持ちよくなれるくらいの力で性器を擦り合わせる。
既に下着はどろどろで、ハーフパンツにも染み出してしまいそうだった。後で洗濯しないととか、汚したら真に怒られそうだとか、そんなことどうでもよくなるくらい気持ちがいい。
「いきそ……シンさっ……」
腰を一心に動かしながらキスをする。震えるほどの快感に涙が滲み、指先まで気持ちいい感覚が駆け抜けていく。
「ん、いくっ……」
いつもよりゆっくりとした、それでいて重たい射精に体が強張る。跳ねる腰を押しつけて、最後まで出し切ってからゆっくり起き上がる。
真はとうとう目を覚さなかった。わずかに眉を寄せたまま、時折もどかし気に頭を揺らしている。それでも眠り続ける真にもう一度だけキスをする。触れ合わせた唇を離すとなぜか目頭が熱くなった。
先ほどは気持ちが良すぎて涙が出たが、今はそれとは違う、漠然とした悲しさや後ろめたさがカイの中で渦巻いていた。
「ごめんなさい……」
何に対しての謝罪なのか、自分でもよくわからない。真をおかずにオナニーしたこと? 我慢できずにあちこち触ってしまったこと?
考えても仕方がないことは考えない。
カイは自分に言い聞かせ、鼻をすすりながら真の乱れた衣服を直した。
翌日、カイが目を覚ますと真の姿は既になく、昨夜カイが彼にかけたタオルケットが、一人用のソファで小さくなって眠っていたカイの体を覆っていた。
昨日は真がソファを占領していたから、普段あそこを寝床にしていたカイは寝る場所がなかった。幸いカイの体はそれ程大きくないのでこの狭いソファでも一晩くらいは問題ないが、それでも床に足を下すと関節が鈍く痛んだ。
てっきり怒られると思ったのに、真は昨夜、本当に目を覚まさなかったのだろうか。
朝日の差し込むリビングはいつもより広く、寂しく見えた。
「シンさーん、こんなとこで寝ると風邪ひきますよー」
タオルで頭を拭きながら近づくと真の薄い瞼がわずかに持ち上がる。
「起きました?」
「うん……」
小さく頷いた真は再び目を閉じる。先にシャワーを浴びた彼の肩にはタオルがかかっていて、髪の先から雫が滴っていた。
「あーもう、髪も乾かさないで……」
半袖に短パンという軽装で、真はソファに座ったまま頭を揺らしている。
「シンさん」
呼びかけても肩に触れても反応しない。いつもは警戒心が強くて容易に人を近づけさせないのに、彼はときどき驚くほど無防備だ。安心されているのか、なめられているのか、はたまた試されているのか。色々な可能性を考えて、やめた。
別の部屋からドライヤーを持ってきて、真の髪を乾かす。細い髪に差し入れた指が地肌に触れるたび、胸のあたりが疼くのを感じた。
「シンさん分け目どこですか?」
無駄だとわかっていてもとりあえず尋ねてみる。彼はわりと頻繁に髪型を変えるため、翌日のそれに合わせて分け目を調整しているようだった。それもここ数日、彼の部屋に居候させてもらって知り得た情報だ。
「真ん中でいいかな……」
これで明日、彼が前髪をセンターで分ける気分でなければ怒られるだろうなと思いながら、ついつい自分の一番好きな髪型に寄せてしまう。
「よし、終わり!」
最後に冷風をあてて美しい髪の艶に満足し、カイはドライヤーを切った。我ながら丁寧な仕事だった。
彼の髪を乾かすのにかけた三分の一ほどの時間で自分の髪も乾かし、ドライヤーを戻すついで保湿用のアイテムをいくつか見繕って戻る。
小さな丸い容器に入ったバームタイプの物は唇に、オイルは髪の毛先になじませる。艶の乗った薄い唇は甘い香りがして、カイは引き寄せられるように顔を寄せた。直前で思いとどまって、それでも我慢できずに唇を重ねる。
「シンさん……」
柔らかな感触に心臓を鷲掴みにされたような気がした。はやる胸を押さえて優しく、何度も口づける。
やがて重心の安定しない真の体がソファに倒れた。カイは静かに寝息を立てる彼に覆いかぶさり、先ほどせっかく保湿した唇の潤いがなくなるのも構わず、夢中でそこを貪った。
真はまだ起きる気配がない。そればかりか濡れた唇は薄く開かれて、カイは誘われているのかな? と都合のよい思考を展開した。
以前彼に手を出して酷い目にあった記憶はまだ新しい。それでも目の前で無防備に晒された体に待てが出来るほど、カイは躾けられてはいなかった。
唇の隙間から舌を入れてみる。当然ながら反応はないので、狭い口内を勝手に舐めたり、舌を触れ合わせたりする。息苦しさでか、真の眉が少しだけ寄った。慌てて唇を離して様子を伺うも、瞼が開くことはなかった。
長い脚を持ち上げてソファに乗せ、その間に座り込む。
胸に手を置くと薄いシャツ越しの体温と規則正しい鼓動が伝わってきた。恐る恐る手を動かして引き締まった体をなでる。
彼に触れるのは初めてじゃないのに、胸がどきどきして落ち着かない。
乳首のあたりに触れると柔らかいそこが少しずつ芯を持つのがわかる。感触の変わった小さな突起をなでて、爪で優しく刺激する。
「ん……」
真が小さく声を漏らした。見ると彼のそこはわずかにシャツを押し上げていて、カイはごくりと唾を飲み込んだ。シャツをめくりあげ、白い肌に色づく乳首に手を伸ばす。
色素の薄いそこは少し赤くなっている。むしゃぶりつきたくなるのをどうにかこらえて突起の周りをなぞり、じらすように側面を優しくなでる。
ますます硬くなったところを指の腹で上下に刺激し、そっと摘んで指先に力を込めてみる。中の芯を感じるように指先を擦り合わせると真の体が小さく揺れた。立てた膝が震え、カイの体を挟むように太ももが擦り付けられる。
「えろすぎだろ……」
形がはっきりしてしまった乳首にたまらず舌を這わせる。片方は強めにつまんで先端をなで、反対側は何度もなめて、吸い上げる。強い刺激で赤くなった突起を優しく舌先で慰めたり、軽く引っ掻いたりする。
「ん、んっ……」
だんだん真の声がはっきりしてきた。さすがに起きるだろうか。でもやめる気は全然なくて、というか今更やめられない。舌先に伝わる乳首の弾力や、指先のほんの少しの摩擦でたまらなさげに身を捩る真の様子にカイの股間はすっかり熱を持っていた。
下着を押し上げるそこを、大きく開かせた真の脚の間に擦り付ける。真のハーフパンツの裾から手を入れて、薄い尻の肉を左右に広げるように動かす。服を着ていても、真の穴が充血し、ひくついているのがわかるような気がする。
自分の妄想で鼻血を出しかけたカイは真の尻の感触を楽しみながら、腰を押し付けて自慰に耽った。すべすべの太ももや尻をなで、揉んで、開かせたアナル目掛けて性器を擦り付ける。
「はぁっ、シンさん……っ」
出来るだけ声は抑えて、それでも腰を動かすのをやめられない。
真のハーフパンツの前もだいぶ苦しそうで、裾から突っ込んだ手で触れてみると下着が濡れていた。手触りのいい下着が纏わりつくペニスを、硬さを確かめるようにさすってみる。
「やらし……バキバキじゃん……」
勃起したそこをなでて、先端の滑りを広げるように扱く。肝心なところは見えないのに、なんだかそれが却ってエロい。
新しい性癖に目覚めそうだと思いながら、カイは真に覆い被さった。眠ったままの真は顔を横に向け、時折唇を震わせて小さく声を漏らしている。先ほどまで血の気を失ったように白かった肌はうっすらと赤みを帯び、乳首も充血している。
張り詰めた乳首を口に含みながら腰を動かす。真に体重をかけすぎないよう慎重に、でも彼も気持ちよくなれるくらいの力で性器を擦り合わせる。
既に下着はどろどろで、ハーフパンツにも染み出してしまいそうだった。後で洗濯しないととか、汚したら真に怒られそうだとか、そんなことどうでもよくなるくらい気持ちがいい。
「いきそ……シンさっ……」
腰を一心に動かしながらキスをする。震えるほどの快感に涙が滲み、指先まで気持ちいい感覚が駆け抜けていく。
「ん、いくっ……」
いつもよりゆっくりとした、それでいて重たい射精に体が強張る。跳ねる腰を押しつけて、最後まで出し切ってからゆっくり起き上がる。
真はとうとう目を覚さなかった。わずかに眉を寄せたまま、時折もどかし気に頭を揺らしている。それでも眠り続ける真にもう一度だけキスをする。触れ合わせた唇を離すとなぜか目頭が熱くなった。
先ほどは気持ちが良すぎて涙が出たが、今はそれとは違う、漠然とした悲しさや後ろめたさがカイの中で渦巻いていた。
「ごめんなさい……」
何に対しての謝罪なのか、自分でもよくわからない。真をおかずにオナニーしたこと? 我慢できずにあちこち触ってしまったこと?
考えても仕方がないことは考えない。
カイは自分に言い聞かせ、鼻をすすりながら真の乱れた衣服を直した。
翌日、カイが目を覚ますと真の姿は既になく、昨夜カイが彼にかけたタオルケットが、一人用のソファで小さくなって眠っていたカイの体を覆っていた。
昨日は真がソファを占領していたから、普段あそこを寝床にしていたカイは寝る場所がなかった。幸いカイの体はそれ程大きくないのでこの狭いソファでも一晩くらいは問題ないが、それでも床に足を下すと関節が鈍く痛んだ。
てっきり怒られると思ったのに、真は昨夜、本当に目を覚まさなかったのだろうか。
朝日の差し込むリビングはいつもより広く、寂しく見えた。
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