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短編
#03*
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結論から言うと、俺が音を上げるまでにそれほど時間はかからなかった。
兵藤の指が突っ込まれた場所を、なでられたり押されたりするだけで、俺は射精寸前まで追い詰められていた。
「ぅ、んっ……はぁっ……」
「リンくんすごい、えっちな顔してる……」
そう言うヒナも大概だ。頬を赤くして、なぜか彼女のほうが泣きそうな顔をしている。
「耐えるねぇ、リン。我慢しないでいっていいんだよ? 出来ればだけど」
「もう、かわいそうだから意地悪やめなよ。リンくん、またヒナがなめてあげようか?」
優しいヒナの言葉が先ほどの口淫を彷彿とさせ、俺は両目をつぶって身じろいだ。
「うわ、先走りだらだら。想像だけでいけるんじゃないの?」
兵藤が嘲るように笑う。そんなことも気にならないくらい、俺の頭はぐちゃぐちゃに溶けていた。
「ねぇ、ほんとにしちゃだめ?」
「だめ。暇なら他のとこ触ってあげれば?」
「そうだね」
ヒナの指が俺の頬や首筋をなでる。
「リンくん、唇が赤くなっちゃってる。たくさんキスしたからかな?」
ふっくらとしたヒナのそこが寄せられて、俺はたまらず彼女にキスをした。
「んっ……」
積極的に舌を絡ませながら、ヒナは俺の脚に手を伸ばす。太腿の内側をなでられるとそれだけで性器が濡れるのがわかった。そればかりか体内に入れられた兵藤の指も締め付けてしまう。触って欲しい。衝動はヒナの柔らかい唇を貪ることでどうにかやり過ごす。
「リンくん、キスじょうずだね」
濡れた唇でヒナが囁く。こんな状況で褒められても嬉しくないし、彼女が乳首までいじり始めるものだから、俺はソファの上で身を強張らせるしかなかった。
「ぁ、あっ……」
きれいにネイルの施された指先で先端を優しくなでられ、兵藤の指も粘膜をこすりながら出し入れされる。内側の気持ちのいい場所に押し付けたまま、少しずつ動きを速くされるともう駄目だった。
射精しそうなくらい気持ちがいいのに、その瞬間はいつまでもやってこない。いけそうでいけない感覚がずっと続いて、俺は泣きそうになった。
強請りそうになる唇を引き結んで耐える。その様子を兵藤は笑って見ている。
「もう諦めればいいのに」
やがて指が抜かれた。どれくらい弄られていたのか、何本くらい入れられていたのかわからないそこを、兵藤が広げて覗き込む。
「はは、すごいよ。真っ赤になってる。やらし」
「黙れよ……」
「リンくんつるつるだから余計えっちだね。脱毛してるの?」
女の子にそんなことを指摘されるのはさすがに恥ずかしい。黙り込む俺のかわりに、兵藤が余計なことを言った。
「俺の知り合いの店のモニターをリンにお願いしてたんだよね。そしたら全部なくなっちゃったんだって。うけるよね」
「えーかわいそう……」
笑っている兵藤を殴りたい。ヒナも哀れまないでほしい。死にたくなる。
「さてと」
兵藤は俺の脚を押さえると、広げられた箇所に性器を押し付けてきた。
「なっ……」
驚く俺に覆いかぶさり、兵藤が笑う。
「こうなることはわかってたでしょ?」
ぬるつく穴の上を、兵藤の性器が滑る。
「や、やめっ……」
「今さら? てかやめていいの? 指でもあんなに気持ちよさそうだったのに、ここに入れてガンガン擦られたらどうなると思う?」
想像して身震いする。きっと気持ちがいい。何度も寸止めされてもう限界に近い。
「だめだっ……」
強請りそうになるのをどうにか堪えて兵藤を押し返す。
「だから今さら」
「やめろって言ってんだよ!」
再び押さえつけられ、半ば無理やり挿入される前に、俺は兵藤を蹴り飛ばした。
「いった……」
腹を押さえる兵藤を無視してどうにか身を起こし、服を着る。
「そんな状態で帰れるの?」
伸ばされた兵藤の手を叩き落とし、上着を掴む。まだ頭はぼんやりしているが、体はだいぶ動くようになった。
「リンくん帰っちゃうの?」
見上げてくるヒナと目が合う。彼女にだけは謝らなければならないと思った。
「ごめんね、ヒナちゃん」
「ううん、ヒナ楽しかったよ。またしようねー」
相変わらずふわふわと笑う彼女に返事はせず、俺は部屋を出た。
外は雨が降っていた。寒さはなく、むしろ火照った肌にその冷たさは心地よかった。
始発を待って電車で帰ろうかとも思ったが、その時間も惜しく、俺はタクシーに乗り込んだ。
酩酊や体調不良を疑う運転手を適当に誤魔化して、車窓に凭れて目を閉じる。
いっとき治まったかに思えた熱は、再び全身に広がり始めていた。何もしていなくても肌が粟立ち、思わず小さく舌を打つ。
真は家にいるだろうか。以前に比べ、最近はちゃんと帰ってくることが多くなった。顔を合わせたくないと思う反面、同じくらい会いたいと思った。
兵藤の指が突っ込まれた場所を、なでられたり押されたりするだけで、俺は射精寸前まで追い詰められていた。
「ぅ、んっ……はぁっ……」
「リンくんすごい、えっちな顔してる……」
そう言うヒナも大概だ。頬を赤くして、なぜか彼女のほうが泣きそうな顔をしている。
「耐えるねぇ、リン。我慢しないでいっていいんだよ? 出来ればだけど」
「もう、かわいそうだから意地悪やめなよ。リンくん、またヒナがなめてあげようか?」
優しいヒナの言葉が先ほどの口淫を彷彿とさせ、俺は両目をつぶって身じろいだ。
「うわ、先走りだらだら。想像だけでいけるんじゃないの?」
兵藤が嘲るように笑う。そんなことも気にならないくらい、俺の頭はぐちゃぐちゃに溶けていた。
「ねぇ、ほんとにしちゃだめ?」
「だめ。暇なら他のとこ触ってあげれば?」
「そうだね」
ヒナの指が俺の頬や首筋をなでる。
「リンくん、唇が赤くなっちゃってる。たくさんキスしたからかな?」
ふっくらとしたヒナのそこが寄せられて、俺はたまらず彼女にキスをした。
「んっ……」
積極的に舌を絡ませながら、ヒナは俺の脚に手を伸ばす。太腿の内側をなでられるとそれだけで性器が濡れるのがわかった。そればかりか体内に入れられた兵藤の指も締め付けてしまう。触って欲しい。衝動はヒナの柔らかい唇を貪ることでどうにかやり過ごす。
「リンくん、キスじょうずだね」
濡れた唇でヒナが囁く。こんな状況で褒められても嬉しくないし、彼女が乳首までいじり始めるものだから、俺はソファの上で身を強張らせるしかなかった。
「ぁ、あっ……」
きれいにネイルの施された指先で先端を優しくなでられ、兵藤の指も粘膜をこすりながら出し入れされる。内側の気持ちのいい場所に押し付けたまま、少しずつ動きを速くされるともう駄目だった。
射精しそうなくらい気持ちがいいのに、その瞬間はいつまでもやってこない。いけそうでいけない感覚がずっと続いて、俺は泣きそうになった。
強請りそうになる唇を引き結んで耐える。その様子を兵藤は笑って見ている。
「もう諦めればいいのに」
やがて指が抜かれた。どれくらい弄られていたのか、何本くらい入れられていたのかわからないそこを、兵藤が広げて覗き込む。
「はは、すごいよ。真っ赤になってる。やらし」
「黙れよ……」
「リンくんつるつるだから余計えっちだね。脱毛してるの?」
女の子にそんなことを指摘されるのはさすがに恥ずかしい。黙り込む俺のかわりに、兵藤が余計なことを言った。
「俺の知り合いの店のモニターをリンにお願いしてたんだよね。そしたら全部なくなっちゃったんだって。うけるよね」
「えーかわいそう……」
笑っている兵藤を殴りたい。ヒナも哀れまないでほしい。死にたくなる。
「さてと」
兵藤は俺の脚を押さえると、広げられた箇所に性器を押し付けてきた。
「なっ……」
驚く俺に覆いかぶさり、兵藤が笑う。
「こうなることはわかってたでしょ?」
ぬるつく穴の上を、兵藤の性器が滑る。
「や、やめっ……」
「今さら? てかやめていいの? 指でもあんなに気持ちよさそうだったのに、ここに入れてガンガン擦られたらどうなると思う?」
想像して身震いする。きっと気持ちがいい。何度も寸止めされてもう限界に近い。
「だめだっ……」
強請りそうになるのをどうにか堪えて兵藤を押し返す。
「だから今さら」
「やめろって言ってんだよ!」
再び押さえつけられ、半ば無理やり挿入される前に、俺は兵藤を蹴り飛ばした。
「いった……」
腹を押さえる兵藤を無視してどうにか身を起こし、服を着る。
「そんな状態で帰れるの?」
伸ばされた兵藤の手を叩き落とし、上着を掴む。まだ頭はぼんやりしているが、体はだいぶ動くようになった。
「リンくん帰っちゃうの?」
見上げてくるヒナと目が合う。彼女にだけは謝らなければならないと思った。
「ごめんね、ヒナちゃん」
「ううん、ヒナ楽しかったよ。またしようねー」
相変わらずふわふわと笑う彼女に返事はせず、俺は部屋を出た。
外は雨が降っていた。寒さはなく、むしろ火照った肌にその冷たさは心地よかった。
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