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短編
#02*
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「もうお風呂入ったの?」
上着だけ脱いで隣に寝ると、身を寄せてきたユーリが言った。
「ええ、ここに来る前に、シャワーを……」
「だから良いにおいがするんだ」
顔を近づけたユーリが微笑む。
「歯も磨いたの?」
「食事しましたから」
そんなことまでわかるのかと思っていると、顎を掴まれた。
「口、開けて」
「ボス……」
止める間もなく唇が重ねられた。恋人同士が愛情を確かめ合うための柔らかな触れ合いではない。いきなり舌を挿入され、真は体を強張らせた。ユーリの肩を掴んだ手を取られ、上になった彼に更に深く口付けられる。
酔っ払いの戯れにしては度が過ぎている。酔いがさめた時、この人が自己嫌悪に陥ることだけは避けなければ。
ユーリの口の中は甘い味がした。そのせいか、まったく嫌ではない。そんな自分にあせる。
口の端から唾液が伝う頃、ユーリはようやく体を離した。
「大丈夫?」
真は顔を背けた。部屋の照明は消されている。ついているのはベッドのそばのライトだけだ。そんな心許ない明かりの下でも、自分の顔が赤いことを隠せないと思った。
「真っ赤だよ。熱いし」
片手は未だ捕らえられたままで、ユーリは真の目元や頬に口付ける。彼の唇が触れるたび、背筋が痺れるのを感じる。
「ボス、どいてください……」
「嫌なら突き飛ばせば? 君なら簡単だろ?」
確かに、力任せにユーリを振り払うのは簡単だ。でも、そんなこと、できるはずがない。
「俺が好きなの?」
瞳を覗き込まれ、目を逸らした。否定のつもりではなく、今の、こんなに欲にまみれた状態でそれを告げてはならないと思った。
「言ってくれないんだ。まぁいいけど」
ユーリが体を起こす。腕も解放され、真は安堵した。しかし、脚の間に座り込んだユーリが股間を触り、飛び起きた。
「なっ、何してるんですか!」
「君が素直じゃないから、色々試してみようと思って」
ユーリは手際よく真のベルトを外し、スラックスに手をかける。
「いや、さすがにこれはっ、ボス!」
脱がされかけて慌てて手を伸ばす。
「動くな」
短く命じられ、真は静止した。
「そう、いい子だね」
満足気に微笑んだユーリが真のスラックスを脱がせる。
「ボス……」
どうすればいいかわからない。ユーリに逆らうことはできない。でもこれは、さすがにまずい。やり過ぎだ。
「なんだ、ちょっとたってるじゃない」
嬉しそうに下着ごしに反応したそこを掴まれ、真はまた顔が熱くなるのを感じた。やがて下着も取り払われた。もう困惑と羞恥で彼の顔が見られない。
「もっと脚ひらいて」
また無茶な要求をされ、枕に顔を埋めながら、真は言う通りにした。
「君はこんなとこまできれいだね。毛は剃ってるの? 日本じゃ処理しないのが普通だろ?」
「きかないで、ください……」
「すべすべで気持ちいいね」
ユーリの手が性器に触れ、こすり始める。
「あっ」
「手触りがいいとずっと触っていたくなるよね」
恐ろしいことを言いながら手を動かす彼に、真は心臓が破裂するかと思った。ユーリに触れられている。あのユーリに、絶対の忠誠を誓った主に、絶対に晒してはならない場所を性的に刺激されている。
「っぁ、ボス、だめですっ……」
「何がだめだって? こんなに元気なのに」
閉じようとする脚を押さえられ、すっかり硬くなったそこにユーリが顔を近づける。
「や、やめっ」
止める間もなく、ユーリは真の性器をくわえ込んだ。
「ぁ、あっ……」
温かく柔らかい粘膜に包まれる感覚に目眩がする。一気に深くくわえられ、ゆっくり出し入れされるともう思考が追いつかなかった。一体なにをしている、いや、何をされているんだ。こんなこと、あっていいはずがない。彼は自分のボスで、誰よりも尊敬している相手だ。そんな彼が、自分の性器を舐めている。あの小さく可愛らしい口をいっぱいにして、男のそこをしゃぶっている。そんなこと、例え妄想であっても、ましてや現実で許されるはずがない。
「だめ、ボス、やめてくださっ……」
「なんで? 気持ちよくない?」
顔を上げたユーリが髪を耳にかけ、再び性器に舌を這わせる。気持ちよくないなんて、そんなことを言ったら説得力の欠片もないほど、真の性器は張り詰めていた。こんなこと駄目だ、彼にさせてはならない。そう思うのと同時に、敬愛する彼に性的なことをされているという事実がどうしようもなく真を高ぶらせた。
「ねぇ、どう? 俺のフェラチオ、気持ちいい?」
いつも冷静に自分を呼ぶ声で、そんな下品な言葉を使わないでほしい。そう思うのに鼓動の高鳴りが治まらない。
執拗に答えを求めてくる彼に、真は静かに頷いた。一瞬だけ見たユーリは嬉しそうに微笑んで、再びそこに顔を伏せた。手と口、両方使いながら真を追い込んでいく。その様はやけに手慣れていて、真は後ろめたい想像を禁じ得ない。
上着だけ脱いで隣に寝ると、身を寄せてきたユーリが言った。
「ええ、ここに来る前に、シャワーを……」
「だから良いにおいがするんだ」
顔を近づけたユーリが微笑む。
「歯も磨いたの?」
「食事しましたから」
そんなことまでわかるのかと思っていると、顎を掴まれた。
「口、開けて」
「ボス……」
止める間もなく唇が重ねられた。恋人同士が愛情を確かめ合うための柔らかな触れ合いではない。いきなり舌を挿入され、真は体を強張らせた。ユーリの肩を掴んだ手を取られ、上になった彼に更に深く口付けられる。
酔っ払いの戯れにしては度が過ぎている。酔いがさめた時、この人が自己嫌悪に陥ることだけは避けなければ。
ユーリの口の中は甘い味がした。そのせいか、まったく嫌ではない。そんな自分にあせる。
口の端から唾液が伝う頃、ユーリはようやく体を離した。
「大丈夫?」
真は顔を背けた。部屋の照明は消されている。ついているのはベッドのそばのライトだけだ。そんな心許ない明かりの下でも、自分の顔が赤いことを隠せないと思った。
「真っ赤だよ。熱いし」
片手は未だ捕らえられたままで、ユーリは真の目元や頬に口付ける。彼の唇が触れるたび、背筋が痺れるのを感じる。
「ボス、どいてください……」
「嫌なら突き飛ばせば? 君なら簡単だろ?」
確かに、力任せにユーリを振り払うのは簡単だ。でも、そんなこと、できるはずがない。
「俺が好きなの?」
瞳を覗き込まれ、目を逸らした。否定のつもりではなく、今の、こんなに欲にまみれた状態でそれを告げてはならないと思った。
「言ってくれないんだ。まぁいいけど」
ユーリが体を起こす。腕も解放され、真は安堵した。しかし、脚の間に座り込んだユーリが股間を触り、飛び起きた。
「なっ、何してるんですか!」
「君が素直じゃないから、色々試してみようと思って」
ユーリは手際よく真のベルトを外し、スラックスに手をかける。
「いや、さすがにこれはっ、ボス!」
脱がされかけて慌てて手を伸ばす。
「動くな」
短く命じられ、真は静止した。
「そう、いい子だね」
満足気に微笑んだユーリが真のスラックスを脱がせる。
「ボス……」
どうすればいいかわからない。ユーリに逆らうことはできない。でもこれは、さすがにまずい。やり過ぎだ。
「なんだ、ちょっとたってるじゃない」
嬉しそうに下着ごしに反応したそこを掴まれ、真はまた顔が熱くなるのを感じた。やがて下着も取り払われた。もう困惑と羞恥で彼の顔が見られない。
「もっと脚ひらいて」
また無茶な要求をされ、枕に顔を埋めながら、真は言う通りにした。
「君はこんなとこまできれいだね。毛は剃ってるの? 日本じゃ処理しないのが普通だろ?」
「きかないで、ください……」
「すべすべで気持ちいいね」
ユーリの手が性器に触れ、こすり始める。
「あっ」
「手触りがいいとずっと触っていたくなるよね」
恐ろしいことを言いながら手を動かす彼に、真は心臓が破裂するかと思った。ユーリに触れられている。あのユーリに、絶対の忠誠を誓った主に、絶対に晒してはならない場所を性的に刺激されている。
「っぁ、ボス、だめですっ……」
「何がだめだって? こんなに元気なのに」
閉じようとする脚を押さえられ、すっかり硬くなったそこにユーリが顔を近づける。
「や、やめっ」
止める間もなく、ユーリは真の性器をくわえ込んだ。
「ぁ、あっ……」
温かく柔らかい粘膜に包まれる感覚に目眩がする。一気に深くくわえられ、ゆっくり出し入れされるともう思考が追いつかなかった。一体なにをしている、いや、何をされているんだ。こんなこと、あっていいはずがない。彼は自分のボスで、誰よりも尊敬している相手だ。そんな彼が、自分の性器を舐めている。あの小さく可愛らしい口をいっぱいにして、男のそこをしゃぶっている。そんなこと、例え妄想であっても、ましてや現実で許されるはずがない。
「だめ、ボス、やめてくださっ……」
「なんで? 気持ちよくない?」
顔を上げたユーリが髪を耳にかけ、再び性器に舌を這わせる。気持ちよくないなんて、そんなことを言ったら説得力の欠片もないほど、真の性器は張り詰めていた。こんなこと駄目だ、彼にさせてはならない。そう思うのと同時に、敬愛する彼に性的なことをされているという事実がどうしようもなく真を高ぶらせた。
「ねぇ、どう? 俺のフェラチオ、気持ちいい?」
いつも冷静に自分を呼ぶ声で、そんな下品な言葉を使わないでほしい。そう思うのに鼓動の高鳴りが治まらない。
執拗に答えを求めてくる彼に、真は静かに頷いた。一瞬だけ見たユーリは嬉しそうに微笑んで、再びそこに顔を伏せた。手と口、両方使いながら真を追い込んでいく。その様はやけに手慣れていて、真は後ろめたい想像を禁じ得ない。
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