ねむれない蛇

おさない凶器

#05＊

「あぶねー」
　荒い息を吐く真の体をひっくり返す。相変わらず力の入らない真の薄い腰を掴み、ぬかるんだそこに後ろからずっぷりとはめる。
「てめ、何また入れて、ふざけんなっ」
　ひくひくと痙攣しながらカイの性器にまとわりつくような反応に、夢中で腰を叩きつける。
「すげ、あんた絶対犯されるの好きでしょ」
「っ、きじゃな」
「じゃあなんでそんな良さそうなの？　さっきいったばっかなのにもうたってるし」
　勃起した性器に触れると締め付けがきつくなる。
「乳首もびんびんじゃん」
　固くなったそこをつまんで先端をこする。
「あ、ぁっ」
「俺のちんぽ気持ちいい？」
　汗ばんでしっとりとした背中に唇を落とす。返事がないので催促するように弱い場所を責める。
「ちょうしに、のるなっ、くそガキっ……」
「素直じゃないんだから」
　もっと色々いじめてやりたがったが、そろそろカイも限界だった。入れると吸い付くように絡んでくる粘膜が気持ちよすぎて、先ほどから射精したくてたまらなかった。腰骨を掴み直して勢いよく奥まで突き入れる。
「ぃ、あ、ひっ」
　未だ回復してない体で弱々しく抵抗してくる真を押さえつけ、腰を揺さぶる。
「やべ、気持ち……」
　じわじわと先端から精液がもれるのを感じる。ゴムなんてしてないから、このままいったらこの人の中にぶちまける羽目になるが、内側から、この人の全部を汚してやりたかった。
「ひっ、あ、ぁ」
「シンさん、中に出すよ？」
　一応断ると真が振り返った。睨みつけてくる瞳はすぐにとろとろに潤む。それでも文句を言おうと開かれた唇にキスをして、カイは真の中に精液を吐き出した。
「んっ、あ……ふ」
　最後の一滴まで中に注ぐと、真の性器からもそれがあふれていた。
「ぅ……んっ」
　なかなか止まらない快感に真は身を震わせて耐えている。中でいくと気持ちいいのが長いって聞いたことあるけど、そういう状態なんだろうか。
　カイがついぞ経験することのなかった感覚に皮膚を粟立たせる真の白い背中に唇を落として、キスマークをつける。
　やがて落ち着いたらしい真が脱力し、ベッドに身を沈める。
「……け」
　カイも呼吸が落ち着いた頃、下からちょっとかすれた声が聞こえた。
「なに？」
　顔を寄せて聞き返す。
「どけっつってんだよ！」
　真は勢いよく体を反転させ、カイを蹴り飛ばした。
「え、え？」
　床に転がったカイは呆然とした。何が起きたのか理解できなかった。
「覚悟はできてんだろうな」
　冷たい声が近づいてくる。慣れた手つきで銃のスライドを引く彼の顔には、先ほどまでの快楽の余韻など、微塵も残されていなかった。
「じ、銃刀法違反……」
「この国にそんなもんあるかよ」
「いやいやいやだからって、そんな物騒な！」
「てめぇ自分が何したかわかってんのか？」
　頭にぐりぐりと銃口を押し付けられる。
「ま、待って！　まずは話を」
　必死の命乞いも虚しく、蹴りを入れられた。床でのたうち回るカイの髪を掴んで、鋭い瞳が見下ろしてくる。
「お前、さっきからその言葉遣いなんだよ。俺とお前はいつから友達になった？」
　さっきまでとろとろだった瞳が、一切の熱を失った色でこちらを睨んでいる。
「す、すみませんでした！」
　殴られるどころの話では済まない事態に、カイは全力で土下座した。
「つい出来心で！」
「出来心でてめーは人のケツをレイプすんのか。すげーな」
　頭を踏まれ、床に額を押し付けられる。
「シ、シンさんが……」
「あ？」
「寝ぼけて俺を、弟さんと間違えて……」
　真が黙る。少しの静寂ののち、真はカイの上から足をどけた。
　カイは恐る恐る顔を上げた。手近なテーブルに銃を起き、戸口に向かう真が見えた。
「掃除しとけ」
　そう言い置いて真は部屋を出て行った。少しして浴室からシャワーの音が聞こえてきた。
　どうやら自分は助かったらしい。カイは安堵のため息をついた。